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Snow Blossom

イタズラなkissの二次創作ブログです。

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桜あんそろじぃ(第四夜)


またまた更新が空いてしまいました。
やばっとうとう広告でちゃうか!?

もう桜どころか、梅雨まっさかりで!
(あーでも、九州北部から近畿はまだ梅雨入りしてないんですってね(°Д°)それはそれで水不足が………)

とりあえず開き直って続けます( °∇^)]


えーと、四夜のあとにすぐに最終夜もアップします!




※※※※※※※※※※※※※※※※※



19970401~ぽかぽかと。




「いつの間にこんなに桜が咲いてたんだぁ」

長かった春休みもようやく終わろうとしていた4月初日。
あたしはモトちゃんと一緒に久しぶりの大学にやってきた。
久しぶりーー卒業式以来かな。
入江くんにあたしの決意表明を伝えたあの日ーー講義室で長い長いキスを交わしたあの日ーー
あれからまだ一週間しか経ってないんだよね……桜だってようやく蕾が綻んできたくらいだったのに。
ーーなんだかもうすごく遠い日のような気がする。


「何いってんの。すっかり満開……というかもう散りはじめよ。今年は開花が相当早かったからねぇ。入学式まではちょっと持たないわね」

モトちゃんが呆れた顔をあたしに向けつつも、ひらりと舞い落ちる桜の花びらを受け止めようとし、生憎掌からすり抜けていった。

「だって……色々あって、花とか季節とか感じてる余裕なんてなかったんだもん」

そういいつつあたしはちゃんと花びらを受け止めた。
その年の最初の花びらは貴重なのよ。しっかりゲットして手帳に挟む。

「ま、あんたにはブリザード吹き荒れる春休みだったんだろうって予想はついてたわ」

ブリザードところか。入江くんが神戸に行くと宣言してからの毎日は、時の流れも色のついた風景も何もない日々でーーきっとこういうのを『虚無』っていうのね。

大学生にとっては一番長くて気楽で嬉しい『春休み』だった筈なのにただただ暗鬱と過ごしていた。
悶々悶々と枕を抱え、あたしが想うくらいにあたしのことを想ってくれない入江くんの冷たさを嘆き悲しんで、無駄に時間を過ごしていたの。世の中が寒い冬からゆっくりと春に向かって色付いてることに気付いてすらいなかった。
ううん、永遠に春なんて来なくていいって思ってたわ。
入江くんがいなくなっちゃう春なんて……

でもね。
入江くんの想いを知って、あたしは東京(ここ)で頑張って、国家試験、絶対必ず何がなんでも一発で合格するって決心ができてーーようやく暗闇の中から抜け出た気がしたけど、そのあとは慌ただしく入江くんの旅立ちの準備をして、瞬く間に時間は過ぎ去ってしまった。

ーーそうして入江くんは三日前神戸に旅立った。

そのあとーー入江くんのいなくなった東京の日常はあまりに虚しくて寂しくて、ぽっかり心に穴が空いたようで。暗黒とまでは行かなくてもグレーな日々よね。
うん、ちゃんと勉強するって約束したから、頑張らなきゃ!って気持ちだけはあったんのだけどーーどうにもまだ寂しさに慣れなくて、なかなかテンション上げることができなかった。
今日まで全然外に出かけることなく、1日中電話の前で入江くんからかかってこないかなーと電話番してたのよ。あれこれ妄想しながらね。
今頃荷物片付けてるかなー、とか。
お隣にちゃんとご挨拶いったかなーとか。(ああ、引っ越しの挨拶の粗品ーータオルとか石鹸とか! そういうの妻のあたしが準備しないといけなかった!? すっかり忘れてたよ~)
今頃ご近所散策して、コンビニとかスーパーとかチェックしてるのかなぁとか。
病院に挨拶とか行ったのかな?……なんてね。

そんなふうに電話の前で体操座りして、ずーっと入江くんが何をしてるのかってことばかり考えてた。

一応入江くんから、到着した日は電話あったのよ。ま、その日に電話繋げてもらったらしくて電話番号教えるためだったんだけどね。もっとも結局その日以来、一度も入江くんからは電話こないけどさ。毎回痺れを切らしたあたしが耐えきれずに電話掛けてるの。
今日からお仕事始まってるハズだから、せめて朝イチに初日頑張ってね!ってモーニングコール入れるつもりだったのに、あたしの方が寝坊しちゃって、当然、9時過ぎに電話してももう留守電だったわよ。
はぁ。ダメダメな妻だなぁ、あたしって。


「ーーでも、ま、なんとか生きてたようで安心したわ。あんた、春休み色々誘っても全然乗ってこないんだもん」

「ごめんね。何度も電話くれたのに断ってばかりで」

看護科の仲間で飲み会だのプチ旅行だのあれこれお誘いしてくれたのに、そんな気分には全くなれなかった。とにもかくにも入江くんが旅立つその日まで、一分足りとも入江くんの傍から離れたくなかったんだもん。

「今日のお誘いは乗ってくれてよかったわ。来なかったら、来週から講義始まるのに、マジで大丈夫かと気を揉むとこだったわよ」

「心配させちゃってごめんね。でも、講義はちゃんと出るよ。しっかり勉強して絶対一回で国家試験合格する!って約束したもの」

そのために離れて暮らす選択をしたのだから。いつまでもグダグダと引きこもって落ち込んでばかりじゃいられない。
だからあたしも今日から頑張るの。
気合い入れなきゃねっ!

「あーもうこんな時間だわ。急がなきゃ。印刷室使える時間が決まってるらしいからね。頼まれた献血セミナーの資料作り、さっさとやっちゃいましょ。うちのゼミの助教授、ケチだからたいしたバイト代はでないと思うけど、ランチは奢ってくれるというしね」

大学の先生も色々大変だなぁ。
頼まれた資料は来週の入学式に全新入生対象の献血セミナーの参加募集のチラシ。少子高齢化に伴う献血率の低下は血液医療に重大な不安をもたらすーーということで、定期的に大学にやってくる移動採血車に是非ともご乗車いただこうとあの手この手を使って新入生を勧誘しなきゃならないんですって。
医学部生はほぼ強制だけど、他学部の学生たちの協力も是非とも欲しいので、やれゲーム大会とかコンパとか……何せよ若者の食いつきそうな企画を練り、餌を撒き、お誘いをかけないとならないらしい。

「入学式にも、チラシ配りと献血の予約受付のお手伝いに行くわよ。しっかり新入生たちに献血の重要さをアピールしないと」

そうそう。重要なのよ。痛いけどね……痛いから躊躇するよね。痛くなきゃ、400だって成分だってどんとこいなのに。(もっともあたしは体重制限で400CC献血できないんだった)
あたしだって注射は打たれるのも打つのも苦手だもん。

ーーなんて、ネガティブなことは言ってらんない!
入江くんはもう今日からドクターなのよ! 来年は入江くんの隣でお手伝いするのよ!
細い血管なんてなんのそのよ!入江くんが驚くような採血名人になってみせるわ!

などなどと天に向かってキリッと決意を示していると。

「………何、ひとりで拳握りしめてるのよ?」

「ちょっと色々やる気になってきた。献血の勧誘もがんばろうね、モトちゃん!コトリンの格好してテニス部サークルに勧誘するより、ずっと崇高な使命よ!」

「あまり気合いいれすぎると空回りするからほどほどにね」

何気に失礼よねー。でもまあ事実だから反論しないけどさ。

「琴子、花びらが髪やら肩やらについてるわよ」

「え? ほんと? 取って~」

そして、モトちゃんがあたしの肩の花びらを払いながら「あれ?」といってから、少し絶句してた。

「なに?」

「………どうしても取れない花びら、見つけただけ」

「え? なになになに~~?」

え?なんだろ? 襟のなかにでも入り込んだのかなぁ?
不思議そうに自分のブラウスの狭間を覗きこむあたしに、モトちゃんは、何か言いたげにーーでも何も言わずににやにやと笑ってるだけ。

ま、いっか。

なんか、久々に友だちに会って普通の会話して、気がついたらもう春で、外はこんなにぽかぽかあったかくて。
もうすぐ新しい生活に夢を膨らませる新入生たちがこの桜並木を通り抜けーー



大丈夫。
入江くんのいない春だけど、頑張ろうって気持ちだけで、ちょっとずつ心もあったかくなってきている。

そうよ、夏頃にはきっとフル回転で走り出せる。

だから今はちよっとだけ。
ゆっくりと身体をあっためて、助走の準備。

さあーー頑張ろう、琴子!




***





無駄にはりきり始めた琴子のおかげで、たかだか印刷室の輪転機回すのに何度も失敗して、教授の部屋のコーヒーメーカー壊して、教授に嫌味いわれてーーでも、とりあえず今日のお仕事はミッションクリア。

思ったよりは琴子も元気そうで、まあよかったわ。(色々ぶち壊すのは通常運転の証拠よね)一週間後の入学式が思いやられるけど。


入江さんが琴子と離れて神戸に行くって聞いたときは本当に驚いたわ。春休みで会えないし電話しても繋がらなくて、事情を訊くこともできやしない。自宅まで押し掛けてもお義母様から『ごめんさいね……』と申し訳なさそうに断られるだけで。
一体どーなってんの? ってヤキモキしたっぱなしだったわ。
一部の看護学生たちは、「やった! どうやらあの二人、別居するらしいわよ~!いよいよ離婚ね!」なーんて露骨に喜んでたけどさ。入江さんが神戸へ行っちゃったら、あんたらアプローチする機会すらなくなるのに、ばっかじゃないの?って思っちゃった。
実際、斗南医大に就職決まってた先輩方はみんなショック受けてたってことだけど。ええ、手ぐすね引いて待っていたナースのお姉さま方含めてね。
でも、そんなの琴子のショックに比べたらねぇ。
そりゃま、アタシたちだってあの夫婦と近しい位置にいなければきっと彼女たちと同類だったとは思うわよ。はじめの頃は琴子が妻ならうちらだってチャンス有るじゃん、ってマジに思ってたものね。
でも、素っ気ない態度とは裏腹に、入江さんの琴子への独占欲の強さと分かりにくい愛情がかなりのもんだと、流石に2年も付き合うとまざまざとわかって来ちゃったのよ。残念ながら。

ーーだからこそ入江さんが何故そんな選択をしたのか全く理解不能だったわ。
なにしろ時期が春休みだったから、情報もあやふやで。
憶測が憶測を呼んで、変な噂だけが飛び交ってたわね。
学会で知り合った神戸の女医とデキてるらしいなんて話もきいたわ。
殆どが入江さんが琴子に愛想を尽かして出ていった、というものだったけど。

ただ、その噂は、卒業式の日を境にあっという間に無くなった。
何故なら別の噂が上書きされあっという間に拡がったから。

入江さんと琴子が、卒業式の日に、5分25秒にも渡る長い長いディープキスを、人目も憚ることなく講義室で交わしあっていたーーというもので。

これは噂というより真実らしい。
何故ならガチで目撃した人が多数だったから。
ちなみに斗南医学部の卒業式は在校生も出席出来るので(あまり他の学部で在校生が卒業式に出るなんてきかないけどね)アタシたちも参列したわ。
卒業式には琴子から事情訊けるかと思ったのに、結局その日は捕まえられなくて。実際入江さんが神戸に行っちゃうって話はほぼみんな知ってたわね。春休みなのに凄い拡散力よねー入江さんネタって!

そして、卒業式の翌日からまた凄い勢いで拡散された、熱烈ディープキス事件。
いやーアタシたちは見れなかったけど(残念……)、謝恩会の会場で花束上げる在校生たちはもうみんな知ってたようであっちでヒソヒソこっちでヒソヒソ。
ほんっとびっくり。
人前で!
堂々と!
うん、入江さんなら平気でやりそう!
ーーってちょっと思ったわ。あの一年半前の食堂での告白を思うと、入江さんってあんまし周囲の目とか気にしないタイプだと思うのよ。

そして、二人が別れると期待してた女たちは一瞬で撃沈。入江さんに渡そうとしてた花束が相当数、謝恩会会場の学生会館の横のゴミ箱に投げ捨てられてたらしいわね。

そんなラブラブなのに何だってわざわざ離れて暮らすのよっっ紛らわしいっ!て、みんなモヤモヤよね。そう残念ながら入江さんってば紛らわしくもややこしい男なのよ。これ、琴子と知り合わなきゃ絶対わからない事実。男って顔だけじゃわかんないよね。(しみじみ)

そして今日はやっと琴子から詳しい事情を訊けると楽しみにしてたわけよ。
何だって入江さんが神戸に行くことになったのか、どうして琴子が別居を納得したのかーー

あれこれ根掘り葉掘り聞くつもりでいたら、そのまえにーー

見つけてしまった。
琴子の首筋に、きっちりと残った赤紫いの花びら。こんな可愛らしい桜色とは違う、まあ艶かしい痕よ。

えーと、入江さんが旅立ったの、三日前よね。
三日も痕が消えないって、どんだけ最後の夜、めくるめく熱い夜を過ごしたのよ!

そんだけ執着してんのに、琴子を置いていくって……入江さんも相当苦渋の決断だったんだろうなぁって何となく想像がつく。

そして、助教授から頼まれたお仕事をこなしながら琴子から事の次第を聞いて、ようやく事態が飲み込めたってわけ。
ま、心のなかでは、なんで神戸に行く必要あるのかなぁーーって未だに疑問だけどーーほら、あのキスマーク見ちゃうとね、離れがたいのは入江さんの方じゃないの?って悔しいけど思うの。
そんな想いを振り切ってまで男には成さねばならない仕事があるのよね、きっと。(アタシみたいに恋がすべての乙女には一生わからないわね)
その助教授も「神戸医大にはうちにはない専門機関とプロフェッショナルがいるからねぇ。うちの外科部門はみんなショックを受けていたが……」と残念そうに笑っていたわ。
琴子が「なんで斗南大病院にはないんですかぁ~~!」って助教授の首締めてけどね。もう遅いわよ。


「入学式の日には啓太たちも応援来るのよね」

「そうそう。今日はバイト抜けられないってことだけど」

啓太は夫婦が離れ離れになるなんて信じられない!って息巻いてたけど、きっと事情を聞いたら理解しそうね。何だかんだ男は仕事が第一! 医療者という人命を預かるものなら尚更!とかいってさ。アイツもたいがい昭和な男だもの。
真里奈もこれで二人が別れるチャンスよね、遠距離なんて絶対ムリよ!ーーと実体験(?)からか断言してたけどーーあれはあれで一応心配してんのよ。

「そういえば、講義始まるまでまだ一週間あるのに、なんであんた神戸に付いていかなかったのよ?」

斗南は他の大学より入学式や講義の始業が遅いんだよね。(まあ、春休みの始まりも遅いけど)
せっかく春休み期間なのに。単身赴任の旦那の引っ越しなら、妻は最初くらい手伝いにいくよね。そのまましばらくはお世話しにーーいや、世話しに行って面倒増やすだけか……ただでさえ新しい環境なのに入江さんのストレスが溜まるだけかも……?
うーん、入江さん、正解!

「あたし、卒論ゼミが明日からもうあって」

「あら、早いわね。さすが川嶋教授」

「ほんとは引っ越す時、三日くらいは時間の余裕があるから一緒にお手伝いに付いてくつもりだったのに、余計に時間がかかるから来るなって云われて……」

ああ、やっぱり……
思い出して途端にどんよりし始めた琴子の肩をポンポンと叩く。
いや、付いてったらあんた、お手伝いどころか、毎日ベッドから起き上がれないでしょ。
入江さんも離したくなくなるだろうし。あんたも帰りたくなくなるよね。
やっぱ、付いていかなくて正解だわ。

「あんた、明日から卒論ゼミあるなら、きっちりコンシーラー塗っときなさいよ」

余計なお世話と思いつつ、あたしは首筋をつんつんとついて手持ちのコンパクトで映してみせる。

「ひぇぇー!」

真っ赤になって首筋をぴしゃっと隠す琴子。
絶対ご家族には気がつかれてると思うんだけど。
ま、いつものことってヤツかしらね?


そのあと、ずっと入江さんから電話が来ないことの愚痴を延々と聞きながらその日は帰った。
揶揄ったり慰めたりあたしも忙しい。

でも、この二人の今後はこれからも目が離せないわね。




* * *



19970406~きらきらと。



ーーそしてそれから一週間後。入学式の日のことだった。
一週間の間に、随分気候は春めいてきて、桜は散りかけていても他の花々が十分春を演出していた。


そろそろ入江さんのいない寂しさからまた意気消沈してるかと思いきや、琴子は案外元気そうで。
新入生に献血のご案内のチラシを配りまくり、必要性を一人一人に説明していた。

「なに? そのハイテンション。何かいいことあったの?」

あたしが琴子に問いかけると、それはそれは嬉しそうに「実は一昨日入江くんの方から電話があったのよ! もう、それだけで感涙ものなのにね、なーんと! あたしにプレゼント送ったって! もーチョー嬉しくて! 書留の速達で送ったっていうから、あたし、昨日1日郵便屋さんくるのを心待ちしてたの!」ときらっきらの満面の笑みで教えてくれたわ。

「で、……何を?」

誕生日でもなんでもないこんな時期に一体何を? あたしも興味津々で琴子の答えを待つ。

「ふっふっふっ~~」

にまーと笑って「じゃーん」と取り出したのは。

「……なによ、それ」

「みてわかんない? 保険証よ、保険証! あたしの保険証が届いたのよ~~」

ああーー。
『兵庫県医師国民健康保険組合保険証』
ーーって、なんでそんなのにテンションマックスなのよ!?

「あたしね、入江くんの扶養に入れたんだって。今までお義父さんの扶養だったんだけどーー、あ、大学の学費はうちのお父さんが出してくれてたんだけど。
『ようやく自分でおまえを養えることができる』、って入江くんが凄く嬉しそうで。って、まだお給料もらってないのにね!
ーーま、何が変わったのかよくわかんないけどさ、とにかく入江くんが嬉しそうなのが嬉しいの!」

あ、そうか、なるほど。
学生結婚で形だけの世帯主になったものの、ようやく一社会人として、税金や健康保険、年金を自分の収入から払うことが出来てーーそして妻を扶養することが出来るってことが誇らしく嬉しいのね。いやーん、入江さんってばやっぱ昭和な男子ねっ。なんか妙に可愛いわ~~

保険証送られたくらいで、まるでダイヤモンドの指輪を貰ったくらいに喜べる嫁もあんたしかいないだろうけど、そんな琴子も可愛いわよ。


「モトちゃんが、この間、教授のお手伝いに誘ってくれたお陰よ~」

「え? なんで?」

琴子が意味不明なお礼をしてくるので一瞬怯む。

「ふふ、あの日散ってた桜の花びらをね、こうしてお守り代わりに手帳に挟んでたのよ。知ってる? 桜の花びらを一発で掴みとると願い事かなうのよ!」

そんなの初耳だわ。

「で、この花びらに込めた願い事は、入江くんのお仕事、うまくいきますように、ついでに入江くんから連絡くれますように、だったから……」

仕事のことはともかく、ついでの望みのハードル低っ
思わずこの子が不憫になったわ……

「なんか、プレゼントのおまけ付きなんて倍返しで願い事叶っちゃった気分よ!」

「うん……まあ、よかったわね……」

「ああ、早く病気になってこの保険証、使いたい~~」

こらこら。

「ジョーダンよ。病気なんてなってられないわ! さあ、全力で国試の勉強始めるわよー! 愛する旦那さまのためにもねっ」

ま、その保険証、無事国試に合格して看護婦になれたら、一年しか使えないだろうけど。
看護婦は看護婦で社会保険に入るからね。あんたもすぐ扶養から抜けちゃうのよ。

るんるん気分で小躍りしてる琴子には言わないけどね。

ようやく春らしく微笑みも爛漫な琴子の様子に、あたしの気分もなんだか春めいて上がってくる。

さーて、琴子だけじゃなく。
アタシも国試に向けてーー

頑張んなきゃ、ね。

入学式前にほぼ散ってしまった桜並木の葉桜にきらきらと春の陽射しが反射して、少し眩しい。
そしてきらきらと光る瞳を携えて嬉しそうに笑う琴子もーー太陽の光と同じくらいに眩しかったーー。






※※※※※※※※※※※※※※※※※※


この年は3月21日に開花宣言があったということで、稀にみる早さだったようです。なのできっと入学式前には散っていたのだろうと(((^^;)



さて、この話を書くにあたり、かなり昔の話を見返して、間違いに気付いてこっそり書き直したというf(^_^;……(かをる子さん初登場のお話です)わかったかなー。
かをる子さん目線をモトちゃん目線に替えただけのよーな……今更ながらな話ですみませんf(^_^;


さて、最終話はちょー短いのですぐにアップします。
実は一番最初に書いたんですよね……(((^^;)
まあそういう構成にしたかった、というだけの、たいして内容のない小話ですが、続けてお読みください。













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Re.マロン様 

コメントありがとうございました♪

うちの神戸シリーズの初期ネタ別目線を今頃書いてしまいました。
色々納得の行かない神戸行きではありますが、この頃の切なさを思うとストーリーに盛り上がりがつくんだよね〜〜と(書き手目線で)納得。やっぱ、遠距離は切ない……(TT)でも二次のネタになる笑
保険証なんですけど、当時は社会保険だと思ってたんですが、調べたら、大学病院の医師会に属する医者は、そーゆー国保があると。(協会けんぽというのもあるらしい)病院やクリニックによってどっちが得かとかあるみたい。いや、調べてもあんまりよくわかってないので違ったらごめんなさい、なんですが笑 そうなんですね〜多分市民病院とか国立病院とかは共済になるんだろうなーと思ってました。アップする前に、マロンさんに色々お訊ねすればよかったわ、と後から思いました。次回、よろしくです!
  • ののの 
  • URL 
  • 2019年07月07日 20時49分 
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