20030523 ~今宵はキス講座を






キスの日中にアップ、今年はなんとか間に合いました。

去年と同じくぐーぐる先生にお世話になって、さくさくっと書いたので中身はないのです………(((^^;)



そして、emaさまもむじかくさまも乗っかっていただきありがとうございました~~(^^)d





※※※※※※※※※※※※※※







「入江くーーんっ! ねぇねぇ知ってた?」

毎度お馴染み琴子が一冊の雑誌を持って書斎に飛び込んできた。

デスクのパソコンに向かって論文の作成をしていた直樹は、何事かとくるりと振り返ると、琴子が直樹の眼前にバーンと雑誌の見開きページを開いて差し出した。

そのページには、金髪の男女のモデル二人が、ベッドに寝そべってキスを交わしているセピア色の美しい写真が載っていた。

ーーなんだか去年にも同じようなものを見せられたような………

軽い既視感を感じつつ、その琴子愛読の女性雑誌を受け取って斜め読む。

どうやらその雑誌は毎年この季節にキス特集をしているようだった。

今年は幾つかの写真を載せてキスのバリエーションを説明していた。

「ねぇ! 入江くん! フレンチキスって……フレンチキスって軽いキスじゃなかったのよっ ディープキスのことだったのよー‼ 知ってた? ねえ、入江くん知ってた? あたし、てっきりフレンチキスって、チュッてかるーくする可愛いキスのことだとばっかり思ってたのにーー!」

琴子は興奮した様子で、フレンチキスの項目を指差した。
物凄い世紀の大発見をしたかのような勢いだ。

確かに琴子の指差したところには、
『フレンチ・キス』というタイトルがイラストと共にあり、「日本では軽いキスだと誤解され、一部ではそのように認識もされているが、実は舌と舌を絡めあう深いキスのことである」とあった。

軽く触れあうようなキスは『ライトキス』、『バードキス』などというのが正解らしい。

「入江くん、知ってた?」

琴子がわくわくとした瞳で直樹の答えを待っている。

「………知ってるけど。語源はフランスと仲が悪かったイギリス人が、フランス人の濃厚なキスを見て、下品だと揶揄してフレンチキスと呼んだという説もある」

「ええーーっ 入江くん、そんなことまで知ってるの? 」

琴子が目を丸くして驚愕している。

「多分、おまえが妊娠した時に産科に付き添って、待ち合いにあった雑誌で仕入れた情報なんだろうな。読んだ記憶があるってことは」

とにかく活字中毒気味なところのある直樹は、手持ちぶさたになるとついついどうでもいい雑誌にすら手を伸ばして読んでいるのだ。

ほんとうに一度インプットした情報は、どうでもいいことでも忘れたりしないのだなぁとつくづく感心してしまう。

「そうなんだー。あたし、フレンチキスって挨拶でするようないっちばんライトなキスだと思ってたからちょっとびっくりだったのっ」

30過ぎて初めて知った驚愕の真実だわよ~~~と琴子は未だ興奮冷めやらぬようだ。

いや、でも息せきって大慌てで教えにくる情報でもないだろう、と思わず突っ込みたくなる。


「………でも、キスってこんなにいっぱい種類があるんだねぇ」

無理矢理名前をつけたんじゃないかというこじつけ感は否めない。
名前なんてどうでもいいだろう、というのが直樹の正直な感想だ。

フレンチキスがディープだろうがライトだろうが世間的には困らないしどっちだっていい。

「『スメルキス』 ……鼻と鼻をくっつけあうキス………うーん、唇を合わせてないのにキスっていうのかなぁ?」

しかしさすがにキスの名前ひとつひとつまでは仕入れていなかったようで、いちいちそんなネーミングがあるのかと呆れているような表情の直樹。

『カウンティングキス』キスの回数を数えながらキスすることーー琴子の得意技だが、実のところ最後まで数えられたことなんてない。数える余裕なんて与えたことはないのだから。

「『エアクリーニングキス』相手の口内の空気を吸い込むキス………なんだ、そりゃ?」

「『バタフライキス』……なまえが可愛いね。睫毛を相手の頬とかにぱたぱた触れされる……これも唇つけてないよねー。でも、スキンシップとしてはなんか柔らかくていいかも。ちょっときゅんきゅんする感じ?」

「なんだよ、この『エレクトリックキス』って。冬に二人セーターを着て抱き合ってから、互いにセーターを脱いでキスをして、静電気を発生させ刺激を楽しむキスって………」

「な、な、なんか上級者向きね 」

「………ってか、意味不明」

「このプレッシャーキスって、入江くんがあたしに初めてしてくれたキスよねー」

『プレッシャーキス』。唇を唇に押し付けるだけのいたって普通のキス。キスの定番。

「芸のないファーストキスで悪かったな」

「………ううんっフツーでよかったよー!! いきなり舌とか入れられたら卒倒しちゃう!」

あの謝恩会の夜のことを思い出したのか、真っ赤になって首を振る。
もう10年以上前なのに、未だに記憶は鮮明らしい。

「ゆっくりソフトに唇を合わせることが基本です。ファーストキスでは気持ちが高ぶって強く押し付け過ぎたりすることがあるので、距離感とスピードを大切にしましょう………だって」

「………余計なお世話だな」

10年以上前の自分に敢えて教えてあげたい情報でもない。

「この『スパイダーマンキス』って………あの映画みたいに、男の人が逆さまにぶら下がって、女性が貪るようにキスするって……どういう状況だろ……」

「やってみる?」

「へ?」

「だいたいこーゆーの見せるってことは、『したい』ってことなんだろ? じゃあ、ご期待に答えるためにも早速寝室に参りますか、奥さま?」

「えー? いや別にそーゆーわけでは……
……そりゃ、したいけど//////」

あくまで琴子は『キスが』である。
若干その点は直樹と目的語に相違がある。

そして、毎度お馴染み、このときばかりはしっかりとお姫様抱っこされて寝室に直行なのである。

(ちなみに琴美はばあばと眠っている。キスの日だからと、 手回しがやたらいいのは、こちらも毎度お馴染みなのだ)




* * *














「そっかぁ。スパイダーマンキスってこうやるんだ。入江くんが天井からぶら下がったきたらどうしようかと思った」

直樹の膝枕で寝転がった琴子の頭の方から顔を近づけて、逆向きにキスしてきた直樹に、はにかんだように微笑む。

「まさか」

馬鹿馬鹿しいと思いつつも、琴子が面白がっているので一通り試してみる。
結婚10年も経って、子供までいるのに今さらキスのバリエーションを追求してどうする、と内心苦笑しながら、子育てと仕事に追われている妻へのささやかなご褒美だ。
何にせよ、結婚何年経ったってシチュエーションは重要なのだ。



『スウィングキス』下唇を甘噛みしながら顔をゆっくり左右に揺らすキス。

『インサートキス』口内を舌で満たすようなキス。

『サーチングキス』互いの舌を確かめあったら、お互いの歯茎を舌先でゆっくりなぞる。

『カクテルキス』唇を開いた状態で、唇を吸ったり舌を甘噛みしたりするキス。

ざっくりとキスの名前と手順を頭に入れたものの、すぐに名前なんてどうでもよくなる。これっていつもしてることだろうがーーとなって、結局最後は流れのままとなった。
カクテルキスの最中でもう琴子は瞳を潤ませ朦朧としている。
それだけ直樹の唇と舌の動きは絶妙なのだ。

そしてーーー
唇、額、瞼、耳朶、首筋、鎖骨、胸、腕ーーキスは余すところなく降りてくる。

手なら尊敬
額なら友情
頬なら厚意
唇なら愛情
瞼なら憧れ
掌なら懇願
腕と首なら欲望

それ以外は狂気の沙汰

特集ページの見開きにはフランツ・グリルパルツァーの『接吻』の一篇が載っていたが、それには琴子は気がつかなかったらしい。琴子の好きそうなロマンチックな一篇だと思われたが、目に止まらなかったらしい。


狂気の沙汰、結構ーー
全ての場所に刻印を刻み、食らい付くすキスに何の意味も名前も要らないのだ。


たくさんのキスの後は、それは深く激しく愛し合って、少し疲労気味の琴子の髪をもてあそびながら、楽しそうに直樹が囁いた。

「キスの名前より、日本の四十八種類あるあのネーミングの方がずっと雅びで粋だぜ?」

「へ?」

「『絞り芙蓉』に『立ち花菱』『時雨茶臼』『窓の月』………実はもう既に殆ど制覇してはいるんだけどな。でも『首引き恋慕』とかちょっと危ないのもあるから、コンプリートはまだなんだよな……」

ニヤリとほくそ笑む、その楽しげな表情に琴子が少しぞくりとしたのは、今一糸纏わぬ姿をしているせいだけではないだろう。

もう決してこの手の雑誌を直樹に見せるのはやめようと、キスの日に固く心に誓う琴子であったーー。










※※※※※※※※※※※



去年書いた話が2002年設定だったので、2003年に設定したのですが、結婚10年経ってる夫婦にしてはキスでこれだけ盛り上がれるなんて、無邪気なバカップルやなーとつい突っ込んでしまいたくなりましたわ(((^^;)

ラクガキ、久々に描いたらあまりの退化っぷりにこれも笑ってしまいました………f(^^;emaさんちのキス絵を見て上書きしてくださいませ!







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§ Re.マロン様

コメントありがとうございました♪

ほんと、直樹がそんなこと知ってるわけないって思いますよね。歩くウィキ?のような彼に知らぬジャンルはないんでしょうか(((^^;)

ま、ほんと、名前も型もどーでもいいんですよ。どうせ全て制覇してるんだし笑

どーでもいいような豆知識でしたが、お付き合いくださりありがとうございました♪

§ Re.絢様

コメントありがとうございました♪

素敵なお話と言っていただいて嬉しいしいです。はい、もう二人のイチャイチャした話しか書けない身体に………(*_*)青い入江くんが書けなくなってしまいましたから、ちょうどいいかもーーf(^^;


§ Re.りょうママ様

コメントありがとうございました♪

そう、キスにこんな名前つけてこんなバリエーションあるなんて、驚きですよね。
ええ、あっちのほうが何種類もあってもきっとほぼ制覇にちがいないのです(^^)v

§ Re.ちょこましゅまろ様

コメントありがとうございました♪

入江くんが天井から、ってビジュアル想像しちゃって、あたしも笑っちゃいましたよ。
とりあえず琴子の拾ってきたネタに乗じて寝技にもちこめばオッケーなうちの直樹さんなのですf(^^;
イラストも褒めていただいて嬉しいです(//∇//)

§ Re.ちびぞう様

コメントありがとうございました(^_^)

リコメが遅くなり申し訳ありませんでした(((^^;)

そーなんです。キスの名前ってこんなにあったんですねぇ。……って、誰がつけたんだろう……?
直樹さんにとっちゃがっつりいただく口実ができただけのような………

ええ、首引き恋慕は危険です。ちょっと四十八手を検索してみてくださいな。イラストつきの解説があったりしますわよー^_^;
キスの日ネタかきたーいとLINEで呟いたらみなさま乗ってくれて、私もラッキーでしたー(^-^)v
mさまと示しあわせてアップしてお互い一番乗りで読もうとしたらちびぞうさんが一番いいねを取られててびっくりでしたわー。端末によってお知らせくる時間が違うんですよねー。謎ですね……^_^;

§ Re.shroko様

拍手コメントありがとうございました♪

リコメがめっちゃ遅くて申し訳ないです。

キスネタ探そうと検索したらいろんな豆知識がありました。来年も何か書けそうです笑(その度に直樹さんにいただかれるお約束な黄金パターン)
もちろん探求心旺盛な直樹さんは48手すべて掌握し、実践していることでしょう。新技も考えてたりして…
ほんとうに琴子ちゃんの身体が心配ですね〜〜(特に腰が……)


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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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