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入江くんハピバ~~!!
寒暖差にやられたのか、思いっきり風邪引きまして、グダクダなイタキス期間ですが、なんとか誕生日ネタあげました。
短いうえにやまなしおちなしいみなしでスミマセン……(((^^;)

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

 

 

 

 

11月11日23時59分。

 

琴子が机の上の置時計を見ながらそわそわしだした。

いや、その前におれが寝てしまうんじゃないかと、チラチラと時折、ベッドの方を確認している気配を感じていたが。

 

そんなおれはヘッドボードに身体を預けて読書中だ。

寝る前に軽く読むだけの小説の類いは書斎ではなく、此処が落ち着く。ーーいや、今日は落ち着かないとはわかっていたが、まあ、何が出てくるのかという好奇心に勝てなかった、というべきか。

 

そんな琴子は、「実習レポート書かないと~」と、二時間も前から机にしがみついているが、なんとなく上の空なのは気がついていた。

 

……ったく。2時間も前からカウントダウンするなよ……あ、あと2時間。あと1時間。あと30分……全部口にしてるから駄々漏れなんだよ。

 

(ちなみに、23時11分の時だけくるっと振り向き、『ねーねー入江くん、11111111のゾロ目だよー!』と嬉しそうに振り向いたが、おれは華麗にスルー。置時計はp.m.表示だから11時11分だが、正確には23時である)

 

そして、10分ほど前になると、机の上のラジカセを確認していた。

…………もしかして? なんだかイヤな予感がして、微かに眉を潜める。

 

そして。

 

デジタル時計が00:00を示した途端ーー。

 

待ってましたと言わんばかりにカセットデッキの再生ボタンを押し、おもむろに立ち上がり、おれの方を振り向く。

 

リズムを刻むだけの前奏が流れ出すと同時に、唐突に手を広げ声を張り上げ歌い出す琴子ーー。

 

「午前0時を過ぎたら~一番に届けよう~ハッピーバースデー!  ハッピーバースデー! ハッピーバースデートゥユー!」

 

カラオケ付きだからフルコーラス行くのかと思わず身構えたが、ワンフレーズだけ歌うと、ベッドの脇からおれに抱きついて、耳元で囁く。

 

「入江くーーん!  ハッピーバースデー!」

 

そして、頬にキッス。

へへっと照れくさそうに笑う顔は耳まで真っ赤だ。

ちっ、可愛いじゃねぇか……

思わず緩みそうになる表情を抑えて、ぶっきらぼうに呟く。

 

「おまえ、そんなに恥ずかしそうにするなら、わざわざ歌わなくても」

 

そう、別に歌わなくても、キスだけで十分なのにな。

 

「だって。一応、入江くんには散々歌って~とおねだりしてたからさ。あたしが歌わないのはズルいかと……」

 

最近はこの『夢が叶う』という意味のJPOPグループのバースデイソングが定番だとか。

よくテレビでのサプライズ誕生祝いのシーンのBGMで使われているらしい。(テレビを見ないから知らないが)

琴子から自分の誕生日前にひたすらループで聴かされていたので、しっかり覚えてしまっていたが。

 

そして、琴子の歌は決して下手ではない。たまに音程が外れるがご愛嬌、といったくらいで。聞き惚れる程でもないが、張りのある大きな声は、カラオケで高得点を取りやすいのだという。

 

「真夜中歌うのは近所迷惑だ」

 

「だから、わざわざ防音設備のある寝室で……」

 

我が家で防音設備のあるのは地下のカラオケルームとリビング(しょっちゅうパーティーと称したバカ騒ぎが好きな母の希望)とこの部屋だけだ。この部屋も、新婚旅行中の弾丸リフォームで、「ついでに」防音壁にしたと母がのたまっていたがーーまあ、それだけはグッジョブ!と密かに思っているのは内緒である。

 

「あ、そうそう。入江くんリクエストの誕プレなんだけど……」

 

やっと、本題、とばかりに琴子が顔を上げた。

 

「何かリクエストしたっけ?」

 

毎年、時計だの万年筆だのプレゼントしてくれるが、特に自分から希望を出したことはない。琴子がいつもおれのことを考えてーーおれのことだけを考えて、そのためにバイトして贈ってくれる。

別に何もいらない、と毎回言っているが、あたしの自己満だからいいの!と押しきられ渡される。

とりあえず初めてのプレゼント、謎の磁気マッサージ器以外はきちんと活用させてもらっている。(それも何年後かには活用するかもしれないが……ちゃんと動けば)

 

「やだー入江くんでも忘れることあるんたわ。ほら、オールBの成績表だよ!」

 

そういえばそうだった。

 

ちなみに斗南大学の成績表はA(秀)B(優)C(良)D(可)E(不可)である。

Eさえ取らなければ、単位は取れる。

琴子は就職活動の必要ない付属病院のある看護学部だからGPAとか気にする必要もないが、毎回CやDのギリギリで単位を取って綱渡り状態では、国試が受かるより以前に土壇場で単位を落とす可能性がある。(文学部時代のように……)なので、毎回試験前には発破を掛けるのだが。

 

「まずね、今回、試験の結果か奇跡的なのよ」

 

そういってA4のプリント用紙を見せる。

筆記試験の点数の書かれたものだ。

 

思わずその数字の並びに、おれも目を瞠った。

 

77  77 77 と、三教科77が並んでいた。

 

「ね? なんか、みょーに縁起いいでしょ?」

 

琴子は自慢げに語るが、77って別にいい点数じゃないだろう?

ちなみに他の科目は75 78  83ーーなどとまあ赤点ではないがたいして良くもない琴子らしい普通の点数だ。ほぼ70台80台なので平均点よりはありそうだ。あれだけ勉強してこんな点数しか取れないのはおれには永遠の謎だが。

 

「で?  成績表は?」

 

看護科の教科は、実技試験や実習評価、レポートなどで総合的に成績がつけられるから、ペーパーテストだけが全てではない。

 

「おまえから云ってくるとはオールBとれたのか?」

 

77点でBとれるのか?

 

「さすがにそれは無理だよ! 」

 

あっさりと、当たり前のように言う。

おまえ、相変わらず、勉強の方は努力が足りないな。

 

「 でもね、ちょっと見てよ!  これもなんか奇跡的な感じなのよ」

 

そして今度は額縁に入った成績表をおれに差し出す。

一応額装したのか……

 

保健医療情報学  B

在宅看護方法論  B

応用技術看護学  C

 

怪訝そうに眺めるおれに、「なんか、めっちゃリズム感ある並びじゃない?」とこれまた嬉々として指差して見せる。

 

 B  B C  B B C  B B C B  A B C 

 

そして、「BBC、BBC……」と手拍子叩きながら三三七拍子の節を取り出したのだ。

 

「おまえなあ……」

 

「なんか、おめでたくない?」

 

頭痛くなってきた。

こんなくだらないことでも盛り上がれる神経が理解できない。

三三七拍子って、応援の拍子だろ。別にめでたくもなんともない。

 

「それに、ほら、この燦然と輝くA!  A取っちゃったから、オールBなんてムリだったわ~」

 

にんまりと自慢げに笑う。

 

Aがひとつしか取れないなんてその方がスゴい。

しかし、Dがなくなったことは褒めてもいい……のだろうな。

 

「……後期の試験はもっと頑張るね?  その頃は入江くんも国試の準備で大変だろうけど。一緒にがんばろ!」

 

多分、おれが国試で満点取るより、おまえにオールBを取らせる方が遥かに難しい。

ーーそれに、多分、おまえの勉強を見てやれるのはこの冬まで。

まだ誰にも告げていないが、漠然と決まりつつある春からの進路を思うと、微かに胸が痛む。

決心がつかないのはこの笑顔を歪ませてしまうのがわかりきっているからーー

何よりおれがこの笑顔を手放したくないからーー。

 

「で、バースデイプレゼントはこれだけ?」

 

「え?  あー、ごめん、今回はおこづかいピンチで!  あ、でも明日は入江くんの好きなご馳走を……」

 

「ご馳走はこっちだろ?」

 

そして、引き寄せてキスをする。

歌った時の三倍くらい赤くなる琴子。

メインディッシュは目の前にあるのに、夕飯までお預け、なんて待てる筈ない。

昨夜は昨夜で、ポッキーデーと言いながらポッキーゲームのどさくさにポッキーごと琴子をいただいたが、余力は今日のために温存してある。(今夜のために昨夜は一戦で許したのだ)

 

おれが聴きたいのは琴子が歓ぶ声だ。

おれを受け止めて喘ぎ、啼き、叫び奏でる声だ。

そして、1/fゆらぎを思わせる艶やかなその声を聴くことができるのは、俺だけ。

そうだろ?  琴子ーー

 

こんな風に互いの肌の温もりを確かめあい、唇を貪って、そのいとおしさに狂おしい感情だけがこの狭い室内に満ち溢れていく。

放したくない。

離れたくない。

絶対に手離さないと誓った一年ほど前の出来事から、舌の根も乾かないうちに琴子から離れる計画が頭の片隅を占めている。

そして、その問題を先延ばしにして、今はただこの温かさに溺れている自分。

自嘲気味に笑うおれに、琴子はなんのてらいもない愛100%の笑顔をおれに向ける。

 

今夜だけはーー

何も考えずおまえの歓びに満ちた声だけを聴いていたい。

出会えてよかった   

素直に云える一年に一度の日

You´re   my precious

Have a  super great  extra good time!

愛してるよ……

 

 

 

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

ほら、やまなしおちなしでしょっf(^_^;

 

次は結婚記念日ですね♪

 

次回もチャットはあると思いますので、ソウさま、emaさまのブログをチェックしてくださいませ(^.^)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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2019/11/12 | [] | Edit

Re.マロン様

コメントありがとうございました♪
毎回返事が遅くて申し訳ないです。こんなんで、コメント少なくて、なんて愚痴ってちゃいけませんね。

なんか無理矢理歌に絡めようと七転八倒して本筋が見えなくなってきている私ですがf(^_^;そんなお話にも癒されたといってもらえて嬉しいです。
わたしもマロンさんのコメントに癒されました(^^)d

2019/11/21 | ののの[URL] | Edit

        

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