19940624 ~魅惑のどりあん☆きゃんでぃ





まずは、narack様っスミマセン!
リンクのお礼と4周年のお祝いに書かせてくださいとお願いした、『ドリキャン』。遅くなった割りにこんなレベルの代物で、申し訳ないです。やまなしおちなしいみなしと申し上げた通り、だから何なの?といったような小ネタでございます。
とても、あの名作『CANDY MAGIC』のパロディなんて堂々と言えません。がーーっ

とりあえず、どうぞ……^-^;










※※※※※※※※※※






「ただいま……」

直樹が玄関の鍵を開けて家の中に入っても、大理石の上がり框の奥の広々とした空間からは何の返答もなく、何となくため息を一つついてから、スリッパを手に取る。
夕方6時過ぎ。
そういえば今朝、紀子は裕樹を歯科検診に連れていくとか、云っていたっけ。
にしても琴子は帰っている筈だ。
四回生ともなれば空き時間は多い。金曜の午後は講義はない筈だし、友人たちと出掛けるという話も今日は聞いていない。
律儀な琴子は朝かならずその日の予定を直樹にも紀子にも伝えていた。
無論、突然の予定変更がないわけではないだろうし、学生といえど主婦なのだから寄り道などせずに真っ直ぐ帰れ、などと無体なことを言うつもりも毛頭ないが。
ただ。最近実験が立て込んで滅多に帰れないこんな時間に珍しく家に辿り着いたというのに、いつもの熱烈歓迎な暑苦しいお出迎えがないことが実は少々気に入らない……が故にふっと出たため息だったということに、彼自身気がついていなかったりする。

夏至を過ぎたばかりのこの時期、まだ外は充分に明るい。
それでも部屋の中はそろそろ灯りが欲しい時刻である。
リビングの扉の磨りガラスから漏れる灯りが見えないことから、やはり誰もいないのかと、扉を開けた瞬間ーー妙な異臭が鼻腔を掠めた。

ガス漏れ……?
腐臭……?
ーー琴子がキッチンで何か作ってる!?

臭い自体は微かなものだ。敏感な者にしかわからない程度の。
直樹はまずキッチンを見た。何かとんでもない光景が繰り広げられているのではないかと一瞬身構えて。
しかし、そこには誰もいないーーと。

「あ、入江くーん、おかえり」

琴子の声がリビングのソファから聴こえた。

「居たのか! 琴子……」

直樹はまず扉横の部屋のライトのスイッチを入れた。
夕暮れ時でぼんやり仄暗かった部屋がぱっと明るくなる。

「ごめんねー出られなくて。クサいかなーと思って」

少し口をもごもごさせながら、琴子がリビングテーブルの上に置かれている色とりどりなお菓子の袋らしきものを検分していた。

「……琴子……何を口にいれてる?」

なんで、そんな変な顔をしているんだ……?
ってか、眉間に皺を寄せて、いったい何をーー。


「これ」

ちょこんと赤い舌をだす。
舌の上にはクリーム色の楕円の飴がひとつ。

「……臭い……」

異臭の原因はそれだと分かった。

何を……何を食ってるんだーー!? 琴子っ

「これ。ドリアンキャンディ。ほら、お義父さんのタイ土産」

差し出された黄色の菓子袋にはトゲトゲしたドリアンのイラストがばんっと描かれてあった。タイ語で文字が書かれていたが、無論わからない。






重樹がタイの支社工場への出張から帰ってきたのは昨夜だった。挨拶だけはしたが、土産物は見ていない。
琴子や紀子が免税店の香水やら化粧品やらを広げて何やら楽しげに騒いでいたが。

こんな怪しいものまで買ってきたのかーー。

タイカレーのレトルトやら、インスタントラーメンの類いはまだいいだろう。
象の形のチョコも定番だ。
だがこれは一体ーー。
ごっそり袋に入ったいかがわしいお菓子の数々ーー。
スーパーや露店で買ったとおぼしき物たち。どう考えてもただのネタ用だろうが。

日本の物真似のような駄菓子に、いもむしのフライのようなゲテモノから、そしてドリアン一式!
ドリアンのドライフルーツ、ドリアン羊羮、ドリアンクリームのクッキー、そしてドリアンキャンディ………

「……そんな顔をしかめて食って……美味いのか?」

思わず直樹も顔をしかめて訊ねる。

「美味い……というには何かが違うというか……でも臭いのは確かよね……口の中に濃厚な玉葱臭が……」

「つまりは不味いんだろうが」

呆れたように直樹が呟く。

「……裕樹くんもお義母さんも吐き出してた」

とくに、このドリアン羊羮、最悪。流石にあたしもこれは無理。

そう、琴子は笑ってドリアン羊羮なるものを見せる。基本、琴子は食べ物を粗末にしない。出されたものは必ず食べるし、口にしたものを吐き出すこともしない。

「これに比べれば、キャンディの方はまだマシなのよ。 まあ、これも裕樹くんひとなめして吐き出してたけど。歯医者の前にこんなの口にしちゃってーと慌てて歯を磨いてたわ」

そして、「入江くんも食べる?」と直樹にドリアンキャンディの袋を差し出した。

「いるかっ!」

弟が吐き出すものを自分が食べれる筈がない。

だいたいドリアン自体、好んで食べたいとは思わないフルーツだ。
一度タイで食べたが、あまりの甘さと濃厚なねっとり感に胃が凭れて堪らなかった。第一臭さはこんな加工品からは想像もできないくらいの悪臭だ。なんといっても機内やホテル持ち込み禁止のフルーツなのだから。
その腐った玉葱に比喩えられる悪臭から「悪魔の果実」とか、濃厚で甘美な甘さから「果物の王様」ともいわれる東南アジア産の果実は、日本人には好き嫌いの分かれる珍品だ。
直樹は一口食べてもういらないと思ったクチだった。

「えー? 話のタネに食べてみてよ。すっごい不味いわけじゃないと思うのよ。とってもクリーミィで。で、とっても甘いんだけど、これって何の甘さだろう?ってなんか考えちゃって……」

何やら考えこんでいる琴子に、ひとつため息をつき、
「わざわざ一個食べる気はないから、こっちで味見するよ」そう言って、琴子の顎をくいっと持ち上げると自分の方に向かせて、唇を重ねた。

舌を侵入させた途端に濃厚な甘さが絡み付いてきた。
だが、やはり美味な甘さではない。どうしても玉葱臭も伴って不思議な味を醸し出している。

琴子が舌を使ってキャンディを直樹の口の中に押し付けてきた。
仕方なく琴子の唾液とともにその飴をダイレクトに味わってみる。

……やはり微妙である。

この甘さ、何の甘さだろう?

加工品のせいか、ドリアン独特の胃の凭れるような強烈な甘さは抑えられている。しかしその甘味は独特で、形状は不〇家のミル〇ーと似ているのに全く異なる甘さだ。(どう考えてもミ〇キーの方が美味い)
何処か毒々しい。

チクロ、サッカリンーー発ガン性があるからと日本では使用禁止になった合成甘味料を思い出した。海外で食した時、禍々しいくらいの極悪な甘さに顔をしかめたものだ。
そんな強烈な甘さとはまた何処か違う。重い甘さ。
でも何処か人工的。自然の南国のフルーツの甘さとは別の、工業的な甘さーー
香料の強い口紅を舐めてるみたいな?
ああ、何だか海外ブランドのルージュを付けていた琴子にキスした時のーー思わず顔をしかめてこんなのお前に似合わないって云ったら随分凹んでいたっけ。
そんなことを思い出しながら、もう一度キャンディを琴子の舌の上に押し返す。


琴子が戻されたキャンディを再び直樹に戻そうと、必死で舌を絡めてくる。
追いかける。
逃げる。
キャンディが上顎に張り付いてジタバタもがく。
口腔内で舌を使った必死の攻防が繰り広げられていたーー。

結局は臭いだな、と結論付く。
嗅覚は味覚を支配し左右する。鼻が利かない時はカボチャとジャガイモの区別もつかなくなるのだ。
この悪臭の大元。 エステル、アルコール、アルデヒドに属する26種類の揮発成分、及び8種類の硫黄化合物。強烈な臭いの元は臭い成分の一つ硫黄化合物1-プロパンチオールだ。
加工品となっても消えないこの臭い、なるほど悪魔のような執拗さだ。


口の中をねちゃねちゃと行き交う唾液もその甘さと臭気に侵されている。
多分、いつまでも口に残るぞ、と思う。
ドリアンを食べた時もそうだった…。時間が経っても中々消えないのだ。クリームチーズを食べた後に生玉葱を食べたようないつまでも消えない、いつまでも纏わりつくあのねっとりとした風味。

琴子の口元からつうっと唾液が一筋流れた。
今キャンディは何往復かして、琴子の舌の上に戻った。さっきよりかなり小さくなった感触だ。
琴子が再び直樹の口に押し返そうとするが、今度は直樹は琴子の口腔内をぐるっと舌で舐めあげながらキャンディから逃げる。

舌が痺れて疲れたのか、「ふう……ん」と鼻から抜けるような苦しげな声がして、思わず唇を離す。
顔を真っ赤にして、とろんとした潤んだ瞳の琴子と目が合った。
いつの間にかソファの上で直樹の膝の上に乗って、しがみつくような格好でキャンディの行きつ戻りつを繰り返していた二人。どう見ても濃厚なキスを繰り返す、エッチまであと10分な感じのカップルの有り様である。

いやーもう、10分なんて待てないな。

「琴子。舌、出して」

直樹の云うがままに舌をすっと出す琴子。
その上にはかなり小さくなったドリアンキャンディのひとかけ。
直樹に貪られて真っ赤になった唇から差し出された舌に妙な興奮を覚えながら、その舌にパクリとかぶり付き、キャンディを奪い取ると、テーブルの上のティッシュボックスからティッシュを一枚取って、ぺっとそのキャンディを吐き捨てる。

「あ、捨てちゃった……」

琴子が何故だか残念そうにごみ箱に投下されたそれを見つめていた。


「……部屋、行く?」

直樹の問いかけにこくりと頷く琴子。頬が上気して、濡れそぼった唇がひどくあだめいて蠱惑に満ちていた。

ーーすぐに食いたい……

「……ここでもいいけど」

意地悪く耳元で囁くと、それには全力で首を横に振る琴子。

「お義母さんたち、帰ってきちゃう……」

「じゃあ、行こう」

直樹に手を引かれて立ち上がる琴子。
ぱちっと電気を消してからリビングを後にする。
ひとけのなくなったリビングはすっかり薄闇に包まれて、仄かにドリアンの香りだけを残していた。

「……おまえ、部屋にキャンディボックスあったよな?」

「うん。やっぱ口直し欲しいよね? 何だかいつまでも変な味が口の中に残っちゃって……色々あるよ。イチゴキャンディに、パインにソーダに薄荷キャンディ……何がいい?」

「薄荷かな?」

甘いものの選択に珍しく直樹が即答だった。

「一番スッキリしそう」

「そうだね」

「でも、おれはおまえの舐めたの貰うだけでいいから」

耳元でそう告げられてまた真っ赤になって立ち止まってしまう琴子を抱えあげて(俵担ぎで)とっとと二階に上がっていく直樹。

「ひゃあああーー」

叫んでジタバタする琴子を尻目に、「早くしねーとおふくろたちが帰ってきちまうだろ?」と、にやっと笑う。

「…………おまえだってその気になってるくせに」





ドリアン。
その強烈な薫りは玉葱の腐敗臭だの都市ガスの臭いだのにたとえられるがーーその語源には『麝香の薫りのような』と言う意味もあるそうな。麝香には興奮作用、強心作用、男性ホルモン様作用など薬理効果があると云われているが……さて、ドリアンキャンディにそのような作用があるかは………不明である。









※※※※※※※※※※※


ああ、全国の『キャンマジ』ファンの皆様ごめんなさいm(__)m

去年、うちの上司がタイのお土産として買ってきたドリアンキャンディを食した時から思いついていたお話でした。
くそ不味いキャンディの味を口の中で行きつ戻りつさせながらあれこれ直樹さんが考察するという……だからなんやねん……な、お話でした^-^;
一応二人のオチはアマアマに……なっておりますでしょうか?

ついでに捕捉しておくとこの日の二人の晩御飯は、紀子と琴子で作ってある設定。裕樹くんたちが帰ってから事後^-^;なに食わぬ顔をして一緒にお食事でしょう。『キャンマジ』で二人の食事が心配されていたようだったので、念のためf(^_^)




どう考えてもnarack様の『キャンマジ』のパロディチックなお話なので、リンクのお願いをするときに図々しくもついでに書いてもいいですか?とお願いしちゃいました。
快く了解してくださったnarack様、ありがとうございました。


ちなみに、ドリアンキャンディ、何人かは吐き出してましたが私は食べきりました(^w^)
ドリアン羊羮は食べたことないけれど、かなり極悪らしいです。
ドリアン自体も食べたことなくて、描写は食べたことのあるママ友がとても詳しく語ってくれたので、それを参考に。
スティックタイプの焼菓子の空洞部分にドリアンクリームが仕込んであるお菓子も……かなりドリアン臭満載でした。これもみんな吐き出してたけど、私は食べたぞ……(-.-)一度口にしたものをなかなか捨てられないのですよ……。

食べたことないけれどドリアンチップスは美味しいらしいです。

ドリアン菓子よりドライバナナをチョコレートでコーティングしたお菓子の方が強烈だったかも。いつまでも不味さが口の中でもさもさしてるの~~

いや、ちゃんと普通に食べれるお土産もあるんですが、どー考えてもネタで買ってきたよね?的なものも多くて。イモムシせんべい……流石に手は出せなかったな……

海外土産の不味いものNo.1は私のなかではオランダのグミでした(ハーブや漢方のような殆ど薬な味でした……)
あれ? なんだか不味いもの談義になってしましました^-^;


と、まあ大した話じゃございませんが、narack様に進呈いたします^-^;







そういえば。
イタキス映画化。
スタッフ変わるというので焦ったけれど……キャストまで変えるという暴挙をするだろうかという気もします。
九州でロケって確実にあの話があるわけで。映画でキャストを全てを刷新してなお、九州の夏休み編をチョイスするかなーと思うわけですよ。
あれだけふるほののイリコトで商業効果が出たのだから、商魂逞しい方々が今さら変える筈ないよね、と。
もし変わるんなら本当に大きいとこが乗り出したか……(その可能性、あるかなあ? ドラマ終わってこんなにすぐに)
スタッフはねー1から2も変わったわけだし。凄く心配だったけれど2のスタッフもとても原作を大切にしてくれるチームだったし。きっと2のチームは『南くんの恋人』で忙しいんだね?などと思ったりして。
とりあえず、いい風に転んでくれればな、と願ってやみません。
果たして近所のシネコンでやってくれるような映画なんだろうか……^-^;


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管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

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