19940214~ ちょこれーと★バスタイム




『カノユメ』をお待ちくださっている皆さま、スミマセン^-^;まあ、一応季節ものなので………






※※※※※※※※※※※※※







その日は結婚して初めてのバレンタインデイだった。
前日が日曜日だということもあり、琴子は義母紀子と共に1日大騒ぎをして、ガトーショコラやら、チョコブラウニーやらを作っていたようだった。

ようだった、というのは結局まともな完成品が存在しなかったからである。
ただ1日チョコレートと格闘していたらしいのは部屋中に漂う胸焼けしそうなくらいのチョコレート臭で十分想像がつくというものだ。
あまりの甘ったるい香りに耐えきれず、直樹はその日は1日裕樹と共に図書館に避難していた。

家に戻ると半べその琴子に、
「琴子ちゃん、私と共同で作ったやつをおにいちゃんにあげましょうよ」と、紀子が説得していた。

「い、いいえ、そっちは裕樹くんやお義父さんたちに。あたしはやっぱり自分の力だけで作ったものを入江くんにあげたいんです」

「まあ、琴子ちゃん、なんて健気なのっ」

そしてがしっと抱き合う嫁と姑……。

けれどテーブルの上には、炭化した謎の塊や、岩石のようなものがゴロゴロと……
なんでまたそんなハードルの高いものを!
普通にチョコレート融かして固めときゃいいだろう? 前みたいに! 固くてかじるのが大変だが、食えない訳ではなかった過去のチョコレートらしき物体たちを思い起こして、直樹は眉間に皺を寄せる。

「琴子! これ以上家の中をチョコレート臭くさせるな! どのみちおれは甘いものなんていらねーよ! その消し炭みたいな奴、捨てとけよ」

「いっ入江くん……」

「まあ、おにいちゃん! なんてひどいこと」

「いいんです、お義母さんっ本当にこれはちょっと酷いし、棄てるつもりのヤツだし……」

情けなさ気に琴子はばたばたとテーブルの上を片付け始めた。




「ご、ごめんね。手作り全部失敗しちゃって。明日大学、3限までだから、それからデパートで美味しいチョコ買ってくるね。入江くん、どんなのが好き?」

バレンタイン当日だからもう余りいいのは残ってないかもしれないけれど……少し悲しげに琴子が呟く。……直樹の腕の中で。

「だから、甘いのキライだからいらないって云ってるだろ?」

そう云う直樹は腕の中の琴子のパジャマをはだけ始めていた。

「……でも」

「菓子業界の営業戦略にたやすくのるんじゃねぇ」

琴子の項に唇を落としながら、「おれはチョコよりこっちがいい」
そう云って、ゆっくりと味わい始める。

「入江く~んっっ」







さて、しっかり直樹に食された翌日。
バレンタイン当日のその日は月曜で、学内でもあちこちでチョコが飛び交っていた。前日が休みということもあって、じんこも理美も気合いをいれて手作りチョコを作ったときいて、やっぱりもう少し頑張ればよかったと思う琴子だった。

文学部のクラスメイトや、食堂の金之助の元に三人で買った明らかな義理チョコを配り終えた後、(なんや、琴子~なんで『義理』ってでかでかと書いてあるんや~なんでや~という金之助の涙の叫びを無視して)二人は食堂で琴子の「市販品ならどんなチョコがいいと思う?」の問いに真剣に考えてみる。

「あ、そうだ」

ふと理美が何か思いついたようにニヤリと笑った。

「あれなら絶対、入江くん喜んで食べると思うわ」

「え? な、何?」

理美は琴子の項に付いた朱い跡をちらりと横目で見ながら「ふふふふふ」と肩を震わせて笑った。










「ただいま」

その日の夕方、直樹は終日の講義と実験を終えていつも通りに帰宅した。
尤も帰宅途中にいつも通りでないものに遭遇したらしく、見に覚えのない物体があちこちに仕込まれているのを確認して軽くため息をつく。
大学ではとりあえず目の前に差し出されたチョコは全部断った。琴子と結婚したのは周知の事実かと思いきや、意外と大胆にチョコを押し付けようと虎視眈々と付け狙われた緊迫した1日であった。
医学部の義理チョコは全て学内に置いてきたし、家に持ち帰るつもりは一切なかったのに、帰宅途中にいつのまにか、コートのポケットやら鞄の中に綺麗に包装された小さな箱が入っていたのだ。

ちっ脇が甘かったな。

自分の手抜かりにちょっとした敗北感を感じる直樹であった。

「琴子は?」

いつもなら先に帰っているのなら真っ先に出迎える琴子が来ない。
もしややはりデパートに行っているのだろうか?
あれほどいいと云ったのに。

「琴子ちゃん、バスルームよ。お風呂の仕度してるの」

「風呂?」

そう云って玄関に出迎えた紀子は何故だか出掛ける装いをしている。そしてその
後ろには妙に不機嫌そうな裕樹の姿が。

「何? こんな時間に出掛けるのか?」

「ええ、裕樹のお友だちのお母さまから誘われて、塾の説明会へ行ってくるわ」

「塾? 裕樹は行く必要なんてないだろ?」

「説明会だけよ。頭数が足りないからどうしても来てって」

「ママ、この間は断ってたのにー!! なんで今日になって突然行くなんて……」

ぶつぶつ云う裕樹を引っ張って、
「さあ、行くわよー♪」と、紀子はご機嫌である。
そして直樹に、「三時間くらいは帰って来ないから。琴子ちゃんとごゆっくり♪」と、にまにまと笑って玄関から出ていってしまった。

「なんなんだ………?」


リビングに入ると、やはり琴子の姿は見えない。
ダイニングテーブルには紀子が作ったらしい晩御飯がラップをかけて置いてあった。

バスルーム……?
風呂の掃除でもしてるのか?

直樹が洗面所に入ると。
ふんわりとチョコの香りが脱衣所まで充満している。

な、なんだ………!?

浴室の半透明の扉の向こうに確かに琴子の姿らしき影が見えた。

そして、扉をあけるとーー。

ま、魔女ーー?

「何やってんだ、おまえ……?」

「いっ入江くんっ帰ってたの?」

そこには。浴槽の横に屈みこんで、長いしゃもじーーあれは広島土産の宮島杓子じゃなかろうかーーで浴槽の中の謎の液体をかき混ぜている怪しい妻の姿が……。
なんかお菓子の家の魔女を想像してしまった。
謎の液体は濃茶色のどろっとしたもので、薫りにしろ見た目にしろどうにもチョコレートにしか見えない。
浴槽の半分ほどがその液体で埋まっている。
そして妻の顔にも服にもベタベタとチョコが跳ね返っている。
冬なのにTシャツに短パン姿。
チョコが固まらないよう浴室に暖房をいれていてのだろう、かなりむわっとする。

「えっとね………バレンタインに入江くんにチョコレート風呂を用意してあげようと……」

えへへと笑いながら琴子が手についたチョコを舐める。

浴室の外には業務用のチョコレートソースが何缶も。これは紀子の協力がなければ仕入れられないだろう。
さらには大量の板チョコも投入したようだ。ごみ袋一杯にチョコの包装紙が捨ててあった。

「……俺が……入るのか?」

直樹は呆然と浴槽の中を見つめる。

ーーそれは……ないだろう?

「理美やじんこが絶対入江くんが喜ぶからって……お義母さんにも話したらすぐに喜んで協力してくれて……」

ーーおれが喜ぶってのは多分そういう意味じゃなくて。

「なんでもチョコレートには脳を活性化して、幸福感も得られて、免疫力もアップして、ストレスも解消して……色々と良いらしいのよ」

琴子にしては頑張って覚えた方だがざっくりとした説明である。

「カカオから得られるココアが脳内物質『β―エンドルフィン』の分泌を誘発すると云われているな。『β―エンドルフィン』は多幸感をもたらし脳内麻薬とも呼ばれる」

「え? ま、麻薬?」

「チョコの食べると幸せって思うんだろ? そういうこと」

「え、あ、うん」

「で、エンドルフィンには脳を活性化して、脂肪を分解し、免疫力を強化して、アンチエイジング、ストレス緩和、抗セルライト、デトックス効果があると云われているんだ」

「ふ、ふーん。流石入江くん、なんでも知ってるね」

「さらにこの香りには精神活動を高め、集中力や注意力、記憶力をあげるとも云われてる」

「へーっじゃあ、お勉強前にチョコ食べるのいいんだー」

単純に感心する琴子に、
「だから、入るのはおまえだろう?」と、あっさり云う直樹。

「え? あたし?」

「どう考えてもこの効能はおまえ向きだ」

「そうかもしれないけど、折角入江くんに……」

「いや、おまえが入ってくれる方がおれも嬉しい。っていうか、本当は自分が入りたいんだろ?、チョコレート風呂」

「ま、まあね……ちょっとあこがれてたけど」

「じゃあ、遠慮なく入ってくれ。美肌効果もあるらしいぞ」

「そ、そう……?」

確かに……浴槽にチョコを投入しながらうっとりしていた琴子である。

「脱がしてやろうか?」

「え?」

「やっぱ、おれも入るわ。どうせおれもチョコまみれになりそうだし」

「えーっ、一緒にーー!?」

パニクってる琴子を尻目にさっさと服を脱ぎ始める直樹である。

「だ、だ、だ、だって、一緒になんて入ったことな………」

「別に夫婦なんだからいいだろう?」

ーー何のためにおふくろが裕樹を連れて出ていってくれたと思ってるんだ?

「さあ、おまえもどうぞ、奥さん。チョコまみれのおまえを食わしてもらえるんだろ?」

ーーえー! そういうこと!?

真っ赤になってようやく事態を把握し始めた琴子であった。






そして。紀子が帰ってくるまでの二時間、きっちり浴室内でチョコにコーティングされた琴子を食べ尽くした直樹であった。
食べ尽くされ、(舐め尽くされ……?)ヘロヘロになった琴子の身体を洗ってやり、一旦寝室のベッドに寝かせてから、残り一時間で浴室の掃除をする。
とりあえず給水口にはビニールでカバーをしていたようで、浴槽と壁の掃除だけで済んだ。
窓を開け換気扇を全開にしても当分チョコレート臭は消えないだろうなーと苦笑しながら後始末はきっちりする直樹である。

間違いなく裕樹は訊いてくるだろうな。

「琴子の奴、風呂場でチョコ食べたんだろっいやしい奴!」

まあ否定は出来ない。
だが主に食したのはおれだが。

そんなことを思いつつ、暖めた食事を2階に持っていく。

琴子はまだベッドから動けない状態だろう。
しかしチョコの薫りを身体中から発している琴子が隣にいて、何もせずにいられるわけがない。

バレンタインの夜はまだまだこれからなのだからーー。





追記

無論、バレンタインにチョコレート風呂、なんてことは二度と言い出さなかった琴子であったーー。











※※※※※※※※※※※※※※


チョコレート風呂に入っているタレントさんの写真を見て思いついたお話です。
チョコレートコーティングされた琴子ちゃんなら入江くんも嫌がらずに食べるだろうと^-^;(本当かよっ)


箱根の温泉でバレンタイン期間チョコレート風呂の入れる旅館があるんですねえ。ちょっと入ってみたい。美容に良さそう♪今はチョコレート入浴剤とかも売ってるんですね。20年前にあるかどうかわからないので、自力で本物のチョコレートで作ってもらいました。ちゃんと食べれるしね。(衛生的にどうかとは思いますが……)

考えてる時は、こりゃ限定になるかな?というくらいのチョコレートえろを妄想してました……。
チョコレートの浴槽でいちゃこら、洗い場でお互いを舐めつくしーの……いやはや^-^;

まだ真夜中ではなかったので、つい自粛してしまいました。
明日(2/14)も仕事なんですよ。土曜日なのに(T.T)あまりえろえろモードになりきれない↓テンション。今週長いよー。久々の6連勤……(-.-)
さて、明日は職場で義理チョコ配りまくります♪

本当はカノユメも更新したかったのですが……アップしようと読み返して、ふと、ちょっと待って、という気分になり。はい、またまたのラビリンスです。しっくりこねーぞ、速川っ(?) もしかしたら明日さくっとアップしてしまうかもしれないし、模索しまくってしばらく更新できないかも………気分次第です。神のみぞ知る……(^^;

しばしお待ちくださいませ………(^^)







関連記事
スポンサーサイト

コメント

§

旬なお話しありがとう♪
直樹さんが、図書館に避難するの、解るわ!
胸焼け!そうなんです!
私も昨日は胸焼けと闘いました!
娘が息子達と旦那、幼なじみ等用のチョコケーキ作ってたんです!
ガトーショコラにパウンドケーキ!の二種類も!

チョコレート風呂に入れる直樹さん!
いや~、私には真似できな!
直樹さんも琴子ちゃんが一緒ださら、入れるだけで、これが紀子ママのイタズラなら、胸焼けお越し、怒鳴り散らしてたでしょうか

§ 管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

§ Re.りょうママ様

コメントありがとうございます♪

いやー本当にチョコ作ってる時の薫りって強烈。我が家もガトーショコラ焼いてる時2階まで漂ってました(^^)
焼いてるだけで、図書館に避難してるのに、なぜにチョコレート風呂に入れる!?
設定に無理を感じつつも、チョコレート妄想完遂です(^^;エンドルフィンによる脳内麻薬でおかしくなってるんでしょう……きっと。
とにかく……琴子ちゃんへの愛のみですねっ

§ Re.マロン様

コメントありがとうございます♪

私もイタキス中毒ですよー(^^)v
読みたいし、書きたい。時間が欲しいです~(^^;

はい、中身が琴子ならチョコだろうがジャムだろうがあんこだろうが何でもいいんです。ええ、きっとそうに違いありません……(無理ありすぎたな、と若干後悔してます)

こんな話で喜んでいただいて嬉しいです(^^)
また覗いて下さいね♪

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

ののの

Author:ののの
管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR