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個別記事の管理2017-12-31 (Sun)
短いですが、今年最後の更新です。




※※※※※※※※※※※※※※※※※





11月18日 p.m.0:20




斗南大学学食ーー混雑する時間にも関わらず、いつもの席を陣取っているのはいつもの看護科のメンバーたちだった。

「手術、いよいよ明後日だよね。体調はどう? 熱とか出ると延期になっちゃうから気を付けなさいよ」

幹の言葉に、琴子は慣れた手つきでメモ帳に(大丈夫)と一言書いて(でもね)と続く。

(明後日朝入院、午後手術の1泊2日の予定が、他のオペとの兼ね合いで、朝一のオペに変更。だから明日の午後入院してくれって。で、手術の翌日の朝の退院だから結局2泊になっちゃった)

「あら、そーなの? まあいいんじゃない? 入院体験も」

「そうそう。患者の気持ちがよくわかる」

(うん。耳鼻咽喉科のナースの仕事、勉強させてもらう)

「わーいやな患者~~」

「斗南は耳鼻咽喉科の中に音声外科がありますからね。芸能人も多く訪れるから、プロフェッショナルなナースが多く配置されてるらしいですよ」

(そうなんだー)

「それで、卒論発表は間に合いそうなの?」

「一週間、絶対沈黙だっけ?」

(そう。なんとか、ギリ間に合うの。でも
別にあたし一人くらい延期してもよかったのに、って教授に言われちゃって。だったら、無理して手術にしなくてもよかったかなーって。失敗した………)

と、がっくり意気消沈ポーズの琴子である。

あの時、何故勢いで決めちゃったのか。指導教授に相談してからでも良かったのになーと、軽くため息をつく。
注射を打たれるのも嫌いなのに、検査だなんだと何回も血をとられた。あたしの血管、細くて申し訳ないですぅと思いつつ、みんな一発で採ってるから、流石、プロだな……と、感心しきりである。

「ま、卒論発表ったって教授と学生の前でやるだけの学内発表だしね。確かにそんなに身構えなくてもよかったかも」

そうは云われても、卒業単位を落としてしまった3年前の恐怖が甦り、つい慎重になってしまったのだ。今度こそ、何がなんでも落とすわけにはいかない。国試が受かっても卒業できなかったら目も当てられない。

「でも琴子さんの渾身の卒論、拝聴したかったから、良かった」と、くったくなくにっこり笑う智子。

「ふふっほんとは琴子さんのオペ、見学したかったなー。耳鼻咽喉科とか口腔外科とか、眼科とかのオペって、案外お腹ん中かっさばくよりえぐいんですよね~~」
………楽しそうである。

ひきつり笑いを浮かべながら真里奈が訊ねる。

「延期だと、教授たちの前でたった一人で発表することになったの?」

(そうみたい。その方が楽だったかなー。学生たちいない分、ギャラリー少なくて)

「実際、声帯結節は時間薬のとこもあるし、どれくらいで完治するかわからないっていうしな。嗄声が治るのに何ヵ月もかかったって、バンドのボーカルやってた友達がいってたよ。まだ実習も一回残ってるし、小児病棟のクリスマス会で出し物頼まれてるし……早く話せるようになる分はいいんじゃないか?」

(うん、そうだよねー)

看護科の仲間に事情を伝えた時、みんな一様に「あんたどんだけお喋りなのよー」と呆れられた。しかしあっさり筆談生活を受け入れてくれ、実習のフォローもしてくれた。声帯見せてよ、とか、術後サポートしてやろうかとか散々弄られてはいるが。

注射とか点滴とか何回もされるんだよなー憂鬱だなーと今さらながらドキドキしてくる。
術前検査はレントゲンなどの簡単なものだったし、結果も特に問題なく、トントン拍子に予定通り手術を行うことになってしまった。

「全身麻酔ったってオペは寝てる間に終わっちゃうし」

(それはわかってるよー)

「何秒で落ちるかしら」

「麻酔科の荒瀬先生なら7秒ぴったりだそうですよ」

「挿管は細径のチューブ使うんだっけ?」

「喉頭下顕微鏡手術(ラリンゴマイクロサージェリー)の副損傷は口唇、口腔の損傷、歯牙の欠損の他に味覚障害や舌下神経麻痺の事例も……」

真っ青になる琴子に「あんまり脅かしちゃダメよ~~智子」と幹が諭す。

(ら、らりんごなんちゃらっていったい何~~!?)

どうやら専門用語にパニックていたらしい。

(みんな、ひとごとだと思って面白がってるでしょーー)

「だって、他人事だもん~~」

「ま、おっきな病気じゃなくて良かったですよ」

「で、入江さんはいつ帰ってくるの?」

幹がわくわくとしたように琴子に訊ねると、琴子は途端にがっくりと肩を落とす。

(手術のことはファックスで連絡したんだけど、全然返信なくて。もしかしたらうちに帰ってないのかな……)

「でも、病院とマンション近いんでしょ? 着替え取りに帰ったりくらいはするんじゃないの?」

「えー、じゃあ、あえてのスルー!?」

真里奈の驚嘆の声にがくりと肩を落とす。

や、やっぱりまだ……
………まだ怒っているのかも……
噂を信じてしまったこと。
それを思うと申し訳なくていたたまれなくなる。

自宅に帰れてないのなら、あの声の彼女もいつも近くにいるのだろうか、と一瞬頭を掠めるけれどーーぶるぶると頭を振り払い、敢えて考えないよう努める。

(とりあえずね! 入江くんが珍しく留守電に声を残してくれたから、それを消さずに、たまに聞いては癒されてるの~~)

ーーオレだけど……という、数十年後ならオレオレ詐欺と間違われそうなたった一言だけなのだが。
思わずその場の全員が琴子に憐憫の情を向ける。

「さすがに手術するって知ってスルーはないでしょ? 本人に全然直接話せてないわけ?」

こくりと頷く琴子に、「だって、明後日手術なんでしょ? ご家族に神戸の病院に電話してもらったら?」と幹にいわれ、

(おかあさんが家に何度かかけたけどやっぱり留守電でーー病院に直接電話するわよって何度も云ってくれたのだけど……お願いして止めてもらってるの。家に帰れないくらい忙しいんだとしたら、もうわざわざお知らせすることもないかなーって……たかだか声帯結節の手術くらいで)

「どんな簡単なオペだって、絶対大丈夫、なんて保証はないのよ? 全身麻酔なんて、とくに」

(わかってるよー)

医療を勉強したのにも関わらず、同意書にぴっしりと書かれた起こりうるリスクについての項目を読んでいくと段々不安になっていく。

「ったく、おまえら相変わらずだな。夫婦なのになんでそんな遠慮してんだよ」

立ち上がる啓太の顔つきが剣呑になるのを見て、みんながどうどう、と抑える。

「琴子たちには琴子たちの事情があるんだから、口を出さないの」

「ま、確かに馬鹿な遠慮してるとは思うけどね」

幹の言葉に全員激しく同意して、冷めかかったランチの続きを食べ始めた。

「そーいえば、今、金之助さんいないのに、琴子のランチ、妙にボリュームたっぷりじゃない?」

金之助は『ふぐ吉』の板前が一人ぎっくり腰になったために、大学の学食は先週から休んで、重雄の店のランチタイムにも入っていた。当然のようにクリスもである。
とはいえ学食を仕切っているのは在勤15年の調理師、ナツさんだ。斗南学食のオフクロとも呼ばれ、二人欠けても補充のバイトをこきつかい、きっちり繁忙時間を回している。

(そうなのよ……なんか、さっきナツおばちゃんが涙ぐみながら、頑張りな!ってこの特盛渡してくれて。なんでかな~~?)

「そのでっかいマスクがひどい風邪引いてると勘違いされてんじゃない? 」

「お喋りな琴子さんの声が、最近全然響かないですしね」

(そっかな~~)

この数日間、何故か妙な憐れみのような不思議な視線を感じるのだ。
何だか背中がこそばゆい。

ーーちなみに。
掃除のおばちゃんから流れた『噂』は、学生たちには伝わることなく、派遣会社の雑務係や看護助手、食堂のおばちゃんといった裏のルートで静かに流れていった。
琴子はどうやらおばちゃんキラーで、そういう斗南の縁の下を支えている陰の職員たちの人気者だったのだ。
なので、まさかそんな噂ーー喉頭ガンで余命幾ばくもない(余命に関しては尾ひれ増大)が流れているとは、琴子の周りの誰もが気が付いていなかったのであるーーー。






* * *


11月18日 p.m.6:15









…………………疲れた。

なんだ、この疲労感は。

直樹は医局のソファに倒れこんだまま、少し仮眠をとろうと瞳を瞑る。

いや、眠っていても疲れすぎて変な夢ばかり見る。お陰で良質な睡眠が取れず眠った気がしない。

誕生日に琴子と擦れ違って以来、怒濤の日々だ。あれから何日たったのか、時間の観念がわからなくなるくらいだった。
担当患児の救急搬送から始まった初めての医療過誤問題(結局、いったんは納得した筈の弁護士の祖父は、新たな情報を得る度に何度も病院に押し掛けてきてあれこれ質問してくるのだ)、NICUで難易度の高い心臓手術を待っていた新生児のCPAーーなんとか命は取りとめたものの、予断を許さぬ状況が2日ほど続いた。
ようやく安定したと思ったら、今度はNICUで院内感染騒ぎが起きた。死には至らなかったものの、院内感染は全国ニュースにもなる大事の緊急事態である。すぐに調査委員会が発足し、ピリピリとした重苦しい雰囲気が小児科病棟を覆っていた。
後に『神戸医大小児科魔の一週間』と語り草になる日々であった。

少し仮眠して、明日倉敷に持っていく資料の準備をしなくてはならない。各務から依頼されている小児救急学会の中間報告会が倉敷医大であるのだ。
倉敷まで二時間もあれば行けるので、日帰りで十分だが、何分忙しすぎて資料を準備している暇は皆無だった。

だが自分だけではない。同僚たちの疲労度はピークに達している。
締切直前の漫画家のように◯ンケルやモ◯が飛び交い、医者が点滴受けながら治療してるっておかしいだろ?
みんなげっそりした顔で力なく笑いながら、それでも患者のために疲弊した身体にムチうって仕事をしている。
そのうち本当に医療事故がおきるのではと危惧されるような状況だ。

ーー琴子……調子はよくなったのだろうか。
話せるようになったのだろうか。

結局電話をしそびれたままた。
話したいのに………









11月18日 p.m.11:15


そのまま病院で資料を完成させるつもりが、自宅のパソコンに検証データが保存されたままだったことを思いだし、いったん帰ることにした。

一昨日着替えを取りにいった際には、電話の留守電ランプの有無しか見なかった。留守電がないことを一瞬のうちに悟ると忌々しげに電話を睨み付け(電話に八つ当たり)近寄りもせずに、着替えだけ持ってすぐに病院にとんぼ返りしたのだ。

今日は、リビングに入った瞬間、点滅する赤ランプを見て、思わず駆け寄り再生ボタンを押した。
二件あった。
一件目はセールスで、二件めはーー
『もしもし、おにいちゃん? ったく、今日も留守なの? いったいどういうつもり? なんで連絡してこないのよ! もう、明日なのよ? ほんとに、このまま………あ、琴子ちゃん……あ……ううん。やっぱり留守ね………』

そのあと受話器をふさいでボソボソと喋ってる声が聞こえたがすぐ切れてしまった。

ーーいったい何なんだ……?

何が、明日だって?

頭の中をハテナマークが行き交う。

時間をみてまだ大丈夫だな、と自宅に電話しようとしたとたんにコール音が鳴り、思わず反射的に取り、「琴子!?」と叫んでしまった。

『愛妻じゃなくて悪いな』

救命センターの各務だった。
仮提出していた資料のことでの問い合わせで、結局パソコンを開きながら一時間以上話してしまった。

そのままパソコンに向かい、原稿を完成させたのは真夜中過ぎ。
結局また電話をしそびれて、時計を見ながらため息をつく。

ーーああ、そうだ。

直樹は読み込んでおかなければならない論文資料があったことを思いだし、デスクの横の本棚の方に手を伸ばす。

………なんだ? これ?

記憶にない小さな箱。
手にとって開けてみると、シンプルで小さなアナログ置き時計だった。

後ろを見るとアラームのボタンがあったので、どうやら目覚まし時計らしい。
こんなもの、この部屋にあったかーー?

念のために目覚まし時計はデジタルタイプのものを寝室に置いてはあるが、大抵アラームより早く目が覚めるのであまり役にたった試しはない。

琴子の忘れ物だろうか?

にしては新品のようだ。それに琴子の趣味にしては白い立方体のデザインなどシンプル過ぎる。
保証書や説明書も箱の中にあった。
そしてその中に可愛らしい花柄の付箋が一枚。

『誕プレのおまけだよ♪ 使ってみてね!』

琴子の字で、ひとことだけ書いてある。

ーー目覚ましボイス……?

録音再生機能付き目覚まし時計。

…………もしかして。

直樹は思わず、アラームの音を再生してみた。


『入江くん、朝だよー、起きて~~』

懐かしい琴子の声だった。
久しぶりに聞く、甘ったるい高めの声。

「琴子…………」

ーー入江くん、朝だよー、起きて~~

その3つの文節だけの短い言葉が、エンドレスに繰り返される。

おまえ、せっかくの誕プレ、こんな分かりづらいとこに置いとくなよ………

少なくともネクタイピンよりは、今はこっちの方が嬉しいぞ。

直樹はしんと静まり返った部屋の中で、いつまでもその声を聞いていた。



11月19日


ーー翌朝。

二時間ほど仮眠をとった後、ほぼ徹夜で提出資料を整え、再び病院に戻ってやはり眠っていないらしい各務のチェックを受けてから、そのまま朝一番の新幹線で各務とともに岡山に向かった。

「悪いな、小児外科も今は大変そうだが……」

あまり悪いとは思っていなさそうな表情でしれっと云う各務に、直樹は苦笑しつつ「小児救急学会のフォローは夏から約束してますから。勉強にもなるので構いませんよ」

一応そちらの予定があるときは当直は抜いてもらっている。最も当直でなくてもずっと病院にいる気がするのだが。


「おまえ、休みとれてんの?」

「取れると思いますか?」

「無理だな……だが、もぎ取ろうと思えば取れないことはない。嫁の声が聞きたきゃ、周りのことなんか何も考えずに、すっぱり割りきる思い切りがなきゃな。患者優先の良いドクターほど家庭を破綻させるんだ」

「研修医がそこまで達観できたらいいですね」

「5時でスパッと帰るボンボン二世もたまにはいるがな……」

苦笑いを浮かべる各務。小児科にはいないが、何人かはそんな研修医がいるとは聞いたことがある。残業頼んだら親から文句の電話があったりとかも。それが教授の知り合いの大病院の跡継ぎだの厚生省官僚の息子だのというからタチが悪い。

「ま、この研修制度についちゃそのうち厚生省が改善策を出すだろう。このままじゃ、医者のなり手がなくなる。希望に燃え気概に満ちた医師ほど劣悪な状況に早く潰れていく」

「そうなって欲しいですね。おれが指導医になるくらいの時代には」

実際研修医制度が改正されるのは、厚生省が厚労省と名前をかえて、さらに数年後の話である。
そんな先の話よりも今は救命制度の改善の方が重要だ。震災で露呈した日本の救命がいかに立ち後れているかという事実。今回は小児救命ということで、直樹にとっても睡眠時間を削っても関わりたい事案である。

とはいえ。
実際、こんな状況では医師で家庭を持つのは難しいような気がしてくる。
医大生が学生結婚が多いのは、この研修医時代までに結婚しておかないと相手に逃げられる可能性を知っているからに違いない。


ーー夕方には打ち合わせは終わり、夜までには神戸に戻れる予定だ。

明後日は結婚記念日だ。
休みではないが、当直は入っていない。なんとか定時で上がらせてもらい、東京に戻ることはできないだろうかーー
もぎ取らないと時間は作ることができないーー各務の言葉が心に刺さる。

そんな算段を頭の片隅で考えつつ着々と倉敷でのスケジュールをこなし、予定通り夕方には病院に戻ってきた。
NICUではやっと院内感染のルートが判明し、事後処理に奔走している最中で、現場の混乱の中に戻ると途端に、やはり東京に戻るのは無理だろうと思えてくる。

直樹は鞄の中に入れた琴子の目覚まし時計を取り出して、自分のデスクの上に置き、疲れた顔を天井に向けたーー。









※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



もう少し話を進めたかったのですが、無理でした~~f(^_^;
あまり状況は進展せず、もやっとしたまま年越しで申し訳ないです。
多分次の回にはきっと…………f(^_^;



今年は29日まで仕事でして、なんだか30日、31日も普通の土日な感覚です。
うん、でもちょっとは大掃除したよ。ほんとにちょっとだけ………f(^_^;いや、それは大掃除っていわないか~~

そして、大晦日の夜は(あ、もう24時間切ってるよ~)、ソウ様宅で恒例の年越しチャットが開催されます。
ソウ様、お忙しいのにありがとうございます!
今年も多分お邪魔させていただきます。
お会いできる方、ぜひ参加してくださいませね。時折年越し蕎麦作りに抜けたりしますが、一緒にイタキス話に花を咲かせつつ、年越しカウントダウンしましょう(^^)d

それでは、皆様よいお年を!



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* Category : 1日で終わらない西暦シリーズ
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NoTitle * by なおなお
ありゃ!入江君、琴子ちゃんが大変なのにv-12

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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメがおそくなりまして、すみませんf(^_^;

看護科メンバー、いじりつつも見守ってますよね。

遠慮や諦めや不安や思いやりや色んな思いがないまぜになってる筈ですが、何にしろ声が出ないのでアクションを起こせない琴子ちゃんです……ほんとに直樹っ気づけよっ〜〜ですね(-_-)
留守電にしか気がいってないので、ファックスに全く気づいてない注意力散漫気味ですが忙しすぎるので許してやってくださいな。
色々時系列わかりづらくて申し訳ない。手術はこれからです。さて、間に合うのか? 来年まで待て!乞うご期待! ……てなことになってしまいましたが、そろそろ終わりが見えてきたので、直樹猛省までもうすぐです(多分……)あ、手ぬるかったらどうしよう……f(^_^;

ふふ、チャット楽しかったですねー。まさかあんな展開になるとは〜〜(^^)d

Re.ルミ様 * by ののの
拍手コメントありがとうございました♪
リコメ遅くなってすみません(((^^;)

ほんと、今回、みんなどうした?というくらいなかなかアクション起こしませんね……
琴子ちゃんのために憤っていただいてありがとうございました。

はい、こちらこそ、よろしくお願いします(^^)


Re.heorakim様 * by ののの
拍手コメント&コメントと、二つもいただいてありがとうございました。
リコメが遅れて申し訳ないです。

物理的な距離の大きさが行き違いやすれ違いを生じさせます。切ない展開ですが、間違いなく年明けにはハッピーにさせますのでご安心を!

お仕事大変そうですね。パソコン使えるだけで、すごいです。三年たっても使いこなせないスマホ頼みな私です。
わたしのお話がお仕事のストレスの癒しになっているのなら良かったです。
heorakimさんも、この一年、こんなブログを訪問していただきありがとうございました!

Re.るなたま様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメが遅くなりまして申し訳ありませんm(__)m

互いの録音の声で癒されている寂しい二人……萌えポイントの筈なのに、直樹さんが残念すぎて萌えれないという……(-_-)

うちのファックスは、通販してた名残のDMファックスを無視してた為に大量の未読ファックスの中に友人からのファックス埋もれてたことあって……いやーまだ携帯持っていなかった懐かしい時代の話ですが。
さて、そろそろ直樹さんも琴子ちゃんから大量ファックス来てること知ってもらわねば。
頑張って続き書きますね。
るなたまさんにとって今年がよい一年でありますように。

個別記事の管理2017-12-25 (Mon)




予告しましたクリスマスのお話です(^^)d

そして、うち方面は……今宵は雨のクリスマス……(-_-)





※※※※※※※※※※※※※※※※




~19911224



「入江くん、入江くん。今日はクリスマスパーティ来てくれて、ありがとー。ぜーったい来ないかと思ったから、めっちゃ嬉しかったよぉ」
風呂から上がったおれに、へへへっと顔をにやつかせて琴子が近寄ってくる。

おれのおふくろが企画した自宅でのパーティに顔を出したからと礼を云われるのも変な話だ。単に帰宅しただけなのだから。
直前まで参加しないと言い張っていたせいか、おれが思いの外早く帰ってきたら、顔を輝かせて駆け寄ってきた。まるで尻尾を振って帰りを待つ仔犬のようだな。いや、チビはもう随分でかくなったんだが。

それに顔を出したのは殆ど終わりがけだ。多少残っていた冷めたチキンとオフクロ手製のローストビーフを摘まんで終了。琴子が作ったというグラタンという名の謎の物体は当然パスだ。

去年のようにクラスメイト全員が押し掛けるようなことはない思いつつ、いつもの親友二人は来るとかいっていたので、時間潰しに須藤さんの家でアルバイトや、アパートの物件のことなど訊いていたのだ。まだはっきり決めていないからといったものの、口止め料が高くつきそうで、これなら家に帰った方がましだったかな、と己の計算ミスを少々悔やむ。
また新作AVを見せられそうになり、慌てて帰ってきた。どうも須藤さんのチョイスはおれの嗜好に合わない。
結局、唐突に雨が降ってきたということもあり、思ったより早い時間に帰宅してしまったのは、自宅のクリスマスパーティに参加するためではーー決してない。

「えーと、それから、はい、メリークリスマス。みんなにはパーティの時に渡しちゃったから……」

後ろ手に何か持っているから、多分そうだろうと思った。まさか、またマッサージ器とかじゃないだろうな。

「いちいち要らない。この間の誕生日もプレゼント押し付けられたはっかりだし」

尤も誕生日プレゼントはブランドの手袋で、そこそこ重宝している。
去年みんなに馬鹿にされたのが堪えたのか、誕生日は念入りにリサーチして、『ごく普通のプレゼント』を選んだようだった。
そして、やはりこっそり単発のバイトをしていたのも実は気づいていた。今年はラーメン屋だったようだ。髪の毛に染み付いた豚骨の匂いで想像がついた。

「あ、誕生日ので金欠になっちゃったから、今回はお金かかってないの~~」と頭をかきながらおれに押し付ける。

薄っぺらいA4サイズくらいの包みは……本……? 本ならとりあえず、何でも読むが………

包みを開けたら中から出たのは熱海のガイドブックだった。思わず、ギャグのようにガクッと砕けそうになる。

「へへっせっかく入江くんも熱海に行く気になってくれたから、一緒に見ようと……」

それ、プレゼントとは言わねーだろ。

「熱海なんて、旅館で温泉入って飯食っておしまいだろ? 冬場で海水浴が出来るわけでもなし」

学祭のクイズ大会の賞品で押し付けられた熱海旅行。琴子の勢いに負けて家族で行くことになってしまった。
冬休みに入ったらって、もう明日の話だ。


「えー、観光地もあるよ。理美がぜひ入江くんと秘宝館にいってらっしゃいって……」

「おまえ、秘宝館ってどんなのか知ってるのか?」

……ったく、こいつの友人どもは……

「秘宝がたくさんあるんでしょ? 」

わくわくとさせている琴子に内心呆れ返りながらも、連れていってどんな反応するのか見るのも面白そうだがーーーなどと悪戯心も沸いてきたりする。
だがまあ、家族旅行でそんなところに寄る筈もねぇだろ。
おれは渡された冊子で琴子の頭をぽんと叩きながら、
「このガイドブック、しっかり読み込んでおけばきっとわかるよ。自分がからかわれたってこと」と、そのクリスマスプレゼントやらを琴子に押し返して、部屋に戻ろうとした。
すると。

「ああーーっ入江くん、見て見て!!あれっ」

戻ろうとしたおれのパジャマの袖をぎゅっと掴み、廊下の突き当たりにある窓を指差す。

「雪だよっ雪! やーん、ロマンチック~。明日はホワイトクリスマスかしら~~?」

「雪?」

おれは怪訝そうに窓際に近づく。
さっきまで冷たい冬の雨が降っていたのに。

「雪なんて……何処に………」

窓ガラスの向こうの闇の中でひらりと白いものが舞い落ちた。

「雪っていうより霙だよな」

「えー積もらないかな」

「無理だろ? これくらいじゃ」

「あーでもなんか、『雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろ~~♪』ってまんまじゃない? なんか素敵……」

その歌って、「きっと君はこない。ひとりきりのクリスマスイブ」というぼっちな男の寂しいクリスマスソングじゃなかったっけ?

「この程度の気温と積雪量じゃ多分積もらない」

「そうかなー?」

「積もったら、道も渋滞になって……下手すりゃ熱海行けなくなるぞ。おれは願ったりだけどな」

「それは困るかも」

「……東京で12月に積雪なんて、殆どないね。たしか1965年以来一度もない筈。東京でホワイトクリスマスなんて確率的にほぼ0%だ」

「ええっ!? そうなの? すごいなー入江くん、そんなことまで知ってるんだ。 うーん、そういえば、そうかも………お母さんの命日に秋田いくとたいてい雪だから……12月は雪ってイメージは結構あったんだけど」

琴子は残念そうに窓の外を見つめる。
そういえば今年も2週間くらい前に秋田に行ってたっけ。

「なんで、そんなにホワイトクリスマスがいいんだよ?」

そもそも気象状況の変化とキリストの誕生日にロマンがどーのという発想自体がわからないが。

「なんか、クリスマスってそんなイメージじゃない? 雪の中で恋人たちが一つのマフラーを一緒に巻いて手をしっかり繋いで歩いて、とっても寒いけど心はとってもあったかで……二人でイルミネーション見つめながら、来年も二人で一緒に過ごせるといいね、なんて。そして雪の中でキスを交わすの……」

うっとりと目をつぶってお得意の妄想劇場が始まった。

「せいぜい寒がりじゃない男を掴まえてくれ」

イルミネーションってことは夜だし。雪降ってるって相当寒いだろ。

琴子の妄想の隣にいる男が自分だと疑いもないくせに、素っ気なく肩を竦めて「じゃあ。もう寝るから」と琴子に背を向ける。

「あ、うん。おやすみ。熱海行く前に風邪引いちゃ大変だもんね。明日、すっごく楽しみだよ。気を付けてね」

そして、名残惜しそうにいつまでも窓の外を見つめている琴子。

来年のクリスマスはこの家にはいねぇかもしれないし。
琴子の妄想が叶うことはきっとないだろうと思う。
東京でホワイトクリスマスになる確率は0%。それと同じくらい少ない可能性なのだーー

とはいえ、面倒だと思いつつも熱海旅行なんてものに付き合うつもりの自分に、どういうつもりだ? 直樹、と自問自答したくなっているけどな。
ーーま、家以外の場所で、ゆっくりこれからのことについて考えるのも悪くないーーそんなことをつい思ったせいもあるけど。

…………別に琴子がせがむから……とかそんな訳じゃ、決してないーーーーー。







* * *






~20031225




「わぁ~~~スゴい、綺麗………」

琴子が白い息を吐きながら点灯したイルミネーションをうっとりと眺める。

「マーマー、きれい~~」

琴美も母親と同じような夢見心地な瞳で雪とイルミネーションの競演を眺めている。
3歳ながらうっとりとした乙女な顔つきで、母親そっくりだ、と直樹の頬も緩みがちになる。

「入江くん、ありがとう。北海道に連れてきてくれて」

琴子が嬉しそうに微笑む。

「学会のついでだから、たいして観光できないが。念願のホワイトクリスマスを体験できるチャンスだろうと思ってな」

昨日は晴天で、果たして積雪があるか心配だったが、さすがに北海道、夜中に静かに降り積もった雪は3センチほどあった。立派なホワイトクリスマスと云えるだろう。


「………覚えてたの?」

琴子が驚いたように直樹の顔をマジマジと見つめる。

「ホワイトクリスマスの夜、イルミネーションを二人で眺めて手を繋いで歩くーーーだろ?」

もう10数年も前に琴子が言っていたセリフだ。

「………ふふっ覚えてくれてたのが嬉しい。結婚できたことだけでも奇跡なんだからそれ以上高望みするまいと思ってたの。そんなフツーの恋人たちみたいなロマンティックなシチュエーション……」

まるでフツーじゃないみたいだが、極々フツーの残業過多な日本の労働者よりは、多忙な旦那であり父親ではある。

「ただ、イルミネーション見るだけなら東京でもあちこちで見られるけど、琴子の要望は『ホワイトクリスマス』だったからな。東京じゃ、100%ムリ」

この12年の間も都心でホワイトクリスマスの年は一度もない。

「たとえ東京でも、家の近所のイルミネーションをチビを散歩させながら眺めて歩くだけでもーー入江くんと一緒なら、とっても幸せだよ? あたし」

そんなことは知ってるけどな……
日常の幸せに十分満足してる琴子だからこそーー
今回は直樹もすこしばかり骨を折ったのだ。

「……それに、二人じゃなくて三人だけどね」

条件はそもそもそこで大きく崩れているわけだが、この際それには目を瞑ってもらうしかない。
二人の間に小さな琴美がいるせいで恋人のように手を繋ぐこともひっついて一つのマフラーを二人で掛けることもできないけれどーー小さな手を雪道で転ばぬようしっかり繋いで三人並んで歩くのも、それはそれで幸せな情景だ。

たまたま札幌での学会の日程がこの時期と重なり、ここ最近忙しくてまともに家族で出掛けていないことを思いだして、2泊3日のほぼとんぼ返りだが、琴子と琴美を伴って来たのだ。
琴子のシフト調整が少々大変だったが、桔梗にあれこれ融通をつけてもらい、なんとか休むことが出来た。
とりあえず、土産はロイズだの六花亭だの、山ほどリストを渡されたけれと。
それなのに、大通り公園2丁目のミュンヘン・クリスマス市で、ビールにソーセージにマトリョーシカ!?(ロシアだろ、それ、と突っ込んだが、ヨーロッパ風味ならなんでもアリらしい)だの、琴子はあげる相手を思い浮かべながら楽しそうにお土産を物色しては買い込んでいた。
そして、ま、いいか、と直樹は琴子の自由にさせていた。
自分は何度もヨーロッパもアメリカもアジアも行き来しているが、琴子はハネムーンのハワイ以来、国外に出たことはないだろう。それについては全く文句はいわない。連れていってとねだられたこともない。最近は、妻子づれで学会やシンポジウムに参加する医師も多く、よく、何故、家族を連れてこなかった? と叱られることも多いのだ。
いつか琴子を伴って海外の学会にいくこともあるかもしれない。
たとえば何かの医学賞の授賞式ーーイブニングドレスや着物を身につけた琴子を連れてパーティなどに出る日もあるだろうかーーー眩い光の中で、ふとそんな情景が思い浮かんだ。
琴子に感化されたか。
直樹は自嘲気味に軽く笑う。
きらびやかな光の饗宴に軽い眩惑を感じているのかもしれない。

「………ほんと、素敵だねぇ……」

何度もキョロキョロとあちこちを見回して感嘆の声を上げる琴子。

札幌の冬の風物詩、ホワイトイルミネーション。町中を彩る宝石のような電飾を眺めながら、駅前通りから、ホテルへと向かっていく。
ちらちらと降りしきる雪を、琴美は嬉しそうに口を開けて食べようと待っていた。

琴子はひらひらと落ちる雪を掌で受け止める。

「ふふっ東京の雪と違うねー。ちゃんと結晶が見える~~流石パウダースノー!」

「水分が少なくて軽いから、スキーをするにはいいが、雪だるまは作りにくいらしいぜ」

「えー~~みーちゃん、雪だるま作りたい」

「面白いねー。同じ雪なのに、そんな違いがあるなんて……わーすごい………ほんと、絵にかいたような結晶がくっきりと見える」

手のひらの雪を見つめたり、イルミネーションを見つめたり、面白そうな店を見つけては寄り道したりと、随分長い時間を歩き続けているのに、妻と娘は疲れを知らないようにはしゃぎ回っている。
だが、きっとそのうち琴美は疲れたとぐずりだすだろう。
氷点下の外気の中で、とりあえず、歩いてくれてるだけマシというものだ。

「琴美、大丈夫か? まだ歩けるか?」

「うん、みーちゃん歩けるよー。サンタさん来てくれたから頑張れるの」

旅行に来てしまって、サンタさん来れないかも、と心配そうな琴美のもとには、ホテルの枕元に欲しがってた『プ◯キュア』のオモチャが置かれてあった。

サンタさん、すごいっ、なんでみーちゃん、北海道にいること知ってるのー?と興奮して今朝、父と母に一番に見せたのだった。

「ふふ………こんなに幸せなクリスマス、はじめてかも」

「去年もそういってなかったっけ?」

去年は確か病院で二人で夜勤だったが、入院中の子供たちにプレゼントを配ったりした後に、ささやかに二人でレストルームでコーヒーを飲んだ。みんなの笑顔を見たあとのほっこり気分で入江くんと過ごせるクリスマスは最高に幸せだわ、と笑っていた。

「一番始めに幸せなクリスマスって思ったの……あれ、いつだったかな。あたしがじんこたちに裏切られて一人ぼっちで家にいた時、入江くん、ケーキとチキン買ってきてくれたんだよね。あれはチビにだったけど、それでもすっごく幸せだったなー。ね、あれから、毎年毎年、いろんな幸せが上書きされてくの。すっごく嬉しいよ。ありがとう、入江くん」

「どういたしまして」

あの頃には自分の中にこんな心境の変化が起きるなんて、思いも寄らなかったろう。
琴子のためにわざわざ時間を調整し北海道旅行のプランを練り……
ただ、このイルミネーションと雪の競演を琴子に見せて、幸せそうに笑う琴子が見たいという単純な理由でーーー

「………あ……」

テレビ塔のイルミネーションに気をとられていた琴子の唇に、不意打ちでキスをする。

「いっ入江くんっっ/////」

「………イルミネーション眺めながら雪のなかでキスするんだろ?」

「ええっ……そ、そんなこと云ったっけ」

「云った」

「……ほんと、そんな大昔の話をよく覚えてるよね」

「全くね」

何故事細かに覚えているのか。
言葉だけでなく、あの夜、うっとりと語っていた夢見るような琴子の表情までも。
こんな未来を予想していたわけではないのにーー。



「……たまには、こんなプレゼントも悪くないだろう?」

「……すっごく、嬉しいデス」

東京でホワイトクリスマスは100%不可能で。
けれど奇跡はちょっとした財力と労力と時間さえあれば賄えるのだ。
琴子にとって直樹を得ることが出来たのは奇跡のような出来事だったけれど、それは琴子の熱意と真摯な努力の賜物であった。それよりははるかに簡単なことだと思えた。

そして、今自分の横で幸せそうに笑っている妻と子供を目を細めて眺めている直樹の姿は、12年前には決して信じられない奇跡のような出来事だったかもしれない。

降り注ぐ雪の結晶と光の海の中。12年目の奇跡が優しくこの家族を包んでいたーー。



ーーーMerry Christmas!


ずっとずっと そばにいて
同じ夢をさがす 旅をしたい

Snowflakes 君のぬくもりは
冬の贈り物 ほら雪だよ……













※※※※※※※※※※※※※※


読み返してみて、とりとめのない話だなーと思いつつ……(((^^;)
確か、去年、東京ではホワイトクリスマスの確率は0%、というネット記事を読んで書いた記憶があります……(曖昧^_^;)

なので確率100%の北海道(正確には旭川らしい)行ってしまえという発想、入江にしては単純すぎないか?と一年前の自分に突っ込みつつ、むじかくさまから聞いたミュンヘンクリスマス市の話もついでにぶっこみました笑

お借りしたホワイトイルミネーション画像は今年のものですので悪しからず~~



さて、今年も残すところあと一週間……もう一回くらい更新できるだろうか……(((^^;)



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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメがめっちゃおそくなりまして、すみません。

秘宝館、前にも書いたかなーと思いつつまた出しちゃいました笑。私が行ったことないので琴子も入ることないでしょうf(^_^;
クリスマスによく流れるあの歌、結構残念な男な歌詞ですよね〜〜
なのでラストシーンは幸せに『メリクリ』で。定番中の定番ですよね笑
うちの直樹さんは琴美生まれてからはもう甘々です。かなり素直くんに進化してますよね。
たしかこのお話書いたときもむじかくさんからパウダースノーのことを聞いて書いた気がします。そして、今回はミュンヘン市。色々ネタをもらって助かっております( °∇^)]

Re.heorakim様 * by ののの
拍手コメントありがとうございました♪
リコメめっちゃ遅くなって申し訳ありません。
確かに二人の歴史が……(昔は青すぎますが)よくわかりますね。入江くん、ほんとささいなこと覚えてます。記憶力良すぎですねー。うらやましい笑
師走はほんと忙しいですね。そして、あっという間に正月もおわりもう、出勤です……(-_-)。heorakimさまもご自愛くださいませね。

Re.絢様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメ、めっちゃ遅くなって申し訳ありませんm(__)m
ほんと、寒い日が続きますね。
絢さまがほのぼのできて、癒されたならよかったです。
連載も頑張って終わらせるのでお待ちくださいね〜〜♪

個別記事の管理2017-12-23 (Sat)

連載の続きでなくて、申し訳ないですm(__)m
今週は、ほぼずーっと風邪っぴき~~仕事から帰るとダウンして早寝生活でございました。
週末もなんやかんや忙しくお話を書いてる余裕がありませんでした……。
予定じゃクリスマスまでには終わらせるつもりだったんですが……こりゃ、年内にも終わりそうにないかも……(毎度のことですが)お待ち下さってる皆様、気長にお待ちいただければありがたいです(((^^;)
多分ハッピーエンドまであと少しなんですがね~~


さて、替わりといってはなんですが、去年、クリスマス過ぎてから思い付いて、書いたものの時期を逸して「ま、来年のクリスマスにアップしよー」と寝かせておいた(とはいっても勝手に熟成はしてくれなかったので、多少手直し必須f(^_^;)お話をアップしようと思ってます。
今のところ25日の0時の予定ですが、手直し始めると長くなる可能性もあるので、もしかしたら、25日中、ギリかもしれませんがf(^_^;


そして、恒例のクリスマスのラクガキ。なんか、今使ってる画像加工アプリ使い勝手悪くて。手抜きのラクガキを誤魔化せるいいアプリないかしら~~ ̄ω ̄;)







emaさまからいただいたイリコト人形クッキー載っけちゃいましたー激かわ♪


それでは、皆様、素敵なクリスマスをお過ごしくださいませ♪♪


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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございます♪
リコメが大変遅くなり申し訳ありません。クリスマスどころか松ノ内も過ぎてしまいましたわー。
ラブラブな雰囲気出てる、といっていただけてありがとうございます。嬉しい! でもセルフ挿し絵へのみちは遠いです……(((^^;)

Re.ちびぞう様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメ大変おそくなりまして、申し訳ありません。

さらっと描くので毎回同じような構図同じような風味になってしまいます。
二人に負けない素敵なクリスマスは……熟年夫婦には難しいですね………f(^_^;
いや、もうとうに正月も過ぎちゃってますけどね〜〜( °∇^)]

個別記事の管理2017-12-17 (Sun)






11月13日







『はい。入江でございます。ただいま留守にしております。ご用のあるかたはメッセージをお入れください』

「おれだけど……また電話する……」

その日の午前中はICUにいた由輝の容態が安定していたために、何度か時間を作って東京の自宅に電話をしたのだが、結局ずっと誰も出なかった。

琴子の体調が悪いといっていたから、病院かもしれない、恐らく紀子も付いていったのだろう、という直樹の予想はあたっていたのだが、近所の病院で何故そんなに時間がかかるのか、と11時少し前にかけても留守電に切り替わった時には少々イライラして珍しくメッセージをいれてしまった。

午後イチにもう一度かけようと思っていたのだが、由輝の祖父という頑固そうなじいさんが「今回のは医療過誤じゃないのか?」と乗り込んできたために、院内は一気に緊張が走り、その対応でてんやわんやとなってしまった。
その祖父というのが医療訴訟を取り扱ったことのある弁護士ということで、孫の担当をしたのがまだ医師になって半年そこらの研修医と聞いて、真っ先にその可能性を疑ったのだろう。少しばかり医療関係に詳しかったことが仇となり、救急搬送の数時間前に受診して何故異常を見抜けなかったのかということを事細かく攻めてきて、救命センターの各務や小児外科の楡崎教授まで巻き込んで、医療ミスではないことを説明するのに半日近くかかってしまった。
初診の整形外科クリニックのレントゲンを取り寄せたり、母親に事情を聞いたりと対応に終われ、ようやく納得して祖父が帰る頃には、由輝もICUを出て小児科病棟に移ることになったのだ。
「どうしますか? 信用できないなら他の病院に転院されますか?」と訊ねたところ、直樹のファンである由輝の母親は、「父がなんといおうと、私は入江先生を信じてますから!このままこの病院で、入江先生の担当でお願いします!」と熱い要望を受けたので、結局そのままである。

それらの騒動のカタがついた後、直樹は激しい疲労感に襲われていた。
由輝の命は救えたものの、もし万一のことがあったのなら忸怩たる想いに一生苛まされるだろう。医療過誤と責められても反論する気持ちになれたかどうかわからない。色々と考えさせられることが多い1日だったと深くため息をついた。

小児外科病棟で由輝の受け入れが終わり、落ち着くまで様子を見続け、その頃には夜もすっかり更けていた。
琴子に電話をしたいという想いは常に片隅にあったのだが、結局、医局に戻ったのは夜の10時を回っていた。
東京に電話をしようかと医局の受話器を取りかけたものの、「たまには帰れよ」と当直の同僚に声をかけられ、その日は久しぶりに帰宅することにした。家に帰れば琴子から電話が来ているかもしれないと微かな期待をこめてーー。

実に3日ぶりくらいに帰宅し、冷え冷えとした暗い室内で、留守電のランプを真っ先に確認して、点滅していないのを見た瞬間に激しく落胆している自分がいた。

しかし灯りをつけ、ダイニングテーブルの上に置き手紙とプレゼントらしき小箱を見つけて、少しばかり浮上する。

琴子の小さめなまるっこい字。あのラブレターの字と全然変わらない。少女のような優しい柔らかな文字だ。



入江くん、誕生日おめでとう♪
会いたかったな。
でも仕事忙しいみたいから、しょうがないね。
無理しないで、身体に気をつけて頑張ってね。
あのね、ちゃんとA判定とれたから。
絶対国家試験も合格してみせるから。
だから、入江くん、待っててね。

入江くん、大好きだよ。

琴子




何度か文字を消した後がある。この椅子に座って、元文学部のくせして文章を書くのがにがてな琴子が一生懸命言葉を綴ろうとしている様子が思い浮かんで、軽く頬が緩んだ。


これを書いたのは病院に来たあとだろうか、前だろうか。噂のことにはなにひとつ言及していない。

プレゼントの箱を紐解くと、ブランドの名前が奥ゆかしく刻まれただけのシンプルな銀色のネクタイピンだった。これなら日常使いにちょうどいいだろう。
最近はなかなか笑わせてくれるプレゼントが少ないな、と少し物足りない気もするのだが。

とにかく着替えをする時間も惜しんでまず受話器を取って自宅に電話をした。
普段ならまだ就寝の時間には早いが、体調が治っていなかったらもうベッドかもしれない。
留守電が入っていないということは、やはりまだ体調が優れないのだろうかーー。
直樹は少しばかり焦燥を感じながらプッシュボタンを押した。

『はい、入江でございます』

電話にでたのは、また紀子だった。

ーーやはり琴子は具合が悪いのか? と、どきりとする。

『あら、お兄ちゃん。まだ神戸にいるの? すぐに帰ってっしゃい、っていったのに』

だが、早速の先制パンチに一瞬で不安はイライラに変わった。

「琴子は? いるんだろ?」

『いったでしょ? 電話じゃ受け付けないって』

「そんな無茶を言わずにさっさと琴子を出してくれ。今日は起きてるんだろ? 体調はよくなったのか? 病院行ってきたのか? 」

『……………』

しばらくの沈黙のあと、受話器の向こうで(琴子ちゃん、お兄ちゃんが話したいようよ。どうする? 替わる?)と紀子が話す声だけが聴こえた。琴子の声は聴こえないが、隣にいるようだ。

ーーなんだ、起きてるんじゃないか。そこにいるのに、なんでおまえが先に出ないんだよ。

しばらく二人で何やらやり取りしているようだが、ごそごそ話していて、一向に替わる気配がないのにだんだんイライラが増してくる。

電話機の向こうで、裕樹の『琴子、おまえおれのアイス食ったろう!?』などと、懐かしい日常会話が聴こえてきたが、とりあえずアイス食える元気はあるんだな、という安心と、じゃあなんで電話してこない、すぐに電話に出ないんだ、という苛立ちを同時に感じていた。

そして、やはりなかなか電話を替わろうとしない。この待っている時間が物凄く長く感じた。

ーー何故、電話を替わらないんだ?
やはりあのくだらない噂のことでぐだぐだ悩んでいるのか?
怒っているのか?
って、おれのこと信じてないのかよっ
そんなに信用ないのか?


『………琴子ちゃん、声の調子が悪いのよ。話せないから、お兄ちゃんの弁明だけ聞かせてやって安心させてあげてちょうだい。本当ならこっちに帰ってくるまで受け付けるつもりなかったけど、琴子ちゃんに免じて許してあげるわ』

そういって受話器が渡された気配は感じた。

「琴子……?」

『………………』

無言である。ただ受話器をこつん、と叩く音がした。

「なんだよ、全然話せないのか? 風邪が喉にきたのか?」

こつん。

どうやらイエスという意味らしい。

「せめて、あーとかうーぐらいは言えるだろ?」

しばらくの無音のあと、『んん』と鼻から抜けた息が漏れるような音が聴こえただけだった。

そして、こつん、こつんと二回。

無理、といってるようだ。


ーーなんなんだよ……?
どうして声を聴かせてくれない?

「多少風邪で喉をやられたとしても、小声でもがらがら声でも一言くらい話せるだろう? わざわざ喋らないのは、自分の声と同じ女におれが手を出したとでも思ってんの? その意趣返しかよ? そんなにおれって信用ないのか?」

ーーつい、言ってしまった。

「…………………………………ご、ごめんね…………」

耳をそばだてないとわからないような掠れた小声で、そういったような気がした。

「琴子……?」

そして、唐突に電話は切れてしまった。

ーーしまった、と思い、しばらく受話器を握ったまま茫然とその場に立ち尽くす。

そんなことを言うつもりじゃなかった。

プレゼントありがとう。
ちゃんと使うよ。
それと噂は誤解だから、気にするな。

そう言うつもりだったのに。

ひとことも言葉を発しない琴子に、つい苛立ってしまった。
言葉を発しないということが、逆に琴子がやはり直樹を疑っているのだと思えてしまったのだーー。いや、それは直樹の認めたくない照れもあったのかもしれない。琴子と声がそっくりな女を琴子と間違えてしまったという……そんな失態を知られているのかという決まりの悪さ。もしくはそんなに信じられていないのかという衝撃。
凹んだり落ち込んだり喧嘩する度に、ハンストしたり口を聞かなかったり、琴子も案外感情が激しい。思い詰めたら一直線なところがある。
やっぱり拗ねてるのかよ、と思うと心配して何度も電話した自分が道化のようにすら思えてくる。

「……………ったく」

直樹は舌打ちしてからおもむろにシャワーを浴びて、久しぶりの自分のベッドに身を横たえた。
枕元には夏休みに一緒に撮った笑顔の琴子の写真が並べられている。しばらく写真を眺めてから、部屋を真っ暗にした。琴子がいる時は常夜灯を点けていたが、一人の時は闇のなかの方が眠りやすい。
だが、ここ数日まともに眠っていない筈なのに、何故かなかなか寝付けなかった。

ふと、もう一度琴子から電話があるかもしれないと何度も電話のあるリビングの方に顔を向けてしまう。

ーーそして、妙な夢を見た。

人魚姫の夢だ。
口をパクパクさせて何も話さない琴子。
人魚になりたくて、魔女に声をあげてしまったと、身振り手振りで伝える琴子。
いや、違うだろ。
人魚姫って確か人魚が人間になりたい話だろ? 王子様を追っかけて。
すでに王子をガッチリつかまえてる人間のおまえが人魚になってどーする?

ところが琴子の綺麗な白い足にみるみる鱗が生えてきて、いつの間にか青く鮮やかな人魚の尾ひれに変わってしまう。

ごめんね、入江くん。
あたし、広い海原を泳いでいきたいの。
これからは自由に何処にでもいけるわーーー

言葉を発していないのに、なんで琴子の想いがわかるのだろう。
ああ、夢だからか。すげーご都合主義だな。

夢だとわかっていても、ひどくイライラとして、そしてたとえようもなく苦しくなってきた。
行くな、琴子。
おまえはおれを好きなんだろう?
なのにどうしておれから離れるなんていうんだ?

ーーーだって。
入江くんが先にあたしから離れていったんじゃない………

悲しそうに歪む琴子の顔。長い髪が舞い上がり、その顔をふわりと隠す。

そうして海の中にぱしゃりと飛び込む琴子を追いかけようとして、時分も海の中に飛び込んでーーーばっと目が覚めて飛び起きた。
ひどい寝汗だった。

なんなんだ、この夢はーーー。

窓の外はうっすらと明るい。夜明け前の静寂な時間だった。
直樹はもう一度眠ろうかどうしようか迷ったが、そのまま起きてもう一度シャワーを浴びることにした。
夢見の悪さを振り払うように。

琴子ーーおまえ、おれが神戸に行ったことを責めてるのか?

いや、違うな。

直樹はまだ温まっていない少し冷たいシャワーを頭から浴びながら、自嘲気味に笑った。

おれが罪悪感を感じてたんだ……琴子を置いて、一人で神戸に来たことをーー。


起きたあと、自分で入れたコーヒーを飲みながら、しばらくしたらもう一度琴子に電話をしようと思った。

本当に、喉の調子が悪くて声が出なかったのかもしれない。よくよく考えれば琴子がわざと喋らないとか、そんなくだらない意趣返しをするような女ではないことは自分が一番知っているのに。
なのに酷いことを言ってしまった。

そう、思っていたのにーー
いきなり早朝のオンコールで呼び出されてしまった。
担当患児が急変したという。
直樹は一瞬で医師の頭に切り替えて、すぐに自宅を飛び出した。

結局、また琴子と連絡が取れないまま、あわただしい1日が始まるーー。








* * *





「琴子ちゃん、どうしたの?!」

直樹の声を電話で聞いていた琴子が、コードレスの受話器をもったまま、ぼんやりと立ち尽くしていたのだ。
紀子は驚いて琴子の傍に駆け寄る。

琴子は一瞬微笑んで、何でもありません、とばかりに首を横に振ったが、すぐに顔を歪ませてあっという間に涙目になる。

「琴子ちゃん、琴子ちゃん。もしかして、お兄ちゃんに何か言われたの?」

紀子が慌てて琴子の背中を擦る。

(違います……入江くんは悪くない……)

「そんなことないわよ。何か意地悪なこと、お兄ちゃん言ったんでしょ! 」

琴子はただ悲しそうに首を振るだけだ。

ーー入江くんに、見抜かれちゃったんです。入江くんのこと信じられなかったこと……


そう書こうとしたが、文字にするのも辛くてペンを置いてしまう。

「お兄ちゃんに、ファックスしてなかったの? 声帯結節のこと、まだ知ってなかったようだけど………やっぱり内緒にするつもりなの?」

紀子の問いかけに 、

(病院から帰ったあと、ずっとファックスする手紙書いてたんですけど、何度も書き直して、まだ完成してなくて)

「あら」

ほんとうは病気をきちんと伝えるパターンと、風邪といって誤魔化して手術が終わるまで隠し通すパターンと二種類書いて、どちらを送るかずっと悩んでいたのだ。
手術の同意書は重雄に書いてもらえばいい。
直樹に知らせずにさっさとすむならその方がいいと思う気持ちと、立場が逆だったら教えてもらえないのはすごくショックだろうなぁという気持ちと、色々考えていたら頭がごちゃごちゃになってしまったのだ。

(………明日、ちゃんと送ります。電話できない分、毎日ファックスして、近況も報告しようと……)

やはり、拗ねていると誤解されたままはツラいな、とも思う。少し疑ってしまったことも正直に謝りたい。入江くんを信じてるって伝えたい。
自分の気持ちはきちんと伝えねば相手には届かない。

「そう。なら、いいわ。やっぱりお兄ちゃんにはちゃんと琴子ちゃんから伝えた方がいいものね」


そのあと、深夜遅く帰って来た重雄にも病気のことを報告した。
聞き慣れない病名に驚いた重雄だったが、一泊二日の手術で簡単に治ると聞いて安堵した。

ただ、直樹が帰ってこれない場合の手術や麻酔の同意書に関しては、少し悩んだようだった。
今日病院で貰ってきた封筒のなかの沢山の書類の束をひとつひとつ見ながら、

「本来なら、配偶者の直樹くんが同意書を書くもんだ。おまえは相原家の戸籍から抜けた人間だからな。どうしても直樹くんが無理なら、イリちゃんに書いてもらうべきだな」

その点は妙にきっちりしている父に、わかったと頷くしかない。

「しかし手術も決めるまえになんできちんと直樹くんに相談しなかったんだ。いくら簡単な手術でも全身麻酔だろ? おまえはなんでもさっさと一人で決める。よくないクセだな。というか、似たもの夫婦だな……」

呆れたようにぼやく重雄に、え?似たもの夫婦なの?あたしたち、と思わず驚いてしまった。そんな風に云われたことは一度もない。

「とにかく、直樹くんにはちゃんと報告しろよ。勝手に事を進めるんじゃない。まずはそれからだ」

わかった、ともう一度頷く。

「いくら忙しくても、さすがに嫁の手術くらい顔を出すだろう」

それはどうだろうか。もっと大きな病気ならともかく……日帰りでもすむような簡単なオペだ。

首を振る琴子に「だが、まあ、男は仕事の方が大事だからな。特に直樹くんみたいに人の命を預かってる仕事なら、親の死に目にも会えないくらいの覚悟はあるだろうよ。たとえ、直樹くんが来れなくてもがっかりするんじゃねぇぞ」

そのあたり重雄は昭和の男だった。
そして、琴子もまたそういう父親に育てられたのだ。

(わかってるよ)

琴子はにっこりと笑う。

そんなこと、夏休みの1ヶ月で十分思い知っている。
たった1日でも東京に戻るのは、きっと直樹にも病院に迷惑をかけるだろうと思うと、やはり手術のことを告げるのは申し訳なく思う。


だが重雄に諭されて、きちんと病気のことは伝えるべきだと思い直した琴子は、翌朝、直樹に声帯結節で手術を受けること、声が出ないのでしばらく電話ができないのでこうしてFAXすること、手術の同意書や保証人の欄にサインが欲しいけれど、帰るのが無理ならお義父さんに頼む旨をしたためて、ファックスを送信した。
無論、かつてパンダイのアルバイトでよくやらかしてた失敗は繰り返さないよう、裏表はきっちり確認した。
送信エラーの通知もなく、きっと大丈夫、と思いつつもちゃんと送られているかどうか今一つ自信のない琴子であった。

そしてーーーその後。
毎日、日記のようにその日あったことや、喉の調子など書いて送っていた。留守電と違って沢山のことを伝えられるから、案外いいかもと、思いのままに書いて送っていたのだが、直樹からは全く音沙汰がなかった。







* * *






11月16日




誰もいない部屋の中で、電話のコールが何度か鳴り、表示画面が明るく光る。
『ファックス受信中』と表示された画面を確認する部屋の主は、3日ほど帰宅していない。
オンコールで呼び出された心臓病の手術を控えている患児の容態が悪化し、予断を許さぬ状況がずっと続いていたのだ。かなり珍しい症例であることや生後1ヶ月にも満たない新生児であるため、直樹も研修医ながらNICUや循環器外科の共同オペチームに入り、不眠不休で術式を討論し、オペの為の準備を進めていたところだったのだ。
頭の片隅では琴子のことが気にかかっていたのだが、結局、電話をする時間も、自宅に帰る時間も取れないままだった。

表示画面には『新着ファックスがあります』と表示され、光っていた画面は消えた。




ちなみに。
ーー直樹のマンションに置いてあるファクシミリ付き電話機は、最新型のものだった。受信すると自動的にプリントアウトされる感熱紙タイプのものではなく、受信記録を内蔵するタイプのもので、ファックスの受信を確認したあとで、自分でA4記録紙をセッティングし、印刷ボタンを押さねばプリントされない。つまりダイレクトメールなど不用なファックスはプリントせずに破棄できるのである。
直樹自身、最近はもっぱらPCメールがメインとなり、ファックスは殆ど使っていなかった。そのためにファックスの受信の確認も表示画面を気にしていないと全く気がつかないのだ。
仮に着替えを取りに一度帰宅したとしても、分かりやすく点滅してくれる留守電とは違って、おそらくファックスの通知は気がつかないだろう。

表示画面には左端に小さくファックス5件と記されているが、琴子の送ったファックスはその存在も気づかれないままであったのであったーー。












※※※※※※※※※※※※※※※※※※※



なんか、説明くさい?…………(-_-)わかりづらかったらごめんなさい~~


インターネットへと移り変わる過渡期だったんですよね~~この頃って。
ちなみに受信記録内蔵タイプのファックスは今我が家で使ってる(いや、殆どもう使ってないけど)10年もののファックスがそうなんですよね。そして、ファックスが来たことに気づいてないことがよくあったという……f(^_^;
いっとき、赤ペン先生、ファックスで送ったな~~(息子の小学生の頃はもちろん郵送。娘の中学の頃はパソコンでスキャンしてPCメールでした……)

1997年当時はまだ家庭用ファックスはロール感熱紙のタイプが主流だという記憶がありますが、入江家のことですから最新型のモデルを持っている筈だということで……( °∇^)]









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No title * by なおなお
面倒なファクスだね?感じんなことが伝わらないんじゃいみないよ、入江君。v-40

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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
もう果てしなくリコメが遅くなって申し訳ないですm(__)m

いろんな要因が重なってすれ違うし、話せても結局、優しくできない直樹さんなのです(わたし的にはもっと非難ごうごうな直樹さんにしたかったのにイマイチ詰めが甘いな、と密かに反省)

そうそう、ファックスも見なきや意味がないという。でも記憶容量タイプのって普段ファックス使わないと気がつかないんだけど、それ、私だけかな〜〜?

ふふ、さすが神戸単身赴任鉄槌友の会(違ったっけ?)会員のマロンさま。うちの入江くんは後悔させますよ〜〜いろいろと……(^^)d


Re.ルミ様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
リコメが果てしなく遅くなって申し訳ありませんm(__)m

ルミさんのお怒りはごもっとも。
今回すれ違いまくってるし、皆さんフットワーク悪いわ…(どーした、紀子ママって感じですよね)直樹も何やってんだか、ですよね〜〜(-_-)
なかなかイライラヤキモキする展開で申し訳ない。
いいですよー、後でまとめ読みでも!
あともう少しでスッキリさせてあげたいと思ってます(^^)d
しばしお待ちくださいませね。


Re.紀子ママ様 * by ののの
コメントありがとうございました♪
そして、果てしなくリコメが遅くなってしまって申し訳ありませんm(__)m

ええ、こんな時にツンツンな入江くん炸裂です。せっかく電話できたチャンスなのにねーーその後、どんだけすれ違うかわかってない馬鹿者なのでした。

常識人の重雄さんに諭されて伝えることにしたものの、ファックスはプリントされないまま。残念な状態です。
ファックス機能あれこれ調べたんですが、いろいろお話の都合に合わせた機能にしてしまってます(((^^;)。20年前どうなの?と、悩んでしまいましたが……f(^_^;

ほんとに、不憫な琴子ちゃん。我慢慣れしてるのって辛いですね。ええ、直樹さん、ヤキモキさせてやりますよー!

個別記事の管理2017-12-11 (Mon)







11月13日 A.m.7:15



朝起きた時、琴子はマスクをしたまま、スケッチブックをみんなに見せて回っていた。
結局、喉は治らないーーいや、余計に酷くなっていた。なんだか痛みも悪化しているようだ。咳も少し出だしたので、やはり風邪なのだろうか。ただの風邪の方が安心はできる。

(おはようございます)

(ごめんなさい、声がでないので)

(朝イチで病院行ってきます)

一枚一枚捲って見せてる様子に、ピン芸人のお笑いネタかよ、と思わず突っ込む裕樹だった。

「神戸に行ってお兄ちゃんに風邪移してないだろうーな?」
といつも通りの憎まれ口な裕樹だったが、少し悲しい顔をした義姉の様子に何かマズったのかと一瞬焦る。

「お兄ちゃんには結局会えてないのよね」

紀子のフォローに、こくりと頷く琴子。

裕樹が「研修医なんだから仕方ないだろ。アポなしで突撃する方が悪いんだよ」と兄の味方をすると、琴子もその通り、と言わんばかりに全力で首を縦に振った。

「もう、裕樹ってば……」と、紀子は軽く次男坊を睨み付けてから、「病院、一緒に行きましょうか? 筆談だと不自由でしょう?」と、琴子に優しく語りかける。

(大丈夫です。一人で行きます)と、手を前に押し出して遠慮のゼスチャーをする琴子だったが、なんだかんだ押しきられてしまい、とりあえず付き添ってもらうことにした。
近所のクリニックは混むので、八時半には家を出ることにする。

裕樹も学校に出掛け、重樹も会社に出社し、重雄はまだ2階で眠っていた。

誰もいない入江家のリビングの電話が、その日の午前中、何度か鳴り響き、「おれだけどーーまた電話する」という声が一度録音されただけで、当然その受話器を取るものはいなかったのである。






* * *


11月13日 P.m.1:05




近所のクリニックを受診した結果、馴染みかかりつけ医は、琴子の喉を一目見てから、
「うーん、これは内科じゃないなー。声帯の方だね」と、総合病院の耳鼻咽喉科を受診するよう紹介状を書いてくれた。

「ああ、そんなに心配そうな顔しなくても大丈夫だよ。それほど深刻な問題ではないから。多分声帯炎かポリープだろうね。でも一応専門に診てもらった方がいいから」

そうは言われたものの不安そうな琴子を励ましながら、そのまま紀子が付き添って斗南大医学部付属病院に向かう。一番近い総合病院といえばここしか思い付かなかったのだ。
実習では何度も来ているが、実は患者としてくるのは初めてだったりする。紹介状があっても予約診療ではなかったので、かなり待たされた。

「医学部学生優待とかないのかしらねぇ? ねぇうちの琴子ちゃん、ここの看護科の学生なんですのよ」

待たされ過ぎて受付に文句を付けようとする紀子を(おかあさん、それはムチャです)とメモに書き、宥めてソファに座ってもらう。

(ごめんなさい、病院くらい一人でくればよかった)

長時間付き合わせてしまったことを申し訳なさげに謝る琴子。
常にメモ帳を携え、筆談で会話をするのも少し慣れてきてしまった。

「何をいってるのよ、琴子ちゃん。親子なんだら気兼ねしなくていいのよ。そんな声じゃうまく伝えられないでしょ。私がいるから大丈夫よ」

結局午前の最後の受診者となり、漸く呼ばれたときは既に午後を大分回っていた。

「どうされました……? わー、酷い声ですねぇ。ちょっと見せてくださいね」

喉を咽喉ファイバースコープで検査した耳鼻咽喉科の医師は、迷いなくきっぱりと診断をつけてくれた。

「こりゃ、声帯結節ですね。ポリープの一種でね。声帯使いすぎて表皮細胞が肥厚してきちゃったのね。ほら、指にタコができちゃうみたいなもんで、喉の使いすぎで声帯にタコができちゃったわけ」

ーー声帯結節…………?

「君、学校の先生? 保母さん? それとも声優さん? 歌手ーーではないよね。声を使う人の職業病みたいなもんなんだけど」

「いいえ、琴子ちゃんはここの看護学生なんですのよ!」
替わりに紀子が力いっぱい説明をする。

「へぇーーよっぽどお喋りなんだねぇ」

感心したようにからからと笑う。

「そりゃあ女の子ですもの。うちの息子たちよりは百倍くらいは喋りますけど。
でも、そんなにでは………」

(あー、でも実習とかで結構叫んでるかも………幼稚園や福祉施設での実習もあったし………あと、卒論の発表があるからずっと原稿読む練習もしてたし)

筆談で説明をする。

「ふーん、じゃあ短期間に過剰な喉の酷使をしたのが原因かな………えーと、喫煙習慣はないね……と。とにかく声帯の使いすぎが原因なわけなので、使わなきゃ、自然に治りますよ。つまり、なるべくお喋りしないことが一番。こんな風に一週間くらい筆談で過ごせば、それだけで治りは早いと思います」

その言葉に、琴子はほっとして大きくため息をついた。

「………じゃあ、治るんですね! 琴子ちゃん、声が出るようになるんですね?」

「まあ、今後の喉の安静具合にもよります。あと少し炎症による腫れや痛みもあるようだから薬も出しておきますね。これまで薬物のアレルギーとかは……ないですね? 消炎鎮痛剤だしときますね。それと、向こうの部屋でステロイドの吸入しておきましょう。ステロイドは大丈夫ですか?」

(どれくらいで治りますか?)

「こればっかりは個人差があるからねー。2週間くらいで元に戻る人もいるし、3ヶ月以上かかる人もいるし。どれだけ沈黙を守れるかにかかってます」

(……そんなにかかることもあるんですか?)

琴子の顔はまた少し曇る。

「入江さんの場合はそれほど症状が進んでないから、早ければ数週間くらいで治る可能性が高いと思います。すぐに声を使わなければならない職業の人たちは、黙っているわけにはいかないので手術を選ぶことが多いですが。日帰りでもできる簡単な手術ですが、一応全身麻酔なので………あまり無理して手術する必要は………ないよね?」

医師としても手術より保存治療をお薦めのようだ。
琴子も全身麻酔で喉のオペと聞いただけで、ぞわっとしてきてしまう。看護婦の卵のくせして、いまだに注射も点滴も刺すのも刺されるのも苦手である。

「声帯の使い方に変なクセがついちゃってる場合もあるので、1ヶ月以上経っても治らない時は、言語聴覚士に発声トレーニングしてもらいます。これでだいぶ再発の危険もなくなりますからね」

琴子の声帯の画像や、声帯結節の説明のプリントを見せながら丁寧に説明してくれる。
嶋田という40代半ばの担当医は気さくな感じで少し安心する。耳鼻咽喉科の実習では殆ど接点はなかったが、悪い評判は聞いていない。

「あとはストレスもひとつの要因かな。ストレスや不眠が血流障害となって、代謝が悪くなりポリープや結節になりやすくなったりします。なかなかストレスから解放されるのは難しいけどね。実際これからしばらく喋れないのもまたストレスになってしまう訳だし……カラオケやお喋り以外の発散方法見つけてもらうのが一番ですね」

「そうよ、ストレスよ。ストレスなんです! かわいそうに、愛する夫と長く離れて暮らすことがどんなにストレスなのか~~っ そのうえ不倫や浮気の心配に常に苛まされて~~可哀想な琴子ちゃん!」

ハンカチを持って涙ぐみながらにじり寄ってくる紀子を交わしながら、嶋田医師は琴子の方を向いて、

「それで、治療はどうしますか? 薬と並行する保存治療でいいですよね? さっきもいったけど、個人差があるのでどれくらいで治るかは断定はできませんけど」

もう既に薬剤オーダーの処方を書き始めていたが、念のためにもう一度確認する。

(卒論の発表が3週間後にあるので、できればそれまでには話せるようになりたいんですけど……)

琴子が困惑したように文字を書いて渡す。

「うーん、申し訳ないけど、絶対それまでに治るとは断定できないなー。手術なら、すぐに治るけど。とはいっても、術後一週間は絶対沈黙を守らないといけないけどね」

(手術なら……全身……麻酔なんですよね……)

琴子が不安そうに問いかける。

「喉だからねー。咽喉に金属の管を通して顕微鏡手術します。差し歯とかインプラントとかはないよね。歯に管が当たって人工の歯だと欠けることが希にあるからね。手術自体はたいして時間はかからないですよーーえーと? オペにするのかな?」

「どうする? 琴子ちゃん………?」

紀子は心配そうに琴子を見つめる。

(手術すれば、すぐに話せるようになるんですよね?)

琴子はそう書いてから、やはり不安そうに悩んでいる。

「卒論発表は絶対話さなきゃいけないの? 事情を話してパスさせてもらえないのかしら」

(…………わからないです。でも、今度こそ絶対単位落として留年するわけにはいかないし……)

「とはいっても、すぐにオペの予定が空いてるわけでもないので、やはり1ヶ月先とかになってしまうと思いますが……」

と、嶋田医師はパソコンの画面を見て手術スケジュールをチェックする。

「あー、そういえばこの間一件キャンセルがあって……一週間後……11月20日にオペ室空いてます。ラッキーですね。……って、本当にオペにしちゃいますか?」

20日ーーー

…………ちょうど結婚記念日の前日だーー。

(どうしよう……)

「琴子ちゃん、どうする? 」

そう言われると、やっぱり悩む。
実習では見学させてもらったりしたことはあるものの、自分は入院の経験すらないのでオペは凄く怖い。
しなくても時間をかければ治るものをわざわざオペなんかしなくてもいいのではという気もする。
でも、こういう経験をするのもやはり看護婦になるのには必要なのかもと思う。
何より、早くこのひきがえるの声から解放されたい。

「……お兄ちゃんに相談してみれば? なんといってもお医者さんなんだし」

紀子にそう言われて、琴子ははっとして顔をあげるが、しばらく悩んで苦しそうに首を振る。

(入江くんには心配かけたくない……)

日帰りオペでも全身麻酔ともなれば、さすがに東京に戻ってくれるだろう……
忙しいのに申し訳ない。
オペしなくても治るものなら尚更だ。こんなことで呼びつけやがってと怒られるかも。いやいや……さすがにそれは……
それに、もしそんなことくらいじゃ帰れないとか言われたら?
ーーそれはそれで寂しいかも……

琴子は一人で直樹の反応を想像して、混乱した頭を抱えてしまう。

ああ、どうしよう、どうしよう、どうしようーーー

「琴子ちゃん、お兄ちゃんにずっと黙ってるつもりなの……? さすがにそれは無理があると……」

紀子が心配そうに問いかけると、やはりぶんぶん首を横に振り、ぱっと顔をあげると、

(大丈夫です……あの、手術でお願いできますか? 手術なら確実に2週間後には話せるんですよね?)

「琴子ちゃん……」

「いいですよ。じゃ、20日の予約でいいのかな。日帰りもできますけど、一応全身麻酔なので1泊2日の入院をお薦めしてます。午前中に入院していただいて、午後に手術。翌朝には退院です。一週間の絶対沈黙の自己管理が自信のない方には一週間入院もできますが、どうします?」

(1泊2日で……)

「はい、じゃあ予約しておきますね。でも手術までの一週間もなるべく喉を使わないようにしてくださいね。マスク、うがい、加湿器での保湿は必須で。はい、じゃあ、向こうの部屋で看護婦から手術についての説明聞いてくださいね。あ、
あと、術前検査をすぐにやってもらわないと。血液検査と心電図、胸部レントゲン、あと呼吸器検査です。えーと、明日予約とれるかなーー?」

なんだか目まぐるしく、バタバタと検査や手術の日程を決めてから、隣の治療室でステロイドの吸入をしたあと診察室をあとにする。

「あとで説明室で手術の説明しますから、しばらくここで待っててください」
と看護婦に声をかけられ、すでに閑散とした待合室で待つことになった。

「よかったの? 琴子ちゃん、手術にしちゃって。お兄ちゃんに相談もせずに……」

(ごめんなさい。勝手に決めちゃって。でも、早く治したくて)

「それはいいんだけど。お兄ちゃんにはちゃんと報告しておいた方が……」

(お願いします。入江くんには内緒で……2週間で治るので、きっと知らせなければ気づかないと。風邪でしばらく声が出せないと、毎日ファックスで手紙送ります)

2週間なら、なんとか誤魔化せるかも、と琴子なりに計算したのだった。
1ヶ月既に電話をしていない。
自分がそう決めてしなかったけれど、直樹からも一度もなかったのだ。(直樹が琴子の決意を慮ってしなかったのだとは微塵も思わないところが琴子なのだが)きっと、忙しさに紛れて、2週間なんてあっという間に過ぎ去っているのだろう。
せめて直樹の声だけでも聴きたいけれど、2週間たてばちゃんと話せるのだし、それまで我慢しよう、大丈夫、あたしさえ我慢すればーー短い間にあれこれ思い巡らせ決意した結果だった。

「琴子ちゃんがそういうなら、黙っているけれど……でも、琴子ちゃんが思うほど、お兄ちゃん、あなたのことに無頓着じゃないわよ? 絶対気がつくと思うけど……というか、やっぱり、無理矢理にでも帰ってこいと言ってやるわよ?」

(やめてください~~お願いですから~~たいしたことないので)

涙目で訴えられて、紀子も不承不承承知する。

「わかったわ。私からは神戸には伝えないけど、お兄ちゃんが自分で気がついた時は、ちゃんと甘えてあげてね?」

紀子の言葉に少し困ったように、力なく頷く琴子だった。





「あらー、琴子ちゃんじゃない。どうしたの? いったい」

看護婦が呼びに来るのを待っている間に声を掛けてきたのは、掃除のおばちゃんである。
以前、外来の実習の時、廊下で盛大に彼女の掃除道具のカートをひっくり返したことがあった。それ以来、ちょくちょく院内で会うと話をすることがある。
喋れない琴子の替わりに紀子が、今、耳鼻咽喉科を受診して診断を受けたことを説明し、「あらあら、話せないとは大変ね。お大事にね」と、おばちゃんは心配そうに労った。

そのあと琴子と紀子は術前説明担当のナースに呼ばれて、隣のカウンセリングルームに入っていった。

そしておばちゃんは再びモップをかけようと耳鼻咽喉科の診察室の扉の前から順番に磨き始めた。

「ええっ!? 先生、それホントですかっ」

扉は僅かなすき間があって、外来担当看護婦の声が漏れ聞こえてしまった。
慌ててその場から離れようとしたおばちゃんだったが、次の言葉に思わず足を止めてしまった。

「え、そんな……喉頭ガンなんて……可哀想に……」

もう、すでに待合室に患者はいない。琴子たちが出ていったあと、誰もこの部屋には入っていない筈だった。琴子が最後の患者だったーーー。

……… こ、琴子ちゃんが……ガン!?
あんなに若いのにーーー!

おばちゃんはかなり琴子のことを気に入っていた。バイトの掃除婦にもいつも優しく気さくに声をかけてくれる。孫娘のように感じていた。
ショックの余り、思わず茫然とその場を離れてしまった。
ーーもう少しそこにいれば、笑い話のようなベタなオチを聞けたのだか。

「……でも、びっくりですね。ワンちゃんでも喉頭ガンなんてあるんですねぇ。先生のとこのワンちゃん……トイプードルでしたっけ?」

「そうだよ。まあ、喉頭ガンは犬には珍しい部類かな。でも人間がなる病気は大概かかるからね……因果だよな。耳鼻咽喉科専門のおれんちのマリリンが……」

「かわいそうに。あんなに可愛いのに………」




この名もなきおばちゃんに罪はない。
彼女も、ことがことだけに、人に言いふらしていい内容とは思っていなかった。たとえバイトでも、守秘義務に関しては誓約書にはサインさせられるものだ(よく読んではないが)。
だが、どうにも黙っているのに苦しくて耐えられなく、バイト仲間の友人ひとりだけにはついうっかり漏らしてしまった。決して誰にも言わないでよと。

ーーまあ、あんなに若いのにかわいそうね

ーー素敵なの旦那様がいて、幸せいっぱいな筈なのにーー


うわさとはそういものだ。
誰にも言わないでね、という前置きのもとに、ひっそりと広まっていく。特に琴子が有名人だったことも災いした。
看護学科関係者でなくても、何度もこの病院で実習に来て、しかもあれこれやらかしていた琴子はすっかり院内ではその名を知られていた。
そして不幸な話ほど、かわいそうにねと目を伏せつつ安易に広まっていくのだ。
今回は、特に内容が内容だけに、琴子やその周辺の人間の耳には入らないように、実に密やかに慎重に噂は一部の人間の間に拡散していった。

神戸医大病院とはまったく違う、笑えない噂が斗南大付属病院内に浸透していったのである。


あの入江直樹の妻で、看護学生の入江琴子が喉頭ガンで余命幾ばくもないらしいーーと。







※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※




なんか、いろいろドツボに陥ってきてます。収集できるのか、私……(((^^;)


声帯結節については調べただけで身近に患者さんがいたわけではないので、かなり想像で書いております。経験されたかたで違うわよーと思ったかた、ゆるい目でスルーお願いします………
そして、実は今年の琴子のbirthdayの話、浜松でのエレベーター閉じ込め事故の時に、少し喉の不調の伏線張っておいたんですねーー。誰が気づくかっての!笑


さて。連続隔日更新も今日でおしまいです。もう少しストック貯めれるかと思ったけど、無理だった……リコメだけが貯まっていきます……^_^;
久しぶりにたくさんコメントいただいて、嬉しい悲鳴……ありがとうございます!! 励みになります!! リコメ、気長におまちくださいませ。

次からは多分以前と同じペースの週一くらいの不定期更新に戻ると思うので、時折覗いてみてくださいね。


あ、あとちょっとしたお知らせです。
リクエストがありましたので、クリスマスのサービスとして、二年前の『木婚式の夜に』というお話で、期間限定アップしていた媚薬えろ、やはり期間限定で今年いっぱいの予定でひっそりと再掲しております。

emaさま宅も媚薬ネタな感じで(//∇//)、一部仲間内で媚薬祭りで盛り上がっているせい……というわけでもないですが(((^^;)
読み逃している方は、(鍵付きですが)2015年11月の月別アーカイブを探してみてくださいませ♪


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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

そうなんですよ、琴子ちゃんの声はこんなことに……でもとりあえず病名があると安心かしら。
紀子ママに不安を煽られなきゃ電話しないのか、という気もするけど、電話できる時間あるじゃん、って突っこっんじゃいますよね。もっと電話かけてやれよー
琴子が手術するパターンしないパターンと考えて(基本手術するほどの病気ではないので)でも何故か手術するほう選んでました。
そうなんですよ、琴子ちゃんのわるいくせ。思いやってるようで実はかなりずれてるんですよね。(斜め上いっちゃうからね)相談されない方が落ち込むのにねぇ……

はは、凄い展開にしちゃいました。うん、最初は琴子に立ち聞きさせようと思ったけど、それはあまりにショックすぎる〜〜とやめたというのは内輪の話(((^^;)
というわけで、噂は琴子ちゃんの耳には届かないまま広まっていくのであった……。

さあ、直樹さんにそろそろ動いてもらわないとですねー♪


Re.紀子ママ様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

そう、琴子ちゃんの声、大変なことに。
そして入江くんに内緒なのはかなり無理があるんですよねー。
内緒にしきれるのかしら……f(^_^;
そうそう、入江くん、仕事以外の殆どは琴子しかないんですけどね。脳内メーカー分かりやすいことでしょう笑
いやーカノゆめ思い出していただけましたか。あのときはサインしたくても出来なかったけど、今は同意書にサインできる立場なのに物理的な距離が〜〜ってかそれ以前に状況教えられてないって……ある意味衝撃だよな………
さーて、入江くん飛んで帰らせることできるかしら。そして、東京から神戸に、どうやってアノ噂を届かせようかしら……( ̄ω ̄;)

Re.heorakim様 * by ののの
拍手コメントありがとうございました♪

目の方は大丈夫ですか? 年取ると色々ありますよねー私も飛蚊症が………
あ、クリスマスのサービスで二年前に書いたえろを(えろ過ぎて下げたんです)再掲しているというだけで、クリスマスに新作アップできるかは今のところ不明ですf(^_^;でも、できたら季節ものは書きたいなー。期待せずに待っててくださいませね。

Re.さあちゃん様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

はい、東京は東京で変な噂が……
噂は神戸にも届くのでしょうか。さあ、どうやって飛んで帰らせよう。色々模索中( °∇^)]
少し間が空くかもですが、しばしお待ちくださいませね。

個別記事の管理2017-12-09 (Sat)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





11月12日 P.m.11:10







由輝の容態が安定し直樹がひと心地ついて小児外科に戻った時ーー既に窓の外は真っ暗だった。

ーー今ーー一体、何時だ?

時計を見て、少し驚いた。
いつの間にこんな時間に…………

そして、漸くはっと思い出した。

琴子ーー琴子は!?

もうすぐ、日付が変わる。結局誕生日に琴子に会えなかった。いや、会いに来たのだろうか?
たとえ病院に来てもーーこのドタバタで直樹を呼び出すことも叶わなかった筈だ。
明日は大学の筈だから、一人マンションで直樹の帰りを待っていることはないだろう。
それでも一応、マンションに電話をかけてみたが、案の定誰も出ることはなかった。機械的な留守番電話のアナウンスが聴こえるだけだ。

ーー琴子は毎日この無機質な声を聴いていたのか……
一度、留守電の応答の声を直樹の声にしてくれとねだられた事があったが、そんな暇ねぇよ、と突っぱねたことを思い出す。

それでもめげずに琴子は毎日毎晩留守電にメッセージを入れ続けてくれていた。

ーー琴子…………。
声が聴きたい。
無性に、琴子の声が聴きたかった。
微妙にアクセントの違う少し似た声などではなくて……本物の琴子の声…………


今度はすぐに東京の実家にかけてみる。
まだ11時過ぎだ。
多分誰か出る筈ーー。
琴子が神戸から戻っているかもしれない。

『あら……お兄ちゃん……』

出たのは紀子だった。

「琴子………琴子は!? 今日、神戸に来たのか?」

『まあ、お兄ちゃん…… 会えなかったとは聞いたけれど、そっちに行ったことも知らなかったの……?』

呆れたような紀子の声。

「ああ、やっぱり来たんだ。A判定取れたんだよな」

『そうよ。当たり前じゃない。どれだけ琴子ちゃんが頑張ってきたか……見ていて痛々しいくらいだったのよ。テストの他にも卒論の締め切りも重なってて、毎日睡眠時間も削って。お兄ちゃんも研修医で忙しいでしょうけど、琴子ちゃんだって体調崩すくらい……』

「体調よくないのか? どうした? 何かあったのか!?」

『…………………』

紀子の妙な間が、直樹の不安をかきたてた。

「おふくろ……!」

電話の向こうで軽いため息のような声が漏れ聞こえた。

『…………とりあえず、今日は疲れたから、琴子ちゃん、もう休んでるわ。それと、当分電話はできませんからね。妻の状態が気になるなら、会いにきたら?』

「おい! どういうことだよっ琴子は大丈夫なのか?」

『本人は、大丈夫って伝えてくれって。ああ、もうなんて健気なの……』

その様子から電話の向こうでわざとらしくハンカチで涙を拭ってる様子が目に浮かぶ。
逆に紀子のその言い方で、琴子の具合はそんなに逼迫した状態ではないのだろうと想像がつき、少し安堵する。
何かあったなら、きっとしつこいくらい連絡をとろうとしてくるだろう。

「時間が出来たら電話をするから……琴子に睡眠時間たっぷり取って、栄養のあるもの食べてゆっくり休むようにと、言ってくれ」

恐らく睡眠不足による体調不良だろうと予想して、紀子に伝えた。

『まったく……琴子ちゃんが調子悪いって伝えても、直ぐに帰って来てあげようとも思わないのね』

「そんな、簡単に帰れるわけないだろ? 今、担当の子供がICUにいるんだ。落ち着くまでマンションにも帰れない」

『…………もしかして、先日わたしがマンションに行って以来、あなた帰ってないの?』

「は? そうだよ。一度着替え取りに行ったくらいで、殆ど帰れないくらい、こっちは殺人的に忙しいんだ」

『……そう……なら仕方ないわね……』

妙にすっきりしない物言いをする紀子に「何が……?」と問いかける。

『いいえ、仕方ないことはないわ。あれを見つけて、何処かにしまっておくか送り返すくらいのことして欲しかったけど、元々は私の失態だから、それについては責任は問わないけど……』

「は? だから、何のことだよ、一体!」

『ーーとはいえ、忙しさにかまけて琴子ちゃんのことを気にしなさすぎるのよ、あなたは! 琴子ちゃんがどんなに忙しいお兄ちゃんのこと気遣っているかわかってるの?』

そんなこと、わかってる。

ーー忙しいのにごめんね?

運よく留守電ではなく、電話に出られた時、「きゃー本物だぁ」と、嬉しそうな叫び声のあと、必ず申し訳なさそうにそう云うのだ。

謝らなくていいのに。そんなこと、わざわざ。おれたちは夫婦だろ?

『聞いてるの? お兄ちゃん!』

何故、琴子に電話をして母親から説教されなくてはならないんだ? 直樹は段々腹が立って来て、「琴子が寝てるんなら、また明日電話する」と、冷たく言い放ちさっさと切ろうとする。

『いっとくけど…… 明日も琴子ちゃんが電話に出れるかどうかわかりませんからね』

脅すような紀子の言い方に、「だから、なんなんだよ。そんなに悪いのか?」と不安と苛立ちを感じる。

直樹を探す能力に長けている琴子が、病院に来ながらも、全くその気配すら感じさせず東京に戻ったというのも確かに気になる。

『心配なら帰ってきたら?』

「だから、今担当の子供がーー」

また、同じセリフの繰り返しだ。このままでは無限ループの押し問答になってしまうーー。

『そのお子さんのためにも頑張ってあげて、と言いたいところだけど、可愛い琴子ちゃんの為に今すぐ空を飛んででも帰ってらっしゃいと怒鳴りつけたい気分よ。尤も琴子ちゃんがそんなこと望まないから言わないけど』

言ってるじゃねぇか、と心の中で盛大に突っ込む。
今日はやけに絡んでくるなーーと。そして、何故そんな、もって回った言い方をするのかーー

『とにかくそれほど忙しいなら無理して電話しなくて結構よ。琴子ちゃんと同じ声の若い巨乳のお嬢さんと仲良くする時間はあるようなのにねぇ。全く、我が息子ながらがっかりだわ、妻と離れて暮らして数ヵ月で………』

「はぁ!?……なんでーーーいや、おふくろ、誤解だから! 妙な噂がたっちまったが、おれと城所はそんな関係は一切ないから!」

やはりーーそれか。
琴子は噂を耳にしたのか。
直樹は心の中で舌打ちする。
あることないこと盛り込んで、面白可笑しく噂を触れ回り、偶然通りかかった来院者の耳に入るくらい頻繁に噂話に興じていたこの病院スタッフのモラルの低さに腹立たしさを感じる。

『………そもそも誤解されるような状況があったわけでしょ? 脇が甘いわね、お兄ちゃん』

「もしかして、琴子はそれで拗ねて電話にでないのかーー?」

『拗ねる? 琴子ちゃんは、そんな小さい嫁じゃないわよ。あなたみたいに下らない嫉妬で何ヵ月も口きかないとか』

「…………………」

『だいたい夫の不倫の噂をきかされて、拗ねるとかそんなレベルの問題じゃないでしょう。どれだけショックだったと思ってるの?』

「もう、いい。明日琴子と直接話すから。俺がちゃんと説明するから」

『あら、残念ね。電話では受け付けておりませんの。弁明、弁解は直接会ってのみ受け付けておりますので! それじゃあ、おやすみなさい!』

そして、ガチャっと一方的に切れてしまった。

「おいっおふくろっ!」

…ったく……

琴子はーーー

ショックで帰ってしまったのかーー

ーーまさか、そんなくだらない噂を信じてる訳じゃないだろうな。

紀子の言い方では、単なる噂であるという認識は持っているようではある。だが、疑心暗鬼ですっきりしないというところだろうか。
なんといっても琴子は直樹のこととなると、どういうわけだかとことん自信がない。ぐだぐた悩んでいる可能性は大いにある。

いつもは感情的にわめきたてるだけの母が妙に落ち着いて、(さらりと心を抉るような嫌味は言われたが)なんだか奥歯にものが挟まったような言い方をしていたのも違和感を感じた。何故そんな噂がたったのか根掘り葉掘り聞いてくることもなく、ひどくあっさりと電話を切られた。

なんだか嫌な感じがする。
結局琴子に会えなかったことに思いの外激しく落胆したこともあって、今日1日の疲れが一気に身体中にのし掛かってくるような倦怠感がどっと押し寄せていた。


ーー琴子……明日、電話をするから。

早く……おまえの声が聴きたい……


しかし、ICUからの連絡が途端に現実に引き戻す。

「入江先生! 由輝くん、目が覚めました!」

「わかった。今行くーー」









* * *

11月12日 P.m.11:25







こんこん、とノックの音がした。

「琴子ちゃん、起きてる? 今、お兄ちゃんから電話があったわ。担当の患者さんが大変だったみたいね……」

紀子が夫婦の寝室を訪れ、大きなダブルベッドで1人横になっていた琴子に声をかけた。

「ぉがぁざん……」

地の底を這うような低い小さな声。

「あー、琴子ちゃん、無理して喋らなくていいから。はい、マスクを付けて寝た方がいいわ。加湿器に喉にいいハーブをいれましょうね。あと花梨のジュースを持ってきたわ。少し飲んで……ゆっくり眠って、明日の朝にはちゃんと声が出るようになってるといいわね」

琴子は布団の中から顔を出して、こくこくと申し訳無さそうに頷く。

「病院で変な噂が流れていたんですってね。ごめんなさいね、あのピアスは琴子ちゃんの不安を余計に増幅させてしまったわ」

どうして紀子が噂を知っているのだろう?
直樹が話したのだろうか?
琴子は不思議そうに紀子の顔を見つめる。

「ふふ。私の情報網、甘く見ないでね。前に神戸にいった時に少し知り合いを増やしておいたのよ。食堂のおばちゃんとか、売店のお姉さんとか。こういう時の為にね」

自分の忘れたピアスのことがあったにせよ、あまりに琴子の様子がおかしいので、短い時間に情報を収集したらしい。
にやっとウィンクをする紀子に思わず目を円くする。

………さ、さすがお義母さん。

「ほんとに、お兄ちゃんったら。そんな噂を流されるなんて……」

呆れたようにため息をつく紀子に、琴子は困ったように首を振った。入江くんは悪くないんです、というように。

「お兄ちゃんとちゃんと話したかったでしょう? やっぱり弁明は直接きかないとね。それに本当に声が出づらくなったこと云わなくてよかったのかしら。少しくらい心配させたって構わないわよ」

ぶんぶんと首を振って、手元のメモ帳に文字を書いて紀子に伝える。

(大丈夫です。すぐになおると思うし)

(なおったら、電話します。ちゃんと誕生日おめでとうっていえてない)

「まあー琴子ちゃん~~こんなことがあってもあのバカ息子のこと思ってくれて……」

よよよと泣き伏す紀子に、

(あたし、バチが当たったんです。入江くんのこと疑ったから……)

「何を云ってるの? 琴子ちゃん。天罰あたった方がいいのはお兄ちゃんの方よ。嫁を置いてきぼりにして勝手に単身赴任して、赴任先で変な噂をばらまかれて。そんなの、疑うのが当たり前よ。琴子ちゃんがそんな風に思う必要なんかないのよ?」

そういって琴子の髪を撫でて優しく語りかける。

「………そういえば、琴子ちゃん、マンションの寝室の方には入らなかったの?」

唐突な紀子の問いに、キョトンとしながらも、琴子は入ってないですと唇を動かし首を横に振る。

「まあ、そうなの? あの部屋に入ったら、お兄ちゃんが浮気なんてしてないって一発でわかるのに。少なくともあのベッドに他の女を連れ込むなんて考えられないわ。浮気相手も興ざめよ」

(あーあの部屋の写真を撮らなかったの、失敗だったわねー
琴子ちゃんに見せてあげたのに。
ベッドの傍に琴子ちゃんの写真やツーショット写真、色々飾ってるなんて……)
ふふふと一人でほくそ笑む。


「………………?」

「……今度お部屋にいった時にちゃんと見てごらんなさい。それにね、さっきもお兄ちゃんから心配して電話を掛けてきたんだから、なんだかんだ琴子ちゃんのこと、気にしてるのよ。少し体調悪いっていったら、結構、焦ってたわよ。噂は噂に過ぎないと思うわ。だから、あまり気に病まないで、ゆっくり休んでね。きっと声が出づらいのも色々と悩んじゃったストレスかもしれないわね」

琴子はこくりと頷く。

「でもねーー信じてね。お兄ちゃんの頭の中を占めてるのは琴子ちゃんなのよ」

(そんなことないです)

「そんなことあるわよ! たとえ、その琴子ちゃん似の声の子が気にかかったとしてもそれはあくまで琴子ちゃんを求めているのであって……」

必死に直樹の替わりに弁明する紀子に、(そうじゃなくて、患者さんのことを一番考えていると思うので)

そう、にっこり返す。

「あー琴子ちゃん、こんなにちゃんとお兄ちゃんのことわかっているお嫁さんを苦しめて、ほんとにバカ息子でごめんなさい!」





紀子が部屋から出ていったあと、一人残された琴子は布団の中でぼんやりと天井を見つめていた。
全然眠くならない。
風邪とかならきっと喉以外にも色々症状が出て、身体は睡眠を欲するだろう。
熱もなければ、喉以外の不調は一切なかった。

ーー声ーーあたしの声。
魔女や山姥の声みたいな。

ううん……ひきがえる? 醜いひきがえるの声だわーー

そんな童話がなかったかしら?
ヒロインを苛める意地悪な継母の声が魔法使いによって蛙の声に変えられてしまうのーー

あたしは意地悪なヒロインの苛め役なのかしら……
だとしたら、ヒロインはあの娘なのかなぁ……

ああ、何を変なことを!!
あの娘のことは噂に過ぎないんだから!!
ピアスだってあたしの誤解だったわけだし。

ああ、でもでも。入江くんのこと好きな全女性にとって、あたしは王子様を独占している邪魔なイジワルお妃に見られているのかも……
あたしは全女性の敵!?

これは、みんなの呪い!?

ーーって、また変なこと考えてるよーーあたしーーーっ

ほら、こんなことグダグダ考えちゃうからダメなのよ。

もっと明るいこと考えよう。
声が出たら真っ先に入江くんに電話して、ちゃんとおめでとうって言わなきゃ……ああ、なんてこと。もう入江くんの誕生日過ぎてしまったわ……

ネクタイピン見てくれたかなーー?
それとも、まだおうちに帰れてないのかしら……

入江くんも身体、大丈夫かな……無理しないでね。
患者さん、早くよくなるといいね……




ーーー明日………声が出るといいな……。

神様、あたしの声を返してください。









※※※※※※※※※※※※※※※※※




魔法使いによってひきがえるの声に変えられてしまう童話ってなかったけ~~?
と探しましたが、類似はかえるの王子様。でもちょっと記憶と違う。
なんだったけーーと思い出したのは……『オペラ座の怪人』でした……(((^^;)
高慢なオペラ歌手カルロッタの声を蛙の声に変えてしまうのはファントム。ファントムは超能力者なのか魔法使いなのか……なにもんだよ、と観るたび思う。
にしても、童話やないやん……^_^;


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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

そう、直樹さん、いつだって琴子が突撃してくると思うなよ、です^_^;
ははっ流石にMさま宅のブラックホール紀子とまではいきませんが、結構絶妙に直樹さんの不安を煽ってますでしょう(^-^)v
ええ、思い出したか、あの二年前の夏を!といったところですわー。言わしたかった、このセリフ(^-^)v
ええ、焦らしますよ。焦らしますともさ。(そういってくれるマロンさん、ありがたい)きっと多分そんな名前な友の会の私たちです笑


Re.さあちゃん様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

飛んで帰る術を色々模索中です笑 ハイジャックでもさせようかしら(ウソです)
遠距離はツラいですよね、ほんと。それを選んだ直樹さんはほんとバカ者だなーと。
どこでもドア欲しいですよね……数年後にもアメリカから飛んで帰ってる最中、暇潰しにそのドア設計する直樹さんを書いた気がする……(((^^;)

個別記事の管理2017-12-07 (Thu)


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※






11月12日 P.m.7:15





「はぁーーどうにか助かってよかったわぁ」

一緒にオペにはいった佛円に肩を叩かれ、直樹は外科用手袋を脱ぎ捨てた。

「……ああ」

いつも手術室では自信に満ちていた直樹が、今日は少し違ってみえた。いやーー冷静さを欠いていたわけではない。いつも通り研修医とは思えない完璧な手技で前立ちをこなしてはいた。

「そないに責任感じることあらへん。遅発性の腹腔内出血は稀にあるよって。異常を訴えらてへんのに、心臓の定期検診で腹部の異常に気づくのは無理や」

「診察前の血液検査で、ヘモグロビン値が少し低めなのが気になってはいたんです。でも正常範囲内でーー」

予兆はーー色々あったのかもしれない。熟練の医師なら見逃すことはなかったのだろうかーー? 自分が経験の浅い研修医だから気づかなかったのかーー? だが、そんなことは患者には関係ない。

「正常範囲内なら仕方ないやろ。成人男性の貧血なら消化器官出血を疑うのが定石やけど……」

「でも……もしかしたら、あの時に多少の痛みはあったのかもしれない。もっと話をじっくり聞いていれば、もしかしたら……」

「あんまり考え過ぎんなや。助かったんやから……」

一時は(CPA)心肺停止となったが、DC(除細動器)と胸骨圧迫ですぐに再開し、その後開腹オペをした。
横行結腸漿膜下血腫であった。恐らく4日前にジャングルジムから落下した時の鈍的腹部外傷により、漿膜に裂傷が出来たのだが整形外科受診時には出血はなかったのだと思われた。4日の間にじわじわと裂傷が広がり、排便中に腹腔内出血に至ったのではという所見である。

「医者はエスパーやないんや。患者の主訴がないのに解れなんて無理っちゅーねん」

開腹手術によって出血点はすぐに特定され、オペは成功し、少年は現在ICUで術後観察中である。

「ICUを出るまでは救命(うち)でちゃんと診るさかい、おまえはもう戻ってええで」

「ーーいえ。もう暫く付いています。せめて、もう少し安定するまではーー」


その時には他のことなど考える余裕はなかった。
神戸に来ているかもしれない琴子のことなどーー。





* * *







11月12日 P.m.9:05



「まぁーー琴子ちゃんっ一体どうしたの!?」

真っ青な顔でふらふらと帰宅した琴子に、紀子はすぐに休むように促した。
しかし、琴子の声が恐ろしいくらいに嗄れているのにひどく驚いて、すぐに病院行きましょうっっと支度を始めだしたので、慌ててそれを阻止する。

上手く声が出ないので、電話の横にあったメモとペンを取って、
(大丈夫です。ただの風邪だと思います。熱とかないので、病院は明日行きます。夜間救急行くほどではないので)
と、走り書きでメモを書いて渡す。

「そ、そう……?」

心配そうに琴子を見つめる紀子に、はい、と頷く。

「それで、お兄ちゃんには会えたのかしら?」

何気なく訊ねた紀子の問いに、ぴくっと肩が震えた。
しかし、気丈にも表情を変えずに首を横に振る。紀子はその強張った笑みに違和感を感じ、「どうしたの……? 何かあったの? お兄ちゃんとは会えてないのよね……?」思わず肩を掴んで訊ねてしまう。

琴子はぶんぶんと首を横に振るが、だんだんこらえきれずに紀子の胸にしがみついて大粒な涙をこぼしはじめた。


「とりあえず、今夜はゆっくり休みなさい。明日、お話できるようになったら聞くわね?」

しばらく琴子に胸を貸し、落ち着くまで背中を擦っていた紀子はそれ以上深く詮索することなかった。
そして、部屋に戻ろうとする琴子に、「あ、そういえば……」
紀子が唐突に思い出したように訊ねた。

「お兄ちゃんの部屋には行ったのよね? 私のエメラルドのピアス片っ方落ちてなかったかしら? ほら、この間宝塚の帰りにお兄ちゃんち寄ったじゃない? その時に落としたような気がして……気に入ってたのよね。パパからのプレゼントで……」

「……………………!!」

琴子が大きく瞳を見開いたのを見て、紀子は一瞬のうちに悟ってしまった。琴子が何を悩んでいたのか。

「あったのね……? ああーーっ、ごめんなさい。琴子ちゃん、本当にごめんね。誤解しちゃったわよね? そりゃそうよね、あんなもの見つければ…… 出掛ける前に云っておけばよかったわっ ああ、なんて迂闊だったのかしら………あたしのせいね、あたしのせいだわーーなんてこと!琴子ちゃんを苦しめてしまったわーー」

おろおろとして琴子を抱きしめ平謝りする紀子に、琴子はぶんぶん首を振り、そしてメモ帳に文字を書き始めた。

(おかあさんのでよかったです。他にも色々あって、入江くんを疑ってしまった……入江くんにもうしわけないです)

「他にもって……?」

その問いには悲しげに首を振って(ごめんなさい、ピアス、そのままおいてきちゃいました。まさかおかあさんのとは思わなかったから……)と書いてメモを渡す。

「それはいいのよ。本当にごめんなさいね、琴子ちゃん……あなたが帰ってくるまでの間、どれだけ不安で辛かったかと思うと謝っても謝り足りないわ」

(わたし、入江くんを信じられてなかった。奥さんしっかくです)

「琴子ちゃん、何をいうの? そんなの妻として当たり前の反応よ。旦那様を愛しているのなら、みんな疑って当然よ」

(それと、入江くんには、この声のこと云わないでくださいね。今とっても忙しいのに、心配するといけないから……)

「まあ……琴子ちゃん……なんて健気なんでしょう。でもこのままじゃ、電話にも出れないでしょう。お兄ちゃんにはちゃんとその理由を伝えた方がいいんじゃないかしら……」

(明日の朝には治ると思います。そしたら、ちゃんとあたしから説明するので、もし、今夜電話があっても、寝ちゃったっていっておいてください)

そして懇願するように手を合わせ頭を下げる。
潤んだ琴子の瞳を見て、紀子も「わかったわ」と応えるしかなかった。




ーーほんとに治るの……?

琴子は心の中の不安を押し隠して、紀子に軽く頭を下げてから部屋に戻っていった。






ーーー入江くん……ごめんね。
あたし、入江くんを信じるって心の中で言い聞かせていたものの、結局信じてなかった。
だから、こんなバチが当たったんだわ……

ピアスが紀子のものとわかってほっとしているのに、直樹のことを信じられなかった自分が、ひどくあさましく嫉妬深い女に思えて悲しくなってきた。

部屋に戻った琴子はベッドに顔を臥せてさめざめと泣いた。
嗚咽が出そうになってもその声すらガラガラしておかしい。喉の痛みも段々酷くなってきた。
ただの風邪ではないような気がして不安が押し寄せる。

ーーこのまま喋れなくなったらどうしよう……………


琴子は不安や後悔がない交ぜになって、澱んでたまった感情に押し潰されそうになりながら、夜が過ぎ去るのを待っていた。






※※※※※※※※※※※※※※※



nママさま、ピアスの持ち主についてはピンポーンでした♪
でも、落とした時期は一話目に伏線張っておいたんです……(((^^;)へへっ





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Re.さあちゃん様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

あら、さあちゃんさんもどSですか? 私も多分、そうなので、展開がこんなんです^_^; 琴子ちゃんをとことん辛い目に合わせてからのあつーい抱擁……ええ、そこを目指してガンバリマス(^-^)v

Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

そうなんです、医者である以上こんな経験もあるかなーと。
そして、とうとう会わせないで東京に戻しちゃいましたよ……^_^;わたしっていけず?
そう、ピアス……紀子ママらしからぬ失態ですねっ^_^;
ふふ、筆談書きながら、琴子の漢字能力悩みました……一応考えてるけど、つい琴子らしからぬ漢字使ってたら、あ、忘れたなと思ってください。
ほんと、さっさと動けよー直樹〜〜って思いますね。でも、すぐ動けな〜い(わたしがいけずだから笑)

Re.紀子ママ様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

そうそう、学生さんは買えなさそうなプラチナとエメラルドのピアスで、紀子さんのものと見抜いた紀子ママさん、さすがの慧眼(^-^)v
そう、この状況で信じるのは難しいですよね。
ええ、ケ◯の穴の小さい入江くん、私もしつこく鉄槌食らわせたくなります笑
ええ、琴子ちゃん、風邪ではないようですが……ストレスの元はまだまだ解消できそうにないかな……?


Re.ちびぞう様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

まだまだ研修医のうちにはこんなこともあるのかなと。特にコミュニケーション能力が足りないので、完全に患児の状況を聞き出すのは難しいんじゃないかしらと。琴子ちゃんならもっと患児から話を引き出せたかもしれないですね。
そう、琴子ちゃんは特にすぐ身を引くし遠慮しちゃうとこあるんですよね。直樹が一番なので、彼がベストな状態であることが一番の望みなのです。
そう、お隣さんがいたら此処まで拗れなかったかも……(すぐ解決してしまうからちょっと撤退してもらっているという裏事情^_^;)
早く(互いに)声が聴こえるように……ガンバリマス゜





個別記事の管理2017-12-05 (Tue)

前回は少しネガティブモードで申し訳なかったですm(__)m
お気遣いのコメント、ありがとうございました^_^;

読んでくださる方が1人でもいる限りは頑張りますよー。とりあえずこの話を終わらせなきゃっっ(((^^;)




※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※





11月12日 P.m.3:35




「血圧 100/65 脈拍はーー 」

救命センターに入った途端に、緊迫した指示や報告が怒号のように飛び交っていた。
何度か子供の搬送の度に応援要請があり、駆けつけたことはあったが、この救命独特の死と隣あわせの張り詰めた雰囲気は、一瞬であの夏の緊張感に満ちた激務の日々を思い出させた。

「入江! この子は小児外科の患者だな?」

救命の各務に問われ、直樹はストレッチャーに青ざめ横たわる少年を見つめる。

「はい。神尾由輝くん5歳です。3歳の時にファロー四微症の根治手術を受けて、今日外来で定期検診に来ていました。私が担当しましたが、心エコーも心電図も問題は……なかった筈です」

直樹は受診の時の様子を思い出していた。
心雑音もなかった。画像診断も問題はなかった。………いったい何を見逃したのだろう。
直樹は唇を噛みしめぎゅっと拳を握りしめた。

「母親の話によると、病院から帰宅して1時間後に、トイレの中でぐったりしていたらしいです。それで慌てて救急車を」

「血圧低下してます!」

「入江! この腹部の痣はーー今日の受診時にはあったのか?」

各務の怒号にはっとして服をたくしあげられた身体を見つめる。
少年の右腹部に微かな痣があった。

「ああーーはい。本人と母親に確認したら4日前に幼稚園でジャングルジムから落下して打撲したと。すぐに掛かり付けの整形外科で受診してレントゲンを撮ったけれど問題はなく、ただの打撲だったとーー」

幼稚園でレンジャーごっこが流行ってるんだと得意気に話してくれた。

僕がペガサスレンジャーなんだ。
ジャングルジムから跳べるんだよ!

「まさかーー」

直樹は茫然と少年の蒼白な顔を見る。

「すぐに腹部CTの準備を! その前にエコーで確認だ!」

慌ただしくスタッフたちが動き始める。

「外傷性腹腔内出血だな。造影CTで出血点を確認後、すぐに開腹だ。緊急オペの準備を!」

「……4日も経っているのに……」

直樹が喘ぐように呟く。
どうしてーーどうして、あの時もっとしっかりと痣を確認しなかった……? 打撲の状況をしっかり訊かなかった?

「受傷時に異常所見がなくても、部位によっては食事や排便によって刺激を受けて裂傷に繋がることもある。とにかく出血部位を確認してからだ」

「はい」

「先生! CPAです!」

端子をつけたばかりの心電図のモニター波形にその場の視線が集中した。

「Vfだ! DC(除細動器)チャージを!」

救命センターは逼迫した空気に包まれていったーー。





* * *









11月12日 P.m.3:20



ーー入江先生の奥さましか知らない腕の中の感触を思い出して………


彼女の声が耳の中で谺していて、離れない。


どうやってここまで来たのか覚えていなかった。
いなかったが、琴子が気がついた時には直樹のマンションの玄関前にぼんやりと立っていた。
病院にいて、これ以上不安を煽る声を耳にすることに耐えられなかったのだ。

合鍵は持っていた。
部屋に入って待っていようかどうしようかーー少し逡巡した。
待っていても忙しい直樹が帰ってくる保証はない。

それに、もし部屋の中で、直樹の浮気の証拠があったらどうしようーー
そんな不安が微かに頭の中を過ったのも事実だったがーー

な、なによ、あたしってば!
入江くんのこと信じるんでしょ?
そうよ、さっきの話は何か聞き間違いか勘違いだよ。
入江くんに限ってーーう、う、浮気なんてっ
あるわけ、な…………

必死で自分に言い聞かせるが、嫌な妄想だけが頭の中にどんどん膨れ上がっていく気がする。

直樹を信じようと思っているのに、あの自分と同じ声を持つ彼女の言葉が耳から離れない。


大丈夫。
大丈夫……

奈美ちゃんのお母さんのこともあたしの誤解だったじゃない。
絶対、何か理由(わけ)があるんだよ。
だからーー大丈夫!
信じろ、琴子!

琴子は意を決して鍵を開けて部屋に入る。

会えなくても……せめて、プレゼントくらい置いておこう。
誕生日おめでとうのメッセージも添えて。

琴子は部屋に入り、久しぶりの室内を見回す。
この夏、1ヶ月ほど過ごした懐かしい部屋だ。相変わらず琴子が居ても居なくても、部屋は整然と整えられている。

ほらーー何も変わってない。
変わったのは季節だけ。足を踏み入れた途端に感じてたあの狂おしいくらいの熱気と蒸し暑さはもう欠片もなく、静まりかえった室内はひんやりとして無機質に感じられた。


琴子はバッグをテーブルに置き、上着を脱ぐこともなくダイニングに座って、メモ書きに手紙を書いていた。

『入江くん、誕生日おめでとう♪
会いたかったな。
でも仕事忙しいみたいから、しょうがないね。
無理しないで、身体に気をつけて頑張ってね。
あのね、ちゃんとA判定とれたから。
絶対国家試験も合格してみせるから。
だから、入江くん、待っててね


ーー浮気なんてしちゃいやだよ。
書きかけて躊躇ってーー
結局、書かずに消してしまった。

『浮気』という二文字を書いただけで事実になってしまいそうで怖かった。


結局、『大好きだよ、入江くん。琴子』と、いつもの言葉で締めて、ペンを置いた。ネクタイピンの小箱を手紙の横に置く。


自分の声を録音した目覚まし時計の箱をどうしようか少し悩んだ。
なんとなく声を残して、彼女の声と比べられるのが嫌だった。それに声を残していくというのも何だか当て付けがましいような気もしたのだ。
それでも、せっかく一生懸命録り直して作った目覚ましボイスを無駄にするのも残念でーー琴子は箱からだして、リビングの本棚の片隅に置いた。おまけで貰った目覚まし時計だから、デザインもシンプルな黒一色で、5センチ四方の小さなものだ。気がつくかな。気がつかないかな……


そして、ふとあることを思い出して、キッチンの冷蔵庫の方をみる。自分が夏休みに帰る前に、冷蔵庫にぺたりとマグネットで張り付けた二人のツーショット写真はそこにはなかった。

ーーないよね、やっぱり。


少しがっかりして、それでも時間までは部屋の片付けでもして帰ろうかと、少し丁寧に周囲に目を配らせる。
とはいえ、部屋はたいして汚れてもいないし、散らかってもいない。

ーーーあれ? これ……なに?

ふと、サイドボードの片隅にきらりと光るものがあり、手にとって見てみた。

ーーーピアス……?

心臓がーー跳ねあがった。そして、そのまま止まるかと思えた。

シンプルなプラチナとエメラルドのピアスだった。しかも片方だけ。

無論、琴子のものではない。

ーーーあの娘の?

琴子と違って漆黒の髪にこのグリーンが随分似合っているように思われた。

ーー彼女、この部屋に……?
やっぱり……二人は……

ぐるぐるする。
信じようと思うのに、どす黒い感情だけが一気に胸の奥からせりあがって、頭の中まで掻き回すようだ。

この部屋に来てるの?
この部屋でーーー

琴子は、まだ部屋に来てから1度も開けていない寝室への扉を開けようかどうしようかーー取っ手に手を掛ける。

………こわい。

これ以上、疑いを否定できないような何かが見つかったら……
そう思うと、琴子は寝室に入ることがとてつもなく恐ろしく感じた。

ーーなんか、息苦しい。
どうしよう……

気がついたらぽろぽろと涙がこぼれていた。

琴子は結局、寝室に入ることができないまま、ばたばたと部屋を飛び出した。


気がついたら新神戸駅に向かい、早々に東京行きの新幹線に乗り込んでしまっていた。
まさか、ウキウキと神戸に向かっていた数時間後にはこんな陰鬱な気持ちを抱えて東京に戻るなんて。直樹に1度も会わないままーー

東京に向かう新幹線の中で、琴子はずっと窓の外を見つめてため息をつく。
そして懸命に、あのピアスがあの部屋に落ちていた理由を推理しようとしていた。

ちょっと動揺してあの娘のだと思い込んじゃったけど、別にあの娘のとは限らないよね。
だれかの落とし物……とか?
えー、でも病院で拾ったなら病院の受付に届けるよね?
随分高価そうだから、道で拾ったって警察に届けるだろうし。

や、やっぱりあの部屋に来た誰かのものだよね………
で、でも部屋に来たからって、即浮気とか決めつけちゃうなんて、あたし、あんまりだったかな………?
入江くんだって同僚の人とか職場の人を招きいれることだって……
で、でも殆ど職場の人は自宅の場所を知らないしこれからも教えないって言ってなかったっけ? 面倒だから絶対、他人を入れるつもりはないって。
かをる子さんも隣に来客なんて来たことないって言ってたし。
でもーーでもーー

病院内を駆け巡る噂。
胸の大きな琴子と同じ声の実習生。
ーー入江先生の腕の中の感触………
エメラルドのピアス……

直樹を信じようとする気持ちと疑いの気持ちが行きつ戻りつして、息が詰まりそうだ。頭がパンクする。
ぐるぐるぐるぐる。
吐きそう。気持ち悪い。
誰か助けて……




東京駅に着いてもひどく気分が悪くなり、そのままタクシーで帰ろうと少し並んでタクシーを待った。
ようやく順番が来て、後部座席に乗り込んで、運転手に行き先を告げようとした。


「……世田谷の◯◯◯まで……」

「え? 何て言った? お客さん、風邪酷いね。声がガラガラだよ」

ーー喉が。
喉がひりひりする。
何………この声……!?

「えーと……何? 世田谷ね……はいはい」

何度か言い直してやっと聞き取って貰った。

「すっかり寒くなったからねー。お客さんも早く帰ってあったまりなよ。喉には大根のハチミツ漬けが効くよ。蓮根のスープとかね。あ、ミントのど飴あるけどなめるかい?」

親切な運転手さんが色々気を使って話し掛けてくれる。
しかし琴子は殆ど耳に入っていなかった。

ーーあたしの声………

お婆さんの声になっちゃった………。

ガラガラで嗄れて自分の声ではないような。
そして、喉が詰まって上手く発声できない。

まるであの娘に声を盗られてしまったような。
そんな感覚に陥って、琴子はタクシーの中で、茫然とシートに身を預けていたーー。






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Re.みく様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

はじめまして、ですよね? いつも楽しみにしてくださって嬉しいです。みくさん、学生さんなのですね。テストはもう終わったのかなー。すこしはやる気の素となれたならよかったです。よい結果だといいですねー!

Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました。

そうなんですよ。相も変わらず仕事に忙殺され、琴子を気にしつつも構えない直樹。琴子は琴子で迷宮に突入です……(((^^;)ワンパターンながら、いっつもすれ違ってしまううちの二人…すまぬのだよ。
ええ。声が………
今回のお話のポイントは『声』と『噂』……だったりして^_^;


Re.ちびぞう様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

波立ちまくってます。しかも高浪ばかりで……(((^^;)琴子ちゃん、溺れそうですね……とりあえずワクワクしてもらえたならよかったです。

私もストレス喉というか気管支に来て、咳が止まらなくなっちゃうタイプです。いやー過呼吸とか経験ないんで、きっとそこまでストレス溜め込まないのかな、私。苦手意識……なくすのむずかしいなあ。苦手ばっかりだわー(-_-)

Re.紀子ママ様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

そう、入江くんも医者として日々戦い悩んでます。お医者さんの家族って大変だなーと医療ドラマを見て思う……(いや、ドク◯ーXは思わんけど笑)
ふふ、ピアスの件は見事です。そう、プラチナとエメラルドと来たら、もうピンといちゃいますよね……^_^;
わざわざ夏休みまで遡っていただいてありがとうございました。でも伏線は別のとこでした〜f(^_^;
さあ、落ち込む琴子ちゃんです。
泣いて立ち去る神戸〜〜演歌の世界になっちゃいますねぇ……^_^;

個別記事の管理2017-12-03 (Sun)

結婚記念日に続きアップします、といいつつ結局ずるずると日が空いてしまいました……うん、だって結婚記念日にはあまりに琴子ちゃん不憫で~~(自分で書いといてどの口がいう……^_^;)

更新空いたお詫びに、一話短いですが、1日おきにアップをしようかと思います。
(単なる小出し商法……^_^;)





あまり待ってる方もいないのかな、と思いつつも、(スミマセン、祭りが明けたらちょいとネガティブモード)まあ、いいさ。じみーに細々と続けてまいります……(((^^;)



では、待っててくださる奇特な方は、続きからどうぞ。時間は少々遡っております。









※※※※※※※※※※※※※※※※


11月12日 P.m.0:25




琴子はあれからずっと直樹の姿を探し回っていた。
耳から離れないあの言葉を振り払うように。
ナースたちのくだらない噂話。

………あんな娘が……ほんとに入江先生とつきあってるの?

初めはショックで茫然としてしまった琴子だが、そんな少し聞き齧っただけの噂話で直樹を疑うのはあまりに失礼だ。

そうそう、入江くん、別に巨乳好きじゃないし。Cカップくらいが最適サイズなのよ!………って、あたし、少しもCになってないし~~~
ああ、努力を怠ってる女って見られてる?
それともこの寂しい胸しか見てなかった反動でつい近くのFカップにくらくらと?

そ、そーなのかしら……

で、でも入江くん、「ごめんね、Cカップになれなくて」ってあたしが謝ると、「大きさより感度だ」ってあっさり趣旨変えしてたよね? あたし、感度なら自信が………ってちがーーう。


そんな会話をしていたベッドでの出来事も自然と連想され、つい直樹の優しく触れてきた指の感触を思いだし、そのまま顔を真っ赤にしてしゃがみこんでしまう。


そ、そうだよ。
入江くん、別にこのままでいいって。
そう云ってたじゃない。
自信を持つのよ、琴子!
それに、信じなきゃ。
あんたの旦那様はモテモテだけど、女の子に興味持ったことなんてないじゃない!
そんな噂に惑わされちゃダメよ。
入江くんのこと信じるのよーー!!!!


すっくと立ち上がり、「そんなの入江くんに直接確認すればいいことよ!」と再び歩き出す。

ようやく一人のスタッフから直樹が今、外来診察に入ってると聞いて、外来の待合室に行こうとエレベーターのボタンをを押そうとしたらーー

「あれー? 琴子さんやん?」

「くるみちゃん?」

声をかけてきたのは病児保育室で保育士をしていた枝元くるみだった。

「どないしたん? またボランティアしにきたんかいな?」

そういえば院内託児所のある「つぼみクラブ」は小児科病棟と同じフロアである。

「い、入江くんに会いに……」

「入江先生…?」

途端にくるみの表情がなんとも言えぬ困惑の色をなした。

「な、何……? 入江くん、どうかしたの……?」

どきっとして一歩後退る。
ま、まさか。
琴子の表情が微妙に強張った。

「ちょっとこっち来や」

くるみは琴子を託児ルームの給湯室に連れ込んだ。

「も、………もしかして、入江くんの噂のこと……?」

「なんや、もう聞いたんかい~~はやっ」

「くるみちゃんも知ってるんだねっ?」

思わずくるみの襟元を掴んでにじりよる。

「まあ、落ち着き」とぽんぽんと肩を叩く。

「嘘だよね? 入江くんが実習生と不倫なんて……」

「入江先生もあの城所って学生も否定しとったらしいんやけど」

「ほらーーっ」

「ほんまでもそんなん簡単に認めるわけないやろ?」

「う……」

「そもそも二人が抱き合うてたっちゅうのほんまのことらしいし」

「うそ……」

くるみの言葉はメガトン級の衝撃を琴子に与えた。

「二人っきりの医局で、ソファーの上で……」

「うそよ、そんなの」

「なんかナースがたまたま見てしもうて、部屋ん中、入るに入れへんかったって」

「そんなの……そんなわけ……」

シチュエーションを想像する。
どうしてそんな状況になった?
例えば、彼女がつまづいて倒れこんだのを受け止めたとか。
それくらいしか思い付かない。
でもーーそうそう、きっとそんな理由に違いない。そうに決まってる。

「入江先生は医局のソファでうたた寝してもうて、寝惚けて彼女の手を引っ張ってしまっただけやって弁明したらしいんやけど」

「え……? 入江くんが寝惚ける? ウソ……」

琴子は思わずその言葉に動揺してしまう。4年も妻をやって来て、同じベッドに眠っていても直樹が寝惚けるなんて、見たことなかったのである。

「なんや、ウソっぽい言い訳にしか聴こえへんやろ?」

「そ、そんなことないもん。いくらウソっぽくても、入江くんは絶対嘘なんてつかないよ。入江くんが云うならきっと、そうなんだよ!」

寝惚ける直樹なんて想像も出来ない。
琴子は段々不安に押し潰されそうになっていたが、自分に言い聞かせるように、くるみに言葉を投げた。
そう、直樹は嘘だけはつかない。
だから時々冷たくも感じるけれど、不実な人間ではないことを知っている。

「でもなー。その彼女、あんたと声がそっくりなんや」

「え、あ……うん」

それは………知ってる。

「声のせいなんか、胸のせいなんか知らへんけど、あの娘には最初っから特別感あったらしいんや」

「え……?」

「いやー胸はちゃうか? うちの病院一のスイカップナースの色仕掛けにも堕ちへんかったっちゅー話やし」

「……特別って……」

「基本、女には冷たいのに、あの娘には最初(はな)っからあたりが柔らかいって評判なんや……」

「……でも、そんなの。入江くん別に全部の女の子に冷たい訳じゃ」

「いや、冷たいって! めっちゃ冷たいって! もうとことん氷点下の男やって評判なんやってーー」

それは良いことなのか悪いことなのか、思わず琴子は苦笑してしまう。
自分以外の女の子に優しく接していてもツラいが人間相手の仕事でその評判はやはり不味いんじゃないかと。

「なんにせよ、火のないところには煙はたたへんしな」

「……で、でも。入江くんが、そうやってちゃんと否定してるのなら、あたし、入江くんの言葉を信じるもん!」

琴子はそうきっぱりと言って、つぼみルームを後にした。


そーだよ。
あたしは入江くんを信じるもん。
信じるもん
信じるもん
信じるもん
信じるもん……



呪文のようにぶつぶつと呟きながら再びエレベーターホールに向かう。
端から見たら随分面妖な顔つきだったのだろう。
訝しげに琴子をちらりと見て思わず避けていく人の姿に気が付かず、ぼうっとエレベーターの階数表示の点滅を眺めていた。
ボタンを押すことすら忘れてーー



「……何よ、入江先生、あの娘のこと、かばっちゃって……」

「やっぱ、出来てるゆうこっちゃ。みんながどんだけアプローチしても靡かへんかったのに、嫁と声が似てるっちゅうだけで落ちるなんてえらい簡単な男やったんや。もうがっかりやわ!」

ひどく憤慨してバタバタとかけていくナース二人の声に、琴子は思わずびくっとして振り返る。

そして、彼女たちが出てきた廊下の曲がり角の方に恐る恐る近づいていった。

ーー声が聴こえる………

入江くん……!
入江くんだわ。こんなところにーー

そして、もう一人の声。
この声はーー


「…………奥さましか知らない入江先生の腕の中の感触を思い出すだけで、ちょっとお得な気分でしたからーー」






ぐらぐらと……
足元が崩れ落ちていくような気がしたーーー。







※※※※※※※※※※※※※※※



続きは明後日の0時に更新します。





























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Re.マロン様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

ポジティブとネガティブがいったり来たりな琴子ちゃんなのです。
ふふ、そーなんです。いつも琴子はそんな現場に居合わせてしまう星のもとに生まれた子……(ご都合主義の言い訳^_^;)
相談に乗っていただいてありがとうございました。結局こうしちゃいましたが笑
短いけどマメに更新の方がいいのか、長文を週一更新の方がいいのか、今も模索中……(((^^;)



Re.ちびぞう様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

久々のくるみちゃん。まあ、面白がってるだけなんでしょうけど。本当に浮気とは思ってないから言えちゃうんでしょうねぇ、ずけずけと。
でも琴子ですから、悩みますよねー^_^;
しかし、噂だらけって、この病院、大丈夫か!と思わず突っ込んでしまいそうです………(((^^;)



Re.heorakim様 * by ののの
拍手コメントありがとうございました♪

heorakimさまもガクブルしちゃいましたか^_^;
多分、琴子より入江くんの琴子不足の方がピークのように思われますが……でも、ごめん、イジワルな作者のお陰でまだしばらくお預けなのです(-_-)

Re.さあちゃん様 * by ののの
コメントありがとうございました♪

まあ、さあちゃん様もナースなのですね。多いなーイタキス業界、ナースの方々……^_^;やたら医療用語連発なブログですが、私は医療とは無縁な人なのでおかしなとこあってもゆるい瞳でおねがいします^_^;
スイカップナースの制服、ピッチピチだろうな〜〜笑(あ、私もまな板ですよー)


Re.紀子ママ様 * by ののの
コメントありがとうございます♪

お久しぶりです。いやーなんかコメントおねだりしたみたいで申し訳ないです(((^^;)
体調は大丈夫でしょうか。無理はしないでくださいませね。
ふふ、忖度しすぎですねー、琴子ちゃん。そして何もかもが裏目に出てどつぼにはまってく毎度のパターンですが……
そうそう、くるみちゃん面白がってるだけですが、フォロー要員のかをる子さんには撤退してもらってますので(話の都合上^_^;)真に受けてさらにどつぼに……

ええ。入江くんは今回も色々焦ってもらう予定なのです。そもそも、あんたが神戸に来たのが悪い(←結局そこに帰着)のだよ……