20131121 ~20th anniversary (3)




「やーん、夕希ちゃん久しぶり~♪」

あたしは思わず夕希ちゃんに抱きついた。ママのお友達のジュニアチームの中では一番の年長だから、あたしにとっては唯一のおねえちゃんみたいな存在。
両親のいいとこ取りの、はっきりとした顔立ちの美人で、身長も170センチを越えていて、細身だけどナイスバディ。
小さい頃はしょっちゅう互いの家を行き来して、遊んでもらっていた。


「ほんと、琴美もでっかくなったね~。一年くらい会わない間にかなり身長伸びたね。あんたもモデルやれるよ。うちの事務所来ない?」

にんまり微笑む夕希ちゃんはティーン雑誌の人気モデルだ。中学生の頃から読モ始めて、今は高校生活と両立してるけど、落第スレスレって理美おばさんが嘆いていた。

「あんた、安易に琴美ちゃん誘うんじゃないっ! 琴美ちゃんのパパに睨まれるのあたしなんだからね!」

「いたいっママ! いきなりはたかないでよ」

後頭部をさすりながら夕希ちゃんが振り向いた先には、夕希ちゃんのママがいた。理美おばさん。あたしのママの高校時代からの親友だ。
その後ろには夕希ちゃんのパパもいる。

「なーに、いっちょまえにサングラスなんかしてきて。自分の顔がそんなに売れてるとでも思ってるの?」

苦々しげに夕希ちゃんの姿を一瞥する理美おばさん。

「えー、夕希ちゃん、人気ですよー。あたしのクラスでもファンの女の子多いし。最近はCMにも出てて凄いなーって」

「その他大勢の生徒役で、しかも身体半分画面から見切れてたし。ドラマのオーディション受けても全部落ちてるし」

「ひどい、ママってば」

「あんたは演技下手なんだから、モデルだけやってりゃいいのよ」

ぷーっと剥れる夕希ちゃん。でもなんやかんや一番応援してるのは理美おばさんだよ。お祖母ちゃんの猛反対に「あの娘の人生はあの娘のものです!」って啖呵をきって中学生から今の事務所入れちゃったの。

「琴子は?」

「ママならあっちでパパと病院関係の先生方をお迎えしてるよ」

「そっかあ。まあ教授夫人だもんねーあの娘も」

そういう理美おばさんも若社長の奥さま。夕希ちゃんのパパは何年かよその会社で修行して、30過ぎてから親の会社に戻り、最近代替わりで社長に就任したらしい。老舗ってだけで、パンダイの方がずっと大きいわよ、って笑ってたけど。でも結局、現役を退いた筈の会長及び会長夫人が(つまり舅と姑が)いつまでも実権握ってるって、ママによく愚痴ってるわね。でも、入り婿のお祖父ちゃんは私たちの味方なのよ、って夕希ちゃんは云ってた。

「今日は壮(そう)くんは?」

夕希ちゃんの五つ下の弟、壮くんの姿が見えない。あたしより一つ下の小学校六年生だ。

「今日はサッカーのクラブチームの遠征なのよ」

そっか、バリバリのサッカー少年だもんね。
時々ハルにも教えてくれて、お蔭でハルもサッカーにハマったの。壮くんと同じクラブチームの見学にも行ったし、義足で練習に参加させてもらった。今はとっても機能もデザインも素晴らしいサッカー用の義足もある。めっちゃお洒落なアディ〇スのよ。義足だからって将来プロチームに登録出来ないわけじゃない。
ただ、逆に機能的すぎてハルが誰よりも上手にプレイ出来るのは義足のせいじゃないかというクレームがあって、試合に出させて貰えなくなってしまった。日常生活用の義足だとすぐに壊れてしまうし。
結局ハルはクラブチームを止めて、今では義足を外して杖をついてフィールドを走るアンプティサッカーをやってる。
片足だけで自由自在に動き回り片足だけでボールを蹴るの。なかなか見てても面白い。
まあ、あの子はママに似て色々なものに好奇心を持って、色々なことやりたがるから(つまり移り気)この先サッカーだけとは限らないけれどね。運動神経はやったらいいから、何かもっと目標持って取り組めば七年後、東京パラに出られるかもよ?

ただそんなハルとは違って壮くんはサッカー一筋。しかもかなりハイレベルで、Jr.ユースにも選ばれかけたとか。(最終選考落ち。ドンマイ!)
あまりサッカーで才能突出しちゃうと将来また揉めそうだよね、高宮家の跡取り息子だもん。

そういや壮くんが生まれるまで姑さんから散々二人目はまだか、男の子を生めと時代錯誤なこと言い続けられて、よく家に夕希ちゃん連れて愚痴ってたらしい。
一人目さっさと作ったのに何故出来ないって嫌味言われてたとかーーそんなの人の思い通りになるわけないじゃないって、中学生のあたしでも判るのに、夕希ちゃんのお祖母ちゃんって不思議だわ。


「あー理美ー! 来てたのー?」

お、じんこおばちゃん。

理美おばさんと抱き合って再会を喜んでる。久しぶりなのね。
じんこおばちゃんの後ろには、おばちゃんと同じ顔をした男の子三人。
タクヤ(小5)シンゴ(小3)ツヨシ(小1)、見事にふたつ違いの兄弟だけど、なんだか微妙にサイズの違う三つ子みたい。これぞまさしくだんご三兄弟よね。因みにあと二人男の子生まれたらどんな名前が付くか想像つくわ。ただもうこれ以上男の子が生まれるのが恐いって打ち止めにしたらしい。

「あれ? 旦那は?」

「うん、どうしても抜けられないレコーディングがあって」

「ははっなんか格好いいねー」

昔はバンドをしていたというじんこおばちゃんの旦那さんは、今はレコード会社の社員で真面目なサラリーマンだって。

二人できゃあきゃあ話し始めた後ろでだんご三兄弟は、じんこおばちゃんに張り付いてる。みんなシャイで人見知りなのよね。

「ねぇねぇ、琴美、ノブヒロ来た?」

夕希ちゃんが小声でボソッと訊いてきた。

「まだだと思うけど」

来てたらもっと大騒ぎになってるでしょう。

「夕希ちゃん、同じ事務所でしょ? このパーティーのこと話したりしてないの?」

モデルになりたがっていた夕希ちゃんの為に、理美おばさんに頼まれてノブヒロを通じて事務所を紹介したのはママだ。

「滅多に事務所なんてこないよ! だって国民的大スターだよ。今は1年の半分はハリウッドだし」

「そうなんだ」

10年前にモデルから俳優に完全に転身してすぐに、朝の連ドラのヒロインの相手役に抜擢された。それから大ブレイクして、常に『抱かれたい男』No.1『結婚したい男』No.1。ドラマより映画を主軸にしている割には知名度も高く、今じゃ老若男女、ノブヒロのこと知らない人はいないと思う。そして三年前ハリウッド映画のオーディションに合格して、全米デビューも果たしたの。
なんかそんな凄い大スターが、裕樹おにいちゃんの友だちで、パパが昔手術をしてーーううん、元々パパがお医者さんになった切っ掛けが、ママの「入江くんならノンちゃんを治せるよ」の一言だというのだからーー運命って不思議。
だってノブヒロがいなかったらパパはお医者さんになってなかったかもしれないし、パパがお医者さんになっていなかったらノブヒロは手術を受けずにこんな大スターになっていなかったかもしれない。

「来るんだよね? 本当に……」

不安そうな夕希ちゃんの顔。
好きなんだよね、ノブヒロのこと。

「出欠の葉書は、出席になってたよ」

わー来れるんだ、ノンちゃん!
ダメ元で招待状送って、出席の返事が来たことにママは驚いてた。

「ノブヒロは琴美のママが好きなのよ。あたしとは全然タイプ違うもんなあ」

夕希ちゃんは何度もそんなことを云ってはため息をついていた。

そうなのかなあ? 仮にそうだとしても、そんなのおくびにも出さない。当たり前だよね、そんな気配かけらでも見せたらパパに瞬殺されるもの。

ノブヒロも9つも年上の子持ちのオバサンにいつまでも未練があるとは思えないけれど、夕希ちゃんにとってはうちのママが最大のライバルらしい。
でも夕希ちゃんとノブヒロもだいぶ年の差があるんだよね。15歳差。芸能人にはこれくらいなんでもないけど。いや、うちのイリじいちゃんとおばあちゃんもそれくらい差があるもんね。関係ないか。

「もしノブヒロが来たらLINE送るよ。会場で待ってて」

「ありがとう、琴美」

にこっと笑う夕希ちゃんは可愛い。恋する乙女ってどんどんキレイになるよね。





「琴美ー」

「おーっアンジー」

いつもは三つ編みにしている亜麻色の髪をアップにして、アンジーが飛びついて来た。
池沢アンジェリカ。
あたしのクラスメイトで親友だ。

「いやん、三時間ぶりー」

そうね、学校で会ったもんね。今日、普通に平日。

「どうや? 琴美! いいやろーこのドレス! ロンドンのばーちゃんが送ってくれたんや」

へへへっーと笑うアンジーの紺色のドレス、シンプルだけどイタリアの有名デザイナーのオートクチュールだそうだ。
なんといってもロンドンのお城に在住の
おばあちゃんは往年のハリウッドの大女優。
実は今年の夏休み、二週間ほど遊びに行かしてもらったんだ。夢のお城生活! もうお姫様になった気分よ~♪

「アンジーもその関西弁直せば、お姫さまなのにね」

容姿は思いっきりママのクリスにそっくりなハーフ顔。よかったね、金ちゃんに似なくて。

「なんで? 大坂行けば普通やし」

そりゃそうでしょ。因みにGWは大坂のじいじとばあばの家にも遊びに行かしてもらって、たこ焼き三昧だった。ほんとにおもろいじいじとばあばだったーー金ちゃんそっくりの!
素敵でしょう、このギャップ。


「琴美、琴子ハ?」

アンジーのママ、クリスがアンジーの弟、金太郎と金之丞を連れてやって来た。
金太郎が小5で、金之丞が小2。金太郎だけがとってもパパに似てワイルドなモンキー顔。金之丞はクリスに似てハーフタレントになれそうな美少年。
大丈夫、金太郎。世の中にはクリスみたいな独特な審美眼の持ち主は必ずいるって。

「ママならあっちだよー」
あたしが毎度の如く説明する。

「オー、ナンカ忙シソウヤネ。ウチ、金之助ノ手伝イシテキマス。アンジー、タローとジョー、チャント見テテヤ」

「あいよ」

そういってアンジーは弟二人を連れて会場に入っていく。

「 じゃあ、後でね」

「うん」

「ジャア、後デマタ来ルサカイ、琴子ニヨロシュウナ」

そしてクリスはホテルの厨房に向かう。
今日はアイじいちゃんと一緒に金ちゃんも和食のパーティー料理を仕切ってるの。
金ちゃんは、ママの高校時代からの友人で、アイじいちゃんの弟子で、そして今はのれん分けしてもらった『ふぐ吉 深川店』の大将なの。そして奥さんのクリスは斗南大学に来たロンドンからの留学生。クリスの方が金ちゃんに一目惚れで押して押して押しまくったというのだから不思議よね。
二人が結婚したのはのれん分けをしてもらい一人前と認められた時。あたしが生まれる一年前だけど、子供はほぼ同じくらいの時期に授かった訳で、あたしが9月生まれで、アンジーは10月生まれ。だからあたしとアンジーはお腹にいるときから一緒に行動することが多かったらしい。親友になるのも当然じゃない?







「入江は何処にいるのかな? 琴美ちゃん」

あ。
顔を向けると、そこに立っていたのは。

「渡辺さん!」

数少ないパパの学生時代からの親友、渡辺さんだったーー。








※※※※※※※※※※※※※※


やっと渡辺さん登場。

こんな感じでだらだら続いていきますがいいですか …………?





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コメント

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§ Re.にゃんこ様

コメントありがとうございます♪

にゃんこ様のOKに安心しました~(^_^) そうです、渡辺くんは外せません(^_^) 冷凍ビーム発射されるのか、ノンちゃんの行動いかんによりますねー(^^;さて、どうしよう?

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