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梅雨色風景 第一景

2016.07.02(00:00) 238





連載でなくてスミマセン。
ちょっと銀座の高級クラブの雰囲気がわからなくて行き詰まっておりますorz
銀座ママのブログをさ迷ってしまっていました……f(^^;


で、ちょっと気晴らしに。
なんか季節もの書きたいなーと梅雨ネタ思い付きました。もう7月だけどさ。
でもまだ梅雨だし。
というわけで一人イタキス梅雨祭り開催♪



と、思ったら久々にC様が梅雨ネタで更新されてたのでちょっと密かにテンションアップ!……なのでした笑

S様宅のイタキス納涼祭り用のネタもちょっと妄想してましてよー(開催切望♪)




※※※※※※※※※※※※※※※




19900702 ~相合い傘






暦は文月となった。
1年も半分が過ぎて、季節はすっかり夏模様だ。
けれど、関東地方はまだまだ梅雨明けは遠く、降ったり止んだり時折雲間から光を覗かせたりと、天候は相変わらず移り気ですっきりしない。

そしてーー。
ぽつりぽつりと降ってきた雨を掌に受けとめながら、彼女は呟くーー。

「傘、忘れちゃった…………」






琴子は3年生の玄関口で、しとどに降ってきた雨を見つめて一人ため息をついた。
朝の天気予報の降水確率は20%だった。梅雨時期にしてはまあまあ晴れそうな数字ではないか?
それにしても梅雨時だから、折り畳み傘は携行するつもりだったのだ。ただ、前日も使い、そのまま傘立てに差しっぱなしだった。
そして、そのまま忘れた。
よくあることだ。

さて、どうしよう。

雨は随分と本格的に降りだしたようだ。
こんな日に限ってじんこも理美も用事があると先に帰ってしまった。日直の仕事があった琴子は置いてきぼりをくった。
金之助もバイトがあると早く帰った。
尤も彼がいると「よっしゃ琴子、家まで相合い傘やぁーー」と、きっと面倒くさいことを言い出すからいなくて良かったのだが。

などと考えている間に雨足はさらに強くなっていく。


「そんなとこに突っ立ってると邪魔。帰らないなら退いてくれ」

ふいに後ろから耳馴染みのある低い声が冷たく降り注いだ。

「入江くんっ」

天の助けとばかりに、琴子はハートマークを四方に撒き散らして同居人である彼に向かって手を合わせる。

「良かった~~あたし、傘忘れちゃって!」

「は? 馬鹿じゃね? この梅雨時に」

冷ややかな瞳ーーあまりに冷然とした口調。

「えー、だって、20%だよ」

「20%は降るんだよ。0%だってこの時期は信用ならねぇってのに」

と、にべもない。
そして、さらに意地悪そうな瞳で琴子を見下ろすと、

「で、『良かった~~』って、おれに何を期待してるわけ? 傘はこの小さな折り畳み一本。まさか一緒に入れてくれと?」

「う………」

確かに、直樹が鞄から取り出した傘は小さな折り畳み式。身体の大きな直樹一人しか雨は避けられないだろう。
に、しても冷たい。
帰る場所は同じだというのに。

右肩と左肩がお互い少し濡れてしまうけれど、それでもくいと肩を引き寄せられ濡れないようにくっつきあってーー

『もう少し寄れよ。濡れるだろ……?』

一瞬でも相合い傘を夢見た自分を思いきり嘲笑いたくなった。

「じゃあな」

そして話はこれまでとさっさと傘をカバーから取り出して、紺とグリーンのチェック模様の傘をぱあっと広げた。

「あたしはどうすればいいのよー」

「知らねぇよ、そんなの」

あくまで冷たい。
同居始めて3ヶ月。女として意識して欲しいなんて大それたことまでは望まないけれど、せめて家族友人レベルの労りはないものなのだろうか。

そして、彼は本当にあっさりと一人だけ傘を差してさっさと校舎から出ていってしまった。
振り返りもしない。

入江くーーん………

思わず恨みがましく去り行く彼の背に向かって手を伸ばしてしまう。

「はあ……どうしよう」

すると。

「この傘、使う?」

その時、まさに天の恵みが舞い降りた。

目の前に差し出されたのは大きめの黒の蝙蝠傘。

「ええっ。あ、えーとえーと、入江くんのお友だちの……」

「渡辺だけど。入江に置いてかれたみたいだね。おれ、毎度、帰りに晴れると傘を忘れて置いて帰っちゃって。今、学校、置き傘だらけなんだ。思いっきり男物だけど使っていいよ」

「え…… いいんですか!? わー助かります!」

雨はだんだんと本降りになってきて、それこそどうしようかと思ったところだった。
これはもう鞄を盾にして駅まで走るしかないかも、などと止みそうもない厚い黒灰色の雲を恨めしげに見つめていたのだ。

「まだ一本あるから大丈夫。ほら」

にっこりと笑う渡辺に、
「ありがとうございます!」
と傘を受け取ろうとした時ーー

「馬鹿。他人に迷惑かけるな。どうせ返しに行くのおれになるだろうが」

何故か、先に帰っていった筈の直樹が、琴子が受け取ろうとした渡辺の傘を奪い取っていた。

「入江くん!」「入江!」

二人同時に驚きの声をあげる。

「渡辺もこいつを甘やかすな。すぐつけあがるぞ」

「えー、でも傘ぐらい………それに濡れて風邪でも引いたら、結局おまえも迷惑被るんじゃないの?」

「馬鹿が風邪なんかひくか!」

「ひっひどーいっ! そりゃ、風邪なんて滅多にひかないけどさ」

さすがにあまりな直樹の言い様に琴子も抗議する。

「でも、意外と今日は寒いし」

蒸し暑さよりも、少しひんやりとした空気をもたらす雨であった。半袖の上に一枚羽織りたいくらいだ。

「………夏風邪は馬鹿でもひくか……」

「だから、さっきから馬鹿馬鹿って……」

「おまえが風邪なんぞひいたらおふくろはおれたちの飯の仕度そっちのけになりそうだし、裕樹にうつされても面倒だな」

直樹は諦めたように肩を竦めて、そして自分の折り畳みを差し出す。

「こっちの方が小さいからこれおまえ使えよ。おれが渡辺の傘を借りるから」

「え、あ、うん」

意外な展開に少し驚いて、琴子は差し出された折り畳み傘の柄を掴んだ。

「おまえが借りた傘をおれが渡辺に返しに行くのはなんとなく納得いかないが、自分が使った傘ならまだ納得いく」

妙なところに引っ掛かるらしい。

「いや、返すのいつでもいいから」

渡辺は少し肩を震わせて笑いをこらえるようにそういうと、自分用の傘を広げる。
そして、直樹も渡辺から借りた傘を広げる。折り畳みとは比べ物にならない大きな蝙蝠傘だ。

「悪いな。借りてくぞ」

「 ああ」

「あ、待って! 入江くん!」

琴子も直樹の折り畳みを広げて、またもやさっさと行ってしまう蝙蝠傘に隠れた直樹の背を追いかけていった。









そして。

「……………なんで、こんなことになるんだ……?」


そこは入江家最寄りの駅から自宅までの帰り道である。
学校から駅に向かうまでの道よりも、電車から降りた途端に、さらに雨足は激しくなっていて、土砂降りといっても良いくらいだった。

そして、その激しい雨の中、ひとつの黒い蝙蝠傘に二人は寄り添って入っていた。

「ご、ごめんね……入江くんの傘、ダメにしちゃって」

琴子の手には骨が曲がって妙に歪んでいる折り畳み傘。

「おまえといて無事でいられるわけがなかったんだよな」

「そんな、大袈裟な……ちょっと傘をドアに挟んじゃっただけじゃない」

電車から降りるとき、琴子の持っていた傘が車内にいる人の鞄に引っ掛かって、ドアに挟まってしまい、無理矢理取ろうとして結局折れてしまったのだ。

仕方なく駅からは直樹と相合い傘である。
いや、琴子的にはちょっとテンション高くなったものの、やはり隣の傘を持つ人間が不機嫌さマックスとなり、そのテンションも若干消沈気味だ。

「ちゃ、ちゃんと弁償するわよ!」

「別にいーよ。安もんだし。でも渡辺の傘、おまえに使わせないで良かった。これ、結構いい傘だぜ? 骨もしっかりしてるし、12本もある」

そして二人並んで入ってもあまりはみ出ず右肩と左肩が濡れることもない大きさだ。
ただ雨足が強いため路面の跳ね返りや、車の飛沫でそこそこ濡れてしまっていた。
相合い傘を楽しむにはとにかく雨が激し過ぎた。


でも、まあ、一応、初相合い傘、よね?

少しは進歩したのだろうか? 二人の距離は。
こんなに近くにいるのに、直樹は全く琴子のことは見ていないように思えていた。

中間テストの勉強の時は、それこそ一晩ぴったりと寄り添って、いかにすれば琴子がこの問題を解けるようになるのか、真剣に考えてくれていたのに。
しかし、期末テストの時はどんなに頼み込んでも、何一つ教えてくれなかった。そして、F組の入江の称号はあっさり撤回。
ああ、あの写真、期末テストまで返すんじゃなかった、と己の見透しの甘さを認識せずにはいられなかったものだ。


学校から駅に向かうまではそれぞれの傘だったから、琴子は直樹の足に追い付くのに精一杯だった。
今は同じ傘だから辛うじて歩調を合わせてくれているようだが、それでも琴子にはかなり速い。
直樹の差してくれた傘からはみ出ないように、必死になって歩みを進める。
ソックスはすでに泥ハネでびしょ濡れだ。

うん、まあ……ムードもへったくれもないよね……


とはいえ、背の高い直樹は琴子が濡れないように微妙に柄の高い部分を持ち角度を調整し、そして車が通った時も何気に傘を横にして庇ってくれていた。
あまりに何気過ぎて琴子は全く気がついてないが。

たとえば何故先に帰ったはずの直樹がまた戻ってきたのか、とかーー一瞬不思議に思ってもとりあえず答えのわからないことは保留になって結局そのままだ。
その答えは多分永遠に誰も教えてはくれない。

ーーおそらくは誰も知らない。

きっと雨の中を駆け抜けて、憎まれ口のひとつでも叩いて自分の横を通り過ぎていくだろうと想定していた琴子が、全く来る気配もなくーーふと振り返った時に目に入った情景に、気がついたら彼らの方へ向かっていたーーその理由など。
彼自身も全くわからないのだろうから。





「きゃーおかえりー!! まあ相合い傘よっ相合い傘で帰って来たのね~~~なんて素敵なの!! あ、待って、写真! ビデオ~~あ、傘畳まないで、お兄ちゃんっ~~」




とりあえず初相合い傘の記念証拠写真は撮れたので、良しとしよう。
ーーと、琴子は思うのであった。











※※※※※※※※※※※※




きっと入江くんは琴子が渡辺くんと相合い傘で帰ろうとしていると背中で察知したに違いありません笑

すでに機能が発動されている琴子センサー………(若干誤作動wwというか過剰反応)

一応三景まで考えてます。
次はアマアマな予定。ええ、甘いのにちょっと飢えてまして。疲れてるのね………f(^^;

できれば続けて3夜連日アップ……と思っていたけれど……多分……間違いなく、無理です……f(^^;




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コメント
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【2016/07/02 01:02】 | # | [edit]
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【2016/07/02 19:56】 | # | [edit]
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【2016/07/02 22:54】 | # | [edit]
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【2016/07/03 11:42】 | # | [edit]
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【2016/07/05 22:05】 | # | [edit]
コメントありがとうございました♪

リコメ遅くなって大変申し訳ないです!
梅雨祭り始めて何故か雨が減ったという……でもまだ梅雨明けてませんよねっ(と確認する)
納涼祭りも開催決定! 私も少しだけ参加しようと思ってます(^w^)

第一景は高校生。苦手な青いひとだけど、頑張ってみました笑
まだ同居2ヶ月くらいだけど、琴子のパワーは相当直樹の中に浸透しているかと思われます。すでに無意識に琴子センサー作り出すくらいには。
迷惑かけるなってすでに身内の言葉ですよね。なんだかんだいって、(無自覚に)渡辺くんを牽制ですよ。
なんとなく、高校生のうちは母にお迎えって頼まないような気がしてます。通学は自力が当たり前。昭和な世代ですし、母には頼りたくないお年頃かと。

最終的には相合い傘。結局琴子が一番得した梅雨のある日の情景でした(^w^)
【2016/07/11 22:59】 | ののの #- | [edit]
拍手コメントありがとうございました♪

リコメが遅くなって申し訳ないです!

苦手な青い入江くん頑張ってみました。ラブラブのないこの時期は妄想するのが難しいので

そうそう無意識に琴子のことは自分のパーソナルエリアに入れてるんですよね。
琴子が直接渡辺くんに傘を返すなんて、もってのほかなんですよ。自分の友人なんだから自分が返すのは当たり前、と勝手に思ってる。琴子が渡辺くんに傘を借りるのもじつは無意識に嫌がってる(笑)なので渡辺くんと相合い傘なんて有り得ない!
追いかけてくると思った琴子がすぐに来ない時点で速攻振り返り、逆戻り、です。

そうですよね。ただ高校生の直樹さんなので、タクシー使うとか母に迎えに、という発想はあまりないようです。(でも結婚後は琴子も一緒だとその選択もありなんですけどね)無論、相合い傘をするしかない、と本人悲嘆的に思っているのかもしれませんが、無意識の願望ですよね♪そうそう、本当は直樹さんが相合い傘したかったんですよー♪
【2016/07/11 23:16】 | ののの #- | [edit]
拍手コメントありがとうございました♪

超偏屈王(爆)まさにその通りですよね♪

そうそう口ではなんだかんだ云っても、琴子が追いかけてこないと振り返り、渡辺くんを認識するとソッコー逆戻り!
無自覚すぎます~~
そうそう、迷惑かけるなって完全身内というか所有の意識ですね。すでに琴子の破天荒なパワーに堕ちてること、まだ全く気がついてないのがツボです(^w^)

うちの地域は名古屋よりはいつも2度くらい最高気温低いんですが……でも、暑い! 梅雨はどこいった?(笑)
【2016/07/11 23:24】 | ののの #- | [edit]
コメントありがとうございました♪

そうそう、置き傘なければ折り畳みはこの時期必須ですよね。
この青い時期なら冷たく置いて帰りそう……でも、渡辺くんと相合い傘となると、無意識に牽制(笑)
渡辺くんも兄弟がきっと多くて、家に大量の傘が(うちは家族四人でも、傘、多いです)……!
いやいや、渡辺くんにチャンスなんて……琴子に傘を借りるのも返しに行かせることすらしない、無意識のガードです(^w^)
【2016/07/11 23:37】 | ののの #- | [edit]
コメントありがとうございました♪

リコメが遅くなってごめんなさい!

ふふふ、まだ同居2ヶ月なのに、琴子センサー、徐々に育ってます。(若干まだ不具合あり)
勝手に相合い傘するのも傘を借りるのも無意識にNGなんです。なんて独占欲笑
結局相合い傘出来てラッキーだったのは琴子だけ……?きっと直樹さんの無意識下の自我は喜んでますよ(^w^)
【2016/07/11 23:47】 | ののの #- | [edit]
コメントありがとうございました♪

本当に暑いですね! 天気もぐずついてますが、梅雨!!!ってほど長々と降りませんし。ちょっとなんだかな、な梅雨祭りでしたf(^^;

ふふ、そうですね。なんだかんだ特別なんですよね。全くの無自覚無意識のわりには!
その通り、彼には理由が必要なんですよね。傘を貸すにもぐだぐだと。渡辺くんの傘を琴子に貸したくないなんて、自分自身も欠片も思っちゃいませんから。
無論直樹の屁理屈も真に受けてる琴子ちゃん。相合い傘でちょっとラッキーって少しだけ幸せ気分を味わえたかな。

はい、ソウ様納涼祭り開催決定したようなので、微力ながら私も参加しますよー(^w^)
【2016/07/12 21:19】 | ののの #- | [edit]
コメントありがとうございました♪

そうなんですよ。まだ同居間もないのに、徐々に琴子センサー育ってます笑
はい、兎に角何かやらかすのが琴子ちゃんなので。入江くんの傘はぶち壊しました。
ぶつぶついいつつも相合い傘で帰ってあげるんですよね。駅から置いていかない。母を呼ぶわけでもなく……笑(最初からそんな選択肢は頭にない)
こんな青い彼に萌えていただいて良かったです。

おおー高級クラブに派遣?
素敵な経験ですね。
私も、晶ママの店は超セレブにハイスペックな人が集う高級な店なイメージです。そしてホステスたちも高学歴でそんな方たちと話が出来る才色兼備な感じで。イメージはあってるんですね(^w^)良かった。あとはうまく書けるか……f(^^;






【2016/07/12 23:01】 | ののの #- | [edit]
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