声を聴かせて…… (2)


入江くん、Happy Birthday!
45歳かぁ~~渋味の増したいい歳ですねぇ。私は遺伝子の突然変異を信じてます。ええ、きっと、入江くんの髪は大丈夫!!




昨夜は入江くんハピバカウントダウンチャットで大変盛り上がりました。
開設してくださったemaさん、ありがとうございました!

途中、『絶愛』な話からBLネタに変わり、だんだんみんなおかしなテンションになり、狂気や百合やら性転換やら……世にも奇妙なイタキス話になっていくにつれ、閲覧者が減っていくという……(°Д°)
引かれてる……引かれまくっている‼
大丈夫です。冗談なので、書きませんよー(少なくとも表では……^_^;)
でもソウ様、狂気な直樹さんは読みたいかもです……


さて、連載の続きですが、予告通り誕生日なのにすっきりしないままですm(__)m
そして、短いです。

それでもOKな人は続きからどうぞ♪










※※※※※※※※※※※※※※※※※※

11月11日 P.m.0:35



「みてーみてーみてーっ ほら、燦然とかがやくA判定! ああーっこれでやっと堂々と入江くんに会いに行けるのよーーーー!」

食堂でランチを食べ終わったあと、模試の結果が記載された用紙をひらひらとみんなに見せびらかせて自慢する琴子を、いつものメンバーたちは呆れ顔で見守っていた。
因みに彼らは全員A判定である。

「うん、うん。よかったねー」

「もう、モトちゃんたら、何よ、その棒読み~~」

「いやいや、あんたの涙ぐましい努力はちゃんと認めているから」

いいこ、いいこ、と頭を撫でる。

「ほんと、ここ1ヶ月まともに睡眠とってないんじゃ……目の下に隈ができてますよ、琴子さん」

「えーっ? 智子、ほんと? どーしよー。明日神戸に行くのに~~」

琴子が慌ててコンパクトを取りだし肌をチェックする。

「隈どころか、顔色も悪い。喉の調子もずっと悪いだろ。疲労が酷くて免疫力低下して、風邪が治らないんじゃないのか? ほんと、やる時は加減を知らないとゆーか、無茶しすぎなんだよ」

啓太にたしなめられ首を竦める琴子に、

「ま。琴子は目的があれば死にもの狂いで頑張っちゃうのよね~~。でも一応ナースになろうってんだから、自分の身体の自己管理くらいしてよね」

と、幹も追い討ちをかけた。

「はーい……」

実際ハードな日々だった。
模試の試験勉強も毎日深夜まで行い、卒論の提出も期限が迫っていて追い込みであったし、さらにはその期間に実習もあった。
浜松でのバースディ逢瀬の後の1ヶ月は、人生の中で一番睡眠時間がなかった日々ではなかろうか。
だが、そんなことで疲れたなどど云ってはいられない。直樹の生活の方が琴子よりもさらにハードなのだ。それは夏休みに暫く一緒に過ごしてよーく解っていた。
ーー入江くんの方がもっと大変なんだから!

そう自分を叱咤して乗り越えた1ヶ月だった。

「入江さんは明日仕事休みなの?」

真里奈の問いに、少し顔を曇らせ「ううん。多分仕事だよ。相変わらず殆ど休みなんてないんじゃないかなー。でも、とりあえず明日は間違いなく病院にいる筈だし」と、自分の誕生日の時のすれ違いドタバタ劇場を思い出してしまう。
今回は『A判定取れたなら神戸に行く』と宣言してあるので、もし何か予定が変われば流石に連絡をくれると信じている。

「でも、いいんだ。明日はプレゼント渡しに行くだけだから。入江くんも相変わらずハチャメチャに忙しそうだからあんまり邪魔したくないし………」

「あら、健気」

「なんか、とっても大変な手術のオペチームに加わることになったって」

「1年目の研修医が!? それはすごいわね~~流石だわ!」

「前立ち(第一助手)も相当数こなしてるって話ですもんね。いいなー私も早くオペに参加したい……」

「あ、そーいえば、俺もちょっと前の小児科実習の時に小耳に挟んだ。斗南でも注目の的のオペらしいぜ。成功したら学会でも症例報告されるだろうって」

直樹断ち宣言をしたので直樹本人とは全く会話をしていないが、神戸のマンションの隣人で友人のかをる子には何度か連絡して直樹の近況を訊いていた。

その難易度の高いオペチームに入ったこともあるし、元々各務から頼まれていた小児救急の学会の準備もあるしで、10月に入ってからは救命の研修に行っていた時以上の多忙ぶりらしい。

救命にいたときだって、あんなの人間の労働環境じゃない~~過労死しちゃうんじゃないかしら、と心配だったのに、それ以上ってどうなの? と、直樹の健康状態を気にしてはいたが、直樹断ち宣言をしていたので電話もかけられない。いや、どうせ元々留守電に一方的に自分の話を語るだけで直樹の状況はわからないことが多かった。それゆえにかをる子から色々情報を得ているわけだが、逆に余計に心配になってやきもきしてしまう。

「そんな心配な状況なのに、よく電話もせずに耐えられたわよね」

幹にポンポンと頭を撫でられる。

「あたしの電話なんかで入江くんの貴重な家でのくつろぎタイムを奪うのも申し訳ない気がして……」

直樹断ちをすると宣言した真意はそこにあった。
しかし幹たちにしてみれば、琴子の行為が要らぬ気遣いだということは十分想像できた。

夏休み明けに初めて大学で会った時……かなり大胆に所有印が琴子の身体の、あちこちに付けられていた。
琴子の誕生日の翌日も然りである。見えようが見えまいがお構いなしに鮮やかに刻み付けられた赤い花に、看護科メンバーたちは思わず直樹の激しい執着と独占欲を感じて、ひきつり笑いを顔にへばりつかせたものだ。

なので今回の琴子の提案は、直樹の方が琴子欠乏症となってストレス溜めまくっているのではと想像ができた。
しかし琴子は、自分が直樹のことを想っているのと同じ時間、質量で直樹も自分のことを考えているとは思いも寄らないようなのだ。
これはもう、直樹の普段の態度に起因することなのだが。

………ったく入江さんも素直じゃないから……だからこの嫁は変な気を遣うようになっちゃってんのよ。これはもう、自業自得ってなもんよね。

内心、呆れつつ、幹はこの面倒な遠距離カップルの動向は常に気にしてはいるのだ。


「ま、明日は講義も休講だし。気をつけていってらっしゃい」

「うんっ」

「で、誕プレは何を?」

「ふふふっ今年はタイピンをね~~」

「ま、普段は白衣や術衣でも、学会とかでスーツを着る機会は多いものね」

「うん。まあ飾り気のないシンプルなやつだけど。まだ学生でお金もないしね~~~」

「ふーん」

「そして、何故か宝石時計の専門店で買ったせいか、置時計をおまけにつけてくれたのー。目覚ましヴォイス機能付きなのよー」

「あ、もしかして、あんたの声、録音済み?」

「もっちろーん」

『入江くん……朝だよ。起きて……大好きだからねーっっ』

ずっと続いている喉の不調のせいで、どうにも声がかすれ気味なのだが、喉スプレーとミントののど飴でなんとか声の調子を整えて、ばっちり録音したのはいいのだが……

「入江くんって、朝目覚ましなんてかけなくても、起きたい時間にぱっと起きれる人なんだよね~~」

「え? 何それ。そんな超能力者みたいな人間がいるのっ?」

「さすが入江さん……」

「なんか、折角のあたしの『必殺朝から悩殺ヴォイス』もあまり役立つことはないかも」

残念そうに語る琴子に、「悩殺されるかどうかはともかく、きっと役には立つんじゃない?」ーーと、看護科の仲間たちの意味不明なエール(?)を受けながら、琴子は翌日、意気揚々と神戸へと旅立っって行ったのだーー。










* * *



11月12日 A.m11:20



「とりあえず病院に直行しちゃったけど……何処に行けば入江くんに会えるのかな?」

琴子は勝手知ったる神戸大医学部付属病院の玄関フロアで吹き抜けの階段を見つめ独り呟く。
この時間なら外来の可能性もあると思い、まず小児外科外来の曜日担当医を受付前の当番表示を確認すると入江直樹の名前はなかった。

まだ研修医だから指導医の名前しか載っていないのだが、琴子は実は指導医の名前を覚えていない。

「小児科フロアに行けば会えるかなー」

サプライズの登場の第一声を考えつつ、緩む頬とか上がる口角を抑えきれない琴子である。

もうすぐ……
もうすぐだよー入江くんっっ
ほら、あたしちゃんとA判定取ったんだよっっ
少しでも話す時間があるといいなー。
お昼少し前だけど、食堂でランチとか一できないかな~~

ついつい足取りもスキップのようになってしまう。

「とりあえず『つぼみルーム』行こっかなー」

小児科病棟は今年の夏にボランティアでお世話になった病児保育のある『つぼみルーム』が併設されている。さすがに迷子にならずに行けるだろう。


「うーん、その前にかをる子さんに会って入江くんの近況きいておこうかな……」

この病院で事務をしているかをる子とは、実を云うとここ数日連絡がとれていない。
何度か電話をしているのだが繋がらないのだ。直樹と違って平日の夜は大抵自宅にいたので、少々心配していたのだがーーー。


「ええっお休み?」

事務局にかをる子を訪ねると、経理のおばちゃんが面倒くさそうに話してくれた。
なんでも実家の親が倒れたということで、5日前くらいから病院を休んで帰省しているらしい。いつ戻れるかわからないということだ。

「……ったく、年末調整で忙しい時期なのに……」

ぶつぶつと文句を言いたげなおばちゃんに頭を下げ、事務局を出ると、かをる子は大丈夫だろうかと心配になる。

家族が倒れたって、不安だよね……
離れて暮らしていると尚更……。

考えてみればいつも電話しても直樹の近況ばかり訊いて、あまりかをる子の話をきいたことがなかった。

ああ、あたしってば………

一人マリアナ海溝に沈みこみそうなくらい深く反省しながら、琴子はエレベーターフロアに向かい、開いた扉に乗り込む。

かをる子さんが帰ったらゆっくり話をきいてあげよう。
家族の方がどうかどうか元気になれますように……


そんなことを考えながらぼんやり歩いていたらーー


「わっ」

「あ、すみませんっ」

思いっきり人にぶつかってしまい、弾みで倒れかかってしまう。

ーーすっごい弾力を感じたと思ったら……胸、でかーーっ

琴子がぶつかったのは白衣の女性だった。背が高く、丁度大きな胸が琴子の顔の位置だった。
胸の名札を見ると、『実習生』の文字ーー。
しかもこれはーー何カップ!? D? F?

「大丈夫ですか? 」

心配そうに伺う声ーー

ーーあれ? この声………

琴子が見上げると、その女性が琴子の落としたバッグを拾って手渡してくれた。

「…………………」

思わず受け取りながら茫然と言葉を失いまじまじと女性の顔を見つめる。

「おい、城所! 早くいかねーと検査に遅れるぞ!」

その女性は仲間らしい実習生に呼ばれ、「はい、すぐにいきまーす」と叫び、琴子の方をちらりと見ると、軽く頭を下げ、廊下を駆け出していった。

しばらく呆然とその城所という実習生を見つめていた琴子ーー


あの娘……あたしと声が似てる?

自分の声というのは、自分で耳に聞こえる声と人が聴く声は違うものらしい。それは自分の声は骨動音で聴くせいだが、録音した自分の声を初めて聞いた時の妙に背中がざわざわする違和感ーーそれが思い出された瞬間だった。
特に前夜、目覚まし時計に録音する自分の声を何度も聴いていたせいで、余計にその彼女の『声音』にぞわっとした。

いやー顔と胸は似ても似つかないけど……声が似てるとかって、あるんだね……………

琴子がしばらく彼女の消えた廊下の片隅を見つめてから、小児科の医局に行こうとした時だった。

「………今のが、例の彼女でしょ? 城所さんって」

「そうそう。あのFカップの実習生」

「胸だけじゃん。顔は大して美人でもないよね」

「ちょっとあっさりした顔立ちで、インパクトはないよね。胸と比べて……」

ナース二人が小声でぼそぼそと立ち話をしていたのだった。なんだか陰口っぽくて思わず耳を塞いで通りすぎようとした時ーー

「………あんな娘が……ほんとに入江先生とつきあってるの?」


ーーーーーーへ?

どきん、と。

心臓が大きく鼓動しーーそのまま止まってしまったような気がしたーー。















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2017/11/12 Sun|21:45||EDIT

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2017/11/12 Sun|23:03||EDIT

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2017/11/13 Mon|20:12||EDIT

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