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すべてがF組になる

2014.10.07(23:06) 14

祝「す/べて/がF/になる」ドラマ化記念?

いえ、ドラマとは全然関係ない、ただの冗談です………(^^;

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いつものように校門をくぐり、いつものように玄関で下駄箱を開け、いつものように雪崩れ落ちてきた大量のゴミをゴミ箱に捨て、いつものように三階への階段を上がる。
そして、いつものように階段から一番近い、A組の教室へ入ろうとして――いつもと違う違和感に足を止めた。

「………いったい何だ……?」

そこに広がるいつもと違う風景に、オレは愕然と廊下に立ち尽くした。

3年A組が、ない――

そんな馬鹿な!

あり得ない事態に、さすがのオレも思考が混乱する。

A組だけではなく、B組も、C組も、DもEもなかったのだ。

そこに存在するのは――F組のみ。

まじまじと、教室の入口から張り出したネームプレートを見る。誰かがイタズラで差し替えたにしては手が込んでいる――が、イタズラに違いないだろう。

元々A組のあったオレの教室のプレートには、3年F組と掲げられ、そしてFの文字の右上に小さく星マークがあった。
B組のあったところには、Fにハート。
Cは〇。Dは△で、Eは※印だった。そしてF組は――ただのF組だった。

一体何の冗談なんだ、馬鹿馬鹿しい。

オレは普段通りA組であるハズの教室に入る。
入ったら……知らない面子ばかり並んでいた………。

「おお! 入江遅いじゃん! もう星組埋まっちまったぞ。隣のハート組行けよ」

知った顔が居た。A組の渋沢だ。
何が星組だ。ここは幼稚園か?

「そこ、オレの席」

オレはオレの席に座っている力士のような男の前に立つ。学年全員を把握している訳ではないが、さすがにこの体格には見覚えがある。確かD組だった筈だ。
早くどけ。椅子が壊れるだろう。
それに机に手汗がべったりと………。

「嫌だね。席は早いもん勝ちがルールだろ」

「はぁ? 何言ってんだ。おまえD組だろう? 早く出てけよ」

だんっと机の上に自分の鞄をのせる。

「そっちこそ何言ってんだよ。この間の試験でおまえ以外全員F組レベルの偏差値しか取れなくて、全クラスF組になったんだろうが。おまえ一人A組じゃクラスが成り立たないから、おまえもどっか好きなF組に行くって話だろ? 」

「はあ?」

なんだ、その訳のわからない事態はっ
意味不明過ぎる……
――そうだ、渡辺は?

「渡辺はどこ行った?」

だいたいあいつまでF組レベルの偏差値って有り得ない。

「渡辺ならさっき△組に入ってったぜ」

入口近くに居たヤツが指を差し教えてくれた。

なんだよ、△組って……

オレは仕方なしに元A組の教室を出て一旦廊下にでる。
元D組のプレートにF△とある。

オレはFの△の教室に入り、渡辺を捜す。

いた。

前から三番目、窓よりの席――。
隣の女と随分楽しそうにしゃべくってた。
おまえ、A組の女とだってそんな楽しそうにお喋りしてたことなんてないだろう――そう思って近づいたら、なんと隣の女は琴子だった。

もやもやっとした何かが突然胸に沸き起こる。

「あ! 入江くんっおはよう」

琴子は満面の笑みをオレに向けて、
「へへっ入江くんっこっち側の席、入江くんに取っておいたの! 座って!」
渡辺と反対側の机を指し、その椅子を引く。

「嬉しいなぁ~入江くんと机を並べて授業を受ける日がくるなんて。夢みたい~~」

ぽわーんと、顔を赤く染める。

そのわりにおまえ、今渡辺と楽しそうだったよな?

「オレは悪夢のようだ」

ひどく険悪な顔をしていたのだろう。
「まぁまぁ」
と、渡辺が取りなす。

「だいたいなんでおまえまでF組レベルの偏差値って…何やってんだよ?」

イライラしているオレは随分な詰問口調だろう。

「まあ、人生にはいろいろあるさ」

なんだ、その達観した意見は!
おまえ受験生だろ? 外部受験するんだろ? そんな呑気でいいのかっ

「い、入江くん。とりあえず座ろ」

どんどん顔が険しくなるオレに反比例して琴子の眉尻がどんどん下がって行き、困惑したような情けない顔になる。
その顔を見ていたらまあ座ってやってもいいか、と思い直し、とりあえず席につこうと鞄を置く。

「ダメよ! 入江くんはこっちの席よ!」

突然うじゃうじゃと女どもが涌いて出た。

「入江くんっ! ちゃんと星組に席取ったからこっちにきて!」

「何言ってるの! 入江くんはこっちよ」

女たちがオレの腕を取って引っ張ろうとする。

「離せっ!」

振りほどこうとしてもほどけない。後から後から女が涌いてでる。ゾンビか。

「だめっ入江くんはここに居るのよ!」
琴子が女たちからオレを守ろうと必死になって引き離そうともがいている。

「退きなさいよ、このバカ女!」

「何がバカ女よっあんたたちだってF組じゃない!」

琴子の一言に、みんなぐっと黙り混む。

そりゃそうだ。
誰も琴子をバカにできねーよな。

「……みんなF組だもんなぁ」

オレの心底軽蔑仕切った冷たい瞳を受けた女たちは一瞬にして凍りつく。
オレはそんな氷の塊には目もくれず、琴子の隣の席に着いた。
琴子もオレにならい自分の席に着く。すっごく嬉しそうだよな。しっぽがあったら全開で振ってそうだ。

「あ、あのね、入江くん。一限目の歴史の教科書忘れちゃって……見せてくれる?」

「はぁ? おまえ何しに学校来てんだよ。冗談じゃないね」

オレの取りつく島もない即答に琴子はみるみるうちにしゅんとなる。

「琴子ちゃん、僕が見せてあげるよ」

反対隣の渡辺が、教科書を出し、机をずらして琴子の机に近づけようとする。
ちっ…こいつがいたの、忘れてた。

「これを甘やかすな」

じろりと渡辺を睨むが、ヤツは軽く首を竦めるだけでニヤニヤ笑ってる。オレの冷却力に対してこいつ、結構耐性ついてんだよな。

「仕方ねぇな」

オレがカタカタと机を琴子の方に寄せると、「いいの?」と、大きな瞳をさらに丸くしてオレを見つめる。

「仕方ないだろう? 他人に迷惑かけんな」

「う…うん、そうだね」

なんだか渡辺が笑いを堪えて踞っていたが、気にせずに机を引っ付けて、琴子に教科書を見せる。

「うわー入江くんっ教科書綺麗。全然写真に落書きがないっ」

あたりまえだろうが。偉人の顔に落書きって、小学生か! それにオレは教科書は一回しか読まないからほぼどれも新品同様だ。

琴子が教科書を覗くために身体をオレの方に寄せる。琴子の下ろしたままの長い髪がさらりとゆれて、シャンプーの薫りが鼻腔をくすぐった。
……考えてみればこの距離は初めてかもしれない。
以前定期テストの勉強を見てやった時も差し向かいだった。隣同士の、右腕と左腕が微かに触れあう程の近しさ。

なんだ………?
何故ドキドキする?
相手は琴子だぞ?

オレは意識を拡散させるように教科書を見る。そして教科書の横の琴子のノート。こいつ、ノートはちゃんと持って来てるんだ。
女子らしい、カラーマーカーを駆使した華やかなノート。

そして、ノートの端っこに。

入江琴子(^^)
入江くん大好き(ハート)
相合い傘に直樹、琴子。

定番過ぎる落書きの数々。

眉間に皺を寄せるオレの視線の先に気付いた琴子は、慌てて落書きを手で覆い隠す。

もう遅いっ

「こんなこと授業中に書いてるから、身に付かないんだよっ」

「ご、ごめんなさい……」

しゅんっと小さくなる琴子。顔を真っ赤にして、大きな瞳は顔からこぼれ落ちそうだ。

「おまえ、やればできるのに、なんでそんななんだよ」
一度は100番以内に入った。つまりはC組レベルの偏差値は取れたということだ。
斗南は元々偏差値レベルの高いそれなりの進学校だ。制服が可愛いとか、エスカレーターが楽チンだからとかで、簡単に入れるもんじゃない。それをクリアしてこの学校にいるのだから、やる気さえでれば飛んでもないパワーを発揮できる奴なのに。

「うん。あたし、頑張るから……」

うるっとした瞳。
あれ? こいつ、こんなに可愛いかったっけ?
吸い寄せられる。
このデカイ瞳に。
触れあった右手と左手。オレの右手がいつの間にか琴子の左手の甲に重なっていた。

互いの顔が近づく。
琴子がすうっと眼を閉じたーー。





「…………!」

はっと飛び起きた。
そこは琴子の部屋だった。
机の上に突っ伏して寝ていたらしい。

そうだ、昨夜琴子がオレの部屋に来て、宿題を持っていこうとしたのを掴まえてからかったのだった。
そしてそのまま、どういうなりゆきか、夏休みの宿題を手伝う羽目になり……
そのまま寝ちまったらしい。

琴子は………。
くーかくーか、気持ち良さ気に眠っている。机の上にだらーと涎を垂らして。

ーー好きな男の前で良くそんな寝姿晒せるな。百年の恋も覚めるぞ。

「琴子っ起きろっ! 今日は始業式だぞ!」
ばしこーんと、琴子の頭を宿題のテキストで叩く。

「えっ? やだっここどこ?」
飛び起きた琴子は辺りをキョロキョロ見回す。

「寝惚けんじゃねえよ。オレは着替えるから、おまえも顔洗って着替えてこい。ヨダレがべっちゃりついてるぞ」

「キャー」

真っ赤になって叫んでいた琴子を置いて、オレは自分の部屋に戻る。

「……なんなんだ、今の夢は」

全クラスF組って、なんだよ……。
--いや、そうじゃなくて。

夢が醒める直前。オレは琴子に何をしようとしてた?

「夢だっ! ただの!」

オレは気合いを入れる為に軽く両頬を叩くと、着替えようとクローゼットの扉を開けた。
夏休みは終わったのだ--。



----すべてがF組なる--了--



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すみませんっ変なの書いちゃって!

S&Mシリーズは凄く好きなミステリーなんですが、キャラ萌えだけでトリックの内容全然覚えてないんです。何しろ理系ミステリーと言われるだけあって難易度が………。まさか実写化するとは思わず、ちょっとテンションあがってます。図書館戦争、イタキスの映像化知った時以来のワクワク。全然イメージじゃなかったけど、綾野くんと咲ちゃんもビジュアルいいからまあ楽しみ。

ちなみに、もう1つ「すべF」ネタがあるんですがいいですか……?(笑)




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Snow Blossom


2014年10月07日
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