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Snow Blossom

イタズラなkissの二次創作ブログです。

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20190430→0501~サヨナラ平成、ようこそ令和。


GWいかがお過ごしでしょうか?
私は八連休(でもちょこっと休日出勤)、いつものGWと変わりません……

さて、令和一発目の投稿です。
予定では桜あんそろじぃを完結させてそれを平成最後のお話にするつもりだったのに……相変わらず計画通りに行かない日々です。
そんなグダグタな当ブログですが、令和時代もよろしくお願いします(^^)d






※※※※※※※※※※※※※※※※




その日は平成最後の日。
今日まであちこちで『平成最後』という言葉が踊っていたが、本当に『平成最後の日』がやってきたのだ。
夢の10連休、ゴールデンウィーク真っ只中の入江家では、紀子と重樹と仲良く三世代同居している裕樹宅で『さよなら平成、ようこそ令和♪ 祝御即位&改元カウントダウンパーティー』なる横断幕が掲げられ、祝宴が催されようとしていた。
ちなみに直樹と琴子の家は同じ敷地の隣なので、琴子は昼間から両家の間を行ったり来たりして準備を手伝っている。

「ごめんね、好美ちゃん、せっかくうちのおじいちゃんが作ってくれたお重、持ってこようとしたら途中でひっくり返しちゃって~~」

「ええ? 転んだの? 大丈夫? お義姉さん」

平成最後の1日はしとしと雨が降り続いていた。
スープの冷めない距離である両家の庭の間をつなぐ鉄平石の飛び石は濡れると滑りやすい。好美はそれを心配したようだ。

「あ、手が滑っただけなの。大丈夫大丈夫」

「ふぐ吉の料理は残念だけど、お料理はお義母さんがたくさん作ってくれたから全然足りてるの。気にしないでね」

「ったく、琴子は相変わらずそそっかしいな」

ひょいと顔を出したのは裕樹だった。

「うるさい!」

「元号は変わっても、進歩ない。三時代に跨がる永遠のバカ」

「ふふ、パパもいい年してそんな子供みたいな憎まれ口叩くの、全然進歩ないわよねぇ? お義姉さん」

義理の妹からの援護射撃に、琴子もにやりと裕樹を見つめる。

「ほんと、お互いアラフォーだってのに、出会った頃のまんまの感覚よね~あんたがパンダイの社長ってほんと大丈夫なの?」

「は? 琴子はアラフィフだろ?」

昨年、まだ30代にしてパンダイの取締役社長に就任した裕樹である。
重樹は古希の歳に事実上の引退をして、会長職にいた。数年の間は右腕だった専務が社長職に就いていたが、彼の提案で漸く裕樹に社長就任を任せることとなったのだ。

「大丈夫よ、今の重役の方々は有能な方ばかりですもの」
にっこり笑う好美に、「おい、おまえまで琴子の味方かよ」と、裕樹が憮然とする。
まだ若い社長の就任に不安の声もあったが、長年重樹が育ててきた幹部社員たちの絶大なる後押しがあっての就任だった。
最新技術を駆使したゲーム機器から昔からの子供向けオモチャ、アナログな趣味のホビーショップまで幅広く手掛ける現在のパンダイの基盤を築いた裕樹の功績は、業界の内外から認められていた。

「ほら、パパ、無駄に突っかかってこないで、お料理並べる準備してね」

「ああ、悪い。おまえは琴子と一緒に座ってろよ。大事な時なんだし……」

そういって、好美の持っていた取り皿など奪い取り、台所から追いやる。

「あら、どうしたの? 裕樹くん、みょーに優しいじゃない」

「えっと……実はね……まだ誰にも話してないんだけど……」

好美が少し恥ずかしそうに琴子に耳打ちをしようとしたときーー。

「ママー! 将樹にーちゃんが、ハルと喧嘩してるー!」

長女の美紀(みのり)が部屋に飛び込んできた。

「まーったく!! あの子たちったら!」

「大丈夫よ。ほっといても。すぐに仲直りするんだから」

年の近い従兄弟同士、住んでるのも隣なのでほぼ兄弟のような間柄だ。

「美紀、あなたもケーキ飾るの手伝ってね」

「はーい」

「瑞樹も一緒なの?」

「みずにーちゃんは、友だちんちに行っちゃった」

「もう、ほんと自由なんだから~~」

「いいよ、どうせ男子なんて役に立たないんだから。それよりあたしが手伝うよ。好美ちゃん、座ってなって。今、大事な時なんでしょ?」

「あー……わかっちゃったかしら?」

「うん、なんてったってもうすぐパンダイ恒例のチャリティパーティーだもんね。好美ちゃんも社長夫人として正式に社交界デビューなのねぇ!そりゃストレスもたまって、疲れも出るわよ。最近顔色悪いなーって心配してたの。でも、大丈夫! お義母さんみたいに最初から完璧にやろうなんて気負わなくていいから、好美ちゃんらしく仕切ればいいのよ。あたしにできることがあったらなんでもいってね!」

「え、あ、うん。そ、そうね。……色々お願いすることも多くなると思うけれど、よろしくお願いします」

ぺこりと頭を下げる好美に、「何よー水くさい! あたしにとってたった1人の妹だもの。なんでも云ってよね!」

と、ぱんばんと好美の背中を叩く。

ーー最近好美ちゃん、やけにぽっちゃりしてきたなーって……きっと社長夫人としてのストレスだよね。
パンダイのチャリティーパーティは取締役のご夫人たちで仕切って財界政界の方々を招く重要な行事だもんねーー

「とてもそんなこと主催できるような器じゃないんです。だから、正直いっぱいいっぱいで……。でも人の命を預かるお義姉さんの苦労と努力と比べたら足元にも及ばないですよね」そう苦笑する好美は、裕樹が社長に就任したばかりの頃はかなり気苦労が重なり切羽詰まった表情をしていた気がする。

「好美、悪いけど、専務の奥さんからチャリティパーティーのことで相談があるって電話が……」

「あ、はーい。お義姉さん、ごめんなさい」

「いいって。あ、なんかやっておくことあるかなー?」

好美は一瞬目を泳がせてから部屋をぐるりと見回してーー

「大丈夫です、お義姉さん、ぜひ、何もせずに座っててください」と、にっこり微笑んだ。

どちらかというと好美も琴子と似たタイプだった筈である。
ドジでそそっかしく、でも一生懸命。
しかしパンダイ社長夫人となってからは紀子のように陰で夫を支えなければならない。始めは色々空回りしていたようだが、今は社員やその家族に気を配れる優しい癒し系の社長夫人であると評価も高いようだ。

「社員全員の家族の未来を背負う方が大変だよ~~あたしなんて、目の前の患者さん一人に常に向き合うだけ! それだけだもん」

琴子の場合はオンオフが激しいのだ。
さすがに年数を重ねて指導する立場になった今、仕事中のミスは殆どないが、日常生活は何故かスリルとサスペンスに満ちている。

それが琴子なのだーー。

「雨、止まないわね~平成最後の日、いろんな災いを水に流してスッキリって感じかしらね」

好美と入れ替わりにキッチンにやってきたのは紀子だった。

「それで、やっぱり、おにいちゃん、パーティー来れないのかしら?」

「今日は金沢なんです。夜までには帰れるとはいってたけど。連休中だから、新幹線、指定取れなかったっていってたし」

「まったく。自分の采配で動ける立場なんだからもうちょっとプライベートにも融通効かせればいいのに 」

「肩書きがあれこれ付いてくると、余計な仕事がどんどん増えてくみたいで……」

「早く此所に病院作っちゃえばいいのにね。土地は余ってるんだもの」

ここ数年は会うたびに開業を薦めてくる義母に思わず苦笑いをしてしまう。

「ふふ、そして、あたしが横で入江くんのお手伝いをする……それはあたしが憧れ思い描いてたシチュではありますけどね」

「そうよ、そうよ。個人病院なら、琴子ちゃん、おにいちゃんのフォローし放題よ。高慢な教授秘書や女医たちにヤキモチ妬くこともなく、穏やかな日々が送れるのよ?」

お互い雇われている身なので、同じ職場に20年以上いても、琴子の部署は定期的に変わるためにナースとして直樹を直接サポートする機会は数えるほどしかない。
そして、不惑の歳を過ぎて尚、直樹のモテっぷりは未だに衰えることはない。

尤も今はナースとしての仕事に誇りを持っている琴子は、直樹のサポートをする、ということだけに拘りは持っていなかった。自分は自分の仕事にきちんと向き合って、患者さんをサポートする。
それがナースとしての役割であり本分であると理解しているから。

「でも、入江くん目当ての患者さんは永遠になくなりませんけどね~きっと、あたしは老人ホームに入ってもずーっとヤキモキしてますよ」

「そうかしらねぇ? でもきっとそれはおにいちゃんも一緒よ」

開業の話も考えていないわけではないようではあるが、20年も大学病院にいると色んなしがらみが絡み付いている。
権威ある賞を幾つか受賞したせいで各方面からのオファーも絶えない。
今担当している難治性の患児達を放り出すこともできない。それが独立開業に踏み出せない主な要因だろう。

「でも、おにいちゃんはともかく、みーちゃんまで帰ってこないなんてねぇ」

「……そーなんですよっ! おかあさん!」

GW帰ってくるって、云ってたのにー!
一緒に改元の瞬間お祝いできるって云ってたのにー!

「もう、あたし、ショックで~~」

「やっぱり医大生だと忙しいのよね」と同じように初孫の帰省を楽しみにしていた紀子も残念そうだ。

「どうもボランティアサークルみたいのに入ったとかいってて、GWは被災地訪問するらしいんです。今日は広島に行ってるようで。後半に帰省するとは言ってたけど……」

そんな風に真面目に大学生活を過ごしている娘に、子供のようにワガママを言うわけにはいかない。

「ほんと、羨ましいくらいしっかりしてますね、みーちゃん……」

電話を終えた好美が戻ってきて話に加わる。

「そりゃ、入江くんの血を引いてるもの!」

「でも、お義姉さんにも似てますよ。いい感じに二人のいいとこ取りで」

「そっかなー」

満更でもないように琴子が照れる。

「そうそう。お兄ちゃんに全部似てたら冷たいつまんない子になっちゃうもの。うちの孫たちはそれぞれ母親のいいとこもらってて、ほんと、よかったわー」

子育て失敗したなーって落ち込んだこともあったけど、うちの息子たちの女を見る目は確かだったわ。それだけは成功ね、とにんまり二人の嫁を見る。

「……GW中はみーちゃんと買い物いったりしたいなーって色々計画たててたのに……子供って、あっという間に大きくなっちゃうのよね……」

はぁぁ、とため息をつく琴子に「ですね~」「そうよね~」と、女たちは同意を示す。

「うちの手のかかった双子たちももう中学生だし」

「今のあたしの癒しは琴梨ちゃんよ。でもそれこそあっという間に幼稚園生。ついこの間生まれたばかりだったのに」

歳を取るごとに加速していく時間の流れの速さをしみじみとぼやく入江家女3人は、結局リビングでしばらく会話を楽しんだ。

「でも、なんか改元の瞬間ってちょっとドキドキしちゃいますね。あたし昭和から平成ってまだ小1だったからあんまり覚えてないんですよねー」

「そ、そうなんだー」

「あら、そうなのね~。ま、私は昨日のことのようだけどね! 昭和天皇の病状が思わしくなくて、自粛自粛でおもちゃ売るのもちょっと憚れた感じだったわね。確か前の年のクリスマスパーティーも自粛したんだったわ」紀子がどこか懐かしむように笑い、琴子も「そうなんですねー」と軽く相槌をうつ。
うちながらもーー
大人になって9歳差なんてたいした差ではないと思っていても、そんな話を聞くとやはり好美とはちょっとした年齢差を感じていた。

ーーだって! あたし、昭和から平成に変わった日のことしっかり覚えてるんだもの!!

はぁ。十代の半分以上は昭和って……結構オバサンだよね。……って、間違いなくオバサンか~~。





***

昭和最後の日。

あれはーー高校1年の冬だった。
あと2日で冬休みも終わりーーという1989年1月7日。
何故か妙にあの日のことを覚えている。その日の朝から熱を出して寝込んでいたから。
お陰で昭和天皇が崩御されたことも、翌日から平成に変わることも知らないまま、ベッドの中でうつらうつらしていた。

このまま熱下がらなきゃ、始業式、学校いかなくてすむかな~宿題まーったく終わってないもんな……

ううん、学校行かないと入江くんに会えない!
もう2週間近く顔みてないもん。入江くん不足だよー!
熱、下がれ。早く下がって~~

絶賛片思い中だったあの頃。
長い休みは嬉しいけれど入江くんに会えないのが辛かった。

熱にうなされてぼんやりしていた中で、なんだか入江くんの夢を見ていた気がする。

入江くんがあたしを心配そうに見ているの。
優しく額に手を当てて、「大丈夫か? 琴子……」って……いやーん、琴子って言ってくれたーーって1人で頬を真っ赤にして(熱のせいだけどね)にへらとしてたら、「こ、琴子! おまえ大丈夫か?」って……なんだ。お父さんか。
あれ?仕事は? 今日も店だよね?

「さすがにこんな時だから自粛ってことで急遽お休みすることにしたんだ」

その時初めて昭和がその日で終わりだと知った。
後で聞いたらじんこも好きなバンドのライブが延期になっちゃったってぼやいてたけど。
仕方ないよね。
もっともその時、世間はそんなことになってたんだ………となんだか別世界の出来事のように薄ぼんやりと思っただけで。

そしてその後もうつらうつらしながらも入江くんの夢を色々みた気がする。そんな中でいつの間にか平成の世になって。ああ、あたし、昭和から平成にかけて入江くんと一緒だったわー(夢だけど)と1人後から悦に入ってたのよねーー。

とりあえず翌朝には熱がさがり、1日しっかり休んだあと、始業式はしっかり学校に行ったような(あれ、宿題結局やってなかったっけ?)

遠くで入江くん見かけて、こっそり夢に出てくれてありがとう、なんて心のなかでお礼しちゃったりしてね。


もう30年も前の遠い記憶なのに。
熱を出したことと、入江くんの夢を見たことだけははっきりと覚えているのは、記憶力の悪いあたしにしては不思議な出来事だけれど。
でも、入江くんに繋がる記憶って結構ささいなことでも覚えてる。それくらい、入江くんはあたしにとって絶大な存在感なんだよね。


昭和から平成にかけて、あたしは幻の入江くんと一緒だったけど、その後の平成のほぼ30年、生身の入江くんと一緒だったのよ!

ほんと、あたしにとって平成って奇跡に満ち溢れた時代だったんだ。


熱に魘されてたあの時のあたしに教えてあげたいわ。あなたの片想いは実るのよ、琴子。そして、入江くんとまた次の時代も一緒に過ごすのよーー





***




「おにいちゃん遅いわねー」

宴もたけなわ、特番テレビをみながら平成のあれこれを懐かしんで皆で会話を楽しんだりしていたが、直樹はなかなか帰ってこない。

テーブルの上にはノートパソコンが置かれ、広島のホテルに滞在中の琴美とスカイプで繋がっていた。

『おとうさん、まだ帰ってこないの? 連絡もないの? 』

「そーなのよ、みーちゃん……」

と、琴子が少し残念そうに呟く。
まもなく0時になる。さすがに終電に近くなり、もしかして今夜はもう帰ってこないのだろうか、と思った時ーー

「あ、電気点いたーー」

裕樹の家のリビングから庭を挟んで見える琴子たちの家の、人感センサーの門灯が反応したのだ。ずっと自宅の方を気にしていた琴子は真っ先に気がついて、立ち上がる。

「入江くん、自宅の方に帰ってきたみたい! ちょっと家に戻りますね!」

「あらーもうすぐカウントダウンよー。おにいちゃんてばまっすぐこっちに来ればいいのに!」

「すぐに連れてきますねー」

そう嬉しそうに笑って部屋から出ていった琴子をパソコン画面の中の琴美が見つめつつ『多分戻らないわね……』とこっそりと呟いたことに、そこにいた誰も気がつかなかった。




「入江くん、おかえりなさい!」

琴子が自宅に戻り、灯りのついていたリビングを見回すと誰もいない。

えー? 帰ってない?

いや、玄関の灯も点いていたし玄関に靴はあった。

ああ、寝室で着替えてる?

琴子は急いで2階に駆け上がる。


けれど、寝室は真っ暗でーー
寝室の窓から、隣家の賑やかな声が微かに漏れ聞こえた。
どうやら寝室の窓が少し開いていたようだ。
そのせいか室内は少しひんやりしてーー
あら、やだ? 開けっ放し? 今日は雨が降ったり止んだりだったのにーー

幸い今は降っていないが。

「入江くん……いないの?」
不安そうな琴子の声。壁際の室内の灯りのスイッチを手探りで探して押そうとした瞬間ーー

「じゅー、きゅー、はち、なな……」

隣家からのカウントダウンの声が風に乗って漏れ聴こえてくる。

「あ、もうすぐ0時……」

そのときーー。

ぐいっと腕を引っ張られて、ベッドの上に押し倒された。
そして唐突に唇が塞がれる。
暗闇の中での突然の出来事ではあるが、唇が触れた瞬間に相手が誰かはわかった。
決して窓を開けて侵入してきた見知らぬ闖入者ではない。
すでに何千回も何万回もkissを交わしてきた相手ーー。
その激しくも優しい感触も、鼻孔をくすぐる薫りも、馴染みすぎるくらい馴染んでいてーー

「さん、にー、いち、ぜろーー!! 令和元年、おめでとう!!」

クラッカーの爆でる乾いた音が耳に届く。

「へっへー令和になった瞬間、地上にいなかったぜー」

どうやら0時になったようだ。
その瞬間ジャンプしていたらしい男子たちが騒いでいる。

外から微かに聴こえてきた声に、そんなことをぼんやり思ったけれど、唇は食らいつくように蹂躙され、そして荒々しく舌が侵入してきた。

ひとしきり熱いキスを交わしたあと、唾液の糸を引きながら漸く唇が離れる。

「………もう、入江くんってば。なんで部屋、真っ暗なままなのよ~~」

「その方がムードあるだろ? 元号跨いでキスしたかったんじゃないのか?」

「そりゃあ、それは嬉しかったけど……」

毎年、ひそかに(琴美にはバレバレだけど)年跨ぎのキスをするのが実は恒例行事な熟年バカップルである。(もちろん仕事がないときに限るが、仕事があっても病院でするのは内緒な話)
隣家でカウントダウンパーティーの話が出た時点で二人でまったりカウントダウンキスは諦めていた。そんな年でもないしね、と自分に言い聞かせて。

「できればミレニアムの時みたいに、もっと深く繋がっていたかったが、さすがに時間的に無理かな、と」

にやりと笑う直樹に、そういえば2000年のミレニアムイヤーも、2001年の21世紀に代わる瞬間も、しっかり直樹と繋がっていたことを思いだし、顔が真っ赤になる。

少なくともーーその記念すべき瞬間に琴子と共にいたいという拘りは直樹の方が遥かに強いのだった。

「というわけで、令和の時代もよろしくな、奥さん」

「こちらこそ、旦那さま」

そして、令和元年二度目のキスも、やっぱり長く、深く、熱ーーいキスなのだ。






***



「あら、結局琴子ちゃんたち戻ってこなかったわねー」

『まあ、あの二人のことはほっといてあげてください』

PCの中の琴美の言葉に、紀子も「そうねー」と、にやっと笑い、「ぴよちゃん、ハルくん、今夜はこのままこっちに泊まりなさいね」といそいそと片付けを始める。

「どうしましょう。お義兄さんが帰ってきたら、発表したかったんだけど」

好美が少し困ったように裕樹の方を見る。

「あら、どうしたの? 好美ちゃん」

「実はーーお話が……あたしたちにまた赤ちゃんがーー令和生まれの赤ちゃんがやってくるんです」

「「「ええーーっっ」」」

「しかも、また双子みたいで。今度は男と女のようなんです。なので名前はベタですけど、『令美(れみ)』と『和樹』にしようかとパパと相談して決めちゃって」

「「「ええーーっっ」」」





***





「な、なんか隣、賑やかだね……」

「ほっとけよ」

室内の電気は点ることなく、しかし熱気だけは充満していた。
とても四十半ばとは思えない艶やかな白い肢体が、同じくメタボとは無縁な引き締まった筋肉質な身体の下で組み敷かれていた。
あっという間にシーツの海に投げ出され、令和初めての忘我の海に溺れていた二人はようやく少しひと心地着いて、余韻に浸っていたところである。


「ね、入江くんって、昭和から平成の瞬間って何してた?」

「寝てたな」

「へ?」

「だって、高校時代、本読んでから10時には寝る生活してたからな」

「そういえば、そうだったわね~~」

試験期間すら全然勉強しないんだーって驚いたんだった。

「多分、あのときは突然の改元だったけど、別にいつもと変わらない生活だった筈だ」

たとえ日本の象徴が隠れ、元号が変わったとしても、直樹の日常に何の変化もなかった。何故ならその頃はまだ琴子が自分の人生に関わっていなかったから。


「ふふ、入江くんらしい。その頃から入江くんと付き合ってたら、昭和から平成にかけてもkissできたかも……残念」

汗ばんだ身体を直樹の胸に預けながら、琴子がふふっと笑う。

三時代を跨ぐkiss! なーんてね。

「……でも、夢では入江くんと一緒だったんだよ? あたし、昭和最後の日、熱だして寝込んでてーーそして夢の中で入江くんが心配そうにあたしのこと見ててくれてて。ちょっと幸せな夢だったなってー30年も前のことなのにしっかり覚えてるもん」

「おれはその時、おまえの存在なんて欠片も知らなかったよ」

「だよねー。でもいいんだ。昭和最後の一年であたしは入江くんのこと知って恋をして、平成ではずっと一緒に過ごして。そして令和で共に老いていく。どの時代もあたしの人生は入江くんでいっぱい。ひとつひとつの出来事がすべて入江くんとの思い出にリンクしてるの。ね?こんな幸せな人生ってないわ!」


そういって笑う琴子がたまらなく愛しくて、直樹はその唇にもう一度キス。
すでに令和になってからも数えきれないくらいのkissを交わす二人であったーー。









※※※※※※※※


はい、令和になってもらぶらぶなお二人で(^^)d

そして、まさかの好美ちゃんちに令和ベビーズ笑




これ書いてる時点ではカウントダウンの夜は雨予報ですが、お話の都合上、雨は止ませております。あしからずf(^_^;





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Re.マロン様 

令和初コメありがとうございました♪

隣同士で仲良く暮らしてる入江ファミリー、小姑だの姑だののいさかいは一切ないでしょうねー。
実は琴子ちゃんがすぐに妊娠気づく感じで話書いてたんですが、結局、気づかないバージョンで書き直しました。そこはそれ、いっくら経験積んでも気づかないのが琴子かなーと笑
でもラストで、直樹さん「気がついてなかったのか!?」と突っ込みいれるつもりだったのに、二人がまったりしすぎて忘れました( °∇^)]
そして、うちの二人はいつの時代も年跨ぎでいちゃこらしてるのですよ……
まあ、琴子ちゃんも今年47ですが、直樹さんがついてる以上産めないことはないかなー。と思いつつ、ちょっと琴子がしんどいかなぁとうちは踏みとどまりました笑

ふふ、マロンさんちも改元の瞬間、ジャーンプ! 入江家に負けず劣らず楽しそうで羨ましい!


  • ののの 
  • URL 
  • 2019年05月05日 20時43分 
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Re.ひまわり様 

コメントありがとうございました♪
素敵なお話といっていただけてとっても嬉しいです。令和もよろしくお願いいたします!

ふふ、うちは手巻き寿司パーティーしてました。でもカウントダウンの時間はZEROみながらまったりと^_^;

そうなんですよ。直樹さん、時間ギリギリに、しかも裕樹くんの家じゃなく自宅に戻るあたり、絶対確信犯ですね〜琴子が飛んで来るとちゃんと計算してますよ笑

うちは何故か裕樹くんちが子沢山に……好美ちゃんは双子家系かも?

その後の二人の反応も書くつもりだったのに忘れてたと云う……
また何かの機会に書くチャンスがあれば(^^)d
  • ののの 
  • URL 
  • 2019年05月06日 21時58分 
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