20070602 ~運動会は晴れやかに。



連載中断して申し訳ないです。
今、病院本用の原稿に取りかかってまして……しばらく停滞するかもですf(^^;
コメント返信も滞ってますが、必ずリコメいたしますのでお待ちくださいませ。

とはいえ、病院ネタ1本書き終えて、全年齢対象なのに、うっかりあまり健全ではない話になってしまい………あかん。すっかり不健全なものしか書けない体質になってしまっている………

ということで、目指せ健全!をテーマに書いてみました(^_^;)
Mさま宅の息子さんの運動会の話を聞いて触発されまして。

うちの子供たちはみんな秋に運動会で、いまいちピンと来ませんでしたが、今はこの時期が主流なんですね。今は子供たちの母校の小学校も5月に開催のようです。









※※※※※※※※※※※※※※





今日は琴美の小学校に入って初めての運動会だった。琴子、紀子は早朝からお弁当の準備に余念なく、重樹、重雄のじいじコンビは朝から場所取りの為に校門前に待機である。


直樹は昨日緊急オペとなった担当患者の容態が安定していなくて、どうなるかわからない、ということで昨夜から帰宅できていない。

行けるようなら病院から直行するということだが、お陰で琴美も琴子も意気消沈だ。


「いっそ雨になればいいのに」


と、曇天の空を恨めしげに眺める。

今日の降水確率は50%。大変微妙な天候であった。

直樹が来れるなら晴れに、直樹が来れないなら雨に、と都合のいいことを祈っていたが、朝になっても直樹は来れるのか、天気は持つのかはっきりしない。


とりあえず学校からは、運動会は予定通り開催という連絡メールが届いたので、昨日立てたプラン通り家族一丸となって朝から琴美の運動会に向けて動き出していたのだった。




「みーちゃん出るの3番目と6番目だよね」


プログラムの1年生の種目は、ポンポンを持ってダンスをする『100%勇気』と『徒競走』である。


「午後からの『地区対抗リレー』にも出るよー」


「ああ、そうだったわねー。ママも出るやつね」


「それと『玉入れ』と最後の『騎馬戦』の帽子とり」


「結構いっぱいでるよねー。最後までお天気持つといいなぁ」


途中で中止になる可能性もまだまだ有りそうな怪しげな空模様である。

暑くなくてちょうどいい気温ではあるが。


「琴子ちゃんも出るの?」


紀子に訊ねられ、「はい、そーなんです」と頭をかく。


「このPTA競技の『借り人競争』と、琴美も選抜された『地区対抗リレー』に………」


「『借り人競争』って、何かしら。つまりは借り物競争のこと?」


「多分そうだと。引いた紙に、かなり具体的な名前が書いてあるらしいです。先生の名前とか、来賓の方の名前とか……」


そしてその人をさがして一緒に二人三脚するらしい。

PTA役員からざっくりと説明を受けて、たとえ先生でも異性で二人三脚はイヤだとクレームがあって、必ず同性の人と当たるようになっているらしい。


「なんか、ハズレは校長先生と、事務の先生だって。めっちゃ足が遅いらしいの」


「校長先生はわかるよね」


重樹と同じような体型をしている。


「あやか先生はアタリかなー」


「みーちゃんの担任の先生だよね。若いし、体育の先生だし、足速そう」


「うん。今日も『琴美ちゃんのパパ、見に来てくれるのかなー?』ってスゴく気にしてくれたの」


「……………………」


別の意味で気にしているのでは、という予想はついたが敢えて言うまい。そんなのは幼稚園の行事の時からしょっちゅうである。


「あ、1枚だけ、名前が書いてなくて、『誰でも好きなひとを自由に連れてきてください』って書いてあるらしいんです」


「まあ、好きなひと!」


紀子がにまーと笑って「おにいちゃん間に合うといいわよねー」と、笑った。


「『好きなひと』ってそういう意味じゃないですけどねー」


とはいえ、直樹がいたら迷うことなく選ぶことができるのだが。


「お義父さん、もし入江くんが来なくて、その札引いちゃったらまたお願いしますねー」


「ええ?   いいのかい?  わしで。またビリっけつになっちゃうよ」


頭を下げられた重樹があわててキョロキョロする。


「大丈夫ですよ。子供たちの紅白戦には点数関係ない余興ですから!」


「俺が走ってやろうか?」


裕樹が名乗りをあげた。確かに重樹より速いだろうが。


「ええーっいいよ。好美ちゃんにわるいし。それにみっきぃまっきいの面倒見なきゃ、でしょ?」


裕樹と好美夫婦も応援に駆けつけているが、やんちゃな双子の瑞樹と将樹がいるため、撮影要員として駆り出すのすら躊躇するところなのである。そのうえ琴美の弟の遥樹の面倒も頼んでいる。


「あたしは全然いいんですけどね。でも、もし裕樹くんと二人三脚してる時に直樹先生駆けつけたら大変なことになりそうな…………」


好美の一言に、「う、うん。そうだな……」と裕樹もあっさり前言撤回する。

確かに考えるだに恐ろしいと、軽く身震いしつつーー。


「なんや、琴子。わてが走ってやってもええで」


となりのスペースに陣取っていた金之助が割り込んできた。

金之助の娘のアンジーも琴美の同級生である。行事の度に行動を共にすることが多い。

今回も入江家と池沢家と両家のシートだけでかなりのスペースを占めていた。無論、ハデな応援横断幕も張り巡らして、目立つことこのうえない。


「アカンヤロ。金之助ト走ットル時ニ直樹ガ帰ッテキテシモータラ、ソレコソ殺サレテマウワ。ソレニアンタ後半ノ地区対抗リレー二出ナアカンヤロ?」


クリスにたしなめられる。


「別に地区対抗リレーに影響なんてないわ」


地区対抗リレーは一年生から順番にバトンを繋いでいき、最後は保護者がアンカーを務めるかなりガチなリレーである。毎年白熱して、わが年齢を省みない親たちが後で筋肉痛に泣くという。


「入江はでえへんのか?」


「うん。頼まれたけど、やっぱり仕事がどうなるかわからないからと断ったの」


ガチリレーなので、なかなか参加者を探すのが大変なようだ。

結局琴子も頼まれた。『借り人競争』にも出るのだから断ってもよいのだが、あまりにも役員の人が困っていたのでつい受けてしまった。


「こんどは金ちゃんと敵チームだね。負けないわよー」


公立の小学校区で分けられた地域対抗戦である。金之助の家とは学校区は違うので、斗南でなければ同級生とならなかった。


「おう。高校でほぼ全種目一位のわてに敵うもんはおらへん」


「ほぼね」


ラストのクラス対抗リレーは結局初めて全力を出した直樹に破れたのだった。


そうそう、そのあとに…………


入江くんてば転んだあたしをおんぶして医務室に運んでくれたんだよねー



琴子はつい、高校最後の体育祭を懐かしくあれこれ思い出してしまっていた。


『借り物競争』で『好きなひと』を引いて思わず重樹を引っ張ってしまった。

勇気を出して直樹のところに行ったら一緒に走ってくれただろうか?


………ないだろうなーー。


あの頃は思いっきり迷惑がられてたし。


いや、でも、でも!  その後のリレーであのおんぶ事件があったわけだし!


あーちょっとあのときに遡って、やり直したいかも。


案外、『ちっしょーがないなー』って口ではブツブツ云っても、すんなり走ってくれたかも~~~



「ママ、どうしたの?」


すっかり気分は高校時代にタイムスリップしていたところを琴美に引き戻された。


「あ、うん。なんでもないよー。ママも色々頑張るからっ琴美も頑張ってねー」


がっつり力瘤をつくって児童席に戻っていく娘を見送った。








分厚い雲の下で、開会式も滞りなく終わり、順調に競技が始まった。

琴美のダンスには残念ながら直樹は間に合わなかった。

しかし、家族全員一致団結して、完璧に琴美の姿を追うことができ、何とかビデオに収めることが出来たのだ。

こういうクラス単位の集団演技は位置が頻繁に入れ替わってしまい、なかなか子供の姿を探すのが大変なのだが、事前に琴美の立ち位置を入念にリサーチし、四ヶ所に分かれてビデオをかまえて、しっかりその愛らしい演技をアップで撮ることができた。きっと帰宅後紀子が完璧に編集してくれることだろう。



琴美の徒競走が始まっても、直樹はまだ来なかった。

琴子は何度か携帯を確認したが連絡はないようだ。


入場門から運動場に並んで走っていく一年生集団の中で、琴美が浮かない顔をしているのが見てとれて、琴子も少し残念そうだ。

練習では必ず一番でテープを切っていたので、直樹にはぜひ見てほしいと願っていたようだった。



いよいよ琴美の番になった。


スタートを知らせるピストルの破裂音が空に響く。


「みーちゃんっがんばれー!!」


家族全員の応援がひときわ熱が入り、かなり目立っていた。


しかし、琴美はピストルの音に一瞬躊躇したようで出遅れて、三番目くらいの順位だった。


「みーちゃんっ」


ゴール位置に立つ琴子も必死で声を張り上げる。

琴美も必死で追い上げ、二位にまで追い付いたが、一位の子を追い抜くのはあと一歩だった。


そのとき。


「琴美!  がんばれ!」


琴子のすぐ横から、琴美を応援する大きな低い声がーー。



「入江くんっ」


琴子がおどろいて振り向いた瞬間に、「琴子、抜いたぞ!」と直樹が叫び、そしてその瞬間に琴美がゴールのテープを颯爽と切っていた。


「きゃー、みーちゃんやったあー!」


琴子は直樹にしがみついて喜ぶ。


「あー、ママ、ズルい」


琴美も満面の笑みで、すっかり周囲から注目を浴びていた観客席の両親に突っ込んだ。




「……間に合ってよかった」


「ああ」


「ふふ。入江くんが来た途端に、お天気も良くなってきた」


空一面を覆っていた灰色の雲間からいつの間にか太陽の光が射し込んできた。

梅雨入り前の鮮やかな緑が、きらきらと光に反射して輝いてみえる。





さて。

その後の琴子の参加するPTA競技だが、相変わらずの引きのよさで、案の定『好きなひと』を引き当てた琴子は、今回は迷うことなく直樹のところに直行し、二人で初めて二人三脚をしーー絶妙なコンビネーションで………とは言い難くーーまったく歩幅の合わない琴子が直樹にほぼ抱えあげられる形で、それでも一番にゴールしたのである。


当然、二人三脚の二人は紀子によってばっちり記録されている。


その後の午後の競技の地区対抗リレーでは、保護者の男性参加者に欠員ができたからと地区委員の人に頼み込まれ、直樹がリレーに出ることになった。



直樹にバトンを無事渡すという琴子の念願が16年越しに叶えられた奇跡の瞬間であった。

直樹たちのチームは最初は琴美が頑張って一位をキープしていたが、四年生あたりで抜かれ最下位に落ち込んでものの、琴子の頑張りで四位まで浮上した。

そして、琴子から受け取ったバトンを持って、あっという間に一位だった金之助を抜かし、かつてはギリギリで追い越したクラス対抗リレーとは違い、ぶっちぎりの一位でゴールを切ったのである。

そして「入江くん、すごーーいっ」と駆け寄った琴子に、「そりゃせっかくおまえから間違わずにもらったバトンを無下にするわけにはいかねーだろ」と笑ってその頬にキスをしたのであった。

(ちなみに、まだ運動場のゴール地点、来賓テントの真ん前である)

そして学生時代と変わらぬ黄色い悲鳴が飛び交ったのは昔と変わらぬ光景であったーー。


もっとも。退場門で二人揃って参加賞のラップをもらった後、駆け寄って出迎えた琴美から「パパ、ママかっこいーー」と言われ、いつものシニカルな笑みではなくて、優しく笑って娘を抱き上げる姿は16年前とは比ぶるべくもないのである。

(ちなみに、横で金之助は、クリスから熱烈キッスの嵐を受けていたのだが)




「あやか先生も、まやちゃんママもめっちゃ、羨ましそうに見てたよー」

と、にまにま報告してくれた琴美の言葉に思わず赤面する琴子。

「もう!  絶対いい歳して、って呆れられてる~~」


「他人の目なんて気にしてどーする」


高校時代のおんぶシーンよりインパクト薄いだろ?と言わんばかりの直樹であった。


当然、そのシーンもばっちり紀子の手によって………





その後。養護教諭が体調不良で早退してしまったということで、何故か怪我をした児童の手当てを頼まれてしまった直樹と琴子は、やっぱり高校時代とは違う時の流れを感じたのであった。

さらについうっかり全力を出しすぎて足を痛めたり負傷してしまったパパさんたちの手当てまでする羽目になってしまったのも、もうこの際成り行きとしか言い様のない事態であった。



そしてーー。初めての運動会は降水確率50%などものともせず、結局最後にはすっかり青空に包まれながら爽やかに全競技を終えたのであった。






*     *     *




その夜は打ち上げと称して、金之助一家や裕樹たち家族も呼ばれパーティが開かれた。

無論メインイベントは、早速編集された紀子力作の本日の琴美の勇姿のビデオ上映会なのである。


「ほら、入江くん見てーっ。琴美、めっちゃ頑張ってるでしょ?」


集団演技に、徒競走。

応援合戦も、一年生ながらかなり目だっていた。

地区対抗リレーも琴美はずっと一位をキープしていた。

(無論、琴子から直樹にバトンを渡すシーンはスローでズームアップ。ドラマチックなBGM入り)

ラストの紅白の勝敗が確定する鈴割りと騎馬戦では、颯爽と帽子を取りまくり、最後まで帽子を取られることなく残っていた。


「やっぱ、みーちゃん入江くんに似て運動神経いいわよねー」


「あら、琴子ちゃんだって運動神経いいじゃない。昔、リレー相当速かったわよ。テニスだって頑張ってたし」


そう紀子に誉められて照れながらも、映像はいよいよ閉会式。琴美の赤組優勝で、満面の笑みで万歳する琴美のアップでこのビデオが終わるかと思いきやーー



「え?」


何故か唐突に高校時代の直樹と琴子が写し出されーー(しかも映像、デジタル加工したのか、かなり綺麗になっている)直樹が琴子をおんぶして運動場を去っていくあのシーンが始まったのである。



ーーすべてはここから始まった。



パワーポイントで絶妙に編集された映像に、そんなテロップが妙に感動的に現れ、画像がフェイドアウトしていった。


「おふくろっ!!」


「すっごーい、お義母さん。短い時間でこんな素敵な編集!」



ーー入江家は、今日もにぎやかであったーー。








※※※※※※※※※※※※


Mさま宅のお子さまの運動会のプログラムにあった『借り人競走』がめっちゃ気になったのに、運動会、雨で午後の部が中止になり、この『借り人競走』行われなかったようなのです。なので勝手に妄想してみました。
Mさま、色々参考にさせていただいて、さらに使用すること了承していただいてありがとうございましたm(__)m
運動会、残念でした~~~せっかく赤と白の攻防が僅差で白熱してたところだったのに~~


子供の運動会って、PTA競技の参加を頼まれるのがすごく困ったなーという記憶が強いです。電話しまくって頼む役員さんも大変だなーとか。
うちは旦那が一度引き受けたら毎年のように頼まれてたな。(そしてお決まりの筋肉痛コース)
結局、個人で走る障害物競走はいつのまにかなくなって、みんなが参加できる大玉転がしや玉入れやじゃんけんゲームに変わりました。みんな参加賞のごみ袋目当てにこぞって参加してくれるようになりましたよ(^_^)v
なんか、懐かしいなー。










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§

運動会いいですね、最近は春に行うことが多くなりましたよね?昔は秋でしたけど、しかし入江家欽ちゃんの家みんな賑やかな運動会楽しそうですね、入江君も間に合ってよかったね。

§ Re.マロン様

コメントありがとうございました♪

つい運動会話で盛り上がったので書いてしまいました(((^^;)
きっと直樹が来たから雨は降らなかったのですよ。琴子の祈りは最強です(^-^)v
運動会の集団演技は入れ替わり激しくて撮るの大変です。そりゃもう抜かりない紀子ママですので、スタッフ配置に抜かりはないかと。でもきっと琴子は撮るの忘れて瞳に焼き付けていることでしょう。

結局謎だった借り人競争……勝手に捏造しちゃいましたが。本家はどんなものだったのか気になってます。

ビデ上映会はお約束〜〜でもきっと、紀子ママさんにとってのベストシーンはやっぱり琴子と直樹のおんぶシーンじゃないかしら?

ふふふ、私の不健全すきだといってくれて嬉しいです! いやー私の話、基本不健全ばかりですのでねぇ…それこそが二次の醍醐味だと思ってますし。でも線引き難しいなーと。色々アドバイスありがとうございました♪


§ Re.さち子ママ様

コメントありがとうございました♪

そうそう、うちもそうでしたよー。下の娘の時は、わざわざリレーの位置とか集団演技の立ち位置とかプリントで配ってくれたりしたなー(低学年の時だけでしたけど)
うちの旦那さんはよく頼まれて走ったけど、あとで撃沈してましたよ。きっと入江くんはうちの入江家末っ子ぴよちゃんの時にも(アラフィフになっても)颯爽と走るんだろうなー。ほんと、羨ましい……(((^^;)

お気遣いありがとうございます!はーい、マイペースでまいります(^-^)v

§ Re.なおちゃん様

コメントありがとうございました♪

そうなんです。うちの子達はずっと秋でしたけど、いろんなところで運動会の記事を目にして書きたくなりました。入江家の運動会はいつだって大騒ぎで賑やかなのです(^-^)v

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