とある1日のお話(西暦シリーズ)

20000101 ~このミレニアムな夜に……

 ←謹賀新年♪ →20000101  ~このミレニアムな夜に……限定ver.


初カギ付き記事!とパスワードまで設定したのに限定になりませんでした。アプリで書いているとその設定がないので、PCの管理画面と行ったり来たりしてたのですが……うーん何故だろう?(T.T)

仕方ないので、ちょっときわどいかなーという部分を削除して再アップです。削除前のをご覧になった方いるのかなあ?
たいしてかわらないんですけどね(笑)


※※※※※※※※※※※※※※※




「きゃー嘘みたいっ! こんな素敵な部屋に泊まれるなんて」

部屋に入った途端ーーいや、このホテルの玄関前に降り立った瞬間から琴子のテンションはMaxに振り切ったまんまだ。

ここは海岸線とその周囲の夜景が一望できることが付帯特典として有名な、とある高級ホテルである。
そして今は1999年の12月31日。
あと1時間あまりで千年に1度のミレニアムな西暦2000年の始まりであった。

「素敵素敵素敵! あー、なんて素敵な夜景! 宝石箱をひっくり返したみたい。クルーザーやヨットもあんなにイルミネーションで彩られて……観覧車も綺麗ね……年越しの瞬間に海から花火が上がるのでしょう? 楽しみーっ」

琴子はさっきから出窓に腰掛けて、ガラス窓に顔を貼り付かせたままだ。

「……こんな素敵な部屋で入江くんと二人っきりで新世紀を迎えられるなんて、本当に夢みたい…」

「……だから2000年は新世紀じゃないって」

うっとりと語る琴子に直樹が意地悪く水を差す。

「…2000年が21世紀じゃないってことはちゃんと分かってるわよ」

直樹に勘違いを指摘されたのはまだつい先日のこと。
その時まで信じていたことをあっさり否定されたのはショックだったが、ミレニアムが2000年か2001年か、というのは実は曖昧な問題でそれゆえに多方面で物議を醸していたのだ。0年が存在しない西暦では1年から101年が1世紀となるわけだが、千年に1度の千年紀ーーミレニアムは2000年となるーーという実にややこしい事態となり、琴子のように勘違いをして2000年に新世紀のイベントをしようとした自治体もあるくらいなのだから。(結局、その自治体は2年続けてやることにしたらしい)とりあえず世間はコンピューターの2000年問題の方が関心が高い。

「……千年に1度のキリ番の年に大好きな人と一緒に過ごせるなんて……凄く奇跡的なことだとは思わない?」

頬を染めて幸せそうに直樹に問いかける琴子はいつも以上に可愛いと思う。

「……まあね」

確かに奇跡的なことなのかもしれない。
千年に1度のこの夜に、大晦日と正月の2日間も2人ともきちんとと休みが取れて、呼び出しもなく、そしてなんのトラブルも障害もなく無事にこのホテルに辿り着いたのだから。
3ヶ月前の琴子の誕生日に起きた惨事を思えばーーそして琴子は常にそうしたトラブルを巻き起こし呼び寄せる体質であることは長年の付き合いで十分承知していた故に、ここまで何事もなく到着出来たこと自体が奇跡のようにも思う。
尤も途中で待ち合わせるなどということはせずにきっちり家から共に出掛けたわけだが、それでも何か事件に巻き込まれるのが琴子というものなのだ。




「……梶本くん、本当に良かったのかしら? こんな素敵なホテルの大晦日の夜のベア宿泊券、譲っちゃって」

梶本というのは今年の新人研修医で、先月から外科で研修している。以前トラブルを起こして逃げ出すように研修病院を変えてしまった某研修医に比べると、素直で実直とすこぶる評判のいい青年である。
さて、その彼が3週間程前に外科の忘年会に参加して、ビンゴの景品で今年の目玉景品の、『ミレニアムイベントを楽しめる高級ホテルペア宿泊券』をゲットしたというわけだ。因みに琴子も直樹も当直と夜勤が重なって忘年会には参加していなかった。
初めは忘年会と夜勤が重なった不運を嘆いていた琴子だが、直樹が当直だと知った時には現金なもので、職場の忘年会などどうでもよくなっていた。
直樹だけが忘年会参加なら、彼を狙う看護師たちを蹴散らすことが出来なくてイライラするだろうし、自分だけ参加なら、気が引けて楽しめない。
だから直樹と二人職場で同じ夜を過ごす方がずっとマシだわ、とうきうきと話していたら、幹たちから「一体何年夫婦やって何年一緒の夜を過ごしてんのよ」と、呆れられたが、そんな外野の声はどうでもいいのだ。「まあ、もしあんただけ忘年会参加だと、あんたの面倒みるの大変だからそっちの方がいいけどね」そういう幹は、本当は忘年会に参加予定だった直樹が急遽当直を交代したことを知っていた。琴子は全く気付いてないが。
そしてさらにビンゴでホテル宿泊券を当てた梶本が、「どうせ一緒に行く人がいないし……」と嘆いていたのを聴いて、「じゃあ俺が買ってやるよ」とわざわざ金を払って譲り受けたことも、琴子は知らない。

5年付き合った彼女が、研修1年目の激務の為に全く会えない状態が続いたせいで寂しさ故に浮気をしたのだという。そのショックは未だ癒えず、西垣医師の云うように適当な所で手を売って誘うなどといい加減な真似は到底出来ない、という生真面目な若者だった。
その西垣から「俺がもらってやるよ」と云われ、船津からも「真理奈さんを誘うのでぜひ僕に譲って下さい!」と懇願され、誰にあげてもいいやと思っていたところに、直樹からほぼホテルの宿泊代と変わらない値段を提示されて、あっさりと交渉成立。研修医は給料が安い上に、彼は貧しい奨学生であったのだ。

「……もう彼女とは無理なのかしらね。梶本くん実はまだ未練たらたらなのよ」

どうも恋愛相談をあれこれ琴子にしていたらしい。話はしやすいだろうが、琴子が彼に的確にアドバイスが出来るとは思えない。というか、下手にお節介をやいて仲を取り持とうなどとして逆に引っ掻き回しかねない。そして、明らかに梶本は相談するうちに琴子に惹かれ始めていた。いつものお約束のパターンである。
なので、直樹は彼から宿泊券を買って、琴子とお泊まりすることをさりげなくアピールし、俺の嫁に気を持つなよと暗に牽制、である。傷は浅いうちに撃沈させた方が彼の為なのだ。

だいたいこの嫁は、今回のホテルでのお泊まりは、梶本から偶々宿泊券を貰ったが故のラッキーな出来事としか捉えていない。わざわざ直樹が計ったことなのだと無論考えも及ばない。
3ヶ月前、初めてホテルでお泊まりデートが出来て、初めてプレゼントを貰えて、それだけで1年はゆうに幸せなのだ。そのあとの結婚記念日や、クリスマスに何も無くったって、誕生日の幸せだけで十分相殺されていた。
実は直樹はそれが気に入らなかった。
あからさまに誕生日にお祝いされたように結婚記念日もクリスマスもとあれもこらも期待されたら、「調子に乗るな」と一喝したのだろうが、何も期待されていず、ただ1度の誕生日の出来事を一生に一度の奇跡のように延々と語り継がれるのも、一体俺はどんなヤツなんだと自分に呆れかえりそうになる。
なので結婚記念日もクリスマスもきちんと贈り物を渡した。結婚記念日はネックレス、クリスマスはピアスと、これで誕生日のサファイアのリングとお揃いの三点セットとと言うわけだ。
琴子は逆に地球が滅亡するのではないのか、はたまた浮気をしているのではないかと(旦那が優しくなるのはその予兆、などと余計なことを外野から吹き込まれ)と怯えていたのが若干腹が立ったが、日頃の行いの悪さを一応反省し、下らない疑いを抱かなくなるくらいお仕置きをしてやり、秋から冬にかけてのイベントラッシュを普通のカップルのように過ごしてきたのだった。
そして、その締めが今夜、ミレニアムな大晦日、というわけである。
本来ならいつものように家族とともに年越しパーティだろうが、例年の『年越しの瞬間にキスしたい』という琴子の願望を叶えてやろうと思ったわけだ。そのためにこの時期に二人そろって連休とるなど無謀なことを、色々な裏工作を経てなんとか可能にしたのだった。
誕生日の日に血まみれの琴子を見て、心臓が鷲掴みにされるような感覚を味わった。それ以来加速をつけて、琴子への愛情表現を分かりやすくしようと努力をする自分がいて、そんな自分に笑えたりもするのだかーー琴子が目を白黒させて驚く姿を見るのも、涙を浮かべて満面の笑みを見せるのもーー悪くないと思う今日この頃……だったりする。


「……でね、その、梶本くんの元カノっていうのが、何となくあたしに似てるらしくて……」

琴子はさっきから梶本の話ばかりしていた。
いや、レストランで食事した時も、その後最上階のバーで軽く飲んだ時も、ふとしたきっかけで話が梶本の恋バナに変わっていたのだ。宿泊券を譲って貰ったことや恋愛相談をしていたせいもあって仕方がないかもしれないが、やはりムカつく。

「……おまえ、いつまであいつの話してるわけ?」

部屋の灯りが突然消えて、琴子が驚いて振り向くと、すぐ近くに直樹が立っていた。
出窓に腰掛けていた琴子を挟むようにどんと窓ガラスに手を付いて、顔を近づける。

「………入江くん」

唇が重なり合うのと琴子が目を閉じるのがほぼ同時だった。

やがてキスは深く絡めとるような激しいものに変わり、直樹も出窓に膝をついて琴子の唇と舌を堪能する。
窓にちらりと視線をやるとガラス窓に鏡のように自分達の姿が映っているのが確認できた。うっとりと濡れた唇から可愛い舌を覗かせる琴子の姿と宝石箱のような夜景とが重なって、熱いものが込み上げてくるのを感じた。

琴子を出窓に座らせたまま、そして唇を塞いだまま、ゆっくりと、琴子の背中ののファスナーを下ろす。

「……え? ここで……?」

一瞬唇を離して驚いたように囁いた琴子の唇を噛みつくように塞ぐと、特に抵抗はなく、するりと肩からワンピースを脱がす。少し大人びたモスグリーンのワンピースは、直樹のチョイスだ。クローゼットの中を見渡して一番脱がせ易そうだ、というのが選択の最大の理由だったわけだが。
その思惑通り、琴子の身体を軽く持ち上げ腰を浮かさせると、ワンピースは簡単に足から床に落ちた。


「……ダメ……シャワー浴びたい」

「後で、な……」

直樹の唇が琴子の陶磁のような白い肌をさ迷い始めると、琴子の声は絶えず甘く啼き続けた。手はよすがを求めるように直樹の髪の毛をくしゃりと掻き回す。

「ああ……だめ…ここじゃ……」

さ迷う手を琴子の手が遮る。

「……どうして?」

「だって……恥ずかしい……見られてるみたい」

「……見られてるって……何に?」

「……わからない……けど……見てる…………」

地上の星が明るすぎて、空には星ひとつ見えない。月も見える位置にはない。
遠くに見える観覧車から誰かが覗ける訳でもない。

見ているのはガラスに映る自分自身だーー。


「ああっ……ダメっ………」


窓ガラスに背中を預け、もはや夜景を見るどころではない。
直樹も出窓の上に乗り上げるとゆっくりと琴子の中に自身を埋めてゆく。

窓際で絡み合った2つの身体が共に頂点に登りつめようとした時ーー。


窓の向こうの仄暗い海が一瞬にして明るくなり、赤やオレンジや緑の花火が、窓際の二人を照らしていた。琴子の白い肌の幾つもの紅い刻印が瞬間、浮かび上がる。
遥か彼方で小さな破裂音が窓を響かせていた。

「……琴子、明けましておめでとう」

にやりと笑ってチュッと琴子の唇にキスを落とす直樹に、

「い、入江くんのばかぁ……あっん……」

と力なく応えるが、まだ直樹は自分の中で精を注いでいて、快楽の余韻は収まる気配はない。

ガラス窓の彼方の空の上で、華やかに閃光を放っては海にその煌めきを落としていく冬の花火がちらりと視界を掠めるが、一瞬のうちに琴子の意識は忘我の海に投げ出されてしまったのだったーー。


入江直樹ーー彼はやはり記念日には0時ジャストを狙う男なのである…………



「……ちゃんと花火見れなかった……」

と、少しばかり恨み節の琴子を抱き上げて、浴室に有無を言わさず連行し、そこでもしっかり可愛がり、やっとベッドで眠れるーーと安堵した琴子の甘い考えをあっさりと打ち砕いて、ほぼ明け方近くまでシーツの海の中で艶めいた媚態を見せる琴子をしっかりと堪能し、初日の出さえも見れなくしてしまった訳だがーーまあ、正月なんて来年も来るんだし、と直樹は琴子の文句をキスで封殺する。

「……じゃあ次は21世紀のハッピーニューイヤーにリベンジな」

「……来年もここに連れてきてくれるの!?」

「さあな」

「……もう…入江くんの意地悪」

「……来年はもしかしたら二人じゃないかもしれないし」

「……え?」

「いや……まあ……」

珍しく言い淀んだ直樹の顔を窺いみると、突然ほっぺをむぎゅっと摘ままれた。
「いたーい」
抗議のする琴子の額にキスをすると、直樹は優しく笑った。

「ーーとりあえず、今年も宜しくな、奥さん」








※※※※※※※※※※※※


と、いうわけで琴美ちゃん仕込み編です(^^;
ミレニアムベビーというのは正確には2000年の1月1日生まれの赤ちゃんらしいのですが(2000年生まれの我がムスメのことをずっとミレニアムベビーといってきているのに!)琴美ちゃんは、1月1日の0時0分で受胎してるってことで……(^^;
うちの直樹さん、完全に狙ってます(^^)v

この1ヶ月後くらいにインフルエンザの蔓延と妊娠発覚となるのでしょう……(^^;



因みにこのホテルの場所ですが、特に限定していません。2000年にミレニアムイベントをしている場所を探してみたけれど、やはり2001年がメインのようで、あまりはっきりとは見つからなかったのですよ。
お台場なのか横浜なのか……好きな処をイメージしてください。
尤も私、自分の家から20分程の隣の市にあるマリンリゾートで描写してみましたが(^^;観覧車やらヨットやクルーザーがイルミネーションに彩られて大変綺麗です。ただ高層ホテルはないですが…(^^;





何だか新年早々またまた寒波が訪れるようで……皆様新たな年のスタート、ご無事で過ごされますように。

新年早々、思い通りにいかずぐだぐだでしたが、公開記事にしてはちょっとお年玉な感じになったでしょうか? 限定設定、勉強していつか再アップしますね……(^^;
ーーとりあえず、今年も宜しくお願いします(^^)v


関連記事
スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png あいさつ
もくじ  3kaku_s_L.png パロディ
もくじ  3kaku_s_L.png 短編
もくじ  3kaku_s_L.png 私の好きなもの
もくじ  3kaku_s_L.png 月下の一族
もくじ  3kaku_s_L.png リンク
もくじ  3kaku_s_L.png イタkiss期間2015
もくじ  3kaku_s_L.png 頂き物
もくじ  3kaku_s_L.png アイシテ☆knight
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 納涼祭り2016
   

~ Comment ~

管理人のみ閲覧できます 

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re.紀子ママ様 

明けましておめでとうございます♪

そうですね、きっと琴子ちゃんの排卵期をも把握した上での確信犯です。天才のくせして何を狙ってるんだか……(笑)
新年早々、しんどい話は、とも思っていましたが実はブログ開設当初からこのバカなお話を最初の年越し記事に、と狙ってました(^^)v
楽しんでいただけたなら幸いです。
紀子ママさんにとって今年1年良い年でありますように!
コメントありがとうございました(^^)
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。

~ Trackback ~

卜ラックバックURL


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

【謹賀新年♪】へ  【20000101  ~このミレニアムな夜に……限定ver.】へ