1997年の夏休み(終)



※※※※※※※※※※







病院から自宅まで初乗り料金だが、雨足が激しくなってきたこともあり、タクシーを使って帰ってきた。
エレベーターに飛び乗り、少し焦り気味に鍵を開ける。

「琴子!」

しんと静まりかえった気配に、すでに誰もいないことは察することができた。
寝室を確認したが、綺麗にベッドメイクされている。
花火を見に行く前に準備していたキャリーバックもない。

ーーもう駅に向かったのかーー。

しばし悄然と立ち尽くしてしまう。

あれからちゃんと眠ったのだろうか?
部屋は綺麗に掃除され、昨夜汚れた浴衣や下着なども洗濯したらしい。
浴室も綺麗に掃除され、室内干し用の竿に洗った浴衣が干されていた。
こんなにしっかりと家事をこなしていたのなら眠る暇などなかったのではと心配になる。

ふと、キッチンの方から妙な違和感を感じて振り返った。

「………なんだよ、こりゃ」

違和感の主は冷蔵庫だった。
シンプルですっきりしていた筈の冷蔵庫にあったのはーー琴子のドアップのキス顔写真だった。パソコン用のA4のコピー紙にほぼ実物大にプリントされたそれは、ファンシーなマグネットでデカデカと貼り付けられていた。
このカッパとカエルのマグネットはハーバーランドの雑貨屋で琴子が買っていたものだ。

「…………ったく、何考えてんだか……」

思わず誰もいないのに呆れたように口に出して呟く。
パソコンでのプリントアウトのやり方を教えたから、自分でデジカメで撮って印刷したのだろう。
写真用の紙ではないし、画質は荒いが、うっとりと瞳を閉じて唇を突き出している琴子の顔に、だんだんツボって来て笑いが込み上げてくる。

ふとダイニングテーブルを見ると、ルーズリーフに書かれた置き手紙があった。

『入江くんへ。今から忘れ物を届けるために病院に寄ってから、駅に向かいます。病院で会えることを期待してるけど、会えなかった時のために、一応お手紙書いておくね。色々迷惑かけて本当にごめんなさい。でも、デートも出来て楽しい夏休みだったよ!
入江くんと二人暮らしができて、きちょうな経験でした。また電話するね。
お仕事、無理しないよう頑張ってねー。ちゃんと寝て、身体に気を付けてね。
じゃあねー! 琴子 PS.1日1回はこの写真にkissしてね♪』



琴子…………

直樹は何度もそのメモ書きを読み直した。

しかし病院に寄るとは。
すれ違ってしまったのだろうか?
タクシーを使ったのが仇になってしまったかもしれない。

その時、家の電話が鳴った。
病院からである。

「はい、入江……」

『あー入江先生。入れ違いやー。入江先生が病院出たすぐ後に、琴子さん、ここ来はったんや。ほら、ナースシューズ借りたままやったからと、あの火傷の子から預かってた水風船を渡しに来たんやって。あの子のお見舞いのあと、そのまま新神戸の駅に向かうってーー。入江先生きっとすぐに戻るから待っとり、って引き留めたんやけど新幹線の時間に間に合わなくなるからって………』

直樹は佛円の言葉を最後まで聞くことなく、受話器を投げ捨て、再び飛び出した。















「琴子………!」

新神戸の駅の構内で、直樹は必死で琴子の姿を探した。
夏休み最後の日曜日である。既に雨は激しく降り始めていたが、台風直撃前に急いで移動したいという思いもあるのかもしれない。昼前の中途半端な時間な割りに2階のコンコースはかなり混雑している。売店や待合室を駆けずり回り琴子の姿を捜すが見つからなかった。
まだ発車時刻まで15分ほどあるが、もうホームで待っているのだろうか?
直樹は入場券を買って改札をくぐる。

3階にある上り線のホームへと上がり、琴子の姿を探し回る。指定券の号車を思い出し、その辺りの乗り場を目指すと、ほどなくベンチに腰掛けぼんやりしていた琴子の姿を見つけた。

ぼんやり、というよりは、ほぼ眠っている感じもする。時折かくりと首が倒れては起き上がる。

「琴子…!」

直樹が近寄って、ぽんと肩を叩くと、ぴくり、と振れ、そして「ひっ」と頓狂な声を出して飛び上がるようにベンチから腰を上げた。

そして肩を叩いた主が直樹と気付くと、しばし唖然とその姿を見つめる。

「へ? へ? ええーーっ!? な、なんで? 入江くん? う、うそっ! 本物?
ど、どーしてっっ」

幻ではないかと確かめるように直樹の身体をおそるおそる触れようとする。

「本物だぁ ………最後に一目会いたかったから、あたしの願望が見せた幻かと思った……」

そういってペタペタと直樹の身体を触りまくって、やっと嬉しそうに笑う琴子を思わずぐいっと引き寄せて抱き締めた。

「……入江くん……?」

「最後とかいうなよ。いつでも会えるだろうが」

「へ……? さすがにいつでも会える距離じゃ……」

この年、300系のぞみが運行開始されたが新神戸は停まらないし、まだ本数も多くはなかった。しかし東京が格段に近くなったのは確かだ。

「だいたい、あの冷蔵庫の写真はなんだ。変なもん貼りつけやがって」

「 へへへ。なんか予定外に唐突なお別れになっちゃったから、インパクトのある置き土産しておこうって。寂しくなった入江くんがいつでもあたしにキッスできるように……」

「インクジェットの味がするkissはお断りだな」

「えーやっぱ、ダメ~~?」

頭をかきながら、「ちぇー」と頬を膨らませる。

「本物でなきゃ、意味がない」

直樹の両手が琴子の膨らんだ頬を挟み込む。

「だから、とりあえず本物を目一杯補充しておくから」

「……?」

不思議そうに直樹を見つめる琴子の唇が優しく塞がれた。

「………ん……」

こんな人の多いホームで……と一瞬びっくりした琴子だが、すぐに瞳を閉じてそのキスを受け入れる。

長いキスだった。
雑踏のざわめきも肌に突き刺さる視線も段々と感じなくなるくらいに、くらくらしてくるような熱いキス。
しかしホームに新幹線が入ってくるアナウンスが響き渡り、やっと唇を離す。

「……指定券とったのもう一本後のだろ?」

「……うん……」

熱いキスの余韻にぼうっとしている琴子の手を引きよせる。新幹線の乗車位置に並び始めた乗客たちに軽く押された琴子を、直樹はもう一度ベンチに腰掛けさせ、自分も隣に座った。

「おまえ、こんなところでうたた寝してたら置き引きにあっても文句言えねーぞ」

「へへ……結局、昨夜全然寝てなくて……」

「……さっさと帰らないからだろ。しばらく救急外来で手伝ってたって?」

「……うん。 やっぱり気になっちゃうじゃない」

琴子の性格を考えたら予想して然るべきだった。

「濡れたまんまでそんなことしてたら風邪引くだろうが」

「それは入江くんも一緒じゃない」

「おれは手術着変えるときに全部着替えたし」

「……そっか。かをる子さんにも心配かけちゃったみたいだし、申し訳なかったな……」

「森村さん?」

「うん。あたしが帰ってくるまで、気になって眠れなくてずっと玄関の音に耳をそばだててたみたいで。あたしが玄関の鍵をカチャカチャ開けてたら隣から飛び出してきて、『良かった~~!』って、抱きつかれちゃった……」

ニュース速報で花火大会会場の事故を聞いて、もしや巻き込まれていないかすごく心配していたらしい。

『コ〇ンくんが事件に遭遇するのと琴子さんが事件に巻き込まれるのとどっちが多いかってくらい、いい勝負なんだもの。そりゃ心配もするわよ』

結局、翌朝、朝イチの新幹線に乗って名古屋のイベントに出掛ける予定のかをる子と、寝てしまったらやはり起きれそうにない琴子は、ともに徹夜で喋り明かし、朝旅立つかをる子を見送ったあと、寝ないようにずっと部屋の掃除やら洗濯やアイロンがけなど家事をこなしていたのだと言う。

「かをる子さんには最後まで迷惑かけちゃった。申し訳なかったなー。とりあえずお友達と新幹線に乗るらしいから、寝過ごすことはないっていってたけど。あたしも終点だから、新幹線の中で爆睡しても大丈夫かなーって」

「………お袋にホームまで迎えにいくよう頼んでおくよ」

「ええ? 大丈夫だよ。流石に東京駅なら起こされるだろうから、折り返してまた神戸に戻ってくるようなことは……」

「……ないだろうけどな。清掃あるから。東京駅から無事に家にたどり着くか心配だ」

「えー意外と心配症なんだね、入江くんって!」

ころころ笑う琴子に、誰のせいだ、と頭を抱えたくなる。

そのあとホームに到着した東京行きのこだまを一本見送り、お互いにあれからあったことを話した。
運ばれた負傷者が全員無事であったことに琴子は心から嬉しそうに「本当によかったよ……」と手を合わせて呟く。

「あの子の火傷も多分、痕にはならないと思う。水飲み場からホース引っ張ってきて冷やした甲斐があったな」

直樹がトリアージしている間にとっさに琴子が流水で冷やしたのだ。

「昔、入江くんがやってくれたの思い出してた」

「味噌なかったしな」

「もう、流石にあたしだって勉強してるから、味噌だのアロエだのは雑菌入るからダメって知ってるよー」

ふふふっと笑い、昔を懐かしむように遠くを見つめる。

「………ここに来るまえに病院に行って……入江くんとすれ違っちゃったって聞いて……入江くんがあたしを心配して家に戻っていったってことが、すっごく嬉しかったんだけど、なんかこのまま二人の未来を暗示しているようで切なくなっちゃってたの」

少し潤んだ瞳で直樹を真っ直ぐに見つめる。

「大袈裟だな」

「もう一生すれ違ってしまうような気がしてきて」

「そんな訳あるかよ」

へへへっと舌を出して笑ってから、

「昨日のあのドタバタのまんまお別れで、しばらく会えないと思ってたから、今、こうしてわざわざお見送りにきてくれたなんて、もう、めっちゃ嬉しいよーーっ」

そして直樹の胸にがしっ飛び付いてくる琴子に、思わず胸の奥底からいとおしさが沸き上がってくる。

ベンチに腰掛けたまま、もう一度抱き締めてキスをした。
何度も、何度も。昨日の夜を埋め合わせるように。

ーー飛んだバカップルと思われているだろうがかまうものか。あと、たった数分で琴子の乗る新幹線が来てしまうのだ。

「……入江くん……みんな見てるよ」

「いいよ、別に」

琴子は、恥ずかしさや嬉しさでくらくらしながらも、直樹が時折こんなふうにスイッチが入ると周囲の視線など全く気にしなくなることを少し思い出していた。
ほんの数ヵ月前、直樹の卒業式でも同じようなことがあった気がする。
なんだかあの春の日が遥か遠い昔のようにも思われる。そして別れの切なさの度合いはあの日よりどんどん増していく。

直樹にしても、3月の時よりも、6月の時よりも、今日の方が琴子が傍に居なくなるという喪失感や虚無感が増していることを実感していた。それくらいこの一ヶ月は琴子の存在が彼の生活の全てを占拠していたのだ。


『11時××分東京行きひかり×××号まもなく到着します…………』

到着のアナウンスが流れて、二人はやっと互いの身体を無理矢理に引き剥がし、ベンチから立った。

「じゃ、じゃあね……入江くん」

「ああ」

「また電話するね?」

「ああ」

「国試の勉強、頑張るね」

「その前に前期試験あるだろ?」

「う、うん。もちろん、頑張るよ。明日からのインターンシップもね」

無理矢理笑顔を作り、力こぶをみせる。

「特養ホームだっけ? 今度は年寄り相手に変なトラブル起こすなよ」

「……別に起こしたくて起こしてる訳じゃ……」

トヨばーちゃんみたいに強烈なキャラクターの人がいなければいいけど、とぼそぼそっと呟いた声は力なく消えて行く。

困ったように眉尻を下げた琴子の髪をくしゃりとかき混ぜながら、
「……わかってる。明日からは近くには居られないんだから、死にそーな目にだけは遭わないでくれ」と、告げる。表情は淡々としているが、実はかなり切実な願いだ。

「……がんばる」

その時、新幹線がホームに到着した。
暫くして扉が開かれると、ホームドアも開かれる。
綺麗に並んでいた乗客の波が動き始めた。
その列の一番最後についていた琴子は、慌てて列からずれてホーム柵の横に立った直樹に問いかけた。

「あ、あのね………次はーー」

次はいつ来ていいーー?

そう訊ねようとして口ごもる。応えようのない問いだとわかっていたから。
例え直樹が休みを取れたとしても、いつ呼び出されるかわからないのだから。

「………ううん、何でもない」

「琴子」

「何……?」

「多分、これからもっと忙しくなると思う」

「う、うん。そうだね。わかってるよ」

「予定していた研修スケジュールを色々組み立て直そうと思ってる。2年で受ける研修を出来るだけ前倒ししたいんだ。楡崎教授のチームでやってる研究も、なるべく早く結果が出せるようにしたいし」

「え? ああ、もしかして救命へ行くため?」

「いや。各務先生の誘いは断ろうと思う。医者になろうと思った最初の原点に立ち戻って考えると、やっぱり小児外科でしっかり研修を積みたい」

「うん。応援するよ、あたし」

「………ああ」

琴子が来てからずっと考えていたことだった。

「何にせよ、自宅に戻れる時間も少なくなって、電話にもなかなか出られないかもしれないけど……」

「い、いいよ。勝手に留守電いれとくから」

「ああ」

乗客の乗降が殆ど終わり、琴子は最後に新幹線のステップに足を掛け、振り向く。
直樹はホーム柵の向こうに立っていた。

出来れば新幹線の扉が閉まるその瞬間まで、手と手を触れ合わせていたかった。それに最後のキスも………
日本で二番目にこの駅に設置されたというホーム柵が、ベルリンの壁のように二人の間に立ちはだかる。

「待ってるよ。おまえのとりとめのない留守電へのお喋り」

「うん…! うん……! 」

「琴子……」

『まもなくドアが閉まります……』

直樹が何かを云おうとした時に、無情にもドアが閉まる。
琴子は涙でぐちゃぐちゃになった顔をガラス窓にぺったりと貼り付けていた。
そして、動き出した新幹線から、姿が見えなくなるまで手を振っていた。

「入江くん、入江くん、頑張ってね~~!!」

声は聞こえないがそう云っているのがしっかり分かる。

激しく雨が降り注ぎ、あっという間に視界から新幹線は消えていった。
直樹は見えなくなってからも暫くホームに立ち尽くしていた。



その後、台風は大きな被害もなく、関西を通過し、琴子の後を追うように関東へと進路を向けていった。次第に勢力の弱まっていったこの夏最後の台風は、東京でも甚大な被害が出ることはなかったーー。













9月10日(水)


「はい、浴衣の染み抜き。だいたい綺麗にとれたと思うわよ」

5連休のあとのほぼ休みなしの連日勤務、しかも自宅に帰ったのは4日振りだった。
本来なら休みの筈のその日も、昨夜からの急患で結局自宅マンションについたのは日暮れ近かった。
そして直樹が帰るのを待ちわびていたように、かをる子が玄関から顔をだして、クリーニングの袋を渡す。

「ありがとう。変なこと頼んで申し訳ない」

「いえいえ。泥まみれで血もついてたものねぇ」

洗濯したものの乾かなくて東京に持って帰れなかった浴衣は、よく見ると汚れがしっかり落ちていなくて、結局かをる子に帯と一緒にクリーニングに出してもらっておいたのだ。

「琴子さんは元気?」

「のようですよ。特養ホームでのインターンシップは何事もなく無事終わったようですし」

「そうなんだ。やっぱり彼女のトラブルはあなたと一緒にいる時に引き起こされるみたいね」

くすりと笑うかをる子に苦笑いを返すと、クリーニングの袋を受けとり礼を云う。

「琴子さんが電話で、冷蔵庫の写真どうしたか気にしてたんだけど」

例のキス顔写真を撮った時、かをる子も一緒だったらしい。にまにまと楽しげに聞いてきた。

「処分しましたよ。冷蔵庫にモノを貼るのは趣味じゃない」

仏頂面で答える直樹に、かをる子は思わずにやりと不敵な笑みを返す。

「そーだよね。滅多に帰らない自宅よりも肌身離さずの写真があるものね」

「…………なんのことです?」

怪訝そうに眉を潜めてかをる子を見る。

「病院で使ってるネームプレート。あの裏に琴子さんの写真入れてるでしょ?」

「………いつ見たんですか?」

怪訝な表情が不穏な表情に変わる。

「あーやっぱりそうなんだー。見たわけじゃないのよ。でも前にちらりと裏表がひっくり返った時に、写真が裏返して入ってるなーと思ったのよ。それでカマかけただけ」

琴子がこっそり直樹の鞄に忍ばせた結婚式の写真が部屋に飾られてなくてーーと嘆いた時、ふともしかして、と思ったのだった。

「……目敏いひとだ……」

直樹が忌々しそうにため息をつく。
ネックストライプのネームホルダーの、自分の顔写真と名前の裏に、確かに写真を入れていた。しかしひっくり返っても裏しか見えない。

「ただの厄除けです。あいつに余計なことを云わないでくださいよ」

「………厄除けって……」

ったく、素直じゃない隣人だな、と、かをる子も呆れ返るが、「ご利益はかなりありそうね」とにこやかに微笑みを返す。

「あいつのお守りは紙一重ですけどね。吉となるのか凶となるのか。でも吉凶は裏返しですから」

ドタバタした大学受験を思い出す。大変だったけど刺激的な出来事だった。あれが不幸な出来事だったのかといえば今となればそうではなかったのだと思える。



部屋に戻ると、いつも通り留守電を聴く。

『入江くん、元気~~? 夏休みもあと少しで終わって、来週からいよいよ大学始まるの。モトちゃんたちのお陰でレポートもだいたい片付けたし、あとは前期試験を頑張るからねーー!』

琴子の声を聴きながら着替えをする。
相変わらず脈絡のない話をだらだら喋り、そしてタイムアップで話は途中で途切れる。

「たまにはオチを聴かせてくれ」

一人くつくつ笑いながら寝室に入り、ベッドの脇のコルクボードに貼り付けた琴子のキス顔写真に話しかける。

浴衣をクリーニングの袋から出して、琴子が使っていた衣装ケースの箱に納めた。幾つかの衣類は置いていったままだ。

まだまだ残暑厳しく、何日か窓を開けることのなかった部屋は熱気が籠っている。直樹は部屋の窓を開けて空気を入れ替えた。
夕方の涼しい風がふわりと頬を撫でる。
それでも朝晩はめっきり涼しくなり、秋の足音が着実に近づいているのを感じていた。


ベッドの傍らにはキス顔写真の他にも、ハーバーランドで撮ったツーショット写真も飾られてある。
琴子の残した夏の忘れものたちと一緒にひとつのスペースができあがっていた。

浴衣の他にも下駄や巾着袋。
化粧品や片っぽだけのイヤリング。
書きづらそうなファンシーなシャーペン。

送り返す必要もないだろう。
どうせまたそのうち、この部屋に来るのだから。



直樹は久しぶりにベランダに出て、東京にも続く夕焼け空を見ながら、紫煙を燻らせる。
手にはコードレスの電話の子機を持っていた。

ーー話のオチを聞いておかないとな……

真っ赤な絵の具をオレンジ色と混ぜ合わせたような鮮やかなグラデーションが神戸の空を秋色に染め上げる。

ーー目の前に広がる空は切ないくらい美しかった。











ーーー1997年の夏休み〈了〉




※※※※※※※※※※※※※※




……………やっと、終わりました。
夏にギリギリセーフかしら。
あとがきはまた後日……(((^^;)


夕焼け空はフリー素材お借りしました。
自分で描くなり写真を撮るなりしたかったのですが……時間なく断念……(T_T)

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コメント

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§

あ=あ|おわちゃった

§ 楽しかったです♪

のののさん、こんばんは!
初めてコメントさせて頂きます!

1997年の夏休み
めっちゃ楽しく読ませて頂きました!
実を言うと、のののさんの二次小説は
私の中でナンバーワン!ってくらいツボなんです!
更新が待ち遠しいくらい(笑)
この1997年の夏休みシリーズも
入江くんや琴子ちゃんだけじゃなく
名脇役のメンバーみんな生き生きとして
今にも飛び出して来そうです!
誰かこのストーリーをマンガにして!
ってくらい小説とマンガで2度楽しみたいくらいです。
のののさんのお話しでこれからも
いろんな時代の入江くんと琴子ちゃんに
会いたいです!
ありがとうございました!

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§ Re.virgo様

拍手コメントありがとうございました♪

はじめまして! いつも読んでくださっていたのですね。思いきってコメントくださってとても嬉しいです。アメブロと違って拍手してくださった方の名前とかもわからないもので……拍手のついでに一言でも何かいただけるととても励みになります(^_^)
そうですね、琴子ちゃんの成長に入江くんの深い愛情(わかりづらいですけどねっ)……そんな風にいっていただいて嬉しいです。
一大巨編などという大層なものではないですが、最終回にうるうるしてもらえたなんて、とっても嬉しいです。
はい、これからも頑張ってイタキスワールド描いて行きたいとおもいます!

§ Re.マロン様

コメントありがとうございました♪

ふふふ、そう、すれ違いドラマって好きなんですよね〜〜
私も、台キスでは神戸で離ればなれになるシーン、割といちゃいちゃしてるのが好きで。裕樹くんの顔を無理やり横に反らして琴子にキスするのとかねー(((^^;)
この別れのシーンがなかなかうまく書けなくて、マロンさんも巻き込んでお騒がせしてしまいましたが、あまりホーム柵でドタバタコメディにはなりませんでした笑 とりあえず切ない感じにもってこれたから
ま、いいかf(^_^;

琴子グッズに囲まれる入江くんもどうかと思いましたが、いいんですよね、ツンデレなんで笑

はい、やれやれです。やっと肩の荷が一個降りましたf(^_^;
現実に即して書くつもりが結局ラストは何もかも捏造ですが(天気に花火大会の日程に……当時の医療事情も段々いい加減に……)なんとか終えることができて、ほっとしております。最後までお付き合いくださってありがとうございました(^-^)v

§ Re.紀子ママ様

コメントありがとうございました♪

こちらこそ、最後までお付き合いありがとうございました。

入江くんがさっさと切り上げて東京に戻った時、予定の研修できずに帰ってきたのか? それは琴子ちゃん泣かせてわざわざ行った意味ないじゃん、と思って、予定の研修はクリアさせたかったんです。これくらい早くから動かないと、医者の勉強って甘くないだろうって。
スッキリ納得してもらえたならよかったです(^-^)v

かをるこさんは多分ちょいちょい出てきますf(^_^;
救命メンバーはどうかなーー^_^;
かがみんと姫子さん……ちょっと考えたりもしましたが……たぶんかがみんは、まどかさん一筋だろうなぁ〜〜

本当に紀子ママさんにもほぼ毎回コメントいただいて、色々励みになりました。お陰で無事完走できました(^-^)vありがとうございました♪

§ Re.heorakim様

拍手コメントありがとうございました♪

こっそり琴子ちゃんの写真もってるって、なんてツンデレ野郎なんだーと思いつつ。
私も昔は携帯の待受は娘だったけど……旦那の写真持ってたことないなー。旦那の待ち受けには女優さんの写真があったけど笑

最後までお付き合いありがとうございました(^-^)v

§ Re.butapanko様

拍手コメントありがとうございました♪

最後までお付き合いありがとうございました(^-^)v喜んでいただいてよかったです。
はい、これからも頑張ります!

§ Re.なおちゃん様

コメントありがとうございました♪

はい、終わっちゃいました。最後までお付き合いありがとうございました〜♪

§ Re.ハニ様

コメントありがとうございました♪

はじめまして!
No.1なんて、数あるイタキス二次小説の大先輩方がいらっしゃるのに、身に余るようなお褒めのことば、本当に嬉しいです。
なかなか思うように更新できずにお待たせしてしまって申し訳なかったですが、ようやく終わることができました(^-^)v
はは、漫画化ですか? そんな奇特な方はいないと思いますし自分でももう漫画は描けないですが、そんな風に思って貰って嬉しい限りです。
はい、これからも頑張っていろんなイリコト書いていきたいなーと思います(^^)d

最後までお付き合いありがとうございました♪

§ Re.ちびぞう様

コメントありがとうございました♪

ふふ、台キスにそんなシーンありましたね。
琴子を探し回る入江くんとか焦りまくる入江くんとかめっちゃ好物なんですよねー(へへっ)
その歌は知らないですけど、色々自分のお話からイメージや妄想膨らませてもらえると嬉しいです。
かをるこさん、みなさんから好かれてますね〜〜私も好きなのできっとまた登場しますよ(^-^)v

ほんと、突然寒くなりましたね。台風も近づいて変な天気です。お気遣いありがとうございました。ちびぞうさんもご自愛くださいませ。

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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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