19980725 ~7月25日の奇跡


“納涼祭り2016”



後編をお待ちの皆様、すみませんm(__)m
ちょっとどうしても今日、こっちを先にアップしたかったのでf(^^;




私には珍しいあの人目線です(^w^)




※※※※※※※※※※※※※※※






1年365日の中で、どの日が一番嫌いかといえば、アタシはまずこの日をあげるわね。
7月25日。
ええ、ツートップの12月24日と2月14日を抑えての断トツ1位よ。

とにかく、この日はアタシにとって最も運のない日よ。

親が離婚したのもこの日だし。
初めて告白してフラれたのもこの日だったわねー。
以来、絶対この日には告白しないわ。
そういえば、初めて自分の性別に違和感を感じたのもこの日だったわ。
みんな、可愛いワンピースの水着着てるのに、なんでアタシだけ黒いパンツ一丁なの? 無性に恥ずかしかったの覚えているわ。
高校の時、母親にカミングアウトして、泣かれたのもこの日。
結局ずっと気まずくて、大学からは家を出た。

なんにせよ、この日はアタシにとって、史上最悪の日なのだ。

なんといっても一番サイアクなのはーーまたひとつ歳をとること。
これ以上歳を取るなんて有り得ない。
もう、これからあたしはこの日が来ても歳をとるのはやめるわ。永遠の22歳よ。ふんっ。

もっともアタシは誕生日が今日だと誰にも教えていない。
誕生日、非公開よ。
誰に訊かれても誤魔化し続けてきたアタシ。
嬉しくもないのに祝ってもらうのは苦手。
親にすら高校のカミングアウト以来、おめでとうっていってもらったことがないわね。どうでもいいけど。


そうそう。だいたい琴子なんて、結婚してるのに旦那さまにちゃんと誕生日祝ってもらったことないっていうじゃない。
いやーそれも有り得ないけど。
ま、あの娘は旦那には祝ってもらえなくても世界中の人が祝ってくれそうなくらい、人好きのする娘だけれどね。
きっと入江先生は誕生日とか関係なく365日変わらず琴子を愛してんのよね。まーったく羨ましいこって。
夏になると薄着になるから、キスマークの露出頻度がかなりな率で高いと思うのよねー。特に入江先生、神戸から帰って間もないせいか……なんか、加減を知らないと言うか……激しすぎない? ほぼ毎日よね!?
なんであたしが毎度毎度コンシーラー貸さなきゃなんないのよ。

ああ、そういえば今日は琴子の代わりに夜勤替わったんだった。
誕生日の夜に夜勤。仕事しながらカウントダウン。
まあ、アタシらしくていいんじゃない?
あの娘は今日はお義父様とお義母様の結婚記念日のお食事会っていってたわ。
休みをとる日付間違えたからって泣きつかれたのは三日前。
別にいいわよ。琴子はアタシの誕生日なんて知らないし、予定だって特にない。
入江先生も当直なくて早く帰られたから……いいわね、家族で仲良くホテルでお食事か。
アタシには永遠に縁はないかも。
もっとも、素敵なお義母様だけど、アタシは遠慮したいわね。あのパワフルさと破天荒さは琴子でなきゃ付き合えないわよね。



あ。


0時回った。


ふん、いいのよ、どーせ今年も22歳なんだからさ。

アタシは、あとまだ少しある休憩時間に、コーヒーでも飲もうと席をたった。

すると。

え? 停電?

休憩室の部屋が突然真っ暗になって慌てる。

ええっ!?

まさかの怪奇現象?

うそっ今まで色んな怪談ネタは院内で耳にしたけど実際に出くわしたことなど一度もない。


ドアがぎぃーーと開く。
人の気配。
さをざわと何人も何人も。

え? 夜勤スタッフ、そんなに数がいるわけない。

たくさんの人が静かに部屋に入ってきてアタシの周りを取り囲む。

昨日やってた実録怪談再現番組で、ホテルのベッドの周りを兵隊さんが何人もぐるぐる回って取り囲んでる話を視たばっかだった。
あーん、あんな番組視るんじゃなかったーーっ

パンっ
パンっ

ぱーんっ


なに? なに? けたたましい破裂音。な、なーにーーっ ひええっ!!!!


「「「誕生日おめでとう、モトちゃん」」」

「え………?」

ぱっと部屋が明るくなって、アタシは思わず目をパチパチさせる。

目の前には、イチゴの乗ったホールケーキを持ってにこやかに立っている琴子の姿。
そして、クラッカーを持ってにやにや笑ってる、真里奈、智子、啓太ーー。
外にも患者さんやら、スタッフやら。
ちょっと、患者さん、消灯過ぎてるわよーダメよ、こんなとこに来ちゃっ!

そして、アタシは随分間の抜けた顔をして、クラッカーの紙テープを頭に貼り付かせてボーゼンと立っていた。

「な……な、な………何よ……なにっ?」

少し小さめのホールケーキには『23』という数字の蝋燭が立っていた。

「もー モトちゃんってば! 今日誕生日だったのねー。どうして教えてくれないのよ。危うく夜勤押し付けて、一人ぼっちで誕生日の夜を迎えさせるとこだったじゃない」

琴子が少し頬を膨らませて訴える。

「な、な、なんで知ってるのよ? あたしの誕生日は非公開よ!」

「うん、実は入江くんに教えてもらったの」

え? うそっ なんで? なんで、入江さんがアタシの誕生日を?
まさか、こっそりリサーチしてくれてたとでもゆーの?

「前に院内健康診断、入江くんが担当したでしょう?」

院内の職員の健康診断は、主に検査科が担当するけれど、内科検診は各科の研修医が輪番で担当する。ラッキーなことにあたしは入江さんに当たったのだ。服をまくりあげて聴診器(ステート)当てられるだけでもう、うっとりよ。
首もと触れられてリンパチェック、目の縁触れられたり……ああ、一生顔洗いたくないって思ったわ~~
まあ他の人もそう思ったようね。
この日は腰砕けのナース続出で、仕事にならなかったんじゃないかしら。
その日健診に当たったナースは一生分の幸運を使い果たしたとかいってたわよ。
でもって、その日に当たらなかった琴子は悔しがってたわね。あほか。毎日めーいっぱい健診されてるくせに!

ああ、そう、健診ね。予診票に全部書いてあるわね、個人情報。
名前と生年月日は一番トップだもの、バレバレだわよね。

でもまあ。
それをみて、覚えてくれてたのってーーちょっと嬉しいかも。

「あたしが入江くんに頼んだのよー。モトちゃん誕生日教えてくれないんだもの。誕生日ゲットしてって」

なんだ、琴子のため? ………って、個人情報もらしちゃダメでしょー!!!

「個人情報教えられるか!って叱られたけど」

そりゃそうよ。

「さっきのね、食事会の席で、モトちゃんに夜勤替わってもらったっていったら『おまえ鬼畜だな。明日誕生日なのに……』ってぽろっと」

ぽろっとじゃないわね。
確信犯ね。

「で、大慌てで食事会切り上げて、真里奈たちみんな召集して」

入江家のみなさん、ごめんなさい。

「いや、別に今夜無理して召集しなくても」

「こーゆーのは0時ジャストが大切なのよ」

そーなの!?

「ケーキは、食事してたホテルのレストランでお義母さんが頼んでくれて」

……さすが、パンダイ社長夫人の権力。こんな時間にオーダーさせるとは。

ちゃんとチョコプレートに『モトちゃん、おたんじょうびおめでとう!』ってかいてある。

「でも、さすがにこの時間からプレゼントは用意できなかったので」

「入江さんとのデート券でいいわよ」

「却下!」

ちっ。

「みんなで歌います」

あーーそう。

そして、夜勤スタッフと患者さんまで巻き込んでの「ハッピーバースディトゥユー♪♪」さすがににわか仕込みね。音、外れてるし。

その後、部屋を暗くして、23という形の蝋燭に火を点けて、ふーっと吹き消す。

やだ、こんなベタなイベント、久しぶりかも。

フォークを持たされて、一口食べる。
さすがホテルのパティシエ作。
おいしーっ


「あなたたちっ何やってるんですか!」

ありゃ清水主任。
ダメじゃない、この辺はきちんと根回ししとかなきゃ。アタシが加わってなきゃ、ほんと駄目なんだから。

「まあ、桔梗さんの誕生日なの? それは仕方ないわね」

仕方ないのか。
そりゃ、どーも。

「でも、患者さんはみんな部屋に戻って。夜勤スタッフも休憩終わったわよ!」

はーい

みんな、三々五々に散らばっていく。


そして、誰もいなくなったーーと思ったら、琴子がいた。

「プレゼントはまた明日あげるね。入江くん以外の。何がいい?」

「そうね。じゃあ、コンシーラー」

「え? モトちゃん、別にシミなんて」

ええ、ないわよ!
でも誰のせいで大量消費してると思ってるのよ!

「じゃあ、明日あげるね!」

「別にいいわよ」

ジョーダンだったのだけど。真に受けたわね。
誰かに物をもらうのは実は苦手。
そつなくおねだり出来る真里奈がちょっと羨ましいわね。
お返しとか色々考えなきゃならないから。アタシに貰っていいの?とか思っちゃうし。

「あ………」

入江さんがドアの向こうにいた。
琴子を迎えに来たのね。
アタシは思わずぺこりと頭を下げる。
琴子は入江さんの耳元に何やらボソボソ……いいわね。

「モトちゃん!」

くるっと踵を返し、琴子が戻ってくる。

「今度の日曜、空いてる? うちで、モトちゃんの誕生パーティやろうって」

「ええ? 入江家で?」

それは……嬉しいけど……でも。

「せっかく、モトちゃんの誕生日が解明されたのに」

いえ、そんな大袈裟な。

「今まで、みんなの誕生日、ご飯食べにいったりとか、ちゃんとお祝いしてきたわけじゃない?」

そうね。たまたま看護科で同じ実習グループになったというだけの縁だけど、アタシたちは随分仲がいい。

「モトちゃんの3年分のお祝いをまとめてするね!」

ああ、まったく。
だから、誕生日がバレるのイヤだったのよーー。

「じゃあ、モトちゃん、今度はアタシが夜勤替わってあげるから」

「期待せずに待ってるわ」

そして、琴子は入江さんと腕を組んで帰っていく。

本当に欲しいのはその場所なんだけどね。

ううん、別に入江さんじゃなくてもいいのよ。あんな風にアタシだけを見つめてくれる人の腕さえあれば。

でも、残念ながらその願いは中々叶えられない。

今日は、本当は最悪な日なのだ。
望んでいない性別に生まれおちた、呪われた日。
ずっとそう思ってた。

でも、アタシは生まれてきたことを一度も後悔したことも呪ったこともないことに今気がついた。

アタシはーー

食べかけたケーキをもう一口食べる。

「これ、一人でどーしろっていうのよ?」

まあ、いいや。
冷蔵庫にいれとこ。
朝、日勤の子にも食べてもらって。
あー、完全に誕生日バレるわね。
ま、いっか。

23の蝋燭だけ、隠蔽。
ええ、アタシは永遠の22歳なのよ。
それだけは譲れない。


でも、まあ。
こんな誕生日も悪くない。

アタシは週末に入江家に招待されるのを楽しみに暫くは頑張れそうだと、一人気合いを入れる。


1年365日のうちで、最も嫌いだったこの日が。
今日は妙にいとおしい。

生まれてなければ、少なくともあんたたちに出会ってなかったのだからーー。







※※※※※※※※※※※※



すみません。何故か唐突に、このようなモトちゃんバースディネタを。
いえね、誰でも良かったのですよ。
はじめはむじかくさまが好きな渡辺くんの誕生日に設定しようかと思ったのですが、ネタが思い付きませんでした。
モトちゃんだとなぜかさくさくf(^^;


と、まあ、そういうわけで、この話は敬愛すべき同志むじかくさま生誕記念ということで(勝手に)捧げ(押し付け?)ます♪

&かき氷の日……ということで笑







おっと。先程ご本人からカッパジャマなイリコトリクエストされたので、そのうち落書きは差し替えているかも…………(^_^;)




☆真夏のガーディアン(後)は、明日の0時にアップいたします。


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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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