とある1日のお話(西暦シリーズ)

20001113~ ………余韻。

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お誕生日記事のアップ以来、びっくりするくらいのたくさんの拍手と、コメント、ありがとうございました。自分の書くものが受け入れられるものなのかどうか不安だったので、あたたかい言葉の数々に、舞い上がりそうなくらいに嬉しかったです(^^)v

そして、今回は……『真夜中のバースデーコール』のその後の話です。本当は13日のうちにアップしたかったのですが……ムリでした…(-.-)



※※※※※※※※※※※※※※






「ふぎゃあ……」


琴美のか細い泣き声が、いつもより遠い彼方で聴こえる気がした。
起きなければ、と思うけれど身体が妙に重くて気怠い。
琴子はいつも隣にいる筈の琴美の姿を探そうと、無意識に腕を延ばす……つもりが、身体をしっかりと閉じ込めるように抱きすくめられていて、腕どころか何ひとつ自由に動かせないことに漸く気が付いた。

「ふぎゃっふぎゃっ」

泣き声が少し盛大になると、琴子を束縛していたものが僅かに弛んだ。
重たい瞼をこじ開けるように開いたが、豆球の仄かなオレンジ色のみに照らされた室内は、鳥目の琴子には闇と一緒だ。

何も見えない。

でも。しっかり自分を抱き締めてくれていたのは、間違いなく………

ふわっと空気が動き、完全に解放される。
密着していた肌と肌が僅かに離れただけで、一瞬にして冷気が二人の間に入って来た気がした。さらに、二人の上に掛かっていた掛け布団が捲れ上がり、余計に寒さを感じる。なにせ何一つ身に纏っていないのだから。
直樹が起き上がったようだった。
ぎしりとベッドが軋む音がして、ベッドの横で何かごそごそ探している気配がする。

「……入江くん……?」

「ほら、パジャマ着ろよ」

ばさばさと、琴子の頭にパジャマやら下着やらが落とされたーーようだ。暗くて薄ボンヤリとしか分からないが。

そして立ち上がった直樹がピッとエアコンのリモコンを操作した。

ああ、暑くて途中で切っちゃったんだっけ……

ほんの少し前の、熱気に満ちた室内の甘くて蕩けそうな時間を思い出し、琴子は顔が瞬間火照るのを感じた。

「ふぎゃあ……ふぎゃっ」

直樹が琴美のベビーベッドの処に行ったようだ。
いつもはキングサイズのこのベッドで三人川の字で寝ていたが、今日は久し振りの夫婦のひとときを過ごす為に、たっぷりと母乳を与えて、ベビーベッドに眠ってもらっていたのだ。

直樹はどうやら手早くオムツを替えた後、琴美を抱きあげてあやしているようだ。だんだん目が慣れてきて、シルエットが見えてきた。琴美を抱き抱えてゆらゆらと優しく揺らしている直樹。琴子が服を身につけるのを待っているのだろう。
それでもおっぱいを欲しがってぐずつく琴美の泣き声はおさまらない。
琴子は慌て下着をつけ、パジャマを羽織る。どうせ授乳するから前ははだけたままだ。

「着た?」

「うん」

「はい」

まず消毒用スプレーを手に吹き付けられ、おっぱいを拭くためウェットティッシュを渡される。用意周到だ。

「……ちゃんと拭いとけよ。おれが舐め回したし……」

「……ふっ拭くよっ///////」

もう、そんなこと、しれっと云わなくても!

琴子はまたもや顔が熱くなるのを感じながらおっぱいを消毒する。

「悪いな、琴美。おまえのおっぱい、パパが取っちゃって。でも元々はパパのだぞ?」

「……もう、入江くん!」

直樹の方に顔を向けると、すっと琴美を渡される。
いまだ視界は仄暗くてよく見えないが、渡された琴美の顔ははっきり見えた。ふぎゃふぎゃと泣いていたのに、琴子の腕に渡された途端に一瞬泣き声を止めて、何かを探し始めた。
左の胸を差し出すと、ぱくりと吸い付く。

横で直樹がごそごそ何かを探している気配を感じた。

「……入江くん?」

「……琴子、おまえ、お尻で踏んでる」

「へ?」

「……おれのトランクス……」

「えーっ?」

琴子は琴美に乳を含ませたまま、後ろを振り返り、腰を少し浮かすと、直樹がサッとその下にあったものを取り返した。
そしてベッドの脇でそそくさと身につけ、更にはパジャマを着ているようだった。

えーっ? えーっ?
入江くんってば、まっぱで琴美の処に行って、オムツ替えてあやしてたの!?

鳥目の自分には見えなかったが、どうやらそういうことらしい。
泣いてる琴美の傍に直ぐに行きたかったのだろうが………でも…….。
何だか様子を想像して、またまた顔が熱くなった。

パジャマを着終えた直樹がサッと琴子の横に滑り込んで来る。
そして必死でおっぱいに吸い付いている琴美の顔を覗きこんだ。

「……せめて服を着てからみーちゃん連れて来ればよかったのに」

ぽつりと呟く琴子の肩口に顔を寄せて、直樹は平然と「泣いてるのにほって置けないだろ?」と云う。
「……せっかく、パパとママの為にこんなにいっぱい眠ってくれた孝行娘をほったらかしなんて」

「……え?」

「時間、見てみろよ。前の授乳からどれだけ経ってる?」

「えーっ? 4時間? うそっ」

琴子は今まで見もしなかったベッドサイドのデジタル時計をガン見する。

「うそ……そんなに寝てくれたんだ、みーちゃん……いつも1時間くらいしかもたないのに」

4時間なんて、最高記録だ。

「すごいな、琴美。0歳にして、パパに最高のバースデープレゼントくれたな」

そうしていまだに琴子の胸に張り付いて、懸命に唇を動かしている琴美の頬をつんつんと突っつく。
琴子も直樹もただ一生懸命乳を吸う我が子を見つめ続けた。

「……入江くん……」

琴子は直樹の顔が見えないのをいいことに、ちょっと気になっていた事を訊いてみる。

「あ、あたし大丈夫だった?」

「……何が…?」

「えーと…色々不具合はなかったかと」

「ぶっ………不具合って……」

ツボに入ったようでくっくっくっと笑いを堪える直樹。

「…何よ、そんなに笑わなくても」

「……いや……ないよ、別に。不具合なんて……」

またクスッと笑う。

「……ほんと? 胸だって、途中で張ってきちゃうし………お腹には微妙に妊娠線残ってるし」

かろうじて体重だけは元に戻ったがーーいや、どちらかと云うと授乳のお陰でマイナスなのだが、体形だけはどうにもならない。当初里美に奨められた産後用のウェストニッパーを着けていたが、1時間置きの授乳サイクルに身体が付いていかず、きつく締めるとすぐ気分が悪くなって、結局3日で着けるのを止めてしまっていた。というか、直樹に止めさせられた。

「……別に。全然変わらないし。補正下着なんか使わなくてもちゃんと戻ってるよ」

「……そ、そう? でもやっぱり胸ってこのサイズくらいがいい?」

お求めのCですが………

「……いや、前のでいいよ。なんかその胸、おれのじゃない気がする。琴美に対して罪悪感感じるから。それに」

意地悪く直樹が囁く。

「……どうせ断乳したらあっという間に元に戻るっていうし」

「……うっ……吸い付くされてマイナスになったって理美言ってたわ……」
少し落ち込む。Aカップから更にマイナスって……

「今のうちに、『だっちゅーの』ポーズで写真とっとこうかな~あたしにだってこんな胸があったのよ記念で」

「『だっちゅーの』?なんだよ、それ?」

「えーっ入江くん知らないの? まあ、お笑い番組なんて観ないもんね」

とりとめのない話を交わしながらも二人の視線は必死でおっぱいに張り付く琴美に注がれたまま。

「それよりおまえの方はどうなんだよ?」

「え? な、何が?」

「おまえは不具合感じなかったの?」

「不具合? あっあっあたしが? どうして?」

「……出産したばかりの女性は身体が母親になって、女としての欲求は薄れるっていうし」

「あたし、いつもと違った?」
不安気に直樹の顔をチラリと横目で見る。

「……いや、いつもの可愛い琴子だったよ」

「…………$#★〇#////////!!!!」

甘い‼ 甘すぎる! 何だか自分が誕生日プレゼント貰ってるようだ、と琴子は思う。

「ちゃんといつもと同じ処で反応してたし、イク時の顔もおんなじ表情してたし、声も………」

「……も、もういいよーっ」

琴美におっぱいをあげてる最中にそんなこと云うなんて。暖房が効いてきたのも相まって、琴子の顔は火照りっぱなしだ。

「……入江くんはいつもと違った」

「え?」

「…いつもと違って、すっごく優しかった。まるでハネムーンの初めての夜みたいに」
まるで繊細な砂糖菓子の細工を扱うように、優しかった直樹。琴子は恥ずかしそうに俯いて話している。

「そりゃ、母親になった琴子を初めて抱いたわけだし。ハワイの夜と同じ気持ちがしたかも」

愛しい女と初めて結ばれる喜びと緊張と、ようやくここまで来たのだという感極まった想いーー色々な感情がないまぜになった7年前と少し似た感覚だったかもしれない。
高校生の頃から彼女の世界の全ては直樹だった。常に直樹が重要で直樹が最優先だった。その彼女の世界に降り立った琴美という存在。
妻を赤ん坊に奪われたなどと思ってる訳ではないが、女が母親になる速度より男が父親になる速度の方が遥かに遅い。それは天才と呼ばれた直樹にも例外ではなく、しっかりと母親の顔をしている琴子が何だか随分遠くに行ってしまったような気がしたのも確かで。

そして今宵、やっと取り戻したように思えたのだ。琴美の母であることも間違いないけれど、自分の女であることも間違いないのだと再認識できた夜。
自分の誕生日などさしてめでたいとも思わないが、こうして再び新しく始められるきっかけを作れたのだから誕生日も悪くないと思ったりもする。

「……ハワイの夜みたいに幸せだったよ」

そう言ってハワイのハネムーンに気持ちを飛ばしてうっとりしている琴子だが、ちゃんと時間を見て琴美に反対側のおっぱいを含ませている。
その様子に苦笑しつつも、感心する。

「…琴子……」

「…ん?」

琴子がふっと顔をあげて直樹の方を見た瞬間に、その唇を直樹が捉えた。

「……!」

一瞬目を見開いた琴子だか、すぐに閉じる。

腕の中には懸命におっぱいを吸っている琴美がいて。
そして、その直樹の腕の中には食むように唇を奪われている自分がいて。


ーー幸せの余韻が、ゆったりと二人を包んでいるーー。





※※※※※※※※※※※※※※


と、いうわけでその後の話でした。
本当はもう少し長くだらだらとビロートークを交わしているシーンを続けようかとも思ったのですが………まあ余韻を持って、こんな感じで(^^;

今回の話で自分で密かに萌えているのは、まっぱで琴美ちゃんのオムツを替えてあやしている入江くん……(///∇///)
えっちの後、服着てない状態で琴美ちゃんが泣いたらどうするか? しかもぱんつは琴子が踏んでるぞ!どうする直樹 ……そして彼は……。(一応豆球のほのかな灯りで自粛しました(^^;)

昨日今日と仕事中そんな妄想ばかりしていて、かなりおかしな顔をしていたと思います、アタシ……(..)




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Re.にゃんこ様 

コメントありがとうございます♪

なるほど! マスク、いいですね♪ 昨日から風邪っぽいのでちょうどいいかも(^^)v あたしの職場は、基本あたししかいない個室に一人っきりで妄想し放題なのですが、目の前に窓があってたまに人が横切るので、妄想してる危険な顔を見られるとまずいんですよー(^^;
来週からマスクします♪

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Re.ちょこましゅまろ様 

コメントありがとうございます♪

はい、私もニヤニヤしながら妄想して、勢いで書いちゃいました♪ リアルといっていただいて嬉しいです(^^) なんとなくこのシリーズは現実の時事を絡めて、イリコトが私たちと同じ時間を過ごしてるみたいな感じで始めました。今でも彼らは幸せに過ごしてる……そう思って、ラブラブな日常を切り取っていけたらなーと思ってます(^^)
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