20010512 ~同窓会……二人だけの前夜祭(?)




「うーん……どっちにしよう……」

あたしは二種類のコーディネートの洋服をベッドの上に並べて、先刻から何度もクローゼットの姿見の前に立って自分に当ててみてはため息をついていた。

ひとつはビタミンカラーの明るいワンピ。襟元はリボンがあしらわれ、ウエストから少し下のラインは膝丈のアコーディオンプリーツ。中々可愛いのだけれど、問題は後ろファスナーだから、もしおっぱいが張ってきた時にこっそり抜けて搾乳するのが難しそうってこと。それにこれに合う靴が、少しヒールの高いベージュのパンプスしかない。最近高いヒールを履いていないし、昼の総会の受付から夜のホテルでの同窓会の立食のパーティまで耐えられる自信がない。

もうひとつは、シックな紺のパンツスーツ。でも地味になりすぎないようにブラウスは衿ぐりに三段フリルが施され少し華やかなものをチョイスした。ブラウスは前開きだから搾乳はしやすい。ジャケット羽織っていれば、母乳パットの入った授乳ブラをつけて、人生最大級に大きくなったものの決して美しいとはいえないバストラインを誤魔化せそうではある。

「………見映えを取るか、利便性を取るか……」

パンツスーツならローファでもいいから、足も疲れないし、幹事の仕事でバタバタと動き回ることも出来る。搾乳もできる。
でも、でも、折角の同窓会なのに、あまりに堅くないだろうか? フォーマルというよりビジネススタイルな感じ。あたしが身に付けてたってキャリアウーマンには到底見えないから、なんだかそぐわない。

やだ、入江くんの奥さん、あんな冴えない格好してんのー? ダサー……なんて云われたらどうしよう?
こっちのワンピの方が可愛いし、断然あたしらしいけれど……


一応明日の同窓会の為に買ったのだけれど、一目惚れで勢いで購入した為に、自分のおっぱい事情も1日立ちっぱなしの幹事の仕事があることもすっかり忘れていた。

お義母さんにに相談したら、あっさりもう一度買い直しましょう!と云われ、それはやっぱりどうだろうと思う。あたしの失敗のせいで余計な買い物はしたくなかった。服がないわけじゃない、有るものでコーデしようと思ったものの……


ーー入江くんはどっちがいいって云うかな……

ぼんやりと想像する。

んなの、なに着ても同じだろ? 何だっていいよ。

興味なさ気にそんな風に云われたらさすがにへこんじゃうかも。

実はここの処、入江くんの機嫌は余りよろしくない。
何故だかあまり理由がわからないけど、もしかしたら同窓会の準備でここ1ヶ月は何度も打ち合わせで集まっていたせいかも?
始めの頃は1ヶ月に1度だった集まりも本番が近づくにつれ、具体的な仕事が増えてきたせいで、ほぼ毎週高校に集まっていた。
出欠の集計に、一人一人に手渡す配布物の封筒詰め。ネームプレートも全部手作り。
いつも2時間くらいで、そんなに家を空けている訳ではないけれど、その間まだ7ヶ月の琴美をお義母さんに任せっきりなのも確かで……

「育休明けたらどうせ1日見てるんだから、今からみーちゃんには慣れてもらわなきゃね」と、お義母さんは笑っていってくれるけど。

最近話す会話も同窓会のことばかりで
浮かれ過ぎている、と思われているかもしれない。

喧嘩、という程のものではないと思う。
二人の夫婦年表最大の危機だった結婚2年目のあの時と、入江くんから醸し出す空気が何となく似ている気がするけれど、あの時ほどはっきり無視されてる訳じゃない。
話しかければ応えてくれるし、みーちゃんの話は熱心に訊いてくれるし………
そこまで考えてふっと気づいてしまった。

もしかしてみーちゃんがいるから大丈夫だけど、いなかったら………!

ちょっと青くなる。

いや、何となくおかしいかな? と思ったのはここ2週間全然エッチがなくてーーキスもしてなくて………でも仕事が忙しくて泊まり込みも多かったから、疲れてるだけだよね、きっと、と、頑張ってスタミナばっちりの食事を作ってみたり。
(お義母さんにはちょっとからかわれたけれど)
ご飯は普通に食べてくれたし、「入江くんも同窓会出れるよね?」と訊いた時も、「今のところは大丈夫」と、ちゃんと答えてくれた。

でもでも……なんかおかしい……
何がどうと云うわけではないけれど、何となく……(いや、やっぱりエッチの回数が……)そうなのよね、忙しい時ほど今までは帰って来れた夜は、パワー全開というか……(えーと……/////)

心当たりは……どうも明日の同窓会の為に出歩き過ぎたのだろうかということくらいで。
今日も、結局明日の準備で昼から夕方までかかった。
こんなんじゃ母親失格とか思われてるのかもしれない。

そ、それとも、単にこの母親仕様のカラダに飽きた……?


はあ、ともう一度ため息をついていると、机の上の携帯が鳴った。
着信の相手の名前を見て(何だろう?)と、電話に出ようとした時に、丁度がちゃりと音がしてドアが開き、仕事から帰ったばかりの入江くんが部屋に入ってきた。

「あ、おかえり」

あたしはにこっと笑って飛びつきそうになる衝動を押さえて、とりあえず受信ボタンを押してしまった電話に出た。

「あ、日比野くん? 今日はお疲れ様。どうしたのーーー?」

相手は、あたしたち25回生の幹事役員のリーダーで、元B組の日比野くんだった。日比野くんは斗南附属小学校で教師をしている。だいたい、リーダーは都内で先生をしているヤツに振られるんだ、って苦笑してた。そういえば、ほかのサブリーダーの人たちも都立高校の先生とか、教師ばっかりだった。先生をやってる以上断れないし、恩師とも繋がりがあって出席を頼みやすいんだって。

「えー? 先生一人増えるの? じゃあ花束がもう1つ必要だね」

日比野くんの話は、欠席の連絡をもらっていた恩師の先生が前日の今になって、やっぱり出席したいと連絡があったという。5回生の恩師だから、もうとっくに勇退している先生だ。
………に、してもワガママだなー………。

今回総会に参加するのは、5回生、15回生、25回生の三世代。
総会の後の懇親会で花束をそれぞれの恩師に渡す段取りになっているから、もうひとつ花束を増やさなければならない。
実は、今回のお花は全部、花束からテーブルのアレンジフラワー、壇上の大きな生け花まで、華道の教室に通って師範の免状を持っているお義母さんにお願いして、懇意の花屋さんに安く融通してもらったのだ。そしてアレンジと生け花はお義母さん作。午前中家でずっと活けてもらい、アレンジはあたしも手伝って、お店をやってる幹事の男の子が軽トラで受け取りにきて会場に運んだ。
そんな面倒なことになったのは、本来総会も懇親会も学年別の同窓会もみんな同じホテルでやる予定だったのに、やっぱり5回生の誰かが、折角集まるなら母校でやりたいと言い出して、総会と懇親会は斗南高校の講堂でやることになったのだ。
なので急遽イベント業者に頼んで講堂での会場設営準備をしなくてはならなくて、今日あたりかなりのお手伝いが学校に集まったことだろう。
ホテルに頼んでいればお金はかかるけれど、アレンジも花束も全部やってくれただろうけれど。
でも、お義母さんのお陰で随分安く、しかもかなりなクオリティの花を提供できたと思う。
恩師贈呈用の花束は花屋に依頼したけれど、多分、花束1つ追加くらいは今からでもきっと大丈夫だ。



「うん。うん、大丈夫。お義母さんにお願いしてみるから。いいよ、気にしないで。明日ちゃんと会場に届く筈だから………」

そんな風になんでもあたしがあれこれ安請け合いしてしまうせいか、ここの処、日比野くんと連絡を取り合うことが多かった。

電話を切った後、ふっと振り返ると、入江くんはいつの間にか、もう部屋から居なかった。

クローゼットを見ると今日着ていたスーツが掛かっていたから、着替えてお風呂に行ったのだろう。

今は午後8時。今夜は早い方だ。当直でなくても帰りが午前様になることは多々ある。

……せっかく早く帰ってきてくれたのに……
少し顔を向けて「おかえり」の一言だけしか話してない。しかも入江くんは「ただいま」と言っただろうか? それすらも覚えてなくて、電話の方に気が逸れていた。

ーーああ。
だから?
ちゃんと目を見て「おかえり」って云ってあげれてないから……
最近同窓会の準備で忙しないのもあるけれど、琴美もハイハイが達者になってあっちこっち動き回って目が離せなくて、何だか精神的に落ち着いてない。
かといって入江くんが一番じゃなくなった訳ではないけれど、日がな1日中入江くんのことばかり考えている訳でもない。
入江くんを中心にあたしの世界が回っているのは変わりないけれど、その回りには色んな衛星が生まれているのだと思うの。

ああ、でも、そんなの言い訳だ。
多分入江くんは、あたしが同窓会のことしか頭にないのが気に入らないかもしれない。
それなのに入江くんに服のコーディネートを選んでもらおうなんてきっと無理。
ううん、もしかしたら同窓会の出席も断られるかも。当日どうなるか分からないってのは覚悟はしているのだけれど。
基本、入江くんはそういう集まりが好きじゃない。A組のクラス会も、卒業以来何度かやっているらしいけど、(今回の同窓会で他のクラスの幹事たちから聴いた情報)入江くんが参加したのは、結婚後に一度きり。しかも少し顔を出しただけ。
そして、何故だかその時あたしも一緒だったのだけれど。あれ? なんで、一緒にいたんだっけ? 何かの用事のついでに待ち合わせて、そのまま訳も分からず店に連れて行かれ、「結婚したから」と紹介された記憶がある。
今でも思い出す。A組の人ちたちの驚愕の眼差し。はあ?なんで?という納得いかないという感じの空気が充満して息苦しかったっけ。
入江くんは渡辺くんと少し話してすぐに「行くぞ」と帰った。30分も居なかったんじゃないかな。
ああ、やっぱり、同窓会とかキライなんだー。
それなのに、あたしったら、今回は学年全部集まるからとか、あたしも一緒だからとかあれこれ云って気乗りしないのに無理にOKさせちゃったのかも。
そのうえ子供小さいのに幹事なんか引き受けて、あたし一人はしゃいじゃって……
ああ、どうしよう。
あたしって馬鹿だわーー。
もう、呆れ返って嫌われちゃったのかもーー。

離婚……は、されないよね。
みーちゃんがいるから。
子はかすがい……。
でも、それはそれで……どうなんだろう?
子供のせいで無理して一緒にいるなんて……良くないよね?
ああ、でも、でも………







* * *





風呂からあがって部屋の前に立つと、琴子が一人でぶつぶつと何やら不穏なことを呟いている。

離婚がどーとか、子はかすがいだからどーとか……

ったく、また一人で妙な世界に旅立っているな、とおれは嘆息して、部屋の扉を開けた。

ーーまあ、おれの態度のせいだろうけどね………


「何絶望的な顔をして独り言呟いてるんだよ?」

「ひ、ひえっ?」

琴子がおれの声にびくっと肩を震わせてこちらを向いた。

「い、い、入江くん…!」

何だかひどく焦ったようにつっかえまくってる。

「えーと、おかえり」

「さっき、聴いたけど」

的はずれな挨拶に、ちょっと呆れる。そうだよな。おまえ、おれが帰ってきた時、電話に出ようとしてたもんな。

日比野って奴の。

おれのこめかみが少しひくついたのに気がついたのか、琴子はびくっと身構える。

これでもなるべく態度に出さないように気を付けていたつもりなのだ。
日比野、日比野、日比野。
最近やたら琴子から出てくる名前。
無論、こいつが全く含むところがないから普通に名前が出るのだとわかっている。幹事役員だけの付き合いってことも。
久しぶりに連絡のあった渡辺から、「日比野って、おれと同じ放送部でさー。高校時代から琴子ちゃんのこと気に入ってたんだぜ」などと余計な情報を吹き込まれるまでは、とりあえず態度に出さないだけの余裕はあった。

自分でも自覚はしてたんだ。
あ、この感覚、むやみにイライラして琴子に当たりたくなってしまうこの感じ。
あの時と一緒だと。6年近くの前のことだ。
日比野の名前を聞くたびにざわつくイヤな感覚。
原因はわかってる。琴子のせいじゃない。琴子に当たってはいけない。
そう言い聞かせて何とか普通にやり過ごしているつもりだったのだが。
あれから6年たっておれも成長したはずだった。
琴子に2度と同じ涙は流させない。
そう自戒していたのに。

たとえば病院で琴子にちょっかいを掛ける奴がいても、それが上司だろうが患者だろうが、目の届く範囲ならしっかりと牽制することで何とか黒々とした感情を抑え込むことが出来たのだ。

なのに今回は相手が見えない。
そして、妙に琴子が楽しそう。

ーー自分の狭量さに苛立っているんだ、きっと。


なのに、おまえときたらーー

「ご、ごめんね。あたし、最近全然入江くんのことお世話してあげれなくて。同窓会のことばっかりで。イヤだったんだよね? あの、明日も行きたくなければ断っていいからね。仕事が忙しいって云えば大丈夫だから!」

「は? おれ、行く気満々なんだけと。おまえおれに来てほしくないの?」

「え……?」

おれがどれだけ日比野って奴の顔を拝むのを楽しみにしているか……
それに、渡辺の話じゃ琴子を狙ってた奴は結構多かったって話だし。特にA組に!
そんな中におまえを一人行かせられるか!

「来てくれるの?」

「ああ。それともおまえ来てほしくないの?」

「そんなことない! 嬉しい!」

首をぶるんぶるん振りながらおれの首に巻き付いてくる琴子。少しご無沙汰だった感触に思わずそのまま抱き締める。

「それでね、あのね」

「何?」

必殺上目遣いでおれを見上げる。
久しぶりなせいか今日は自制が利かないかもとぼんやり思う。
嫉妬に駆られておまえに無理なことを強いてしまうのではないのかと、触れるのが怖かったーーなんて、絶対云わないけれど。

「服が……明日着ていく服が決まらないの~~!」

半泣きで琴子が訴える。
確かに。
ベッドの上には衣服が散乱していた。
おまえ、思いっきり踏みつけて、皺になるぞ?


琴子から服のコーディネートのどこを悩んでいるか訊いて、少し考えてみる。

つまり、搾乳しやすくて動きやすくて尚且つ同窓会コーデとして遜色ない服がいいってことだろ?

「両方着れば?」

「え?」

「 総会は動きやすいのがいいんだろ? 家を出るときはこっちのパンツスーツ着て、総会と懇親会終わってホテルに会場を移した時、こっちのワンピースに着替えれば? 着替える時間くらいにちょうど胸が張ってくるんじゃない? そのとき搾乳して着替えればいい」

「えー何処で?」

あっさり云うおれに琴子が目を丸くして訪ねる。

「ホテルの部屋で。一応、部屋を取ってあるから。3時にはチェックイン出来る」

「へ? な、なんで~~!?」

なんで、と云われても。
そんなもん、こーゆー時でもないとなかなか外に泊まる口実、見つからねーだろ?

「念のため。おまえ、酔っばらって帰れないかもしれないし」

いや、そんなにへべれけになるまで飲ませたりしないが。

「それに、こういうこともあるかと思って」

いや、別に搾乳のことまで考えてたわけじゃないけれど。

「す、すごーい、入江くん!」

無邪気に感動してる琴子に、おれの邪な思惑など伝える筈もない。

「ホテル、同窓会事務局で予約受付てたけれど、そっちで頼んだの?」

「いや。どうせなら高層階がいいから自分で頼んだ」

事務局で用意してたのは遠方から来る人たちのための部屋。なんで都内在住のおれたちが泊まるんだと変に勘繰られるだけだ。だから、個人的に予約をいれた。
とにかく、この日は何がなんでも休むつもりでここ2週間は相当無理して仕事をこなしてきた。あとは急患急変がないことを祈るばかりだ。
別に同窓会で旧交を暖めたいわけじゃない。琴子を一人で参加させられるか!ってだけのことだが。

「ジャケットはこの紺のでいいけれど、パンツはこっちの白い方がいいんじゃないか? 初夏らしく爽やかで。バッグはこれだな」

てきぱきと決めていくおれに、琴子がうるうると感動している。

「う、うれしいよー。入江くんのコーデ………」

まあ、さっさと決めて、ベッドの上を空けて欲しいのが本音だが。
それにせっかく早く帰れたのだ。同窓会の前までに琴子の不安を払拭しておきたかった。
昔みたいに長引かせるつもりはない。これでも少しは学習してるんだ、おれだって。


だいたいコーディネートが決まって、アクセサリーやバッグまで準備して、明日の泊まりの用意まで済ませる。一度ぐずった琴美に授乳とオムツ替えをしてベビーベッドに寝かしつけたあと、漸く琴子と共にベッドの上に横たわった。

「よかった……」

琴子がぎゅっとおれのパジャマの胸元を握りしめ、しがみついてくる。

「あたし、入江くんが何か怒ってるって思ってた」

「……別に……怒ってないし。怒らせるようなことしたのかよ?」

「ううん。でもあたし、また知らないうちに何かやらかしたのかと」

「何も………少し疲れてただけ」

ごめん、と心のなかで謝る。いまだに素直に謝れない自分に少し腹が立つのだが。

「ご、こめんね。あたし、奧さんなのに全然体調管理とかしてあげれなくて……」

あっさりと謝る琴子に、罪悪感が募る。

「おまえが謝らなくていいよ」

そのまま唇を塞ぐ。
なしくずしに会話を打ち切って、何も考えないようにさせてしまう卑怯なおれ。
とりあえず久し振りの琴子の愛らしい唇を堪能する。
舌を咥内に侵入させるとおずおずと自分から絡ませてきた。
背中に回っている手に力が入るのがわかる。琴子も欲しがっているんだ、と思うと思わず身体の中心が熱くなる。
明日の為にも、今夜はとにかく琴子の不安を払拭する程度に軽く……と思っていたけれど止められないな。

「……入江くん……痕、つけちゃダメだよ」

「わかってる。見えるところはつけねぇよ」

本当は1ヶ所くらいはいいよな、と思ってる。
琴子は明日の為につけるなと言いたいんだろうけれど、こっちは明日の為にひとつくらい見せつけてやれ、と思ってんだけど。

丹念に琴子の白い肌に唇を這わせながら、パジャマの釦を外していく。

「あ……入江くん……」

琴子の潤んだ瞳が、がっついているおれを映していた。
パジャマの袖を抜いて、あらわになった2カップサイズアップした胸に顔を埋めてーー

RRRRRR………

そして、まさかの病院用の携帯からの呼び出しコール………
嘘だろ?

「い、入江くん……」

琴子の顔が少し情なげな困惑の色をなしていた。

「……早く……出ないと」

「ああ……」

ため息ひとつついてから仕方なく携帯に手を伸ばし、電話に出る。

「はい」

出た途端に、『あーっ入江先生、いたーっよかったー!』と歓喜の声が……

どうやら、西垣先生の担当の患者が急変したらしいが、西垣に連絡が付かないらしい。
当直の研修医はパニックを起こすは、もう一人の当直は別の処置をしていて、と成すすべがなく、片端から医師に電話をしていて、やっとおれが出たらしい。

「……わかった。すぐに行く」

西垣の野郎……ただじゃおかねぇぞ!

「入江くん、病院?」

「ああ。………悪い、琴子。続きは明日な」

頬に手をやり、啄むようなキスを落としてから服を着替える。

「うん、仕方ないよ。でも、明日……」

「西垣先生の担当患者だから、先生に連絡ついたらすぐに戻れるよ。どのみちおれは夕方からの同窓会にしか参加しねぇし。琴子は総会は昼からだっけ?」

「うん。準備もあるから昼前には家をでるけど」

「……じゃあ、もしかしたら夕方まで会えねーかも。忘れ物するなよ?」

「……う、うん。気を付ける」

「明日の夜は手加減しねぇから」

「うん。………え?」

目を見開いた後、はぐはぐと言葉を紡げない口唇をもう一度味わってから、部屋を後にする。

ーーああ。これは天罰だな。
下らない嫉妬で、また琴子を不安にさせたちっちゃいおれへの。


とにかく何がなんでも同窓会には出るつもりだから安心しろ。
同窓会本番より、その後の二人きりの夜の方が楽しみなんだけどな。
琴美に邪魔されない、二人っきりの夜の方がーーー。










※※※※※※※※※※※※



ふ………また、入江くん寸止め~~。
最近どうも寸止めづいてます^-^;
お預けくったちっちゃい直樹に哀れみを……^-^;
でも、翌日は色々頑張ってもらう予定です(^w^)

同窓会本番は平成13年5月13日(日)ですが、多分13日に本編をあげるのはむりな気がします……(T.T)
帰着点は決まってるのに(ほら、ホテル、部屋取っちゃったからね)なかなか出発点が定まらなくて、三回くらい書き直してアップが遅くなりました^-^;

本番……何話になるかわかりませんが、しばしお待ち下さいね(*^.^*)




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§ Re.マロン様

コメントありがとうございます♪

前夜のバタバタしている琴子を書こうと思ったら、ちっちゃい直樹の話になっていました^-^;昔よりは自覚してはいるものの、嫉妬に関してはコントロール出来ない……(平気で上司に蹴りいれるしね)まあ、自覚してるならちゃんと話せよって思いますよね~~この人大事にならないときちんと話さないから。
とりあえずまだ大丈夫なあたりで押し倒してうやむやに仲直り~~そんなことだから寸止め食らうのよん(^w^)
はーい、最後は甘くなる筈です♪

§ Re.たまち様

コメントありがとうございます♪

そうです。鴨狩事件再来!?6年たって嫉妬と自覚できるようになったものの、コントロールは出来ない情けない奴です。
まあ、それだけ琴子一直線なんだけど、琴子も経験してる筈なのにヤキモチのせいなんて、思いもしないんだから(^w^)
ほんとに、相変わらず言葉の足りない奴です。ちゃっかりホテル予約する前に話をしよーか?ですよねー(-.-)
なし崩しに寝技に持ち込もうとしてもそうは問屋は卸さない。
ははは、私も最近寸止め好きになってしまったようです^-^;ざまーみろ、ですねー♪
お気遣いありがとうございます。マイペースで頑張ります(*^.^*)

§ Re.emasque様

拍手コメントありがとうございます♪

ema様も寸止めOKなんですねーよかったー
(^w^)今回は寸止めザマーミロ派の方が多くて一安心。
続き楽しみにして頂いて嬉しいです♪なるべく早くお届け出来るようにマイペースで頑張ります(*^.^*)

§ Re.紀子ママ様

コメントありがとうございます♪

私も同窓会、好きなネタです♪ でも沢山の方が書かれてて今更感もあるものの、今回はクラス会ではなく、学年全部の同窓会はあまりないかも?と思ってちょっとチャレンジしてみました。ラストの方のクライマックスシーンだけが書きたくて始めたお話なんですが、クラスメイトのオリキャラがなんか増えそうでそしてややこしくなりそうで……そこに到達するのにまたもや迷走中……(-.-)

ふふ、そうなんですよ、6年もたって色々学習して、自覚も出来てるのに、苛々を制御出来てない微妙な奴……。書いてて、ちっちゃいぞ、直樹!と呟いてしまいました(-.-)
まあ琴子ちゃんも嫉妬されてるなんて相変わらず思いもよらないんだから。
とりあえず今回は引きずらず、彼なりに寝技に持ち込んで対処しようと……(言葉でなく態度でってあたりが結局直樹さん……)そして、天罰(笑)
さて、日比野くん、どうかかわってくるか……直樹に牽制されてあっさり退場かもしれません……(まだ出してもいないのに。っていうかまだ書いてないので………^-^;)

ふふ、多分ラブラブはお約束ですよー(^.^)

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§ Re.みみみ様

コメントありがとうございました♪

お話楽しんでいただけたようでよかったです。
パスワードの件ですが、うちのブログのパスワードはそんなに難しくはない部類だと思うので、入口のヒントで十分わかるかと。
ルールなのでお教えすることはできませんが、原作を持っていなくてもうちのお話のなかにヒントがありますので地道に探してみてくださいませ。

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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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