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次、最終回、といいつつ、ちょっと挿入したかったかをる子さんの事情編ですf(^_^;
彼女がいたらきっとこんなにこじれなかった筈(でも話が成り立たないのである……)( °∇^)]

少し時間が遡ってますf(^_^;
もう1話前に挿れたかったな……失敗(-_-)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




11月20日 P.m 2:15




「へぇーーここが斗南大学医学部付属病院かー」

タクシーを降りたあたしは、地元の市民病院で書いてもらった紹介状とカルテや画像フィルムの入った封筒を持って、大都会の病院の玄関扉をくぐる。

ふーん、エントランスロビーの広さやデザイン性なんか神戸医大付属病院と似てるな。 姉妹提携してる大学病院だから規模もだいたい同じようなものだ。
ってか、最近はずっと実家のある片田舎の市民病院通いだったから、久々の東京、大都会の雰囲気にちょっと高揚気味。(まあーイベントでちょくちょく来てるけどさ)気分転換も必要よね。流石に看病疲れもピークだったし。

エスカレーター下にある診療科一覧と院内案内図を見る。ついこういうのをチェックしちゃうのよねー。画像診断室がまあまあ広いな。MRIやCTの所有台数多いのかしら。医療機器メーカーの営業勢力図を思い返してしまったりして。


「森村さん。森村みどりさん……えーと娘さんですね? ◯◯市民病院から転院ということでよろしいでしょうか。ではあちらの説明室の前でしばらくお待ち下さい」

「あ、はい」

受付を済ませたあたしは外来ロビーの端にある説明室の待合いのベンチに腰をかける。
午後のため、患者は随分と少ない。会計待ちの人たちがちらほらといるくらいだ。これが午前中なら全ての椅子が埋まっていることだろう。

あたしは「はあ~」とため息をついて、この1週間あまりの怒濤の日々をぼんやりと振り返る。

そもそも事の起こりはあたしの勤めている神戸医大付属病院に、母親が倒れたという連絡があったことから始まったのだ。

うちの実家は埼玉の片田舎で、たった一人の兄は東京で就職した後に結婚し、新居も都内に構えた。あたしは大学が神戸でそのままそこで就職してしまったために、実家では両親が二人で暮らしていた。
その母親が心筋梗塞で倒れたのだ。幸い命はとりとめたものの、家事一切出来ない父親の世話と入院することになった母親の看病とがあたしの肩にどっとのしかかったというわけで。

緊急のカテーテル手術による再灌流療法で母の容態は一旦は落ち着いたものの、再狭搾の可能性が高いということでバイパス手術を薦められてーーとなると、暫く母についていなくてはならない。
これはもう真剣に神戸の病院を辞めて実家に戻らねばならないだろうかと相当悩んだわよ。
まあ年が年だからねー。いつかそういう日も来るかもとぼんやり思ってはいたけれど、まさかこんなに早くなんて……。
もう毎日ため息しかでなかったわ。
そしたら、今までたいして役に立たなかった兄さんがーーというか兄嫁が、東京の病院に転院してもらえるなら、父も母が退院するまで一緒に面倒見ると言ってくれてーーもう涙が出そうになるくらい感謝しちゃったわよ。
いっそのことこのまま同居してくれたらありがたいけど、そこまで望むのはまあ無理だろうなぁ。

というわけでバイパス手術を受けられる転院先の東京の病院リストに斗南の名前を見つけた時はソッコーで決めたわ。
なんといっても兄の家から一番近い。
それにうちの神戸医大と提携していてドクターの行き来もあるから、名前を知っている医者もいたりするし、神戸医大付属の知り合いの先生に確認すればある程度の医師の評判などを知ることができた。(ほんと、主治医のアタリハズレで運命決まっちゃうからねー)

そして、バタバタと転院の話が決まり、今日はとりあえず手続きだけの為にきたのだ。兄嫁ともあとで落ち合って色々今後のこと話し合わなきゃーー。仲はいいのよ、あたしたち。しっかりもののお義姉さまなので、任せとけば大丈夫、と思うけれど、長男の嫁だからといって実母の世話を何もかも押し付けるのはやはり気が引ける。お互い言いたいこと言い合って役割分担を決めないと今後の関係に亀裂を生じさせない。その辺りは慎重に対応しなくっちゃね。

そんなこんなで自分の事情でテンパっていて、すっかり入江先生と琴子さんのこと、頭からすっぽ抜けていたけれど、斗南に転院か決まった瞬間からあの隣人夫妻のことを思いだしてしまい、気にはなっている。

なんといっても1週間前、嫁溺愛の入江先生に不倫などという噂が病院中を駆け巡っていたのだ。そりゃびっくりだわよ。何か事情があるとはすぐに察したけどね。だって彼は嫁以外の女なんて『患者A』『看護婦B』『同僚C』という程度の認識しかないくらい興味はないのだから。
翌日の入江先生の誕生日に琴子さんが神戸に来ることを知っていたあたしは、彼女がその噂を耳にする前に、入江先生に真相を確かめねばーーと彼を捕まえて訊問しようとした矢先の出来事だったのだーー実家に戻る羽目になったのは。


ーーどうなったのかな?
大丈夫かな? 琴子さん………

気にはなっていたけれと、やはり他人のことを構っていられる状況じゃなかった。
けれど、さすが斗南病院に来ることになった途端、どうなったのか気になって仕方ない。

せっかくここまで来たのだし、後で大学までいってみようかな。確か隣だよね。
………っても、広い大学キャンパス、約束もしてないのに琴子さんと巡り会える自信はあまりない。
それに大学生って学内に1日いる訳じゃないのよね。四年生ともなると空き時間も多いだろうし。
自宅の電話番号とか住所とか、知ってはいるけれど。突然訪ねるのもねぇ。
行ってみようかどうしようか……少し悩んでる間に、母の名前を呼ばれ、あたしは室内に入っていった。




「じゃあよろしくお願いします」

転院の日取りの確認と入院手術のための資料一式をもらい、あたしは部屋を後にする。来週中には転院できるようだ。なんとか早目に手術の日程を組んでもらえれば私も再来週には神戸に戻れるかも。
とりあえず今日はこれだけで予定は終了。

さて、どうしようと思って、時計を見る。
琴子さんを探しに行く時間は……ビミョーだなー。
用事があって同行できなかった義姉とはこの病院のロビーで待ち合わせることになっていた。まだ少し時間があるとはいえ、あまりうろうろする余裕はなさそうだ。

でも、折角斗南に来たんだし……と少し迷っていると、ふと、見覚えのある顔が玄関ホールから入ってきたのが目の端に止まった。

大きな紙袋を二つも持ってバタバタと忙しなく駆けていく一人のご婦人。

(え? 入江先生のおかあさま?)

あの入江先生にそっくりな美しい顔立ち。上品そうないかにもマダムといった感じのーー。
夏に一度お会いしただけだが、忘れるはずもない。何につけても印象的な方だった………。

紙袋からはなんかキラキラしたモールやら折り紙で作った鎖みたいのがはみ出ていた。

???

小児科でボランティアでもなさってるのかしら?
確かに大会社の社長夫人ですもの、慈善事業とか積極的にされてそう。

あたしは一瞬追いかけようかどうか逡巡したものの、あっという間にエレベーターに乗り込んでいたようで、さすがに諦めた。




義姉との待ち合わせまで少し時間があったので、ちょっと散歩でもしようかと隣の敷地の大学へと探索を試みる。
とはいえ隣と思ったのが甘かった。
うちの大学病院は大学と隣接してるのだけれど、ここは徒歩で15分くらいはかかったのだ。
学内はひとつの街のように広く、構内を車で移動する人も多いようだ。東京のくせして何でこんなに広いのー。
そんなだだっ広いキャンパス内を案内表示だけみてぷらぷら歩いていたら、しっかり迷子になってしまった。疲れきってようやく学食らしき建物にたどり着いて、少し休憩。
さすがに大学のカフェテリアは病院の食堂と違って明るくてお洒落だ。あたしは自販機のドリップコーヒーを購入して、紙コップを持って窓際の席に座った。

なんといっても時間が夕刻に近いころで、お客の数はまばらだ。ランチタイムではないから、持ち込みのお菓子やジュースでお喋りしている学生が数人。大学内にはいくつか学食やカフェがあるけれど、この時間はきっとカフェの方が賑やかなんだろう。神戸でもたまに大学に資料を届けるついでに学内のカフェでお茶して帰ったりしたもんだわ。学生に戻った気分でちょっとリフレッシュできるのよね。


「おばちゃん、ガセつかませたらあかんやんか。わし、昨日あれから生きた心地せーへんかったわ」

少し休憩してから、紙コップを捨てるゴミ箱を探してキョロキョロしていると、厨房のほうから関西弁が聞こえてきて思わず振り返る。

関西弁は調理人らしいファニーフェイスの兄ちゃんだった。ファニーフェイス……うん、まあ猿顔……。
そういえば、大学の学食に高校時代からの同級生で関西弁喋る友人がいるって琴子さん、いってたよーな。お父さんのお店で修行もしてて、なんでもプロポーズしてくれたとかなんとか。……彼かしら?

「ええ? ガセだったん? じゃあ琴子ちゃん、癌じゃなかったの?」

琴子?
え? 癌?

やっぱり彼だ、と思うと同時に、飛んでもないワードに思わずどきりとする。

「声帯なんちゃらちゅう、ただの喉の病気やて。簡単な手術ですぐ治るらしいわ。大将に確認したら、おれの娘を重病にするなとえらい怒られたわ」

「そーなの? どこでそんな間違った話が流れたのかしらねぇ? でもまあよかったわよ~~ ホッとしたわー」

よくわからないけど、癌じゃないらしい。あたしもホッとしたわ。
ってか、なんでそんなことに?

あたしの頭はクエスチョンマークが飛び交っている。

「とにかく今日、無事手術終わったらしいで」

「よかったなー」

ーーよかった。よかったけど、手術って!? 何? 何? どーゆー展開!?
あ、さっきの入江先生のお母さん……もしかしてお見舞い?
ん? でも変なキラキラしたモールとか持ち込んでたよね? なんだろう?
ああ、気になる!

神戸の病院の不倫の噂はどうなったのだろう。琴子さんの耳に入ってないかどうか、それが物凄く心配だったのだけれど、それ以上に何か大変なことになっているような………
どうも琴子さんの周りには常にトラブルの種が芽吹くのだ。これは体質なのかなんなのか……

しっかし大丈夫なのかなー?
あたしがいないとあの二人、変にすれ違ったりするもんな。

とにかく事情を詳しく聞きたいと思い、彼に話しかけようと近づきかけた途端に、携帯の着信音が鳴り響いた。
げ、しまった!
義姉からだ! 待ち合わせの時間を少しばかり過ぎていたことに気付いて青ざめる。
しっかりものの義姉は、時間にはかなりシビアだ。これから母のことを頼むのに、不義理は許されない。
あたしは後ろ髪を引かれつつ、すぐに学食の外に出て携帯電話に出た。


ーーああ、琴子さん。
うちのことが色々片付いたら会いにいくから……それまで待っててちょうだい!何もトラブル起きてませんように!
あたしはそう祈るしかなかった。

無論、その時点でほぼほぼトラブル終了してたなんて、知るよしもなかったのだけどねーー。







※※※※※※※※※※※※※


次こそ最終回です。
多分早いうちにお届けできるのではないかと………(^^)d







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2018/04/08 | [] | Edit

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2018/04/08 | [] | Edit

やっとPCで

やっと今日退院して、改めてPCから読もうと来ました。
【携帯だと中々…)次回も楽しみにしています。

2018/04/14 | ルミ[URL] | Edit

Re.マロン様

コメントありがとうございました♪
毎回リコメが遅くなり申し訳ないです。

高校生の息子さんの勉強を見てあげれるなんてスゴいです!私にはもう無理だわー。化学なんてとくにf(^_^;
お疲れ様です。

ふふ、やっぱり他の病院の設備チェックってしちゃいますよね?
患者として渡り歩いても色々比べちゃいます笑
かをる子さんの素性は色々設定したようなしてないような。マロンさん頼みでスミマセン( °∇^)]ご質問などしっかり反映させていただきましたよ!
そうそう、かをる子さんはイリコト世界の目撃者ということでさりげなく遭遇してます笑
よくわからない事態になってましたが、まもなくスッキリすることでしょう。

2018/04/22 | ののの[URL] | Edit

Re.ちびぞう様

コメントありがとうございました♪
リコメが遅くなって申し訳ないですm(__)m

そう、かをる子さんの親事情考えて、つい自分のこと考えてました。兄より兄嫁の方が頼りになるとめっちゃ助かりますよねー。
そうそう、何処にいっても入江夫妻は噂の的ですね。逃れられない運命〜〜
そして今回蚊帳の外だったかをる子さん、まあ丸くおさまってから知ったことなので、普通にほっとしたことでしょう。


2018/04/22 | ののの[URL] | Edit

Re.ルミ様

コメントありがとうございました♪
リコメが遅くなって申し訳ありませんでした。

わー退院おめでとうございました。無理されず、ゆっくりお読みくださいね。
少しでも癒しになればいいなーと思います。

2018/04/22 | ののの[URL] | Edit

        

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