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個別記事の管理2019-03-15 (Fri)


1日遅れてしまいましたorz


またまたご無沙汰しております。
ストップしたままの連載に手をつけようとして、結局一行も書けずに悶々として、やばい、広告でるぞーと慌ててホワイトデー三日前に書き出したものの、やっぱり間に合わないわ、脈絡ないわ~~
あかん、スランプやー(T0T)


くだらないですが、四年前のちょこれーと★バスタイムの一ヶ月後のお話です……f(^_^;


短いです。そして、やはりヤマナシオチナシなのです……


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





「きいてよ、入江くん! もー、ほんと、あったまきちゃうの!」


大学から帰って来た琴子がぷんぷんと可愛らしく頬を膨らませて、大きな音を立ててベッドの上にどかっと腰を落とす。
その日は珍しく午後から休講となり、おれの方が早めに帰っていて、ベッド脇の勉強机で論文を読んでいたところだった。琴子が戻ってくるのを密かに待ちながらーー


「何を怒ってるんだ? そんなにいっぱいホワイトデーのお返しもらって」

ホワイトデーということで何か甘えたりおねだりしてくることを予想していたおれとしては、ご機嫌斜めな妻の様子は、かなり想定外だ。
部屋に入るなり両手を塞いでいた紙袋は無造作にベッドの脇に置かれていた。そのなかには色とりどりの包装に包まれた箱が沢山詰め込まれている。
バレンタインに大学で義理チョコ友チョコを配りまくっていたからその返礼だろう。みんな、ご苦労なこった。チョコを押し付けられた挙げ句、倍返しで返さなきゃならない。この腑に落ちないイベントに何故巷の人間はこうも踊らされているのか、理解に苦しむ。

だが、お菓子の存在を思い出したらしい琴子の顔が一瞬にしてふわりとほころんで、「そうそう、こんなにもらっちゃったのぉー! 当分甘いものに不自由しないわー!」と、かさかさと紙袋の中をあさりだす。

「……駅ビルの雑貨屋さんのバレンタインコーナーの、いかにも義理です、なチョコを配りまくっただけなのに、しっかりブランドのお菓子が返ってきて申し訳ない気もするけどねっ」

どうやらブラント菓子は教授連からのお返しらしい。おまえ、そんなとこでゴマすっても単位はもらえないぞ……

「さすが教授ともなると奥さまのセンスが光るわね」と一つ一つ値踏みしている。
「いつか入江くんがチョコを受け取って帰ったら、あたしがホワイトデーのお返しをチョイスしてあげるからね」

「いいのか、チョコもらってきて」にやりと笑って琴子の顔を覗きこむと、「い、いいわよ、別に。義理チョコの一つくらい……お医者さんになったら患者さんから受けとることもあるだろうし……夫が義理でもらったチョコをきちんとお返しするのも妻の仕事のひとつなのよ!」と妙に気合いを入れて答える。
(ちなみに親父が会社でもらったチョコの返礼は、手作りは逆に気を遣わせると、毎年おふくろが吟味した老舗菓子店の焼き菓子を手配しているらしい。社長夫人も大変だ)
おふくろのように『出来た妻』への憧れが見え見えだな。むろん、おれが絶対受け取らないと思ってるからこそ強気に言えるのだろう。
琴子はいつの間にか箱のひとつを取り出して開封し、フィナンシェを一つ摘まんでいた。

「……うーん、お義母さんの作った方が美味しい気がする~」

おふくろが聞いたら泣いて喜ぶだろう。
ちなみに琴子がバレンタインの時に頑張って作った炭に近いガトーショコラは、全て廃棄され、おふくろと共同制作したプロはだしのケーキを「これ、琴子ちゃんとあたしからね!」と食後のデザートとして出されていた。

むろん、琴子はおれのためには100%自分作ったものを連日試作作りに邁進し(部屋中にチョコレート臭漂う日々に我ながらよく耐えたものだ)、結局挫折し、最終的にはチョコレート風呂という謎なプレゼントになってしまったのはまた別の話。
チョコレートでコーティングされた琴子を美味しくいただきそれなりに満足だったが、多分もう一生チョコレートを食べなくてもいいと決意した日でもある。
だいたいかかった金額も半端なかっただろうが、その後浴槽の調子もたいそう悪くなったのだ。
琴子の悪友の戯言に乗ったおふくろもおふくろだ。

なのにーーまた、懲りもせず!!



「あなた、琴子ちゃんにちゃんとホワイトデーのお返し、考えているの?」

それは、前夜の会話。
ここ数日、しつこいくらいホワイトデーのプランを確認されていた。

「そんな全国飴菓子業協同組合の陰謀に乗るつもりはない!」

そして、おれは毎度そう答えていたのだがーー。

それまでバレンタインのチョコなんて差し出されても全て受け取り拒否してきたので、ホワイトデーのお返しなんて考えたこともない。
琴子だって、おれが甘いものを好まないと知っている筈なのに、押し付けてくるのだ。返礼する必要があるのか? と、おふくろに反論したら、「そういう問題じゃないのよ! ほんと、あなたって子は…なんでこんなに感情の希薄な息子に育ってしまったのかしら。頂いたらお礼をする、これ、日本人の美学よ! 」
だから、ホワイトデーなんてくだらない風習が日本で生まれてしまった訳だ。
(ちなみに琴子とおふくろの共同名義のガトーショコラを食った親父と裕樹は、やはり共同名義で琴子とおふくろに花を買って帰る算段をしていた……)

「琴子ちゃんはあなたから何か返ってくるなんて、全く思ってないわよ。ほんとに見返りを求めない健気な嫁だわ……あんたなんかには勿体なかったわね」


そう、琴子は見返りなんて求めない。それだけは誇らしく思っていい。

しっかし、チョコレート風呂のお返しなんてどうすりゃいいんだ。

嫌な予感がしたが、案の定、今日、帰宅したら大量の生クリームと牛乳が冷蔵庫の中にあった。

ホワイトデーのお返しはホワイトで……って!
あまりにも安直すぎるだろーが!

母からのメモをぎゅっと握りつぶしながら、心の中で盛大に突っ込む。

『生クリームを泡立てるもよし、普通に牛乳風呂でもいいんじゃないかしら~。クレオパトラも愛好してたっていうから美容効果ばっちり。ホワイトデーのお返しにはぴったりよ。じゃあ、今夜は裕樹を連れて出掛けるので、二人でまったりとね~♪ あ、お風呂壊してもまた直せばいいから気にしないでね』

何がぴったりだ。
ホワイトデーのお返しが牛乳風呂? 意味わかんないだろ!

いやーー待てよ。生クリームでコーティングされた琴子も確かに美味しそうだ。だが、浴槽一杯の生クリームをホイップするのはどだい無理だ。とゆーか、また浴槽が壊れる。間違いない。
先月、チョコレート風呂のせいで風呂釜を買い換えることになったのに(ちゃっかりグレードアップし、ジャグジー付きになってたが)、今度は生クリームときたら、施工業者からいったいあの家は風呂で何やってるんだ、と妙な噂がたつに違いない。(ジャグジーで生クリームが泡立つかもしれないが……いや、やめとけ、おれ)

「あら、牛乳風呂なら多分、壊れないわよ。浴槽に1リットルくらいの牛乳いれるだけなら、あとでしっかり洗えば浴槽にたいしてダメージはないらしいの。入浴剤みたいなものよ」

出掛けると書いてあったのに、突然後ろから声をかけられ、思わずどきっとした。

「おふくろ! まだいたのかよ」

振り向くと、外出用のスーツに身をつつんだおふくろが立っていた。

「これから出かけるところよ。あなたこそ、随分早いじゃない。これは~素敵なホワイトデーナイト~♪ さあ、この朝霧高原のお取り寄せ牛乳使ってもいいわよー」

「食べ物粗末にするな! それこそ乳白色の入浴剤でも入れればいい話だろ?」と睨み付けたのだが。

だが、色々調べてみると、牛乳風呂はそれなりの効能はあるらしい。

たとえばアルブチンは、肌の乾燥を予防するし、カゼインは肌の老廃物や毛穴汚れの除去し、肌を柔らかくする効能ぎある。糖たんぱく質はコラーゲン生成を促進、シワやシミの症状緩和するし、ビタミンAは活性酸素を抑制する。そしてビタミンB2は細胞を再生し、脂質の代謝を促進する。

あながち美肌効果がある、というのも間違いではないのだろう。(おそらく効果には個人差があるものと思われる……)

ーーだが。
よくよく考えればそうした効果の見込める入浴剤を入れればいいことだろう?
洗面所の棚にはおふくろが購入した、保湿効果の高いというエステサロンオススメの高級入浴剤がずらりとストックされているのだ。

「そこは、それ、チョコレートのお返しはミルクでしょう! 既成の入浴剤なんかじゃつまんないわ」

と、意味不明な持論を展開する母に、思わず頭を抱えたくなった。

「そして、誕生日は薔薇の花びら風呂、結婚記念日にはワイン風呂なんてどう? あ、日本酒風呂もいいらしいわよ」

「なんだ、その変わり風呂シリーズは!
箱根小◯園、ユ◯ッサンにでも連れてった方がいいだろう!」

なぜこの人はやたら風呂に入れたがるのか……
そんなに我が家の風呂を何度もリフォームしたいのか。


「あら、それはいいわね! ホワイトデーのお返しに、温泉なんて、素敵よ~~お兄ちゃん!」

ーーヤラレタ……

「さあ、そうと決まったら予約しなくっちゃ!」

うきうきと受話器を取ろうとする母に、「おふくろが予約して、段取り取ったらおれの琴子へのお返しにはならないだろうが!」とストップをかける。

「あら、それもそうね。じゃ、お兄ちゃん、はい」

受話器をおれに渡そうとするおふくろに、「まあ、ちょっと待てよ。おれも春休みは休学してた分の補講やレポートが詰まってて忙しいし、琴子だって色々都合があるだろ?」と諭す。

「それもそうね……でも、なんのかんのいってずるずると引き伸ばすつもりじゃないでしょうね?」
ぎろりと睨むと、「いつか連れてくよ」軽くあしらう。
まあ、そのいつかは医師を引退した頃かもしれないが、と内心毒づいて。

「じゃあ、さしあたり今日は、やっぱりおうちでミルク風呂ね~~」

背中に投げ掛けられた紀子の言葉に、結局そこに戻るかー! とずるりと転けそうになったが、平静を保ちながら2階に戻り、そして今に至るのだ。

「えー?なんで出掛けるのー?」という裕樹の声が聞こえたから、本当に裕樹を連れて出ていったのだろう。
何にせよ、別にホワイトデーだから、という訳でもなく、琴子とまったり過ごせるのは久しぶりだ。
母親の策略に乗じるのは相変わらず引っ掛かるものはあるが、今はもう夫婦だし、変な我慢や遠慮をする必要はないのだからーーおふくろの推奨する牛乳風呂に入るかどうかはともかく。


そして。
ーー話は冒頭に戻る。


「ーーで、何があったまきちゃうって?」

「ねぇ、入江くん、あと一週間後、何の日か知ってる?」

一週間後ー3月21日。……ホワイトデーすっとばして、なんで一週間後だよ!

「春分の日だろ?」

「そうだけど、違うよ」

琴子はちっちっちっと人差し指を振りながら「結婚4ヶ月記念日だよ」とあっさり答えをバラした。

「そんなのにいちいち記念日つけるのかよ……」

思わず呆れたように嘆息してしまう。

「別に一ヶ月でも三ヶ月でも特に記念日とか意識してなかっただろうが」

「うん。まあ、そうなんだけどさーー。実はみんなが気にしてくれてて」

「みんな? みんなって」

「大学のみんなよ! もう、聞いてよ! みんな、賭けてたのよ! あたしたちがいつ離婚するか!」

「はぁー?」

「どうりで、毎月毎月、みんなから夫婦仲はどう? 喧嘩してない? 愛想尽かされてない? と、やったら心配されてたわけだわ……」

つまりはこうだ。

おれと琴子の結婚が発表された時点で、二人がいつまで持つのか、という話題が学内で尽きず、賭けの対象になったのだという。

「一番人気が2ヶ月以内、2番が三ヶ月以内。三番目が4ヶ月以内ですって」

4番目人気の1ヶ月以内に賭けた者たちは、新婚早々の二人の険悪ムードに密かに祝杯を挙げてたというから失礼な話だ。

「とにかく、6割近くが『半年以内に離婚』に賭けてたのよ~あったまきちゃう!」

4割は半年以上持つと思ってくれたのか。
いや多分琴子のバイタリティーですっぽんのように食らいつき死ぬまで離れないと予見したのだろう。

「 とにかく 、1年は離婚しないに賭けたの一人だけらしくて」

それも、一年以上だと賭けの結果が分かるのが遠くなるので一年を区切りにしたらしいのだが、たった一人とは。

「……ってことはよ? 理美とじんこのどっちかは一年以内? と思って問い詰めたの」

いや、そんな賭けに乗ること自体友だちとしてどうかと思うが。

「そしたら、二人とも、半年以内にしたっていうのよー!」

えー、だって流石に半年もたてば勢いだけで結婚したこと後悔するかな?って……ほら、結婚式だって、入江くん、ずっと不機嫌だったじゃない。あんなんで大丈夫?って親友だからこそ、心配したわけよ。
ほら、賭けたの、あんたたちがハネムーンに行ってる間だったし。
いやーハネムーン帰ったあとのあんたたちの冷戦状態見たら、やだ、一ヶ月にしときゃよかった!って後悔しかかったわよ。
あーーでも、今ならもう少し持つかな~って『一年以上』に賭けたかもしれないわね。
ま、お遊びだからあまり深く考えないでよね~


「ーーなんて、言うのよ! ほんと、失礼しちゃう!」
ーーと、ぷりぷりと怒っているわけだ。
どうやらその二人が口を滑らして賭けのことが露見したらしい。

面白半分の賭けの対象になったことより、皆が二人の結婚が継続されないと予想していることが腹立たしいらしく、さっきからブツブツと愚痴が絶えない。

「たいした親友だな……」

「でも、逆に……一年じゃ別れないって賭けてくれたひとって誰だろう」

「さあね」

ふと思いだしたのは、バレンタインの日にわざわざ「妻帯者にはあげない主義だから」と宣言しに来た松本裕子の顔だった。
その前年までだって差し出された高級そうなチョコレートを受け取ったことは一度もなかったのだが。
「来年にはまた、あげるかもしれないけれど」
と、意味深にくすりと笑っていた松本。

「ーーでも、あの子がやっと手に入れたあなたを簡単に手放す筈ないか」

少し寂し気に呟いていたので、すかさず「それは逆だ」と訂正すると、苦笑いをして軽く肩を竦めて踵を返したのだった。

松本がそんな下らない賭けに乗るとは思えないが、なんとなく彼女のような気がしていた。


しばらくぷりぷりと怒りをぶちまけていた琴子だったけれど、お返しのクッキーやらマカロンやらを摘まんでいるうちに、いつの間にかそんなことはどうでもよくなったようだった。
「これ、美味しい~、あ、これ可愛い!」幸せそうに口いっぱいにお菓子を頬張って話している。


「おれは何も用意してないからな」

「うん、知ってる。でも気にしないで。期待してないもん」

本当に全く気にしてないかのようにあっさりと返す。

そういわれると、なんだか癪に触る。我ながら天邪鬼だな、と思うが。

「チョコレート風呂のお返しはやっぱり牛乳風呂かな……」

「へっっ?」

母親のお膳立てに乗るのは忸怩たる思いがあるが、牛乳風呂よりホイップクリームまみれの琴子にはそそられるーーそれこそあとから風呂に入ればいい話で、どうせ誰もいないし、好き勝手に、あんなことやこんなことやーーー(あれこれ妄想中……なにせまだまだ新婚なんで)



「………入江くん、どーしたの?」

「別に」




とりあえず、ホワイトデーのお返しは、皆にしっかりと認知させ見せつけるくらいでないとな。
遠慮なく身体中に薔薇の花をプレゼントしてやろうーー。






ホワイトデーのホワイトは、純愛の白ーーだそうな。






ちなみに。賭けの首謀者(テニス部S氏)はきっちり制裁を受け、賭け金を皆に返金したらしい(一口500円……)


※※※※※※※※※※※※※※※



入浴剤でいいだろっ!と自分で突っ込みながら書いてましたf(^_^;


さて、琴子ちゃんはホイップクリームまみれになったのか、ミルク風呂に入ったのか、想像にお任せします……
でもお風呂えっちは免れないな……(^w^)




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* Category : とある1日のお話(西暦シリーズ)
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* by 麻紀
紀子ママ、やはり最強ですね。
ここまでお膳立てしてもらったのなら、琴子ちゃんを食べないわけにはいきませんよねー。
琴子ちゃん、ホント大変だなぁ(笑)

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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

きっと、琴子ちゃん、バレンタインはすごく張り切るけど、ホワイトデーの存在は忘れてるのではと。義理のお返し返ってきて初めて思い出すくらい。入江くんからなんて、まーったく期待してないかなーって思ってたんですよね。うーん、でも、ドキドキわくわくして無駄な妄想しちゃう琴子ちゃんもありかなーってあとあと思った……笑
まあ結局紀子ママの策略に便乗しちゃう直樹さんですよね。コーティング琴子……、ガチで書いたらチョーえろえろだわ……(^w^)

絶対、賭けの1つや2つ、S氏以外にも密かに行われていそう。それくらい注目の二人ですよね〜(^-^)v

Re.麻紀様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

はい、ほんとに紀子ママ、影の参謀です。踊らされるものか、といいつつ、なんやかんやのっかってる直樹さん。母には敵いませんねー(紀子さんの暗躍なければまだ結婚してなかったろうしね)
そりゃもう、がっつり喰われただろう琴子ちゃん…翌日動けたかどうか……笑

Re.ちびぞう様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

そうなんです、チョコレート風呂、馬鹿な話を過去に書いたもんだと思いつつ、ネタが思いつかなくて、過去作に便乗した私は直樹さんよりたちわるいかも……f(^_^;
ホイップまみれに一票ありがとうございます笑(いや、かけないけど!)プリンアラモード琴子ちゃん、ちびぞうさんが描いたら可愛いかも!


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