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らぶららら(9)


最終回まで一気に書いてしまうつもりでしたが……週末忙しくて、いつアップできるかわからないのでf(^_^;とりあえず、キリのいいところまで。
すみません、ちょー短いですっm(__)m



※※※※※※※※※※※



白を基調とした広々とした玄関ホールに白百合の如く清楚で美しい沙穂子さんが困惑の表情で立ち竦んでいた。その横には沙穂子さんとは対照的に真っ赤なワンピースを着て派手やかな印象の沙穂子さんの自称ハトコのお姉さん。
そして、玄関のアールデコ調のガラス扉を背に、少々息を切らして立っているのは入江くん。えーと……走ってきたの? な、なんで、ここ知ってたんだろう……?
胎教によさげな静かな音楽が流れる産婦人科クリニックのホールに、あたしたち四人はしばし茫然と顔を見合せーー

そしてーー

「琴子! 子供が出来なくても構わない! 二人だけの生活だって決して悪くないと思う。もしいつか欲しいと思ったら養子をもらってもいい。おまえが傍にいてくれるだけでいいんだ。たとえ治療が難しい病だとしても一人で苦しむな。おれが絶対治すから! 一緒に戦おう!」

「琴子さん! 先日は取り乱してごめんなさい。ちょっと驚いてしまっただけなの。な、直樹さんがそーゆーことするの、想像つかなくって。あ、結婚してるなら当たり前なのに、イヤだわ、あたしったらっ! 琴子さんなら素敵なママになれるわ! おめでとう!」

「沙穂子さん、ごめんなさい! あなたが入江くんの赤ちゃんを宿してるって知ってたら、あたし入江くんと結婚しなかった。 入江くんをあなたに返すから、赤ちゃんをパパの居ない子にはしないでーー。そして元気な赤ちゃんを産んでね!あ、あたしなら大丈夫だよ! 辛いけど遠くから二人を応援してるから!」

「「「……………………???」」」

え? え? えーーー?

3人が同時に堰を切ったように喋りだしたので、何をお互い話したのか一瞬よくわからなかった。そしてあたしたちはみんなきょとんとしてーー理解不能といった感じで互いの顔を見比べる。

「えーと……??」

「おい、琴子、今、なんていった?」

「い、入江くんこそ。お、おまえが傍にいてくれるだけでいい、ってなんか素敵なセリフが聴こえたような……」

「何故そこだけしっかり聞き取れるんだ……ーーって、沙穂子さんが赤ちゃん!?」

「ええ? あたしが? 妊娠してるのは琴子さんじゃ」

「えーと、それは誤解です! あたしここにはブライダルチェックにきただけで。結果は問題無しの至って健康……」

「え? そうなのか?」

「あ、あの、あたしも妊娠なんて……ここには凛々子ちゃんの付き添いで来ただけで」

へ? 付き添い? どーゆーこと!?
あたしの頭は沙穂子さんの言葉をすぐには噛み砕くことができなかった。

「え? でも、あの母子手帳……大泉沙穂子って」

鞄から半分飛び出た可愛らしいミッ◯ィーちゃんの絵柄のついた母子手帳……

「あー、あれ、実はあたしのよ。大泉沙、じゃなくて、大泉凛々子。あのとき沙穂子に鞄預かってもらってトイレいってたのよね」

……はい?

それまで傍観者を決め込んでいたハトコのお姉さんが、唐突に割り込んでしれっととんでもないことを告白する。
ちょっと待って! ちょっと待って!
なにそれっ~~~!? いったいどーゆーことよ!? えーー? じゃあ、沙穂子さん、妊娠してないってこと!?

「で、で、でも! あなた、あたしに云ったわよね?
沙穂子さん、妊娠してるって! 入江くんの赤ちゃんを……沙穂子さん、一人で産むつもりだ、って!」

あたしは思い出したばかりの記憶の中から、あの時このひとに云われた言葉を反芻し、食らいつくようにハトコ孃に掴みかかる。

あたしがどれだけ悩んだか!
どれだけ苦しんだか。
どれだけ辛かったかーーー!!

「はぁーー?」

「凛々子ちゃんーーなんてことを! なんでそんなウソを!」

入江くんが顔を思いっきりしかめてハトコ孃を睨み付けた。沙穂子さんは青ざめ、頬を両手で覆ってハトコ孃を凝視する。

「ーーだって。あんたのせいで沙穂子がどれだけ苦しんだと思ってるのよ。この娘の痛みをあんたにも思い知らせてやろうってね。そもそもあんたが勝手に勘違いしたのに便乗しただけでしょ」

勘違い!?
でも母子手帳、大泉沙ーーって。あ、沙の字のサンズイまでしかみえてなかったわ。

「凛々子の凛はニスイだけどね」

そういってバックから母子手帳を取り出す。そう、この表紙だ。

「3年ここで不妊治療して、治療を辞めて海外赴任して、戻ってきた途端に何故か妊娠できたのよね~~」

ハトコ孃は悪びれることもなくあたしに母子手帳を見せつける。
あ、ほんとだ。大泉凛々子ーーへぇこれでりりこ! いや、そんなこと感心してる場合じゃなく!

「じゃあ、じゃあ、沙穂子さん、妊娠してない……?」

「してません!」

「してるとしても相手、俺じゃねぇし……」

入江くんがひくひくとこめかみを震わせながらものすごく低い声で呟いた。
その言葉に沙穂子さんの表情が少し悲しげに曇る。

えー、そんな風に断言できるって……もしかして、二人って……

「直樹さんは赤ちゃんどころか、キスすらもしてくれませんでしたから……」

沙穂子さんも伏し目がちにボソッと呟く。

「……キスどころか手もろくに……だから直樹さんは超奥手な方だと……」

へ……そ、そうだったの? 婚約までしてて……?

よかったぁ……(え? 奥手??)

安心すると同時に、だんだん怒りがふつふつと沸いてきた。
そう、目の前の、りりこだか、ららこだか知らないけど、他人のこと散々悩ませといて、しれっとしてるこのハトコ嬢に!

っつーか、沙穂子さんにならともかく、この人にそんなウソつかれて騙される筋合いなんてない。そのうえ唐突にひっぱたかれたことも思い出した。
大泉家のお嬢様なわりに随分狂暴じゃない?
わなわなと怒りがこみあがってきて、拳をぎゅっと握りしめる。

「琴子さん! ほんと、ごめんなさい!まさか凛々子ちゃんがそんなウソをついてあなたを苦めていたなんて……」

恐縮して深々と頭を下げる沙穂子さん。

「ううん、沙穂子さんが謝ることはないわ……」

「沙穂子が謝る必要ないわよ」

ほぼ同時に同じ事を口にする。

あんたが云うな! 思わず睨み付けてしまう。

「沙穂子、自分がされた仕打ちを忘れたの? あたしがついた些細なウソなんて可愛いもんよ。婚約までしておいてあっさり他の女に乗り換えた不実な男と図々しい略奪女に、もっと徹底的に制裁を加えるべきだったのよ! あんたが毎日泣き暮らしてる間にさっさと電撃結婚って、ふざけんな!って思うのが普通でしょ? 大泉のおじいさまもあんたも甘すぎるの! なんで婚約不履行で訴えなかったのよ!」

そこを突かれると何も云えなくなってしまう。

沙穂子さんを傷付けたのは紛れもなく事実だからーー

すると。

ぱちん!!

乾いた音が静かな玄関ホールに鳴り響いた。

「さ、さほこ?」

目を白黒させて自分の頬を押さえていたいたハトコ嬢。
驚いた……。
沙穂子さんが、彼女の頬を叩いたのだ。

「な、な、なんであんたが……!」

「りりこちゃん、いい加減にして! 私が傷付いてるって連呼して、そっちの方がよっぽど傷付いていくの、わからないのーー? 」

あまりにも意外だったのか、口をパクパクさせて言葉を失うハトコ嬢。
うん、あたしも驚いた。
沙穂子さんがそんな感情を露にさせるタイプとは思いもしなくてーー。

その時、憮然と眉間に皺を寄せたまま、ひとことも口を挟んで来なかった入江くんが、あたしたちの間にすうっと割って入ってきた。

「ーーとりあえず、別の場所に移動しよう。いつまでもここの玄関先で揉めてるわけにはいかねぇだろ?」

確かに、このサロンのようなクリニックのホールで、あたしたちは患者さんらしき女性たちの注目の的になっていた。

そして、そう促した入江くんはーーまったくの無表情でーー怖いくらいの無表情でーー静かに黒いオーラを背負って、ハトコ孃を一瞬だけ睨み付けた。

あ、凍りついた。
傍若無人なハトコ孃が、入江くんと目があった瞬間、フリーズしたかのように見えたーー。







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Comment

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2018/07/22 | [] | Edit

ありがとうございます

更新ありがとうございます。
ずっと楽しみにしてました。
お忙しいとは思いますがこれからも更新よろしくお願いします。

2018/07/22 | みな[URL] | Edit

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2018/07/23 | [] | Edit

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2018/07/24 | [] | Edit

沙穂子さんも、以外だけど?このあとの入江君が、怖いぞ、琴子ちゃんを苦しめた結果揉ませたのも有るけど、入江君怒らせちゃ怖い。v-40

2018/07/26 | なおちゃん[URL] | Edit

Re.マロン様

コメントありがとうございました♪
またもやリコメが遅くてすみません!

自分でこの長文をお互い喋り続ける不自然さは気になりつつ(誰かが話しだせば、とめるよね、ふつう)も、この互いの噛み合わない会話の場面を一番書きたかったので、もう強行突破しちゃいました笑

直樹さんに怯んでる凛々子さんですが……まあ、この人も大概いい性格してるんで笑 (一瞬凍りついたけど多分立ち直りは早い笑)
さて次ですっきり解決……ですf(^_^;


2018/08/13 | ののの[URL] | Edit

Re.みな様

コメントありがとうございました♪
リコメがはちゃめちゃ遅くて申し訳ないです。
楽しみにしていただいてうれしいです。なかなか毎日更新は無理ですが、なるべく週一めざして頑張りますね。

2018/08/13 | ののの[URL] | Edit

Re.ちびぞう様

コメントありがとうございました♪
リコメがもんのすごく遅くなってすみません!

ふふ、面白いといってもらえてよかったー。
そう、すべての元凶はこのハトコだった!(笑)
そうなの、この三人の勘違いを吐き出すシーンが書きたくてはじめたお話でした。お互い聞き取り辛かったろうけど直樹の肝心の言葉だけ聞き取れる琴子なのです。(直樹は天才なので聖徳太子の如く話ながらみんなの言葉も聞き取れてたにちがいない)
沙穂子さんには指一歩触れてない、それさえわかれば琴子ちゃんはもう何もかも許しちゃうでしょうね〜(^w^)

2018/08/13 | ののの[URL] | Edit

Re.ルミ様

拍手コメントありがとうございました♪

そうです。直樹さんは琴子一筋……というか、琴子しかダメなんですよねf(^_^;
お気づかいありがとうございました(^-^)v

2018/08/13 | ののの[URL] | Edit

Re.紀子ママ様

コメントありがとうございました♪
リコメがすっかり遅くなって申し訳ないです〜〜m(__)m

そうなんです。傍若無人で高慢なだけでなくちょいと意地悪くウソまでついてハトコの仇を取るつもりでいたようです。まあ身勝手なリリコさんですが、一応お嬢が慕っているので、姉御肌なキャラなんだろうと。ええ、でも唐突に人を叩くのは凶悪ですf(^_^; ドラマにあったので取り入れたのですが、そのお陰でキャラ設定こまったわー。突然通りすがりにビンタするなんてぶっ飛んだキャラ、フィクションしかそうそう存在しないって〜〜

ほんと入江くん、自分が叩くのはOKで人が叩くのは絶対許しませんよね(おまえもアウトだよー!)

入江くんの逆襲、解決しちゃえばもうスッキリな琴子ちゃんのお陰でイマイチ物足りなかったかも……f(^_^;



2018/08/14 | ののの[URL] | Edit

Re.なおちゃん様

コメントありがとうございました♪
リコメが遅くなってすみません!

ほんと、入江くん怒らせると怖いですねーf(^_^;まあ琴子ちゃんがあっさり許しちゃうからちょうどいいかな?

2018/08/14 | ののの[URL] | Edit

        

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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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