My Do根性 Girl (終)




琴子の病室の前に立ち、ドアノブに手をかけようとした瞬間に、ドアが引かれた。

「おお、直樹くん」

部屋の中から出てきたのは重雄だった。

「……お義父さん。いらしてたんですか?」

「ああ、琴子にちょっと渡したいものがあってな。しかし、直樹くん。本当に帰ってきたんだなぁ。大丈夫なのかい? 仕事の方は」

驚いたように目を見開いてみせた重雄は、すぐに心配そうに直樹を見上げる。

「はい。問題ありませんので。それより、お義父さん、すみませんでした」

深々と頭を下げる直樹に、重雄はキョトンとしたような顔を見せる。

「何を謝っているんだい?」

「琴子を……ちゃんと守ってやれなくて。一人で不安にさせて……」

ああ、と言いたげに少し口許に笑みを浮かべ、重雄はばんと直樹の肩を叩いた。

「昨日と思うと、琴子の顔が格段に違うんだ。ずっと穏やかで優しい。君が帰ってくるだけでこんなに変わるんだよなあ……」

感慨深げに微笑む。

「まあ、頼むよ」

ばんばんと、もう一度直樹の肩を叩いて、重雄はエレベーターホールヘと向かった。





「……琴子」

直樹が部屋に入ると、琴子はベッドから身体を起こして、何か冊子のようなものをじっと見いっていた。
時折目を擦っているのは泣いているのだろうか……?

「入江くん……」

顔を上げて直樹の方を見た琴子の瞳にはやはり涙が滲んでいる。

「琴子、どうした!?」

直樹は慌ててベッドの方に駆け寄った。

「入江くん、これ」

泣いてはいるが、口元は微笑んでいる。
そして、直樹に差し出したのはーー。

「母子手帳?」

茶色く薄汚れた母子手帳と、B6サイズのメモノートだった。

「お父さんが探して持ってきてくれたの。お母さんの母子手帳と、妊娠してからの日記みたいなノート……」

直樹は受け取ってパラパラと捲る。

「地震で家が壊れた時、土にまみれちゃって………とりあえず、大切なものは幾つか発掘して、箱に入れて保存しておいたらしいの。母子手帳とそのノートも、引き出しの奥に入っていて、なんとか無事な方だったの」

母子手帳には何枚かのエコー写真が挟んであった。
まだ胎児の頃のちっちゃな琴子。

日記は妊娠発覚からメモ形式で綴ってあるが、琴子の母らしく、実にシンプル。



2月15日

今日、病院へ行った。
赤ちゃんができた。
やったー。

2月17日 2回吐いた。

2月20日 3回吐いた。

2月22日

重雄さんがご飯を作ってくれた。
うれしい。
でも全部吐いた。

3月3日

ひなまつり。
でも、今日も吐いた。




「……よくよく考えたら、予定日が近いってことは、妊娠の経過もずっと同じくらいの季節で時期も同じなんだよね……」

琴子が少し楽しそうに云う。



気持ち悪い。
つらい。
何もしたくない。
もうーいやー!!!!!!

2月3月と書き綴られる……というより、書きなぐったような悲鳴のような文字たち。

「お母さんも同じような想いをして、あたしを産んでくれたんだね」

へへっと涙を拭きながら直樹に微笑みかける琴子。

「お母さんも悪阻しんどかったのに、乗り越えてあたしを産んでくれたんだから……あたしも頑張らなきゃね」

そう言う琴子を横からふわっと抱き締めた直樹は、「頑張らなくていいから」と耳元で囁いて、琴子の長い髪に指を差し入れた。

「え……でも……」

少し頬を赤らめて、目の前にある直樹の顔を見つめて戸惑う琴子は、すっと視線を反らす。

「……あたし、大丈夫だか……」

そう俯きながら呟いた琴子の顎を捉えて自分の方に向かせると、そのまま深く口付ける。

「ふう………んっ…」

長いキスの後、ほんの少し唇を離しただけの位置で、直樹が琴子にはっきりと告げる。

「大丈夫なんて云わなくていい。頑張らなくてもいいんだ。辛いなら辛いってはっきりと云えよ。泣いて喚いておれに当たり散らせればいいんだ」

「…でもっ……そんなこと」

「さっき話の途中になってしまったことだけど……」

「え?」

「おれはーー少なくとも今のおれは、おまえの魅力はやる気と根性だけなんて思ってないって話」

「あ………」

直樹が木島医師の説明を聴きに行く前に話していたことだった。

「おまえは俺の持っていない部分を沢山持っている。以前はそれはたった10%のひと欠片だと思ってた。やる気や根性や努力や計り知れないパワーや、めげないポジティブさ………自分にないそういう処におれは惹かれたのかも知れない………。
でもそれだけじゃなかった。たったひとかけなんかじゃなかった。
前に云ったよな? おまえが傍にいないとおれは人間らしくなれない。
多分医者なんて人に尽くす為の仕事に付こうなんて思いも寄らなかっただろう。
おまえは人を変える不思議な力がある。
それは両親から受け継いだ元々の資質でもあり、母親を亡くして一人で一生懸命お父さんを支えようとして生きてきた環境によって培われたものなんだろうな。
いつだって他人のことを自分と同じように思いやれる心や、人の心に添う優しさや、天真爛漫で疑うことの知らない素直さや……人として一番重要なものをおまえはたくさん持ってる。どれもおれにはないもので、おれにとっては眩しすぎるくらい美しいものなんだ」

「 い……入江くん……?」

「おまえの魅力はいっぱいあるよ。今たとえ頑張ることが出来なくても、おまえの本質が損なわれることはない。おまえが頑張れない分、おれが支えるから……苦しかったらこうしておれに凭れかかってくれ。甘えて泣き言いってもいい。今は……少しでも身体を休めて二人の子供を守っていこう。おれにも守らせてくれ……頼むから」

「いっ入江くーん………!」

がしっとしがみついて泣きじゃくる琴子を受けとめながら、
「……どんな琴子だって、琴子である以上おまえの全てを愛してる。
もし、おまえが病気になって頑張れなくっても、将来更年期障害になって無気力になっても、認知症になっておれのこと忘れても……おれはおまえを嫌いになったりしない。ずっと愛し続けるよ」
そう囁く直樹に琴子の涙は止まらない。

「あっ、あたしっ認知症になったって入江くんのことは忘れないよ! 絶対忘れない! それに関してはめちゃくちゃ自信あるのっ そ、それにね! あたしも入江くんがどんな入江くんになっても愛してるからね! お義父さんみたいな頭になっても、お腹出ても全然平気だから! 将来認知症になって徘徊老人になってもあたしが地の果てまで捜すから……! あたしも永遠に入江くんのこと愛してるから!」

「………知ってるよ」

琴子の頬を両手で挟んで、潤んだ瞳を見つめて話し掛ける。

「……知ってるから……おまえもちゃんと知っててくれ。おれも同じ気持ちだってこと」

「入江くぅん………」

琴子の涙の溢れた瞳にキスを繰り返し、ゆっくりと頬を伝う涙を掬いあげて、やがて直樹の唇が琴子の愛らしい唇に降り立った。



「うっうぇぇぇー」

長い長いキスの途中で、唐突に琴子がえづきだす。

「琴子っ大丈夫か?」

「ご、ごめんっあたし……ああ、なんてあたし、いいムードなところにこんな……うぷっ」

「わりぃ、やっぱ舌はまずかったか?」

右手で背中をさすりながら左手を琴子の口元に、お椀のように持っていく。

「うえっ……ダメ……入江くんの手が汚れちゃう……」

「いいよ。吐いても」

自分の口の前に差し出された直樹の手を押しやって、琴子は枕元のタオルを口に押し当てる。
胃液を少し吐いたら落ち着いたようだった。

「大丈夫か?」

「……ごめんね」

まだ少し青ざめている琴子の背中をずっと擦っていた手を漸く離すと、テーブルの上の吸い飲みをとって、少し口に水を含ませる。

「もう、謝らなくていいから」

「うん」

「落ち着いたか?」

「うん」

そのまま、琴子を自分の方に引き寄せて優しく抱き締める。

「ありがとう……」

「ん?」

「ごめんね、じゃなくてありがとうって云えばいいんだよね」

「……ああ」

「………心の中の重たいものがどんどん軽くなってく気がする……」

「………琴子」

「入江くんのお陰だよ。ありがとう……」

「おれの方こそ……ありがとう」

「………え?」


おれを好きになってくれてありがとう

どんなに冷たくしてもひどい態度をとっても好きで居続けてくれてありがとう

おれを変えてくれてありがとう

おれたちの子供を生むために頑張ってくれてありがとうーー






「まあ、おにーちゃん、本当に帰ってきたのねー」

ばたんとドアが開いて、紀子が歓喜の声をあげて飛び込んできた。

「相原さんに聞いたときは信じられなかったわー! もう、愛ねっ愛!」

きゃあっと手を合わせてはしゃぐ紀子の裏から裕樹もひょこっと顔をだす。

突然の紀子の来訪に明らかに眉間に皺を寄せてむすっとした顔を見せた直樹だが、裕樹に気付くと、ふっと表情を緩める。

気まずそうに兄の顔を窺い見る裕樹の方に行くと、直樹はその頭に手をやり、くしゃっとかき回した。

「……ありがとな、裕樹……」

「兄貴……」

少し泣き出しそうな顔をした裕樹を見て
「まあ、どうしたの? 何かあったの?」
と不思議そうな顔をする紀子に「なんでもない」と直樹はすげなく答える。
しばらくあれこれと琴子の世話をやいていた紀子だが、いつもより動きがかなりスピーディーだった。そして裕樹の襟首を引っ張って、「さあ、お邪魔虫はさっさと退散よー」とにんまり笑って去っていく。

台風一過のようにバタバタと行ってしまった母の様子に呆れたようにため息をつきながら、直樹は再び琴子のベッドの端に腰をかける。

「吐き気は大丈夫か?」

「うん、今は何ともないよ」

にっこりと微笑む琴子に、強がりではないと少し安心する。

「……あのね、入江くん。ほら、お母さんの育児ノート……」

琴子は思い出したようにさっきまで見ていた小さなノートを直樹に差し出す。


「……今日3月13日でしょ? ほら、お母さんの日記もこの辺りからだんだん愚痴がなくなってくるの」

つらい。
気持ち悪い。
吐いた。
また吐いた。

そんな言葉が書き連ねてあった2月から3月半ばまでの妊娠初期。
でも、3月の終わりになると、次第にそんな言葉が消えていく。

3月25日

今日は検診。赤ちゃんは順調。
重雄さんの梅がゆ、全部食べれた。

3月27日

ご飯の炊くにおいが平気になった。うれしい。

3月30日 ご飯がおいしい。

4月1日

重雄さんがお花見行こうと誘ってくれた。楽しみ。

4月7日

お花見。たくさんのお弁当。おいしい。お弁当がおいしいのがうれしい。
桜がきれいなのがうれしい。
重雄さんと一緒に歩けることが、すごくうれしい。


「………桜の花びら。少し茶色くなっちゃってるけど……貼ってあるの」

泣き笑いのように琴子がノートにセロハンテープで留めてある花びらを見せる。


「………あたしも、お花見に行けるかな……?」

少し不安そうに直樹の顔を見上げた琴子の身体を抱き寄せて、直樹は耳元に囁いた。

「ああ、行けるよ、きっと。………一緒に行こう。二人で桜を見に……」







それから、琴子の悪阻は徐々に治まり、退院出来たのは5日後だった。
直樹が毎日のように病室に顔を出し、甲斐甲斐しく世話をしてくれたお陰だと、皆が口を揃えて云っていた。

「もう、もう、あの入江さんがーっ琴子の口にふうふうっと冷ましたお粥を運んであげてるのー。なんか雛に餌やってる母鳥みたい! もうとってもレアよ~~」

たまたまその現場を目撃してしまった幹は、楽しそうに吹聴して回っていた。

だいたいアメリカから帰ってきた日の直樹の様子ーータクシーに忘れ物から無精髭などーは、後々の院内の語り草となり、予想通り西垣から散々からかわれた。
もっとも直樹は全く意に返さず「あなたは髭も生やさなきゃ忘れ物もしないんですね。お流石です」としれっと応えただけだった。

「いいよ、入江くんっそんなにしてくれなくても……またみんなにからかわれちゃうよ」

嬉しいけれど、自分に尽くしてくれる直樹にどうも慣れなくて、気恥ずかしく、よく顔を赤くして訴えた。

「前におれが入院したときはすっげぇ献身的に看護してくれたじゃん? おまえは二人分なんだから、倍くらいの熱烈看護が必要だろう? ……それに」

にやりといたずらっ子の瞳を向けて琴子に囁く。

「医者と患者ってシチュエーションも悪くない」




そんな直樹の熱烈看護のせいか、無事退院の運びとなった琴子は、10日ほどの自宅療養の後、しばらく夜勤を入れない、という条件で職場復帰した。
例の、自分に似ているという「へのへのもへじ女」もとい、派遣の彼女はどんな娘だろうと思っていたら、実は入局1週間くらいで無断欠勤が続き、辞めてしまったのだという。

「あれだけ熱血してたら多分疲れちゃうのよね、普通の人は」

「やっぱ、アンタみたいな爆裂キャラはそうそう居ないってことよ」

「あんたも復帰したし当分ヘルプは入れないんじゃない?」

そんな風に同僚に迎い入れられて琴子は再び看護婦として働き始めた。
そろそろ安定期にも入りかかった頃だった。


ーー春は………すぐそこまで来ていた。








* * *




王国が水没してしまうのを、命懸けで阻止したお姫さま。
王子さまはその亡骸を片時も離さず、部屋に閉じ籠ったままでした。


どうしてーー。

あんな呪文をかけてしまったのだろう。

王子さまの後悔は果てることはありませんでした。

真っ白く血の気のない頬を撫でながら、王子さまはお姫さまのことを思い出していました。
いつもきらきらと笑っていたお姫さま。
誰よりも王子さまを愛していたお姫さま。
どうして伝えなかったのだろう?
誰よりも愛していたのは自分の方なのに。
居なくなってはじめてどんなにお姫さまが大切な人だったのかわかったのです。
そしてーー。
お姫さまが息を止めてから初めて、王子さまは涙を落としました。
肩を震わせ、声をあげて、お姫さまの身体に覆いかぶさって激しく泣き崩れました。

王子さまが流した涙の一滴が、お姫さまの唇に落ちました。

「う………ん……」

すると、息絶えた筈のお姫さまの唇から、愛らしい吐息が漏れました。
そして、ぱちっと目が開きーー。

「え? ここはどこ?」

「おまえーー!」

お姫さまは、王子さまが泣いているのを見てびっくりしました。
泣き顔なんか1度も見たことありません。

「泣かないで! 泣かないで! 王子さま! あたしもっと頑張るから!」

そういってしがみつくお姫さまの唇に優しくキスをすると、王子さま云いました。

「もうたった一人で頑張らなくていいんだ。これからは二人で頑張ろう。疲れたら休んだってかまわない。おまえはヤル気も根性もなくっても、十分すばらしい女だよ。ヤル気も根性もなくっても、そばにいてくれればいいんだ。生きていてさえくれればいいんだ」

そして二人はもう一度長いキスをしました。

王子さまの愛の奇跡で生き返ったお姫さまは、それからすっかり優しくなった王子さまと末長く幸せに暮らしましたとさーー。








「………それ、最後のほう、かなりご都合主義じゃね?」

「そ、そう? だって、やっぱお姫さまが死んじゃうラストってイヤじゃない?」

「えー? やっぱり本当はお姫さま死んじゃうのー?」

ここは夫婦の寝室。
5才の琴美を挟んで、琴子と直樹は就寝前の読み聞かせをしていたのだが。
読んでいた物語の結末があまりに悲しくて、琴子は勝手に脚色をしてしまったのだった。

「こういう神話ものの定番で、お姫さまは植物になるんだ。しっかり根付いた植物は堤防を覆ってとても頑丈になって、二度と王国は水害に遭うことはありませんでした、って結末だ」

直樹の説明に少し琴美はむくれる。

「ママのお話の方がいい!」

「だよねー! 絶対ハッピーエンドじゃないとね!」

二人でしっかりタッグを組んでにんまりと顔を見合わせる。
だいたい琴子に絵本を読ませると大抵の話はハッピーエンドに改竄される。「泣いた赤鬼」も、「人魚姫」も。

「でも、何のしょくぶつになるのぉ?」

ふと思い付いたように琴美が父親に訊ねた。

「確か薔薇とか……」

「大根よ! 大根! ど根性大根!」

「は?」

突然、琴子が面白いことを思い付いたと言いたげにふっふっふっと笑いだす。

「大根がうじゃうじゃと生えだしてね、大根の堤防が出来るのよ!」

「………モロそうだな……その堤防……」

呆れたように直樹が呟く。
思い付いた理由は明白。
最近世間を賑わしている都会のアスファルトの歩道脇に生えてきた大根が、『ど根性大根』などと名付けられせいだ。

「外国の話だぞ、これ……。それに、その絵図はあまりにシュールだ………」

「そーお?」

「大根面白ーい。大根だと、きっとその王国は『ききん』の時にも大丈夫だよね!」

「まあ、みーちゃん、飢饉なんて知ってるの? やっぱ入江くんの血を引いているのね、かしこーい!」

「最初から大根があったら、お姫さま自分の手で穴を塞がなくても、大根突っ込んでおけば良かったのにね~~」

「そ、そうね~~」

二人で盛り上がっているのを呆れ返って見ていた直樹はため息をつき、「もう寝るぞ」と布団に潜り込む。

「じゃあみーちゃん自分のお部屋で寝るねー」

「まあ、大丈夫?」

眠れなーい、と半べソで両親の寝室にやって来て二人のベッドに潜り込んだのは30分ほど前のこと。

「大丈夫だよー。明日いっくんと遊ぶから、早く寝ないとねー」

にこにこと機嫌良さげに部屋から出ていく琴美の方に瞳を向けた直樹が「いっくん?」と少し顔をしかめて琴子に問い質す。

「いちとくん……花村一斗くんよ。花村さんとこの」

「ああ……」

直樹は何度か会ったことのある少年とその母親を思い出す。

初めて母親の方に会ったのはまだ琴美が生まれる前。悪阻で入院していた琴子の元に1日早く退院するという花村詩織が琴子の元に謝りにきたのだ。
おおよその話は琴子から聴いていたので、互いがわだかまりなく退院できることに少し胸を撫で下ろしたのを覚えている。
その後、元々予定日が近いという縁があって、琴子と花村詩織は講習やマタニティビクスに参加する度に出会っていたという。
さらに奇縁は続いて、琴子が出産した翌日に花村詩織も出産し、琴美と一斗は新生児室のベッドに隣り合わせで眠っていた。
その後お互いの家を行き交うほど仲良くなり、幼稚園も一緒の斗南付属に通っている。

「幼馴染みってなんかいいわよねー。特にみーちゃんといっくんは生まれた時から一緒だし、なんかスゴく運命感じちゃうよね。このまま結婚とかしちゃったらとってもロマンチック」

少女漫画とかありそーなシチュだわーと、うっとりと話す琴子の言葉に、「はあ?」と直樹は眉間に皺を寄せる。

「幼馴染みだからって現実に恋愛関係になることなんてそうそうないぞ」

「そーお? いっくんはハンサムだし、頭もいいし、結構二人いいムードよー」

直樹の不機嫌に気付かずに琴子は楽しげに妄想モードである。

「………こっちはいいムードにならなくていいのか? 奥さん?」

「え?」

突然、直樹に引き寄せられ、組み伏せられる。

「せっかく、琴美が気を利かせて二人きりにしてくれたのに」

「えー……?」

そうなのだろうか? 一瞬琴子は先程の琴美の様子を思い浮かべる。
そんなことを考えている隙に直樹の唇は琴子の愛らしくも艶やかな唇を塞いで。
直樹の細長い指先が、器用に琴子のパジャマの釦を外していき。
滑らかな所作でその白い肌の上を這い回るもう片方の掌の感触に、軽い陶酔を覚え始めた頃ーー

甘くて優しい濃密な空気が二人の周囲を包んでいったーー。




今は冬。
窓の外は、静かに降り積もる雪が、暗闇を照らしていた。
きっと春はすぐにやってきて。
雪は桜の花びらに変わり、二人の上に降り注ぐ。
春はすぐに初夏の陽射しを呼び込んで、眩しい季節にはしゃぐだろう。
夏が来て、秋が来て。
季節が何度か巡ろうともーー

キミを永遠に愛してる

My Do根性 Girl











※※※※※※※※※※※※※※




…………終わりました。
あーすみません、大根投げるなら一人一本まででお願いしますっ
ヘルメットかぶって待機してますので!
くっさいポエミーなラストに砂吐きそうになった方! バケツのご用意はこちらです(どちらだよ?)

あの寓話、最初から『ど根性大根』で落とそうって決めてたんですよ~~

兵庫県で見つかったど根性大根は2005年の話。ほーもう十年も前のことなのかーと妙に感心してしまいました。

と、まあ大根はおいといて。
後書きあれこれは、また明日にでもアップいたします♪

お付き合いいただいてありがとうございました(^.^)




スポンサーサイト

プロフィール

ののの

Author:ののの
管理人の、のののです。イタズラなキスにはまって、二次創作を始めました。

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

FC2カウンター

現在の閲覧者数:

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

QRコード

QR
▲ top