19970928~1997年のHappy Birthday 2



昨夜はemaさんの準備していただいたチャットルームでいつも仲良くしていただいているイタキス愛に溢れる皆様と一緒に、バースディカウントダウンが出来て楽しかったです。
いや、翌日仕事なんで、カウントダウン終わると早々に抜けましたけど(((^^;)残念……

たくさんの方が閲覧してくださっていたようでしたが、次回はぜひ、入室して、一緒にお喋りしましょう♪
(『次回』もあるかもよ?)


そして、お話です。
せっかくの誕生日なのに、すれ違わせて申し訳ない、琴子ちゃん(^_^;)




※※※※※※※※※







直樹が東京に帰ったのは、実に半年ぶりのことだった。
始発の東京行きはそこそこの混み具合で、夢の国へ行くらしい家族連れやカップルもちらほらいた。
いくら700系のぞみが運行開始となり、東京大阪間が二時間半ほどで着くとはいっても、やすやすと戻れる距離ではない。

今日は日曜だが研修医に曜日など無論関係なく、本当なら各科輪番で回ってくる時間外救急の当番日だった。
琴子に今月のシフト表を見せているから、当然仕事だと疑っていないだろう。

実をいうと先月にNICUでの研修のシフト表を貰った時には、一緒に研修する同期の田中から、シフトのチェンジを打診されていた。
なんでも臨月の妻の出産に立ち会いたいから救急の当番日に当たったら出来れば替わって欲しいということだった。
直樹に特に異存はない。
いつでも変わってやるよと約束していた。
結婚している研修医は直樹の他にも意外と多い。デートをする時間が全く取れないので、別れるか結婚するかの究極の二沢になってしまうらしい。

そしてものの見事に当番の日に産気付いて、直樹は田中の替わりに時間外救急の当番についた。
その代替日として直樹が変わって貰ったのは今日ーー9月28日だった。

この日に替わってもらったからといって、別にわざわざ東京に戻るつもりはーー

「戻るつもりで、琴子さんの誕生日にわざわざ替わって貰ったんでしょ? 他にも振り替えられる日があるのに」

何処で聞き及んだのか、直樹の休みを知ったかをる子がにまにまと声をかけてきた。職員の個人情報を全て掌握しているのではと疑いたくもなるが、この隣人はただの事務職員の筈だ。

「何があるかわからないから、帰りませんよ」

NICUは救命ほどオンコールで呼び出されることは多くないが、それでも担当を任されるとそれなりの責任を負う。保育器の中で必死で生きようとしている小さな命を守らねば、と気負ってつい時間外も見守ってしまう。

「別に研修医の一人や二人いなくったってどーとでもなるわよ。うちの小児科は層が厚いの。ほんとは会いに行きたいくせに。 素直じゃないわねー」

相変わらず歯に衣きせぬ物言いでずけずけと核心を突いてくる隣人である。

それでも迷っていたのだがーー

行くことをはっきりと決めたのはほんの数日前。
斗南大学医学部の恩師に頼まれて再生医療学会の懇親会に出席することになったのだ。しかもせっかく休みになった9月28日、日曜に。
畑は違うがそうそうたる顔ぶれに興味はある。とはいえ、学会自体は平日に行われて参加できないため、 神戸からわざわざ懇親会のみに参加するなど、本来なら断ったかもしれないがーー。
懇親会の方が意義のある出会いと会話ができる、という恩師の言葉に促され行くことに決めたのだ。
そう、あくまで恩師が強く勧めるからだ。
懇親会の場所は浜松のホテルである。
ちょうど東京と神戸の中間あたりだ。
そう、決して場所が浜松だったから、なんて理由ではないーー。

「懇親会は夕方5時からなので、ついでに東京まで足を延ばすことにしました」

琴子さんに会いにいくなら誕プレ渡して欲しいなーというかをる子に一応報告した。

「ええ! ついで? ついで? 浜松から東京が『ついで』? えーと、まあまあ離れてるよね? ちょっと足を延ばしました、って距離じゃないよね?」

思わず突っ込んでしまったかをる子に、直樹はあくまで「ついでですよ、あくまで。ええ、ついでに渡してきますよ」とかをる子から誕プレを預かったのである。



ほんとっ素直じゃないなー

肩を竦めて苦笑いをしたかをる子は、たまたまばったり出会った佛円に、「入江先生は嫁に会いに行く『ついで』に浜松の医学会のパーティに出るらしいわよ」と告げたのは、単に彼の本心を代弁しただけで間違えて伝えたわけではないのである。







東京から浜松はひかりで1時間40分くらいだ。
朝イチで東京に行き、15時くらいまでは共に過ごせるだろうか。
懇親会の会場は浜松駅の近くというので、ギリギリまでは大丈夫だ。
昨夜はそんなことを考えながら簡単な荷物を準備して就寝した。

無論、この計画のことは琴子には内緒だ。
事前に伝えて大仰なパーティでも開催されては面倒だ(ホテルを貸しきるとか!)ーーいや、ただでさえ琴子の誕生日は母紀子が一年で一番気合いをいれているイベントである。できることなら巻き込まれるのはごめんなのだがーーとはいえ、誕生日くらいは琴子の願いを叶えてやりたい(琴子の願いは自分に会うことだと断定)と殊勝な気持ちになったのも、夏休みに琴子が神戸に来たときに、余りにトラブルに巻き込まれ、血の気の引く思いを何度もしたせいかもしれない。

さらにもうひとつ後押しをした出来事もあった。
前日の土曜に紀子から電話があったのだ。
佐賀の大叔父が亡くなったということで、重樹とともに九州に旅立つというのだ。
裕樹も日曜は英検の試験で朝から出掛けるらしい。

『お誕生日なのに、琴子ちゃんひとりぼっちなのよ。そりゃ、相原さんはいるけれど、普通にお店もあるものねぇ』

だから、直樹、ちゃんと琴子ちゃんに電話してあげてね。お兄ちゃんの声を聴くことが何よりのプレゼントなんだから。

そういう紀子にも、声どころか本体を届けるつもりであることは話さなかった。
変に興奮して琴子に話すのは間違いないだろう。

だが『琴子がひとりぼっち』というワードは、確かに直樹を『ついで』に東京に帰ろう、という決意を強固にさせたのは間違いない。
まるで何年か前のクリスマスの夜のようにーー

ーーちなみに、昨夜。一応、零時を回った瞬間に「誕生日おめでとう」を云うために電話をしたのである。
何故か誰も出なかったのだが。
(琴子が始発で神戸に行くつもりで早寝したのだと知るよしもない)







そして、9月28日の朝ーー直樹は予定通り朝一番の始発の新幹線に乗車した。
さぞや琴子は目を丸くして驚き、そして感動してむせび泣くのではーーなどと予想しながら、日々の疲れにすぐにシートに凭れて瞳を閉じた。




久しぶりの自宅に帰りついたのは、朝10
時前頃だったーー
駅に降りた瞬間耳に飛び込んできた標準語が妙に心地よかった。そして、懐かしい街並、馴染んだ東京の空気。
そして半年ぶりの我が家ーー。
扉を開ける前から驚愕する琴子のどんぐり眼を想像して、つい口角があがる。


だがーー。
残念なことに。彼を狂喜乱舞して出迎えてくれる筈の妻の姿はその家にはなかったのである。





※※※※※※※※




コメントで質問がありましたので、お答します(((^^;)
『佛円』は『ぶつえん』って読みます。
『佛圓』さんって近くに表札があるのですよー。さすがに全部旧字だと読みにくいかなーと円だけ変えたんですが、やっぱり読みにくかったですね~~(^_^;)





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2017/09/29 Fri|00:14||EDIT

縺ェ縺翫■繧?s

ありゃ!すれ違いになっちゃった?でもあえるんだよね、入江君と琴子ちゃん。v-16

2017/10/01 Sun|11:30|URL|EDIT

のののRe.マロン様

コメントありがとうございました♪

夏休みのなんだかんだで、時間が許すなら会いに行きたいと思えるくらい成長したくせに、口実がないと行動に移せない今一つ素直でないこの時期の直樹さんです(((^^;)
ほんと、読みのあまい直樹さん……
はは、間違いなくすれ違っていたでしょうねー‼

さーて、早く二人を会わせて……ええと、でもhappy birthdayの道のりは遠いのです……f(^_^;

2017/10/08 Sun|19:55|URL|EDIT

のののRe.:縺ェ縺翫■繧?s様

コメントありがとうございました♪

せっかくの誕生日、すれ違わせて申し訳ありませんm(__)mきっと会えるハズ………笑

2017/10/08 Sun|20:35|URL|EDIT

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