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桜あんそろじぃ(第一夜)


完全に月イチ更新になりつつあります……
毎回広告出さないようギリな感じですみません。

しかも、今年は寒の戻りのお陰で桜ネタ、ギリギリセーフな感じですが、例年ならとっくに終わってますね。
桜に雪もロマンティックではあるけれど、この季節にこの気温は勘弁って感じでしたよね……

今回は本当は短編を幾つか組み合わせて一本で桜テーマの話をオムニバス的にアップする予定だったのに、結局短編長くなるし、終わらないしで、仕方なく分けて小出しにします。(なので短いです)
できれば早いうちに第二夜も出したいのですが……尻切れトンボになったらゴメン……
(一応短いのを何本か書き留めてるのですが……)




※※※※※※※※※※※※※※※※※



20190402~ひらひらと。



満開の桜並木が校門までの路を寿ぐように咲き誇っていた。

今年は随分と早足だった桜前線は、ここにきて花冷えの日も多く、少し足踏み状態。お陰で今日の入学式にも季節の風物詩らしい桜吹雪によって迎えられた。
散ってしまうんじゃないかと心配だったけれど、まだまだ上の方は蕾の枝もあるくらい。


そしてーーひらひらと揺れるように目の前に落ちてきた一枚の薄桃色の花びらをーーあたしは思わず、がしっと飛び付くように左手で掴みとっていた。

おお! 一発で取れた。

一人でにやっとしていると、周りの学生たちが怪訝そうな顔であたしを横目でちらりと見て通りすぎていく。

ふん。
いいんだ。
あたしは掌のなかの花びらを見つめてから、鞄の中からスケジュール帳を取り出して、4月のページにその花びらを挟んだ。
友だちの殆どは、スケジュール管理はスマホでしているようだけど、あたしはやっぱり紙の手帳が手放せない。
妙なところ、アナログなんだよね。
大学生ともなるとパソコンも必需品で、履修登録やらも全部スマホやパソコンでするらしいんだけど。
ま、それはそれで無論活用してるけどね。おかあさんと違って全く使いこなせない訳じゃないもの。

ちなみに新しいパソコンはおとうさんからの入学祝い。
スーツや鞄一式はおじいちゃんとおばあちゃんから。
おかあさんからはーー何故か、家族写真をプリントしたTシャツだった。
これをパジャマにしてね! いつでもみんな一緒よーーって。
ええ、絶対家でしか着られないよね。
ま、おかあさんらしくて笑っちゃったけど。
そして、もうひとつーー


さあ、神戸ではじめての桜のひとひらをつかみとったし、気合いを入れて入学式に臨みましょうか。

あたしはどきどきしながらこれから6年通うだろう学舎の門をくぐる。


ーーその年の最初の桜のひとひらを左手で掴みとると、願いが叶うのよ。

そう教えてくれたのはおかあさん。


子供の頃、お花見の度におかあさんと花びらを掴まえようと競争したっけ。
意外とひらひらと舞い落ちる花びらを素手で掴みとるのは難しいんだよね。

でも、手にいれた花びらはこうやって本に挟んで持ち帰って、お守り袋にいれたりラミネートして栞にしたり。


そうそう、もうひとつのおかあさんからのプレゼントは、手作りのお守り袋。中には去年掴みとった桜の花びらが入ってるらしい。これはセンター受験前に貰ったんだけどーーお父さんから、何故か持ち歩くな、と固く厳命され、お守りなのにずっと勉強机の前に飾ってあったんだよね。

今は鞄の奥底に入ってるけど。(入学式に遅刻したくなければ鞄にくくりつけるな、とやはりおとうさんから強く念押し……)

いや、そんなに警戒しなくても、とは思うんだけど。
なんでもおかあさんは心からあたしの旅立ちを喜んでるけれど、離れて寂しいという負の感情がお守りに込められちゃってる可能性が高いんだって。そして、そのパワーは実に強大らしい。……真面目におとうさんがそんなこというんだもん、思わず吹き出しちゃったけどね。


とりあえずこのお守り袋はあたしの邪魔をすることなく、(トラブル続きだった推薦入試と思うとあっけないくらい何事もなく)センター試験を無事終え、そして第一志望のここ神戸医大に合格することができた。

まーー色々なんだかんだあって神戸行きを止めようと思ったこともあったけど、あたしは結局、初志貫徹でここに来ることを選んだ。

期待と緊張とーーいくばくかの不安と心細さ。いろんな想いが渦巻いているけれど、あたしは手帳に挟んだ桜の花びらを見つめてからもう一度気合いを入れるために深呼吸する。


さあ、いざ……!

ーーと思ったら。

「みーちゃん、まってよ! 置いてかないでよ!」


………いや、別に置いてったわけでは……

「だって、おかあさん、着物着てて歩きづらそうだったし。おかあさんに合わせてたらあたし、遅刻しちゃうし」

「ほんとは大学の入学式に親子連れなんて恥ずかしい、とか思ってたんでしょ?」
恨みがましそうな上目遣いであたしを見つめる。

「思ってないってば」

実際、あっちを見てもこっちを見ても親子連ればっかだよ。私服でグループ組んでいるのは明らかにサークル勧誘の先輩方。
あたしはどっちでもよかったんだけど、今や大学の入学式に親も出席するのは当たり前のことらしい。母親どころか、夫婦でとか、兄弟も一緒な人も案外いる。
小中高と、入学卒業式の類いは父母のみ、と指定されちゃってるけど大学はそういうのがないのよねー。だって結局、保護者は講堂には入れなくて、別室で入学式の様子をライヴ映像でみるだけだから。

というわけで、もちろんーー。

「みーちゃん! こっちよ、こっち。ここの門の前でまず一枚ね!」やっぱり着物姿のおばあちゃんが手を振ってる。
さすがに和装率は少ないからおばあちゃんもおかあさんも目立つといえば目立つ。

実を言うと、「神戸医科大学入学式会場」と書かれた看板のある講堂の入口横に、ずらりと行列ができていたのよね。何の行列かと思ったら、親子で写真撮る為の行列だったのよ!
横には見事な桜の大樹があって、確かにインスタ映えはしそうよね。


で、先に来てたおじいちゃんとおばあちゃんがこの行列に並んで、順番待ちしてくれてたってわけ。
そして、そこには弟のハルも、末っ子のぴよちゃんもいる。

ほんっと、家族連れっていっても一族郎党ぞろぞろ付いてきてるのはうちだけだろうなぁ。いや、普通東京から神戸くんだりまで家族揃って来ないでしょ?

「もう、入江くんは、さっさとどっか行っちゃうし」

おとうさんは知り合いの教授に用事があるとかで、あたしたちより早く出たのだ。

ほんとは最初は誰も付いてくる予定はなかったんだよね。あたしは当たり前のように、一人で神戸にきて、一人で入学式に出席するつもりだった。
なんで一族郎党引き連れてーーになっちゃったのかと言えば、すべてはおとうさんの鶴の一声から始まったわけだけど。

いやー驚いたわ。
お父さんが入学式に来るとか言い出した時は。だって、中学も高校も仕事優先で来たことなんてなかったのに。
「うそっ!」ーーって叫んじゃった。

ふふ、ほんとはおとうさんも寂しいのよ。
みーちゃんがいなくなっちゃうの。

そういってあたしの耳元でこそっと囁いたおかあさん。

そういうおかあさんは一足先に神戸に旅立ったあたしを見送るとき、すぐに入学式で会えるというのに、永遠の別れのように号泣してたもんなー。




ぱしゃり。


満開の桜の下、家族全員で写真を撮った。(合流したおとうさんも無理矢理引っ張って並ばせた)


おそらくーーこれがあたしにとっての最後の入学式の写真。
平成最後のーーというより、人生最後の。次ははるか先の自分の子供の入学式……ならあるのかな。その時はもう時代は『令和』なんだよね。

そんなことをあたしが考えていたのを読み取ったかのように、おかあさんが感慨深げに呟いた。

「次にみーちゃんと会うとき……もう時代は『令和』に変わっちゃってるのよね」

「……多分ゴールデンウィークには帰省するから。4月中にもう一度会えるよ」

まだ平成のうちにね。

「え?そーなの? じゃあ、『令和』に替わる瞬間、みーちゃん、一緒におうちにいるのねー!」

そこに何故拘るのかよくわからないけれど。
おかあさんにとっては『その瞬間』ってのは重要ポイントらしい。

うん、でも、きっとその瞬間はお父さんといる方が嬉しいんじゃない?

あたしが主役のハズなのに、この写真、どうみてもべったりとひっついてるおとうさんとおかあさんの方が目立ってるし。(ああ、おとうさん、しっかりおかあさんの肩を抱いてるよ)



そして、入学式は無事に終了。

「みーちゃんの顔、ライヴ映像のスクリーンにばっちり写ってたわよー」

「その場で同じ空気を感じられないのは難点だけど、しっかり学生一人一人の顔が見られるのはいいわよね」

そうなんだ。

「あたしも昔、おにいちゃんと琴子ちゃんの大学入学式、行けばよかったわー」

そんな30年近く前の話を今頃後悔してもねぇ、おばあちゃん。

「あの当時、大学の入学式に出る保護者なんていなかったろ?」

今でも、え? 大学生にもなって親が? と眉を潜める人はいると思う。そして、明らかにおとうさんはそういうタイプだと思ってたのにな。

何となく、あたしのため、というよりはおかあさんのためのような気もするんだけどね。


「みーちゃん、身体にはくれぐれも気を付けてね~~ちゃんとご飯食べるのよ!」

そして、入学式のあと、東京に帰っていく両親を見送るあたし。
つい先日見送られて旅立ったばかりなのに、変な感じよ。
そして、やっぱりおかあさん、号泣してるし。
(ちなみに、おじいちゃんとおばあちゃんはハルとぴよちゃん連れてUSJに行っちゃいましたーーもしかして入学式の方がついでだった?)

「もう、こんなとこで大泣きしないでよー恥ずかしいんだから~~」

といいつつ、ついあたしも貰い泣き。確かにこれでほんとにしばらくおかあさんのドタバタが見られないんだよね、カッコいいお父さんの姿も見られないんだよね、と思ったら唐突に寂しくなって。
ーー大好きなあたしの両親。
離ればなれに暮らしても、あたしの帰る家はひとつしかないってわかってるよ。
それでもーー新幹線のホームでやっぱり永遠の別れのように抱き合って名残惜しんでしまった。

がんばれ!みーちゃん!

おかあさんの声がドアがしまってからも耳に届いた気がした。

うん、頑張るよ。

おかあさんもあたしがいなくても頑張ってね!

ま、おかあさんにはお父さんがいるから大丈夫か。




掴みとった桜の花びらは。
おかあさんがくれたお守り袋に入れた。

だから、きっと願いは叶うはず。

あたし、絶対いいお医者さんになるよ。おとうさんみたいにね!


桜はまだまだ鮮やかに咲き誇るーー。






※※※※※※※※※※※


どうやら、みーちゃん、結局神戸医大、合格したようです^_^;

なんやかんやあったらしいけどね笑


ちなみに。大学の入学式の日の写真待ち行列は実体験でf(^_^;

写真嫌いの娘は(インスタもツイッターもやってないのですよ、今どき)別に並んでまで撮らなくていいし、とあっさりスルーでした。せめてスーツ姿を撮ってやろうと何枚か無理矢理撮りましたけどね。誰も並んでないキャンパス内で笑












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§ 無事合格おめでとう

みーちゃん、無事合格おめでとうございます。
一族でぞろぞろと入学式参加なんて、入江家らしいですよねー。
みーちゃんの大学生活の様子も楽しみにしてますね♪

うちの長女の大学の入学式は、よりによって三女の高校の入学式と同じ日で参加できず。
次女の専門の入学式はバッチリ参加してきたけど、写真行列は行きも帰りも長蛇の列。撮らなくてもいいよ…という次女の一言で、結局そのまま帰宅しました。(朝自宅前で撮っただけ)

§ Re.マロン様

コメントありがとうございました♪

そうなんです。センター試験あたりの話も書こうかなーと思いつつ、その後放置な琴美の進路でしたが(恋の話もどうなったんだ?って感じですが)とりあえず、神戸に決めたようでした。決まれば受かるのはもう必定ですね(^^)d
Tシャツ受けていただいてありがとうございました。何故か大仏Tシャツしか思い付かなくて〜笑(流石にそれはないなと捻り出した)

娘の入学式に参加して思い付いたネタですが
ほんと自分の頃とは大違いだな〜と実感しました(^^)
結局、二夜目も遅くなってしまいました。続きも頑張らねばっ


§ Re.るなたま様

コメントありがとうございます♪

琴美の進学先、気にしてくださったのですね。とりあえず、お知らせ出来てよかったです笑 でも実は斗南か神戸か迷ってましたが、(ワタシが笑)結局神戸に落ち着きました。おお、ナンジャモンジャも覚えててくれて嬉しい!
第二夜も遅くなりましたがアップしましたので読んでくださると嬉しいです。
娘へのお祝いのお言葉、お気遣い、色々ありがとうございました(^^)

§ Re.りん様

コメントありがとうございました♪

そうなんです。琴美、神戸医大に合格しました(^^)d
そーかー。そういえば、娘が高校入学の時にも琴美ちゃん入学の話書いてましたね!(すっかり忘れてました笑)いやーこの時、入江くんは入学式に参列してないけど顔は出してたなf(^_^;
ほんと、三年なんてあっという間ですね!
この現在進行形の未来シリーズ楽しみにしてくださってて嬉しいです。神戸にはかおる子さんもいるしね〜(琴美の恋愛をどうもってくか実はまだ悩んでる)
はーい、第二夜アップしました。続きも頑張ります(^^)

§ Re.麻紀様

コメントありがとうございました♪

みーちゃん、無事合格したようです。なんだかんだ入江くんの血が入ってますからね。

そうそう。入学式、弟妹連れてた保護者もいましたが、一族郎党はきっと入江家だけでしょう!
入学式被ると残念ですよね〜(-_-)
ふふ、写真スポットの行列、観光地か! と心のなかで突っ込みました笑 うちの娘もあっさりスルーですよ。一応キャンパスで写真とりましたが。コート着たまんまでスーツ姿見えないし……f(^_^;

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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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